円形脱毛症とは?原因、症状、治療法について解説
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円形脱毛症とは?原因、症状、治療法について解説
円形脱毛症とは
円形脱毛症とは、頭部の一部分に10円ほどの円形または楕円形様に毛が抜けてしまうという病気です。
しかし、脱毛する部位としては髪の毛だけとは限りません。眉毛や髭などの部分も含まれます。
また、上記で「頭部の一部分に円形または楕円形様に毛が抜けてしまう」と記載しましたが、症状が悪化することで円形ではなく頭部全体に症状が出現することもあります。自身で鏡を見たときに自覚したり、周囲の人から指摘されて気づく場合もあるでしょう。
また、男性に多いAGA(男性型脱毛症)は、脱毛症としては同じ枠組みですが、症状・進行度が異なります。AGAの症状は長期的で頭部全体に脱毛が進行していくのに対し、円形脱毛症の場合は短期間で脱毛し、周囲との見た目がはっきりとしているのが特徴です。
円形脱毛症の原因
円形脱毛症を発症させる要因としては様々な影響が考えられるといわれていますが、まだはっきりと分かっていません。
考えられる要因として、最近では自己免疫疾患ではないかという説があります。本来自分の身体を外敵から守るために活躍するリンパ球という細胞が、誤って自分の体の一部を異物と捉えてしまい、自身の身体を攻撃してしまう病気です。間違えて攻撃してしまう結果、毛根が傷ついて抜け落ちてしまうという考え方です。
また、アトピーやアレルギー性疾患を持っている方などの自然環境が要因の1つあげられます。親族に円形脱毛症の発症がある人ほど発症するリスクが高くなるというデータもあるようです。
また、現代のストレス社会として最も高くなる要因としては精神的要因があります。何かに対してストレスを強く感じてしまったり、長い間ストレスを抱えることで、交感神経が異常に優位な状態となります。
そのため、血管が収縮することで血流が不足し、毛根に栄養が届かなくなることで引き起こされると考えられます。その他にもホルモンの変化など様々な影響がありますが、上記内容を併発して生じることもあるため、要因が1つとは限りません。
円形脱毛症の症状
円形脱毛症には症状によっていくつかの種類に分類することができます。
皆さんがよくイメージできるのは、頭髪に丸い円の形で脱毛斑ができるタイプではないでしょうか。こちらは単発型と呼ばれるものになります。その他にも多発型(円形脱毛斑が2箇所以上で発生する場合)や蛇行型(脱毛斑が蛇のように細長く広がる場合)、全頭型(頭部全体に広がり、髪が抜け落ちてしまう場合)、汎発型(頭髪などの一部分だけではなく、全身全ての毛が抜け落ちてしまう場合)などがあります。
円形脱毛症では、症状によって進行度や重症度は異なりますが、基本的には脱毛巣が全体の25%以上だった場合、重症例と考えます。また、一度治った後でも再発を繰り返すこともありますので、早めの対応が重要となってきます。
円形脱毛症の検査方法
円形脱毛症の要因について調べるためには、下記の項目があげられます。
① 診察
外来で医師が問診を実施することで、既往歴、家族歴などの確認をします。また、視診・触診から症状を確認します。
② 採血
自己免疫疾患やアレルギー疾患などの原因の可能性もありますので、血液検査も同時に実施します。
③ ダーモスコピー検査
機械を用いて拡大鏡で毛根や頭皮を詳しく確認する検査です。受診者は特に痛みを伴いません。
実施できるクリニックや病院はそれぞれで異なりますので、各ホームページを確認することをお勧めします。
④ 組織検査
頭部から皮膚組織を一部採取し、組織検査を行います。
円形脱毛症の治療方法
円形脱毛症の治療としては複数挙げられますが、代表例を紹介致します。医師と相談しながら治療法を選択しましょう。
① ステロイド内服・外用療法
ステロイドを内服薬や外用薬(軟膏など)で治療に使用する方法です。脱毛が広範囲ではない単発型や多発型に推奨されます。
本人の負担が少ないため、まずは内服や外用療法から実施する人も多いかと思います。
② ステロイド局所注射
ステロイド局所注射とは、脱毛部位に直接炎症や免疫機能を抑える副腎皮質ステロイドを注射する方法です。
脱毛が広範囲ではない、単発型や多発型に対しては有効な治療法ですが、子供には推奨していません。
また、直接注射する方法ですので、痛みを伴うこともあります。医師に相談して局所麻酔を実施してから痛みを和らげるなどの工夫も必要になってくるでしょう。
③ 局所免疫療法
局所免疫療法とは、化学物質のスクアレン酸ジブチルエステル(SADBE)やジフェニルシクロプロペノン(DPCP)を脱毛部位に塗布することで、皮膚のかぶれを繰り返し起こし、発毛を試みる方法です。
子供や広範囲の脱毛症状が認められる方に対しても効果が期待できます。しかし、アトピー性皮膚炎や蕁麻疹などの症状がある方は、症状が悪化してしまう可能性があるため注意が必要です。
また、局所免疫療法を実施する場合は保険適用がありませんので、自由診療となります。
④ 冷却治療
冷却治療とはドライアイスや液体窒素などを脱毛部分にあてることで、脱毛部に刺激を与え、毛髪の再生を試みる治療法です。
副作用などもほとんどないため、上記内容と組み合わせて実施されることも多い治療法です。
その他にも紫外線療法や赤外線照射療法など様々な方法があります。
円形脱毛症の予防方法
円形脱毛症の原因についても説明しましたが、現在ははっきりとした発症の原因が分かっていません。
しかし、普段の生活の中でストレスが溜まっていたり、不規則な生活習慣になることで自律神経の乱れが生じます。
自律神経のバランスが乱れることは、頭皮の血行が悪くなりますので、日々の生活の中でストレス発散することや、食事・運動など規則正しい生活習慣を心がけましょう。また、血行促進を促す頭髪マッサージなどもお勧めです。
まとめ
円形脱毛症の発症は様々な要因があるとされていますが、発症した場合、外見上の印象が変わってしまうため、悩んだり不安になる方も多いのではないでしょうか。
原因も様々ですが、治療法や対策もありますので、1人で抱え込まずに早めに皮膚科を受診して医師にご相談することをお勧めします。
略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師