肺嚢胞の原因はさまざま!気胸を起こす要因にもなる
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肺嚢胞の原因はさまざま!気胸を起こす要因にもなる
「肺嚢胞と診断された。原因は何が考えられる?」
「悪化して命に関わるようなことはある?」
このような疑問はありませんか?
嚢胞とは、簡単にいえば体内にできた袋の中に液体がたまったものです。破裂するリスクがあり、できる場所によっては安全とは言い切れません。
では、肺にできた場合も危険なのでしょうか。
本記事では、どのような疾患なのか、症状や原因、治療法をご紹介しながら、嚢胞がきっかけで起きる疾患「気胸」についても解説します。
肺嚢胞とは?
肺嚢胞は先天性と後天性に大きく分けることができます。先天性とは生まれつき発症しているもの、後天性とは疾患が原因で発症するもののことです。
また、肺気腫が大きく膨らむことで発症する「巨大肺嚢胞」と呼ばれる疾患もあります。
以降では、症状、治療、関連疾患である気胸について解説します。
症状
サイズが小さい場合は症状がなく、レントゲンでようやく分かる状態です。しかし、サイズが徐々に大きくなってくると肺が圧迫されるため、呼吸のしづらさを覚えるようになります。
また、嚢胞が感染症を起こして肺炎になることもあるため注意しなければなりません。その場合、肺炎の主症状である発熱や咳、たん、呼吸困難などが見られます。
治療
治療法は、先天性と後天性によって異なります。そのため、まずは先天性のものなのか、それとも感染症などにより発症した後天性なのかをはっきりと突き止める必要があります。
気胸とは
気胸とは、肺に何かしらの原因で穴が開き、空気が抜けることでしぼむ疾患です。中でも、自然気胸は痩せ型の20〜30代の男性がなりやすい疾患傾向にあります。再発率も60%と高めのため、手術による治療が必要です。
しかし、肺にできた嚢胞と気胸はどのような関連性があるのでしょうか。以降では、気胸を起こすメカニズムや症状、原因、治療法について解説します。
肺嚢胞が気胸を起こすメカニズム
結論からお伝えすると、自然気胸は肺にできた嚢胞が破れると発症します。嚢胞が破裂することで肺の外に空気が漏れ出てしまい、肺がしぼむのです。
巨大肺嚢胞の場合、肺の1/3を占めるほど大きくなるため、気胸を起こす前にすでに息苦しさを感じているはずです。
しかし息苦しさは疲れやストレスか何かによるものだと勘違いし、そのまま放置した結果、破れて気胸になってしまうことがよく見られます。
症状
気胸を起こすと肺の片側が萎んでしまうため、激しい呼吸困難を起こします。息を吸うことも吐くこともできなくなるため、立っていられないでしょう。
また、強い胸の痛みも伴います。痛みの感じや強さは、肺炎や心膜炎、胸膜炎、肺塞栓などに似ているようです。
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原因
気胸には複数の種類があり、それらで原因は異なります。
種類 | 原因 |
---|---|
喫煙、遺伝、嚢胞の破裂(ダイビング、高所の飛行中に起きることもある) | |
肺の基礎疾患(慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症など) | |
胸を突き刺すような怪我 | |
胸腔内子宮内膜症 | |
医療行為(経胸壁穿刺吸引、中心静脈カテーテル留置、胸腔穿刺など) |
治療
気胸の種類や緊急性によって対応が異なります。緊張性があるものに関しては、尖ったもので胸部を差して胸腔内の圧を下げます。
無症状の小さい原発性自然気胸の場合は、X線検査を定期的に行い経過観察で問題ありません。反対に症状がある大きな原発性自然気胸は、カテーテルによる吸引を行います。
続発性や外傷性気胸の治療法は胸腔ドレナージです。
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先天性肺嚢胞疾患について
先天性肺嚢胞疾患とは、生まれつき嚢胞ができる疾患です。
いくつか原因疾患があり、以下のようなものがあります。
- ●先天性嚢胞状腺腫様奇形
- ●気管支原性嚢胞
- ●肺分画症
- ●気管支閉鎖症
では、一つずつ解説します。
先天性肺気道奇形(CCAM/CPAM)
肺の一部に嚢胞ができる疾患で、生まれつきのため出生前診断で発見するケースが増えています。小さい場合は特に問題が起きないため、経過観察で様子を見ましょう
しかし、今後のことを考えて6カ月から1歳までの間に手術を行わなければなりません。
サイズが大きい場合は、周産期医療に特化している医療機関で治療を行います。また、その場合は出生直後に人工呼吸が必要となったり、緊急手術を要したりするケースも多くあります。
気管支原性嚢胞
気管支原性嚢胞は、成人の場合無症状のまま過ごせることが多いのに対し、幼児期や小児期で発症した場合は命を落とすことがあります。重症の場合は出生直後に呼吸困難を起こすケースがあり注意しなければなりません。
治療法は大きさによって異なります。サイズが小さい場合は経過観察でも問題ありませんが、影響が出ると思われるものは外科手術が必要です。
肺分画症
肺分画症とは、肺動脈ではなく大動脈から栄養を供給されている異常な肺です。
無症状のまま成長し、レントゲンで初めて判明するパターンもあります。最近では、出生前に超音波検査で見つかることもあります。治療法は外科手術です。
気管支閉鎖症
まれに発症する疾患で、気管支に近い部分で局所閉塞を起こすものです。原因ははっきりと分かっていませんが、出生前肺奇形と関連していることが分かっています。
治療法はまだ確立されていません。無症状の場合はそのまま経過観察で問題ありませんが、二次的合併症の予防観点から切除を勧める声が挙がっています。
後天性肺嚢胞疾患について
次に、後天性肺嚢胞疾患について解説します。
発症するものとして以下のようなものがあります。
- ●ブドウ球菌性肺炎
- ●エキノコックス症
- ●気腫性肺嚢胞
では、一つずつ解説します。
ブドウ球菌性肺炎
髪の毛などにも存在している常在菌「ブドウ球菌」に感染することで起きる肺炎です。インフルエンザの患者や、コルチコステロイドまたは免疫抑制薬を服用している方などがかかりやすいです。
嚢胞ができる場合が時折見られます。
エキノコックス症
キツネや犬などが保有している「エキノコックス」と呼ばれる寄生虫の感染症です。
肺に嚢胞ができる場合があり、破裂する恐れがあります。治療は非常に複雑で、広範囲にわたる手術を要したり、長期にわたって薬物治療を要したりする場合があります。
気腫性肺嚢胞
肺がんのリスクを高める疾患です。肺の組織が壊れることで、風船のような空洞が生まれ、それが肺嚢胞になります。治療は嚢胞の大きさや状態に合わせて行われます。
まとめ
肺嚢胞の原因は多岐にわたるため、適切に治療するには診察や検査で見極める必要があります。
ただし、サイズが小さい場合は経過観察で問題ありません。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師