睡眠時無呼吸症候群とは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/05/23

睡眠時無呼吸症候群とは?原因、症状、治療法について解説

みなさんは、日中の眠気(傾眠)やだるさ、いびきなど睡眠時無呼吸症候群(以降SAS)の指摘を受けた経験はありませんか?
自分がSASかもしれないと思いながら、以下のような疑問を抱えている方も多いと思います。
 
 「疾患の名前は聞いたことはあるが詳しくは分からない。」
 「検査はどのような方法で行われるのか不安。」
 「治療法はあるのか。」
 
そこで本記事では、SASの症状や検査方法、治療方法について解説していきます。
SASになりやすい方の特徴についても併せて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

 
 

睡眠時無呼吸症候群って何?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とはどういう疾患なのでしょうか。
以下で、SASの原因や症状について解説していきます。
 

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に一時的に呼吸が止まったり浅い呼吸になったりする疾患です。
この状態が頻繁に起こると、十分な酸素が供給されず体内の酸素が不足してしまいます。
酸素供給が不十分なため、日中の強い眠気や集中力の欠如による事故が起こりやすいです。
 
また全身のさまざまな部位に負担がかかり、命に関わる合併症を引き起こしやすくなります。
現在成人男性の10人に1人がSASといわれているのです。
 

睡眠時無呼吸症候群の原因

SASの主な原因として代表的なものを以下に挙げます。
 

  • ●肥満
  • ●小さい顎、小顔
  • ●太い、短い首
  • ●舌が大きい
  • ●扁桃肥大
  • ●アルコールを日常的に摂取している

 
肥満の方は軟口蓋や喉にも脂肪が付き、それによって上気道を狭めてしまい呼吸がしづらくなるため、注意が必要です。
横になると重力がかかって気道がさらに狭くなり、SASになる可能性が高くなります。
 
扁桃腺肥大の方も物理的に気道が狭くなり、無呼吸症候群になりやすいです。子供の無呼吸症候群はこの扁桃腺肥大が原因となることがあります。
 
アルコールを飲むと体の力が抜けますが、同じように気道の筋力も低下します。
そのため睡眠時に舌が喉に落ち込むなどして気道の狭窄が起きてしまうのです。
 
顎が小さい方は、もともと気道が狭く、無呼吸症候群になりやすいとされています。
肥満でなくてもSASを発症する人は多いです。
 

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の主な原因

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の主な原因は、睡眠中に上気道(喉や鼻の部分)が閉塞してしまうことで発症します。
 
主な原因として、下記などが挙げられます。
 

  • ●肥満
  • ●小さい顎
  • ●舌が気道に落ち込む舌根沈下
  • ●飲酒
  • ●睡眠薬の使用
  • ●鼻炎による鼻づまり
  • ●扁桃肥大

 
OSAは、上気道の閉塞に起因する無呼吸または浅い呼吸です。
無呼吸になる手前の段階でよく見られる代表的な症状は「いびき」です。
 

中枢性無呼吸症候群の主な原因

中枢性無呼吸症候群(CSA)は、脳の呼吸中枢の機能異常によって睡眠中に無呼吸を起こす状態です。
 
呼吸の働きを調整する「脳幹」は、血液中の二酸化炭素の濃度変化に反応して呼吸筋に信号を送りますが、中枢性睡眠時無呼吸症候群ではこの反応が適切に行われません。
またCSAは心不全がベースにあるとされています。
 
心臓の働きが低下して全身に十分な血液を送り出せなくなると、呼吸中枢の調節が不安定になり、睡眠中の呼吸が乱れやすくなるのです。
心不全などで心臓の機能が低下した方のうち、約12%〜49%の患者が中枢型の無呼吸を発症するというデータもあります。
 
CSAの主な原因としては、下記が挙げられます。
 

  • ●心不全
  • ●甲状腺機能低下症
  • ●脳幹梗塞・脳炎などの神経系の疾患
  • ●特定の薬剤(オピオイド製剤)の使用
  • ●脳腫瘍(極めて稀)

 

睡眠時無呼吸症候群の主な症状

SASの症状は、下記の3つの場面で症状が異なります。
 

  • ●睡眠中の症状
  • ●起床時の症状
  • ●日中の症状

 
それぞれの場面の症状について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
 

睡眠中の症状

睡眠中の症状は主に4つあります。
 
【いびき】
SASの主な特徴である上気道の閉塞により、いびきが出現します。
部分的または完全に閉塞された上気道は、空気の通り道が狭まり空気の流れが妨げられます。
狭くなった気道を空気が通過すると喉の部分にある軟部組織が振動し、「いびき」として現れるのです。
 
気道が狭ければ狭いほどいびきの音は強くなります。
 
【呼吸の乱れ】
SASにおける睡眠時の呼吸の乱れは主に気道閉塞や呼吸中枢の機能低下に関連しています。
 
SASやOSAの場合、睡眠中に呼吸が乱れる主な原因は上気道の閉塞ですが、CSAの場合、呼吸の乱れは気道閉塞ではなく、脳が正常な呼吸信号を伝達できないことが原因です。
 
CSAの中にはCheyne-Stokes呼吸(チェーンストークス呼吸)という特殊な呼吸パターンが見られることもあります。
 
【頻回な中途覚醒】
SASにおける夜間の頻回な中途覚醒の原因はさまざまですが、酸素不足による体の防御反応、自律神経の過剰反応、いびきによる覚醒などが挙げられます。
 
一時的な呼吸停止により酸素供給がストップすると、脳が酸素不足と判断します。
その結果、自律神経系が活性化され、呼吸を再開させようとして体が一時的に覚醒するのです。
 
【寝汗】
寝汗の原因は、無呼吸による心拍数と血圧の変動、酸素不足による交感神経の過剰な活性化によるものです。
 
SASでは呼吸を再開させるために心拍数や血圧が急激に変動します。
心拍数や血圧の上昇には交感神経が関係し、体の熱産生が行進されることにより体温が上昇して寝汗が出てしまうのです。
 
また無呼吸による低酸素状態に対処するために、交感神経が過剰に働くため心拍数や血圧が上昇し、発汗が促進されます。
 

起床時の症状

起床時の症状は主に3つあります。
 
【口渇】
いびきをかく方のほとんどは「口呼吸」を行っています。
特に睡眠時無呼吸症候群の人は、寝ている間に呼吸が苦しくなるため、無意識のうちに口を開けて呼吸をしていることが多いです。
起床時に口渇状態になっている方は、口呼吸をしていると考えてよいでしょう。
 
【頭痛】
SASによる起床時の頭痛は睡眠中に無呼吸によって血液中の二酸化炭素が増加し、脳血流量が増えて頭蓋内圧が上昇することが原因と考えられています。
 
SASの頭痛の特徴は、起床時の頭痛、両側性、30分以内に治まる痛みが1ヶ月で15日以上ある状態です。
 
【熟睡感がない】
SASでは、頻回な中途覚醒や脳血流量の低下により熟睡感を感じません。
睡眠中に呼吸が止まることで脳が覚醒し、副交感神経優位から交感神経優位に切り替わります。
そのため、眠りが浅くなり、夜中に何度も目が覚めてしまうことに繋がっているのです。
 

日中の症状

日中の症状は主に3つあります。
 
【強い眠気】
日中に強い眠気が出現するのは、睡眠中に呼吸が止まることで体が低酸素状態となり、自律神経が乱れることが原因です。
睡眠中に何度も無呼吸と覚醒を繰り返すことにより睡眠不足となり、日中にも強い眠気を感じてしまいます。
 
【全身倦怠感・疲労感】
日中の倦怠感や疲労感の原因は、睡眠の質と量が低下することです。
睡眠中の無呼吸により、低酸素状態や自律神経の乱れが生じます。
 
自律神経の乱れで基礎代謝など身体のさまざまな機能が阻害され、その結果寝起きの疲労感や倦怠感を感じてしまうのです。
 
【集中力の欠如】
SASに伴う集中力の欠如は、主に睡眠の質の低下と酸素不足により脳の機能が正常に働かないことが理由です。
脳への酸素供給量が不足し、集中力の低下を招くと、仕事が日常生活に悪影響を及ぼします。
 

睡眠時無呼吸症候群によって引き起こされる日常生活への影響

SASによって引き起こされる日常生活への影響は日中の症状でご説明した通り、日中の強い眠気、全身倦怠感・疲労感、集中力の欠如です。
特に車の運転中や工場などでの作業中に強い眠気に襲われると、取り返しのつかない事故に繋がる可能性が高まります。
 
また、集中力や判断能力の低下にも繋がるため仕事や学業に影響が出るかもしれません。
無呼吸症候群は眠気や集中力の欠如を引き起こすだけでなく、心筋梗塞や脳卒中、心臓病、高血圧、糖尿病などのリスクを高める可能性もあります。
 
 

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睡眠時無呼吸症候群によって引き起こされる合併症

SASは無呼吸により体にさまざまなストレスがかかるため、治療せずに放置していると多くの合併症を併発する可能性が高くなります。

以下に合併症の種類について解説していきますので、参考にしてください。
 

高血圧

SASが重症であればあるほど高血圧を合併する可能性が高く、降圧剤を内服しても血圧が下がりにくいです。
 
高血圧の合併は、SAS患者の約70%にみられるという報告もあります。
 

心疾患

もともとSASのベースには心不全が関係していると上記でご説明しました。
 
さらなる心疾患(心筋梗塞、不整脈、狭心症、心不全)の増悪原因として繰り返す低酸素状態、交感神経の活性化による脈拍や血圧への悪影響が考えられています。
 

糖尿病

SASの原因に肥満があり、肥満は2型糖尿病と強い関連があります。
無呼吸による低酸素やストレス反応が、インスリン抵抗性を悪化させ、血糖コントロールがしにくくなります。
もともと糖尿病疾患がある方はSASによりさらなる悪化も考えられるため、注意が必要です。
 
 

睡眠時無呼吸症候群の検査や診断について

無呼吸症候群の診断には以下の検査方法があります。
 

夜間ポリソムノグラフィー(PSG)

睡眠中の呼吸、心拍、筋肉活動、脳波などを計測し、睡眠時無呼吸症候群の有無や重症度を評価する方法です。
PSGは、医療機関で行われる検査であり、専門の技術者や医師によって解析されます。
 

家庭での無呼吸検査

睡眠中に鼻にセンサーを装着し、呼吸の停止や低下を記録する検査です。
この検査は、携帯式装置を使用して自宅で行うことができます。
しかし、専門家による解析が必要であるため、結果を正確に判断するためには医師の判断が必要です。
 
MYメディカルではこちらの検査を受けることができます。
 
どちらの検査方法も、睡眠時無呼吸症候群の診断に有効であり、医師と相談して適切な検査を受けることが大切です。
 

エスワープ眠気尺度

エスワープ眠気尺度は、日中の眠気の程度を評価するための自己評価式の質問票です。
 

  • エスワープ眠気尺度は以下の8項目により構成され、それぞれ4段階で評価します。
  • 1:座って読書しているとき
  • 2:テレビを見ているとき
  • 3:公共の場所(映画館、会議室)で座って何もしていないとき
  • 4:他の人の運転する車に、休憩なしで1時間以上乗っているとき
  • 5:午後に、横になって休憩をとっているとき
  • 6:座って人と会話しているとき
  • 7:飲酒をせずに昼食後、静かに座っているとき
  • 8:自分で車を運転中に、渋滞や信号で数分間、止まっているとき
  •  

  • 《 評価方法 》
  •  0点:眠くならない
  •  1点:ほとんど眠くならない
  •  2点:時々眠くなる
  •  3点:しばしば眠くなる
  •  

  • 《 結果 》
  •  0点〜5点:正常範囲。日常生活での眠気はほとんど問題ない。
  •  6点〜10点:軽度の眠気。日常生活に若干の眠気があるが、通常の範囲内。
  •  11点〜15点:中等度の眠気。眠気が問題となりえるレベルであり、睡眠障害の可能性がある。
  •  16点以上:重度の眠気。日常生活に著しい影響を与える可能性があり、睡眠障害の精密検査が必要。

 
エスワープ眠気尺度は自己評価のため、自分で簡単に評価できます。
ただし、SASの確定診断にはより詳細な検査(夜間ポリソムノグラフィー(PSG))が必要です。
 
 

睡眠時無呼吸症候群の治療は?

睡眠時無呼吸症候群の治療方法は、以下のようなものがあります。
 

口腔内装置の使用

口腔内装置を使用して、気道を開き、呼吸を改善することができます。
SAS治療に用いられる口腔内装置とは、「マウスピース」を指します。
 
マウスピース治療は、よくいびきをかく方や、軽度〜中等度のSAS患者に有効です。
 
口腔内装置は、上下それぞれの歯並びに合わせたマウスピースを用いて、下顎を少し前に突き出した位置にさせる装置です。
下顎が前に出ることで、筋肉に引っ張られて喉が開き、気道が拡大する効果を得られます。
 

CPAP治療法

CPAP治療法は、SAS治療法として最も普及しており、現在唯一の治療法として確立しています。鼻に装着したマスクから気道に空気を送り込んで圧力をかけ、常に気道を開いて呼吸を安定させる治療法です。
 
比較的重症の場合に有効な治療法とされています。
即効性があり、副作用が少ないことから自宅でも継続的に治療ができるのがメリットです。
 
CPAP
 

絶対禁煙

SASの治療において、禁煙は重要な改善要素の一つとされています。
喫煙により気道に炎症が起こり、炎症が気道を狭める原因となっているためです。
 
また、喫煙は血液の酸素供給量を低下させることから、合併症のリスクを高めます。
合併症の予防に繋がる禁煙は、SASの治療には欠かせません。
 

睡眠姿勢の改善

横向きに寝ることで、気道が開きやすくなり、症状の改善が見られることがあります。
抱き枕を使用することで体の横倒れを防ぎ、安定した姿勢を保つことができるでしょう。
 
横向き寝は、SASの症状改善に効果的な寝方ですが、自分に合った枕や抱き枕を使う、無理のない範囲で行うなど、正しく行うことが大切です。
 

手術・レーザー治療

SASの治療には主にCPAP(持続陽圧呼吸療法)や生活習慣の改善、マウスピースが用いられますが、気道を拡張する手術を行うことがあります。
 
手術の適応は、CPAPなどでの標準治療が行えない・患者がCPAP使用を希望していない、上気道に異常がある場合に手術が選択されます。
 
手術を行うことでSAS改善の効果を得られますが、リスクもあります。医師と相談して、最適な治療法を選ぶことが重要です。
 
また、外科的な手術のほかにレーザー治療の選択肢もあります。
レーザー治療は軟口蓋形成術といわれ、口蓋垂(のどちんこ)と、その周辺の粘膜をレーザー照射により切除する手術です。
メスによる切開手術より施術中の出血や痛みを抑えることができ、傷口の縫合が不要となります。
口蓋垂(のどちんこ)やその周りの粘膜(軟口蓋)に原因がある場合に効果がある治療方法です。
 
 

睡眠時無呼吸症候群の予防・改善するためには?

睡眠時無呼吸症候群の予防方法には、以下のようなものがあります。
 

健康的な生活習慣の維持

日常生活の中ですぐに実践でき、継続して行えるのが生活習慣の改善です。
適度な運動やバランスの良い食生活、適切な睡眠時間を確保することでSASの予防・改善の効果が得られます。
 
また、アルコールや喫煙の過剰摂取を避けることも予防につながります。
 
運動
 

体重管理

SASの原因の一つは肥満です。
肥満は睡眠時の気道を狭めSAS悪化のリスクを高めるため、生活習慣の改善とともに適正な体重を維持することが重要です。
 
体重計
 

正しい睡眠姿勢の確保

仰向けで寝ると気道が狭くなり、症状を悪化させるため、横向きに寝ることが推奨されます。
 
横向きに寝ることで気道が確保され、SAS改善に効果が期待できます。ただし、慣れない睡眠姿勢は逆効果となる場合もありますので、一番リラックスできる姿勢での睡眠をおすすめします。
 

アレルギー症状の治療

SASの原因がアレルギー性鼻炎などのアレルギーが原因である場合、適切な治療を行うことで症状を改善できます。
 

ストレス管理

ストレスがSASの直接的な原因になることはありませんが、ストレスが原因で暴飲暴食、喫煙、睡眠障害、生活習慣の乱れからSASを発症するケースがあります。
 
ストレスにより生活習慣が乱れてしまうケースは多く、生活習慣の乱れは睡眠時無呼吸症候群の発症に大きく関与するため、ストレスの発散や軽減を行うことが重要です。
 
 

睡眠外来について

睡眠外来の重要性がSASの予防や改善のためにも関係しているため、以下で詳しく説明していきます。
 

睡眠外来とは?

睡眠外来は、夜の眠りや日中の眠気といった『睡眠に関する問題や障害』を診断・治療するための専門外来です。
 

  • ●眠りが浅い感じがする。
  • ●目覚めたときに倦怠感があり、爽快感がない。
  • ●日中に耐え難い眠気に襲われることがある。
  • ●寝ているときに大きないびきをかいていると家族から指摘される。

 
以上の項目で該当するものがあり、全身のだるさや起床時・日中の頭痛などの身体症状が1ヶ月以上続いている場合は、睡眠外来の受診をおすすめします。
 
いびきやSASは、一般的な睡眠障害の症状のひとつです。
SASは睡眠中に一時的に呼吸が止まる状態で、健康に重大な影響を及ぼす可能性があり、いびき、日中の過度な眠気、集中力の低下、高血圧などさまざまな合併症を引き起こします。
 
治療には、生活習慣の改善、持続的陽圧呼吸療法(CPAP)、体重減少、手術・レーザー治療が含まれ、適切な治療により症状の改善と合併症の予防が可能です。
 
睡眠に関する様々な問題や障害を治療する際は、放置したり自己判断をしたりせず専門医の診断と治療を受けましょう。
睡眠障害の症状にお悩みの方はぜひ一度睡眠外来の受診をおすすめします。
 

睡眠障害の症状

睡眠障害とは、日常生活や健康に影響する『眠り』に関する問題のことで、大きく次の3つに分けられます。
 

睡眠の質・量に問題があることで起きる症状

「ベットに入っているにも関わらずなかなか寝付けない」「途中で何度も目が覚める」「日中に強い眠気に襲われる」などの自覚症状がある場合、以下4種類の睡眠障害が考えられます。
 

  • ●入眠障害…寝付くまでに30分~1時間以上かかる
  • ●中途覚醒…夜中に目が覚めることが一晩で2回以上ある
  • ●早朝覚醒…起きる時間より早く目が覚めてしまい再度眠れない
  • ●熟眠障害…眠りが浅く熟睡感が得られない

 

睡眠の時間帯に問題があることで起きる症状

夜ふかしや徹夜、交代勤務が続き、体内時計に乱れが生じることで起こる障害です。
昼夜逆転など、夜の寝付きと朝の起床の時刻が社会生活上望ましい時間から逸脱してしまう状態をいいます。
 

  • ●社会生活上望ましい時間に自然に寝付けない
  • ●起きなければいけない時間に起きられない
  • ●無理に起きると日中に強い眠気を感じ居眠りをしてしまう

 

睡眠中に起きる異常現象

  • ●大きな〝いびき〟
  • ●呼吸停止
  • ●ねぼけ、寝言などの異常行動など
  • ●足のピクつき、ムズムズ感を伴う異常運動など

 

睡眠外来に行く基準は?

睡眠外来を受診する基準は、下記の通りです。
 

  • ●週3日異常の不眠が、3ヶ月以上続いている場合
  • ●睡眠による不調が1ヶ月以上続いている場合
  • ●1ヶ月以内でも睡眠による不調が日常生活に著しい影響を与えている場合
  • ●全身倦怠感や頭痛などの身体症状が1ヶ月以上続いている場合

 
上記のような症状を抱えている方は、一度医療機関を受診しましょう。
 

睡眠外来で受けられる治療法

睡眠外来で受けられる治療について説明していきます。
 

睡眠外来での診療内容

睡眠外来ではまず始めに問診や検査を行い、生活習慣や睡眠パターンを確認、睡眠の異常に対して原因の究明や対症療法ではない根本的な治療を行います。
 

睡眠外来で行われる検査について

一般的には、睡眠の質、呼吸の問題、異常行動を評価するときに、終夜睡眠ポリグラフ検査を行います。
 
この検査は数年前まで医療機関への一泊入院が必要でしたが、当院では簡易検査と同様に検査機器をお送りしてご自宅で精密検査を受けていただくことができます。
 
自己評価方式のエスワープ眠気尺度も、診断材料として活用可能です。
 

睡眠外来での睡眠障害の改善方法

●生活習慣の改善:生活習慣を改善することで、体内時計に乱れが生じることで起こる症状を改善します。
 
●薬物療法:生活習慣の改善が難しい方や、早急な治療が必要な方には睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬が必要に応じて処方されます。
 
●特定の治療法
 
【CPAP療法】
睡眠中に起きる異常現象(大きな〝いびき〟・呼吸停止など)に対する治療です。睡眠時にCPAP装置を使用します。
専用のマスクを装着して鼻から気道に空気を送り込み、圧力をかけ、気道を開いて呼吸を安定させる方法です。
 
【いびきレーザー治療】
いびきの原因として、睡眠中に「緩んだ軟口蓋や口蓋垂(のどちんこ)」が後方に落ち込み、気道が狭くなるということがあります。
レーザーを照射して緩んだ軟口蓋・口蓋垂を切除することなく縮小させる方法です。
いびきの原因が軟口蓋・口蓋垂にある場合に効果があります。
男性だけでなく女性でも〝いびき〟でお悩みの方におすすめの治療です。
 
 

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は、放置するとさまざまな健康問題を引き起こします。
しかし早期の受診・治療により症状の改善や合併症発症リスクを低減させられる疾患です。
睡眠時無呼吸症候群は生活習慣の改善、適切な治療法の選択により予防・治療できるため、
 
「眠れないのはいつものことだから大丈夫」
「ただのいびきだから特に気にしてない」
 
など決めつけず、まずは一度医療機関で相談されてみてください。
 
健康は自身で管理しなければならないため、少しの症状も軽視せずまずはしっかり自分の体と向き合ってみましょう。
 
 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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