γ‐GTPは高いと危険!疾患や具体的な改善策を詳しく解説

  • クリニックブログ
2024/07/18

γ‐GTPは高いと危険!疾患や具体的な改善策を詳しく解説


 

 

「γ-GTPは何を表している数値?」
「高いとどうなるのか知りたい」

本記事では、このような疑問を解決します。
 
健康診断でγ-GTPの数値が悪いと、不安になってしまうのではないでしょうか。結論からお伝えすると、γ-GTPは肝臓の数値であり、高い場合は何かしらの原因で肝機能が低下している状態です。
 
原因や状態によっては、今から気を付けて過ごせば数値の改善および症状の改善が期待できます。以降では、改善方法も解説していますので最後までご覧ください。

 
 

Γ‐GTPが高い!何を表す数値?基準値とは?

γ‐GTPがどのようなものなのか知らない方に向けて、何を表す数値なのか、また基準値や異常値について解説します。
 

γ‐GTPとは?

γ‐GTPは分解酵素であり、肝臓だけでなく腎臓や小腸、膵臓などにも含まれています。
この数値によって、アルコール性肝障害を起こしているかどうかが分かるのです。

 
ただし、お酒を普段から飲まない方でも数値が高くなるケースがあり、そのような場合は薬物や疾患の影響が考えられます。
 

基準値と異常値

γ‐GTPの基準値は50U/l以下です。100U/l以上になると脂肪肝が進み、200U/l以上になると胆石や胆道がんで胆道が詰まっていることが疑われます。
 
ただし、数値は個人差もあるため、あくまで目安としてお考えください。

 
 

Γ‐GTPの数値が高くなる原因

 

 

γ‐GTPの数値が高くなる原因をご紹介します。数値が高くなる原因は疾患であり、正常値に戻すには治療が必要です。

  • ●肝臓病(アルコール性肝障害・薬物性肝障害)
  • ●非アルコール性脂肪肝(炎)
  • ●胆道(胆のう・胆管)炎・総胆管結石
  • ●慢性肝炎・肝硬変・肝臓がん

 
では、詳しく解説します。
 

アルコール性肝障害・薬物性肝障害

γ‐GTPの数値が高くなる原因の一つに「アルコール性肝障害」もしくは「薬物性肝障害」があります。
 
アルコール性肝障害は、アルコールが原因の肝炎や脂肪肝、線維症、肝硬変、がんが該当します。無症状であることが多く、黄疸や倦怠感、発熱などが見られると大きく進行している状態です。
 

原因①アルコール性肝障害:過度な量の飲酒

アルコール性肝障害の原因の一つは、アルコール類の飲みすぎです。毎日飲む習慣がある方、一度にたくさんの量を飲んだり強いアルコール度数のものを飲んだりする方がなりやすい傾向にあります。
 
また、お酒に弱い方も発症することがあります。
 
アルコール性肝障害になっていると、ALTやASTの値の上昇が認められます。
※ALT・ASTは肝臓の機能を調べるための検査項目で、数値が高ければ高いほど、病気のリスクが考えられます。

 

原因②薬物性肝障害:薬の長期間服用

薬物性肝障害は、薬が影響しています。
 
例えば、向精神薬や睡眠薬、抗てんかん薬などが該当します。薬が原因の場合、肝機能障害と呼ばれてはいるものの、実際に障害を起こしているわけではありません。
 
よって、ALTやASTの上昇は見られません。

 

 肝機能障害についてはこちら

詳しくはこちら

 
 

非アルコール性脂肪肝(炎)

非アルコール性脂肪肝とは、アルコール以外が原因で発症する肝臓病です。なお、脂肪肝炎は脂肪肝によって引き起こされる肝炎です。
 

原因①運動をする習慣がない

アルコール以外で脂肪肝や脂肪肝炎を起こす原因となるのは、運動習慣がないことです。
 
運動不足による肥満は脂肪肝を引き起こす原因となります。1日10分からでもよいので、毎日適度な運動を行い習慣化しましょう。

 

原因②食べすぎの習慣が身に付いている

食べすぎの習慣は脂肪肝を引き起こします。特に、白ごはんやうどんなどに含まれる炭水化物や果糖を多く含んだフルーツを食べすぎると、脂肪肝になりやすい傾向があります。
 
食事の栄養バランスは偏らないように意識し、食習慣を整えましょう。

 
 

 脂肪肝についてはこちら

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慢性肝炎・肝硬変・肝臓がん

慢性肝炎から肝硬変に進行し、さらに進行すると肝臓がんになります。急性肝炎は症状が強く出るため分かりやすいですが、慢性肝炎は無症状であることが多く、見過ごしやすいです。
 
そのため、知らない間に肝硬変を起こし、さらにほとんど症状が出ないまま肝臓がんになることがあります。
 

原因①肝炎ウイルスの感染

発症原因の一つは肝炎ウイルスの感染です。肝炎ウイルスには、血液感染するB・C・D型、食品から感染するA・E型があります。
 
感染の有無は血液検査で分かります。感染して肝炎を起こすと肝細胞が破壊されるため、早めの治療が今後の肝臓がんのリスクを左右します。

 

原因②自己免疫性肝炎・肝障害・脂肪肝などの疾患

慢性肝炎の原因として、自己免疫性肝炎があります。自身の肝細胞を間違って攻撃し破壊してしまう疾患です。
 
肝障害・脂肪肝でも、アルコールが原因でないものが肝硬変と肝臓がんに進行するケースが見受けられます。定期的に検診し、早期発見に努める必要があります。

 

原因③喫煙

喫煙は肝臓がんのリスクを高めることが知られています。ただし喫煙のみがリスクを高めるというわけではなく、主原因のウイルス感染や飲酒がすでにある状態での喫煙が、がんへの進行を促すと考えられています。
 
とはいえ、まだ研究段階でありはっきりとしたことは分かっていません。しかし、B型肝炎・C型肝炎ウイルスの持続感染者は、ウイルス感染していない方に比べて喫煙習慣によるがんリスクが100倍高まったという報告があるのです。
 
因果関係が疑われている状態であるため、やはり喫煙しないことに越したことはありません。

 

胆道(胆のう・胆管)炎・総胆管結石

γ‐GTPは肝臓のイメージを持つ方もいるかもしれませんが、胆道炎や総胆管結石の場合でも上昇します。
 
γ‐GTPだけでなく、AST、ALT、ALP、ビリルビンの値が上昇すると総胆管結石の可能性が高いです。結石が胆道を塞ぐと黄疸や発熱といった症状が現れ、細菌が血液に侵入してしまうと敗血症によるショック状態や意識障害が起こることもあります。
 

原因①胆石症:脂肪分の過剰摂取

胆石症は、食事の欧米化により脂質の摂取量が増えたことが原因と考えられています。
 
これは胆汁に含まれるコレステロールが増加するためです。日本人の約8%が胆石を持っているとされており、今後も欧米化が改善されない限りは数値が下がることはないでしょう。

 

原因②胆石ができる原因は不明

胆石ができる原因は、実ははっきりと分かっていません。ただ先ほど伝えたように、胆汁に含まれるコレステロールの増加も胆石ができる原因と考えられています。
 
コレステロール、胆汁酸、ビリルビンのバランスが崩れると胆石ができると考察されているため、食事の栄養バランスを考えることは大切でしょう。

 
 

γ‐GTPの数値を戻すには生活習慣の見直しが大切

γ‐GTPの数値を戻すには生活習慣の見直しが大切です。上昇の原因は、食事の栄養バランスの偏りや肥満が主であるためです。
具体的に、どのように見直せばよいのか解説します。
 

良質なEPA・DHA・ビタミン・ミネラルで肝臓の機能を回復させる

EPA・DHAは魚、ビタミン・ミネラルは野菜や果物から摂取しましょう。もともと日本人は魚を食べる文化が昔からありましたが、魚離れが進むのに伴って生活習慣病の増加が目立っています。
 
魚には、血液中のコレステロールを減少させるEPAとDHAが豊富に含まれています。特に、含有量が多い青魚はおすすめです。
 
また、野菜不足は脂肪肝などのリスク因子である糖尿病や高血圧などを引き起こす要因となるため、野菜中心の食事がおすすめです。加えて、ビタミン・ミネラルは肝機能を高める効果があります。
 
特に、ビタミンB群は肝機能の正常化に役立ち、ミネラルはアルコール分解に使用されるため、しっかりとることが大切です。
 
なお、たんぱく質の高摂取が推奨されることもありましたが、現在では過度な摂取は肝臓に負担をかけるため避けるべきとの考えになっています。過剰摂取にならない程度に、バランスよく5大栄養素を摂取するように心掛けましょう。
 

腹八分目にする

食べすぎは脂肪肝の原因となるため、腹八分目を心掛けましょう。食べすぎをやめると脂肪肝が改善され、肝硬変や肝臓がんへの進行も予防できます。
 

適量なアルコールの摂取・休肝日づくりを心掛ける

 

 
アルコール飲料の飲みすぎは肝障害の原因となるため、適量なアルコールの摂取を意識する、もしくは休肝日をつくるようにしましょう。休肝日は、週に1〜2回つくるとよいでしょう。
 

コレステロールの摂取量を減らす工夫をする

コレステロールの摂取量が増えると胆石の原因になったり、脂質異常症などによる肝臓病のリスクを高める原因になったりします。
 
脂質をとる場合は、コレステロール値を下げる不飽和脂肪酸が含まれる食材や食品を選ぶ、コレステロールの吸収を阻害してくれる食物繊維をとるといった工夫をしましょう。
 

適度な運動で適正体重をキープする

肥満は糖尿病や脂肪肝などの肝臓病のリスクを高めます。毎日軽い運動をしたり、週に3回有酸素運動を30分したりと、適度な運動で適正体重をキープしましょう。

 
 
 

まとめ

γ‐GTPの高数値は、あらゆる病気を引き起こす要因となります。本格的な治療が必要なほど悪化してしまう前に、生活習慣を見直して改善を目指すことが大切です。

 
 
 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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