膝が痛いときの原因とは?治療法や予防法とあわせて解説!
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膝が痛いときの原因とは?治療法や予防法とあわせて解説!
膝が痛くて日々の生活に支障をきたしていませんか?
膝は立つ、歩く、座るなどいろいろな姿勢や動作をするときに必要不可欠な関節です。
日常生活を送る上でかかせない役割を果たしている膝が痛くなってしまうと、立ち上がったり、歩いたりするのも大変になってしまいます。
膝が痛くなる原因にはさまざまな疾患があるので、もしかするとなにかを患っているかもしれません。
本記事では、膝の痛みの原因や治療法、予防法について解説します。
膝が痛くなる原因とは?
膝が痛くなるのは膝関節が悪くなっているからだと考える方は多いのではないでしょうか?
膝関節自体が悪くなっている場合もありますが、関節周囲の筋肉が原因となっている場合もあります。
膝が痛くなる原因を、膝関節や関節周辺に原因がある場合と疾患が原因の場合に分けて説明します。
膝関節や関節周辺に原因がある場合
膝関節が痛くなる原因には、膝関節自体に問題がある場合と関節周辺に問題がある場合に分けられます。
関節自体が原因
膝関節は大腿骨と頸骨、膝蓋骨の3つの骨と、靱帯、軟骨、半月板などの軟部組織で構成されています。
軟骨は水分が多く、関節内の摩擦や衝撃などを抑えます。
半月板の役割は、クッションのように関節にかかる衝撃を吸収することです。
膝が痛くなる原因が関節自体の場合、下記2点が考えられます。
- ● 加齢によって、半月板や軟骨が傷んで、大腿骨と頸骨がぶつかり合うことで痛みが生じる
- ● もともとO脚で、膝の内側に荷重がかかりやすく、内側の半月板や軟骨が傷つき痛みが生じる
このように、関節自体が痛みの原因のときは、半月板や軟骨が傷つくことで発生することが多い傾向があります。
関節周囲の筋肉系統が原因
関節自体ではなく、関節周囲の筋肉系統が原因で膝が痛くなることもあります。
膝関節は大腿四頭筋やハムストリングスなど大きな筋肉がついています。
特に大腿四頭筋は体を支えるのに重要です。
年齢とともに筋力が低下してくると、体重を支えることができず、関節の内側への負担が大きくなります。
その結果、軟骨がすり減って痛みが生じるのです
疾患が原因の場合
疾患が原因で膝が痛くなっている場合もあります。
膝が痛くなっているときに考えられる疾患は下記の4つです。
- ● 変形性膝関節症
- ● 半月板損傷
- ● 関節リウマチ
- ● 膝靱帯損傷
変形性膝関節症
変形性膝関節症は、関節内でクッションの役割をしている軟骨がすり減ることで痛みが生じる疾患です。
軟骨は年をとるほど、劣化していきます。そのため、高齢になるほどかかりやすくなります。
変形性膝関節症の症状は、膝が痛くなることと水がたまることです。
変形性膝関節症は徐々に進行していく病気です。
初期・中期・末期で下記のような症状が現れます。
初期:動作の開始時に痛みが生じ、休めば治まる
中期:正座や階段昇降が困難
末期:安静時でも痛みがあり、膝を伸ばして歩くことが困難
半月板損傷
半月板損傷は、半月板に亀裂が生じたり欠けたりした状態のことです。
若い人から高齢者まで、幅広い年齢で発症します。
症状として、
- ● 運動したときの痛み
- ● 膝を曲げ伸ばししたときに引っかかった感じがする
が挙げられます。
症状がひどくなると、急に膝が動かなくなるロッキングという状態になってしまうかもしれません。
ロッキングが起こるのは、半月板が損傷されたことで、欠けた部分などが関節の隙間に挟まってしまうからです。
半月板損傷の原因は2つ挙げられます。
1つ目の原因は、スポーツなどのケガです。
体重が加わった状態でひねったり衝撃がかかったりすると半月板は損傷します。
また、前十字靱帯損傷に合併して起こる場合もあります。
2つ目の原因は、加齢です。
年を重ねるにつれて半月板は変形し、傷つきやすくなります。
変形し傷つきやすくなると、衝撃を吸収する働きが弱くなります。
そのため、年齢を重ねるとちょっとした外力でも衝撃が吸収できず、半月板が損傷するのです。
関節リウマチ
関節リウマチは、免疫の異常により関節に炎症が起こり、関節の痛みや腫れが生じる病気のことです。
原因不明で40〜60代の女性が発症することが多い傾向にあります。
症状は下記が挙げられます。
- ● 関節の痛み
- ● 関節の腫れ
- ● 朝のこわばり
関節リウマチの特徴は、左右対称に複数の関節で起こる点です。
また、関節の症状だけでなく、全身倦怠感や微熱、食欲低下など全身症状が現れることもあります。
膝靱帯損傷
膝関節を安定させる靭帯には、下記4つがあります。
- ● 内側側副靱帯
- ● 外側側副靱帯
- ● 前十字靱帯
- ● 後十字靱帯
これらの靭帯は、骨同士をつなげて関節を安定させる役割があります。しかし、交通事故やスポーツによるケガなどの強い力には耐えられません。そのため、強い力が関節にかかると靭帯損傷を引き起こします。
靭帯損傷の症状は、膝の痛みや腫れ、可動域制限です。
症状は徐々に収まり、膝関節の不安定さが目立つようになります。
膝の痛みの原因となる疾患の治療法
前述のとおり、膝の痛みの原因となる疾患には、変形性膝関節症、半月板損傷、関節リウマチ、膝靱帯損傷があります。
それぞれどのような治療をしていくのか解説します。
変形性膝関節症
変形性膝関節症の治療では、まず薬物療法と運動療法を実施します。
薬物療法には、痛み止めの内服薬や外用薬、関節内へのヒアルロン酸注射があります。
運動療法は続けていくことで日常生活動作の改善や痛みの軽減につながるので、とても大切です。
大腿四頭筋の筋力トレーニング、ストレッチ、有酸素運動が効果的です。
薬物療法や運動療法で痛みが改善されなかったときは、手術を検討します。
手術には、関節鏡視下手術、高位頸骨骨切り術、人工関節置換術などがあります。
半月板損傷
半月板損傷の治療は、基本的に薬物療法や運動療法などの保存療法を実施します。
水がたまったり炎症が起きているときは、抗炎症薬が効果的です。
運動療法では、膝を支える筋肉である大腿四頭筋やハムストリングスを鍛えます。膝を支える筋肉のトレーニングをすることで、半月板の負担軽減につながるのです。
保存療法をしても痛みが続くようであれば、手術となります。
手術には下記2つがあります。
- ● 縫合術:損傷した部分を縫い合わせる
- ● 切除術:損傷した部分を切り取る
関節リウマチ
関節リウマチの治療法は薬物療法が基本です。
発症早期から「抗リウマチ薬」という免疫異常を改善する薬を服用します。
必要に応じて、炎症や痛みを軽減するステロイドや痛み止め、生物学的製剤、JAK阻害薬などが処方されることもあります。
関節の変形が進行してきたら、人工関節置換術などの手術が検討されることも少なくありません。
また、関節の可動域が小さくなるのを予防したり、筋肉のこわばりを和らげるために運動療法を実施することもあります。
関節リウマチについては詳しくはこちら
膝靱帯損傷
膝靱帯損傷は、損傷した靱帯によって治療法が保存療法か手術か選択されます。
保存療法
内側側副靱帯、外側側副靱帯、後十字靱帯損傷は保存療法です。
膝装具をつけて、可動域制限や筋力低下が起きないように運動療法を実施します。
手術
前十字靱帯損傷の場合、手術を行います。
手術は関節鏡を用いた靱帯再建術が多い傾向にあります。
術後3〜6ヶ月はリハビリをして、可動域や筋力を受傷前の状態にもどしてからスポーツ復帰となります。
膝が痛くなったら何科を受診すればいい?
膝の痛みが気になったら何科を受診すればいいのでしょうか?
受診すべき科と実施する検査について解説します。
整形外科を受診しましょう
膝の痛みが続くようであれば、整形外科を受診しましょう。
膝関節は日常生活を送る上で、必要不可欠な関節です。
そのため、膝が痛くなってしまうと日常生活に支障をきたしてしまうかもしれません。
また、関節リウマチの疑いがある場合は、整形外科ではなくリウマチ科や膠原病科を受診した方がいいでしょう。リウマチに関しては専門医に診てもらうことをおすすめします。
痛みは放置せずに、気になったらすぐ医療機関を受診するようにしましょう。
実施する検査
整形外科を受診すると、下記のような検査を実施します。
- ● 問診
- ● 触診
- ● レントゲン検査
- ● MRI検査
MRI検査は靱帯や骨、半月板の評価に有用なので、半月板損傷や膝靱帯損傷の検査に用いられます。
膝が痛くなるのを予防する方法
膝が痛くなるのを予防する方法はあるのでしょうか?
膝の痛みを予防するためには、膝周りの筋力を強化すること、柔軟性を高めることが大切です。
どんな運動をすればいいのか、膝が痛くない場合と膝が痛い場合に分けて解説します。
膝が痛くない場合の運動
膝が痛くないときは、ウォーキングをするのがおすすめです。
ウォーキングは手軽にできる有酸素運動ですが、正しい歩き方でないと逆に膝を痛めてしまうかもしれません。
正しい歩き方をマスターするために下記項目を意識しましょう。
- ● 背筋を伸ばす
- ● 腕をふる
- ● 膝を伸ばす
- ● 踵から着地して親指から蹴り出す
ウォーキングの他にも大腿四頭筋の筋力トレーニングをするのもいいでしょう。
寝ながらも座りながらもできる運動があるのでご紹介します。
SLR運動
1) 仰向けになる
2) 片方の膝を立てる
3) 伸ばしている方の足を10cmほど浮かせる
足を浮かせるとき腰がそってしまうと、腰を痛めてしまうかもしれません。
背中と地面がくっつくようにお腹に力を入れておきましょう。
膝伸ばし運動
1) いすに座る
2) 片方の膝を伸ばして5秒キープする
運動は継続して実施することが大切です。継続してできるように、無理のない範囲で行いましょう。
膝が痛い場合の運動
膝が痛いときは運動するのが億劫になるかもしれませんが、運動しないでいると関節が硬くなり、より痛みが増してしまうかもしれません。
そのため、痛みがあっても無理のない範囲で運動をしましょう。
狭心症については詳しくはこちら
まとめ
本記事では
- ● 膝が痛くなる原因
- ● 膝が痛くなる疾患の治療法
- ● 膝が痛いときは何科を受診すべきか
- ● 膝の痛みを予防する方法
について解説しました。
膝が痛いといっても、さまざまな原因が考えられます。
膝の痛みを放置すると、手術をすることになるかもしれません。
「膝が痛いけどまだ動けるから大丈夫」と思わず、痛みが続いたら医療機関を受診しましょう。
略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師