痙攣とは?全身けいれんの症状、原因、種類を解説

  • クリニックブログ
2025/02/10

痙攣とは?全身けいれんの症状、原因、種類を解説

「突然筋肉がピクピクとけいれんする」「痛みを伴うけいれんが頻繁に起こる」といった悩みを抱えていませんか?
痙攣(けいれん)は、筋肉や神経の異常によって引き起こされる症状で、原因や種類は多岐にわたります。疲労やストレスが原因の場合もあれば、病気が関係している場合もあります。
 
この記事では、痙攣の基礎知識や原因、予防方法、対処法を詳しく解説します。適切な知識を得て、日常生活での不安を軽減しましょう。

 
 

痙攣(けいれん)とは?

痙攣は、筋肉や神経が過剰に刺激を受けることで起こる異常な収縮や痙攣状態を指します。原因は多岐にわたり、疲労や睡眠不足などの日常的な要因から、脳疾患やてんかんといった病気までさまざまです。
 

痙攣の種類

痙攣は、症状や原因に応じていくつかの種類に分類されます。
 

  • 1. 局所性の痙攣:筋肉や神経の特定の部位に起こるもの。
  • 2. 全身性の痙攣:全身の筋肉が同時に痙攣するもの。
  • 3. 自発性の痙攣:特定の誘因がなく突然起こるもの。
  • 4. 誘発性の痙攣:運動やストレスなどの特定の条件で起こるもの。

 
これらの症状を正確に理解し、適切な対応を取ることが重要です。
 
 

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筋肉の痙攣(けいれん)は疲労や睡眠不足などが原因

筋肉の痙攣は、日常生活の中でよく見られる現象です。疲労や睡眠不足、体内の電解質バランスの乱れなどが主な原因とされています。
 

運動のしすぎによる筋肉の疲労

運動のしすぎは筋肉に過剰な負担をかけ、痙攣を引き起こします。筋肉の収縮が繰り返されると乳酸が蓄積し、神経の過敏状態を招くためです。
運動のし過ぎによる痙攣への対策としては、運動前後にストレッチやマッサージを行い、筋肉の疲労回復を促しましょう。また、十分な水分補給とミネラル補充も効果的です。
 

長時間の目の酷使や睡眠不足

 

 
パソコン作業やスマートフォンの使用で目を酷使すると、まぶたの筋肉に痙攣が起きることがあります。また、睡眠不足は体全体の神経バランスを崩し、痙攣の頻度を増加させます。
目の酷使による痙攣への対策は、定期的に目を休ませ、睡眠時間を確保することが重要です。目の周りの温湿布もリラックス効果があります。
 

高熱による痙攣

高熱による痙攣(熱性けいれん)は、特に乳幼児に多く見られる症状で、体温の急激な上昇が神経系に影響を及ぼし、筋肉が痙攣する状態です。典型的な症状は、意識を失い、全身が硬直したり、手足がピクピクと動く発作が短時間続くことです。
熱性けいれんへの対策として、発熱時には解熱剤を使用し、体温を適切に管理しましょう。頻繁に起こる場合は、医師に相談してください。
 
 

痛みを伴う痙攣(けいいれん)の場合に考えられる疾患

痛みを伴う痙攣は、特定の疾患が原因となっていることがあります。以下に主な疾患を解説します。
 

眼瞼(がんけん)痙攣

眼瞼痙攣とは、まぶたを開閉する筋肉が過剰に収縮し、意図せずにピクピクと動く状態を指します。症状が進行すると、目を開けづらくなったり、まぶたが勝手に閉じてしまうことがあります。
眼瞼痙攣の原因は目の疲労やストレス、長時間のパソコン作業などが原因になっている場合や、脳の神経伝達物質の異常やドライアイ、光に対する過敏症などが原因になっている場合が多いので、対策として十分な休息をとり、ストレス管理を行ったり、目を温めるなどして症状を緩和しましょう。
 

痙性斜頸(けいせいしゃけい)

痙性斜頸は、首の筋肉が過剰に収縮することで、頭が片側に傾いたり、不自然な方向に回転してしまう状態を指します。首や肩に痛みを伴うことが多く、症状が進行すると日常生活に支障をきたします。
痙性斜頸は、筋肉の動きを調節する神経系の異常が主な原因とされています。ストレスや外傷、遺伝的要因が関与する場合もあります。また、特発性(原因不明)として分類されることも多いです。
痙性斜頸の対策として外科的治療や薬物療法で症状を緩和できます。
 

片側顔面痙攣

 

 
片側顔面痙攣は、顔の片側の筋肉が断続的に痙攣する疾患です。最初は目元や口元などの特定の部位から始まり、進行すると顔全体の筋肉が痙攣することがあります。
片側顔面痙攣の主な原因は、顔面神経が血管に圧迫されることです。この圧迫により神経が過敏になり、筋肉の異常収縮を引き起こします。また、まれに腫瘍や脳疾患が原因の場合もあります。
片側顔面痙攣の対策としては外科的治療や薬物療法が有効です。
 
 

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書痙(しょけい)

書痙(しょけい)は、字を書く際に手や腕の筋肉が不随意に収縮し、震えや硬直が起こる疾患です。字を書く動作を繰り返すことで症状が悪化し、日常生活に支障をきたすことがあります。
書痙は、神経系の異常が原因とされる「局所性ジストニア」の一種です。特定の動作を繰り返すことで神経が誤作動を起こし、筋肉の収縮が不適切に強まります。ストレスや緊張、過度の疲労が症状を悪化させることがあります。書痙の対策としては薬物療法やリハビリなどでの改善が有効です。
 

チック(トゥレット症候群)

チック症は、顔や体の特定の部位が突然ピクピクと動く反復的な運動が特徴です。トゥレット症候群では、複数の運動性チックと音声チックがみられることがあります。これらは、神経系の過敏やストレスが原因と考えられます。
チック症の対策としては、症状が重い場合は、薬物療法や行動療法を行うことが有効です。
 

三叉(さんさ)神経痛

顔の三叉神経が何らかの理由で刺激されると、顔の片側に激しい痛みを伴う痙攣が起こることがあります。これは「電気が走るような」痛みと表現されることが多く、食事や会話などの軽い刺激で発作が誘発されることがあります。
三叉神経通の対策としては、薬物療法や神経ブロック、重症の場合は手術が適応されることがあります。
 

破傷風(はしょうふう)

破傷風菌が体内に侵入すると、神経毒によって全身の筋肉がけいれんし、激しい痛みを伴います。あごの筋肉が固くなる「開口障害」も初期症状として見られます。
破傷風の対策としては、予防接種が重要で、発症後は抗毒素血清の投与や対症療法を行います。
 

てんかん

てんかんは脳内の神経活動が異常をきたし、全身または局所の筋肉がけいれんを起こす病気です。一部のてんかん発作では、痛みを伴うことがあります。
てんかんは抗てんかん薬による治療が基本で、発作のコントロールが重要です。
 

妊娠高血圧症候群

妊娠中の血圧上昇が原因で、重症になると痙攣を引き起こすことがあります(子癇と呼ばれる状態)。これにより、強い筋肉の収縮や痛みが生じることがあります。
妊娠高血圧症候群への対策は定期的な妊婦健診で血圧を管理し、必要に応じて薬物療法を行います。
 

脳疾患

脳梗塞や脳腫瘍などの脳疾患は、神経の異常な活動を引き起こし、痙攣や痛みを伴う筋肉の収縮を引き起こすことがあります。局所または全身に影響が及ぶことがあります。
脳疾患への対策として有効なのは、症状が見られた場合は速やかに神経内科を受診し、詳細な診断を受けることです。
 
 

筋肉の痙攣(けいれん)予防にはストレス発散がおすすめ

筋肉の痙攣を防ぐためには、日常的なケアとリラックスが重要です。特にストレスの軽減や生活習慣の見直しが、痙攣の予防に効果を発揮します。以下に具体的な方法を解説します。
 

筋肉の痙攣を予防するための準備運動とマッサージ

運動や作業前後に適切な準備運動やマッサージを行うことで、筋肉の柔軟性を高め、痙攣を予防できます。
 

  • ・準備運動:運動前に軽いストレッチやウォームアップを行い、筋肉を温めましょう。
  •   これにより、筋肉の負担を軽減し、急激な収縮を防ぎます。
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  • ・マッサージ:運動後に疲労した筋肉をマッサージすることで、血行を促進し、乳酸の蓄積を抑えます。
  •   痛みがある部分は優しく揉むことで緊張を緩和できます。

 

目の疲れを軽減し、室内の乾燥を防ぐ方法

目の疲れが原因でまぶたの痙攣が発生することがあります。これを防ぐためには、以下の方法が有効です。
 

  • ・目の休息:パソコンやスマートフォンを使用する際は、1時間ごとに10分程度目を休ませるようにしましょう。
  •   遠くを見ることで、目の筋肉の緊張を和らげられます。
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  • ・湿度の調整:室内が乾燥していると目の乾燥が進み、疲れが溜まりやすくなります。
  •   加湿器を使用して適切な湿度を保ちましょう。
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  • ・温湿布:目の周りに温湿布を当てることで、血行を促進し、目の筋肉の緊張を解消できます。

 

ストレスを溜めない生活習慣の見直し

ストレスは筋肉の緊張を引き起こし、痙攣の原因となります。日常生活を見直し、ストレスを溜めない工夫を取り入れましょう。
 

  • ・リラクゼーション
  •   ヨガや深呼吸、瞑想などのリラクゼーション方法を取り入れ、心身をリラックスさせる時間を作りましょう。
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  • ・規則正しい生活
  •   睡眠時間を確保し、バランスの取れた食生活を心がけることで、筋肉の健康を保つことができます。
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  • ・運動
  •   適度な運動はストレスの発散に有効です。軽いウォーキングやストレッチを日課にすると良いでしょう。

 
 

全身性の痙攣(けいれん)が起きた場合の対処法

全身性の痙攣が発生した場合は、以下の対処法を実践してください。
 

  • 1.患者を安全な場所に移動し、頭部を保護する。
  • 2.呼吸を確保し、舌を噛まないよう注意する。
  • 3.痙攣が長引く場合や繰り返す場合は、速やかに救急車を呼ぶ。

 
 

注意したい子どもの痙攣

子どもの痙攣は発熱による熱性けいれんが多いですが、頻繁に起こる場合はてんかんや脳疾患が関係している可能性もあります。発作の頻度や様子を記録し、医師に相談することが重要です。
また、低血糖や体内の電解質不足によっても痙攣が起こることはありますので、規則正しい食事や栄養バランスを整えることも重要です。
子どもの痙攣は、日常的な現象から重篤な疾患のサインまで幅広い原因があります。気になる症状が出た場合は早めの受診を心がけましょう。
 
 

まとめ

痙攣(けいれん)は、筋肉や神経の異常が原因で起こる症状で、疲労や睡眠不足などの生活習慣から、脳疾患やてんかんといった病気が関与している場合まで多岐にわたります。筋肉の痙攣は適切な準備運動やマッサージ、生活習慣の見直しで予防が可能です。一方、痛みを伴う痙攣や子どもの熱性けいれんは、重篤な疾患の兆候である可能性もあるため注意が必要です。特に全身性の痙攣や頻繁に繰り返す痙攣が見られる場合は、早急な診察と治療が必要です。この記事では、痙攣の原因や予防策、対処法を具体的に解説し、症状を軽減するためのヒントを提供しています。症状が気になる場合は、早めに医療機関を受診し適切なケアを受けましょう。
 
 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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