蕁麻疹の症状、原因、対処法 について医師が解説

  • クリニックブログ
2023/06/06

蕁麻疹の症状、原因、対処法 について医師が解説

蕁麻疹とは

蕁麻疹は、身体の皮膚の一部が急に赤く盛り上がって膨れたような皮疹ができて、しばらく時間がたつと跡もなく消える疾患です。多くの場合はかゆくなりますが、焼かれるような痛みや刺されたような痛みを感じることもあります。
それぞれの皮疹は数十分から数時間程度で消えるのが一般的ですが、12〜24時間消えないこともあります。多くの場合は原因が分からないですが、塗り薬や飲み薬を使うことで症状を改善できます。



 

蕁麻疹の原因は

蕁麻疹の原因がはっきりとわかるのは1〜3割程度です。原因が分かるのは、ある特定の食物やお薬、植物、金属、圧迫、汗などの刺激、アレルギー反応として蕁麻疹がでてくる場合が多いです。
原因となる食物には、卵やチーズ、牛乳などの卵・乳製品や、かにやえび、さばなどの魚介類、肉類、そばや小麦、大豆などの穀物類、バナナやキウイなどの果物類などがあります。防腐剤や人工色素などの食品添加物により蕁麻疹が出てくることもあります。
お薬は、どんなお薬でも蕁麻疹が出てくることがありますが、アスピリンやロキソプロフェンなどの解熱鎮痛剤、抗生物質などに多いです。
太陽光や、暑さ・寒さによる刺激、下着などの圧迫や摩擦で蕁麻疹が出てくることもあります。また、生理や疲れ、ストレス、かぜなどの感染症、体調不良などによって蕁麻疹が起こりやすくなったり、蕁麻疹の症状が悪くなったりします。
また、小麦やカニ、エビなどの特定の食物をとった後に数時間以内に運動した時のみに蕁麻疹が出てくることもあります。運動しなければ蕁麻疹にはなりません。特殊なアレルギー反応が関わっており、10代の子どもに多いと言われていますが、まだはっきりしたことは分かっていません。
そのほかにも、膠原病や甲状腺の病気をきっかけにして蕁麻疹が出てくる場合もあり、蕁麻疹を繰り返す際には医療機関で検査を相談するのがおすすめです。

 

アレルギー検査について

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蕁麻疹の症状は

蕁麻疹の代表的な症状は、赤く腫れてくる皮疹が出てくることです。これを膨疹と呼びますが、様々な大きさになり、それぞれの膨疹がつながったりすることもあります。一つひとつの膨疹は、一般的には数時間以内に、長くても24時間以内には消えます。消えた後は、かさぶたなどの症状は残りません。
また、強いかゆみが起きるのも特徴のひとつです。かいてしまうことで症状が悪化することがあります。かゆみ以外にも、刺されるような痛みや、焼けるような痛みを感じることもあります。
蕁麻疹は、全身どこでもあらわれます。金属や下着が原因の場合には、触れている部位に蕁麻疹がでることが多いです。また、6週間以上出たり消えたりを繰り返すような慢性蕁麻疹では、特定の時間に症状が起きることが多く、夕方から夜間に症状が悪化します。
蕁麻疹が出るときに、息が苦しくなったり、腹痛や下痢をしたり、血圧が低くなってふらついたりする場合は、アナフィラキシーと呼びます。命に関わる場合もあるので、緊急で医療機関を受診してください。

 

検査方法と検査ができる時期/潜伏期間

蕁麻疹を診断するのには、基本的には問診と視診が重要です。なにか蕁麻疹の原因となるような食べ物やお薬、金属などと接触しなかったかどうかや、いつから皮疹やかゆみなどの症状が出たのかを覚えておくのが大切です。
視診では、出ている皮疹の形やパターンなどを目で見て確認します。蕁麻疹だと思っていても違う病気のこともありますので必ず医療機関を受診するようにしてください。
食物が蕁麻疹の原因や誘因となっていそうな方ではアレルギー検査ができます。これは血液を採取して、それぞれの食物に対してIgEというアレルギー反応が出ていないかどうかを検査します。ただ、IgEが高いからといって必ずしも蕁麻疹の原因になっている訳ではなく、症状と照らし合わせて判断しなくてはいけません。
お薬が、じんましんの原因や誘因となっていそうな方は、薬疹の検査をすることがあります。これは血液を採取して、血液の中のリンパ球にお薬の刺激を与えて反応があるかどうかを確かめる検査です。

 

蕁麻疹の治療は?

蕁麻疹の治療は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を内服し、塗り薬として使うのが中心です。皮疹にも、かゆみなどの症状にも有効です。抗ヒスタミン薬の中には眠気が強いものもあるので車の運転する際などには注意が必要です。
また、お薬の種類にもよりますが、効果が続くのは約12〜24時間なので、お薬を飲んだ後にも蕁麻疹が再発することもあります。蕁麻疹は、温めるとかゆみが増悪し、冷やすと膨らみがよくなるので、水などで少し冷やすのもおすすめです。お風呂に入ると悪くなることがあるので、シャワーだけにしておいてください。
そのほかには、症状に応じて、IgEに対してのお薬や漢方薬、ステロイドなどが使われることもあります。医師とよく相談しながら自分に合うお薬をみつけてください。

 

 

蕁麻疹の予防方法は?

蕁麻疹の原因がはっきりしているケースでは、原因となる食物や金属、お薬、暑さや寒さなどを避けるのが重要です。また、仕事や人間関係などの日常的なストレスや不規則な生活も蕁麻疹を悪化させる可能性があるので、できるだけ避けるのがおすすめです。
睡眠をしっかりとって体調を整え、疲れがたまらないようにしたり、肉や魚はできるだけ新鮮なものを食べたり、色素や防腐剤が入っている食物をできるだけとらないようにしてください。また、圧迫感が強い下着なども蕁麻疹の原因となるので、ゆるめの下着や服を身につけるのがおすすめです。
蕁麻疹はさまざまな原因で起こります。蕁麻疹の原因は一つだけではないことが多いので、蕁麻疹の病型、症状の経過、生活スタイルや蕁麻疹以外の身体症状などにも注意して対策していくのが大切です。

 

まとめ

蕁麻疹は、皮膚の一部が突然赤くなり膨らんだ皮疹が、強いかゆみなどとともに出てくる疾患です。多くの場合は数時間以内には症状が改善し、あとには何も残りません。
蕁麻疹は身体のどの部分にも発症し、原因が特定できることは少ないです。原因としては食物やお薬、金属などがあります。精神的なストレスや身体の不調などによっても蕁麻疹になり、悪化させる可能性があります。
お薬や食物が原因かもしれない時には、血液検査で補助的に原因を探せます。治療は抗ヒスタミン薬を飲んだり塗ったりするのが中心です。これ以外にもさまざまな種類のお薬があるので医師と相談しながら選んでください。
蕁麻疹にならないためには、原因となるものを避けるようにしてください。生活リズムを見直して、心と身体の調子を整えるのも大切です。

 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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