咽頭炎の種類別に症状、原因、治療法を解説!性病による発症にも要注意
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咽頭炎の種類別に症状、原因、治療法を解説!性病による発症にも要注意
「喉が痛いのは咽頭炎のせいなの?」
「咽頭炎がつく病気がいくつも出てくるけどどう違いがあるの?」
「性病が原因で発症するって本当?」
というようなお悩みや疑問はありませんか。
咽頭炎には複数の種類があるだけでなく、発症原因もさまざまあり、通常の風邪や花粉症などでも咽頭炎を発症してしまいます。本記事では、咽頭炎とはどんな病気なのか、症状や原因を病名別に解説します。
咽頭炎とは?
咽頭炎とはどのような病気を指すのか解説します。
咽頭炎の炎症の総称
咽頭炎は、何かしらの原因で喉に炎症が起きている状態の総称です。症状の現れ方によって種類があり「急性咽頭炎」と「慢性咽頭炎」に分けられます。急性と慢性のそれぞれで発症原因や症状の現れ方が全く違います。
また、どこに炎症を起こしているのか、原因菌やウイルスによって別の病名がついたものもあり名称が複雑です。そのため、病院での診断ではまとめて「咽頭炎」でくくって伝えられる傾向にあります。
咽頭炎と扁桃炎の違い
扁桃炎との違いは、炎症を起こしている箇所の違いや症状の出方です。咽頭炎は喉に炎症を起こし、痛みや発熱などを伴います。対して扁桃炎は、喉の両側端にある「扁桃」が炎症を起こし、唾や飲み物、食べ物を飲み込めないほどの痛みや高熱を伴います。また、扁桃炎は白い膿が出ることも珍しくありません。
加えて、食事を取れないほどの痛みが出現することがあり、そのような場合は点滴治療で栄養補給や水分補給をするケースもあります。
扁桃炎について詳しくはこちら
急性咽頭炎について
発症の仕方で分類される急性咽頭炎について解説します。名前のとおり、急に喉の痛みや腫れが起こり、症状が強いものをいいます。一過性であるため治療を受ければ完治します。
原因
発症する原因はウイルスや細菌感染が喉に起きることです。インフルエンザウイルスやコロナウイルス、溶連菌といったウイルスや細菌が喉に付着し、炎症を起こすと発症します。感染経路は、飛沫感染や接触感染があります。
症状
発症すると症状が強く、安静が必要となるケースがほとんどです。咳の症状はありませんが、喉の痛みや腫れ、声枯れが見受けられます。発熱がみられるケースも多々あり、無理は禁物です。酢物やキムチなどの刺激物を食べるとより炎症が強まり、痛みがひどくなるため避けてください。
治療法
治療には薬の服用やうがい薬を使用し、完治を目指します。薬物療法の場合、消炎鎮痛剤や抗生物質などが処方されるのが一般的です。また、炎症を抑えるためにスプレータイプの喉に直接塗布する薬剤を処方されたり、吸入する治療を行ったり、市販のうがい薬を処方されたりすることもあります。
慢性咽頭炎について
発症の仕方で分類される慢性咽頭炎について解説します。その名の通り、咽頭炎を起こした状態が慢性化してしまった状態です。
長期的に症状が続いている状態であるため、その状態に慣れて放置する方もいますが、早急に対処する必要があります。なかにはがんの症状であるケースもあるため、慢性化している場合は一般内科や耳鼻科に受診してください。
原因
発症する原因は複数あり、以下のようなものがあります。
- ● ストレス
- ● ウイルスや細菌の感染
- ● 胃酸の逆流
- ● 喫煙
- ● 大気汚染
- ● 花粉症
- ● 喉の乾燥
- ● 喉を酷使する など
逆流性食道を患っている方や、暴飲暴食をすることがあり胃液が上がりやすい方は要注意です。また、日頃からストレスを溜めている方も発症するリスクがあるため、適度なストレス発散が必要です。
症状
発症すると、喉の痛みや違和感、異物感、飲み込みにくい、声がかすれるといった症状が現れます。急性とは違い激しい症状が出ることは基本的にありません。
治療法
治療法は、認知行動療法やBスポット療法を行います。認知行動療法は、たとえば発症原因がタバコであれば、禁煙したり本数を減らしたりと日常生活の行動を見直して完治を目指す方法です。Bスポット療法は、慢性上咽頭炎で用いられる方法で、綿棒に薬剤をつけて上咽頭に塗布する治療法となっています。
急性・慢性上咽頭炎について
急性・慢性上咽頭炎について解説します。上咽頭とは、喉の上のほうの部分をさし、そこで炎症が起きると上咽頭炎と診断されます。上咽頭炎には急性と慢性があるのが特徴です。
原因
発症原因は、ウイルス・細菌感染、空気の乾燥や冷え、喫煙、寝不足、黄砂などがあります。どの原因も慢性化リスクを高める要因であるため、対策が必要です。具体的には、睡眠時間を確保する、空気清浄機を使用する、加湿器で部屋の湿度を上げるなどがあります。
症状
上咽頭炎は、喉の違和感やヒリヒリ感のある痛み、しつこい咳、鼻の奥あたりが痛むといった症状が現れます。空気が乾燥するとより症状が悪化しやすい傾向にあります。
治療法
治療法として、Bスポット療法があります。ほかにも、炎症を抑える薬が処方されることもあります。セルフケアとして、鼻うがいや生理食塩水を使用した上咽頭洗浄もおすすめです。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎について
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎について解説します。A群レンサ球菌という、蜂巣織炎(ほうかしきえん)や肺炎、化膿性関節炎などさまざまな疾患の原因となる菌に感染することで引き起こされます。
よくみられるタイプの咽頭炎であり珍しくありません。
原因
経口感染や接触感染、飛沫感染によってA群レンサ球菌が喉に付着し、感染症を引き起こすことが原因です。感染予防ができる病気であり、手洗いうがい、混雑時のマスクの着用などで発症リスクが抑えられます。また、手指の消毒も効果的です。
症状
喉の痛みや腫れ、赤みだけでなく、38℃以上の高熱が出たり、苺舌がみられたりするのが特徴です。稀に重症化することもあり、腎炎との合併症や、発赤が喉や舌、全身に広がる「しょう高熱」を起こすこともあります。
治療法
治療は、ペニシリン系の薬の服用による薬物療法が一般的です。ただし、ペニシリン系はアレルギーを発症することもあり、万一アレルギーがある方にはエリスロマイシンやセフェムといった薬が治療に用いられます。
性感染症による咽頭炎について
性感染症による咽頭炎について解説します。性病の菌が喉に付着することで発症するタイプです。一般的な咽頭炎とそれほど特徴が変わらないため、気づかないケースもあります。
原因
オーラルセックスにより喉に性病の菌が付着し感染することが原因です。咽頭炎を起こす性病菌には、クラミジア・トリコモナス、淋菌があります。予防対策は、オーラルセックスをしないことに限ります。
種類と症状
クラミジア感染症による喉の不調は、喉の腫れや痛みからはじまり、次第に咽頭炎に移行します。そのほか、発熱などの風邪とよく似た症状がみられるのも特徴です。淋病による喉の不調は、のどの腫れや痛み、イガイガ感からスタートし、放置すると咽頭炎に移行します。
治療法
クラミジア感染症による咽頭炎は、抗生剤を1回4錠服用する必要があります。淋病の場合、抗菌剤が含まれる点滴を1回行うのみで、薬の処方はありません。どちらの性病も2週間後に再検査を受け、治療経過をチェックする必要があります。
クラミジア感染症について詳しくはこちら
まとめ
咽頭炎の原因は、ウイルスや細菌、湿度や黄砂、花粉、性病菌などさまざまです。ほとんどの咽頭炎は、手洗いうがい、手指の消毒で予防が可能ですが、性病菌に関してはその方法で対策はできません。
性病が原因の場合は口での性行為をしないことで対策できます。また、慢性化した場合はストレスが原因であることもあり、定期的なストレス発散も予防や改善には大切です。
略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師