耳掃除のしすぎやイヤホンの使い過ぎが原因で起きる「外耳炎」

  • クリニックブログ
2024/04/26

耳掃除のしすぎやイヤホンの使い過ぎが原因で起きる「外耳炎」

外耳炎とは、外耳と呼ばれる部分が細菌に感染し、炎症が起きた状態を指します。外耳炎は軽症の場合には自然に治ることも多い感染症ですが、なかなか治らなかった場合や耳だれの症状が見られるような場合には、耳鼻咽喉科での治療が必要です。
 
実は、外耳炎の多くは耳掃除をしすぎることやイヤホンを長時間使用していたことなど、日常生活の習慣が原因で発症します。したがって、外耳炎の予防法を知っていれば外耳炎の発症リスクも抑えられるのです。
 
今回は、外耳炎の症状や治療法、日常生活においての注意点などについてご説明します。

 

外耳炎とは

外耳炎とはどのような病気なのでしょうか。耳の構造から外耳炎の概要をご説明します。

耳の仕組みと外耳

耳は、外側から「外耳」・「中耳」・「内耳」の3つに大きく分けることができます。外耳とは、一般的に「耳」と呼ばれている耳介と外耳道からなる部分です。外耳の最も奥には鼓膜があり、中耳は鼓膜から耳小骨、内耳は蝸牛と三半規管などから構成されます。中耳と内耳には聴覚に関わる働きのほか、身体のバランスを保つ役割もあります。一方、外耳には、耳介で音を集め、外耳道で音を増幅させて鼓膜や耳小骨などを振動させる働きがあります。
 

外耳炎は外耳部分に起きる炎症

外耳炎は、外耳道の中に何らかの原因で傷が生じたときに、傷口から侵入した細菌に感染して起こる感染症です。ほとんどのケースは黄色ブドウ球菌などの細菌感染ですが、まれに細菌ではなく、真菌(カビ類)が原因となって発症し、外耳道真菌症に感染するケースもあります。

 
 

外耳炎の症状

外耳炎の主な症状は次のようなものです

耳のかゆみ

皮膚に炎症が起きると、かゆみを感じるようになります。かゆいからといって、かいてしまうとさらに症状は悪化します。
 

耳の痛み

耳を押したときや引っ張ったときに痛みを感じることがあります。
 

耳だれ

耳の中から黄色や白の膿が出てくるケースがあります。
 

耳の聞こえにくさ

外耳道内が腫れたり、膿などが外耳道に詰まったりした場合には、聞こえにくさを感じるようになります。
 

耳鳴り

周りで音が鳴っていないのにもかかわらず、耳の中で音が聞こえる耳鳴りの症状が出る場合もあります。
 

耳の閉そく感

山登りなど、高い場所に上ったときに感じるような耳が詰まった感じ、耳がふさがれたような感じが生じる場合もあります。

 
 

外耳炎の検査

耳がかゆい、耳鳴りがする、耳だれなどの症状が見られる場合は、外耳炎の疑いがあります。耳鼻科で問診を行い、耳鏡や内視鏡カメラなどを使って外耳道の皮膚の状態を確認してもらいましょう。外耳炎の場合は、皮膚が赤く腫れ、膿などの分泌物が溜まっています。
 
また、黄色ブドウ球菌ではなく真菌に感染していた場合には使用する抗生剤が異なるため、耳だれが見られる場合は、膿などの分泌物を採取して細菌培養検査も行います。

 
 

外耳炎の原因

外耳道に傷ができる原因として、次の2つの生活習慣が関係しています。

耳掃除をしすぎている

外耳道の皮膚は、非常に薄く、少しの刺激でも傷つきやすい状態です。耳掃除の際に耳かきや綿棒で外耳道をこすりすぎてしまい、外耳道の皮膚に傷がつき、そこから細菌が入って外耳炎が起きるケースが多くなっています。
 

イヤホンを長時間使用している

イヤホンを長い時間装着している場合も、外耳炎の原因となる可能性があります。イヤホンの装着時に外耳道の内側に傷がつく可能性のほか、イヤホン装着中にイヤホンと密着している皮膚が高温多湿の状態となるため、細菌が繁殖しやすい状態となっているのです。

 

補聴器を使用している

補聴器を使用している方も、外耳道が高温多湿になるために外耳炎を発症するケースがあります。補聴器を清潔に保つよう、補聴器の定期的な清掃をすることが大切です。


 
 

外耳炎の治療

耳が聞こえにくいなどの症状がある場合には、外耳道の清掃と消毒をすることで症状が解消されるケースもあります。耳鼻咽喉科では、まず、外耳道の耳垢や耳だれなどの分泌物を丁寧に除去する処置を行います。
 
また、必要に応じて、細菌の繁殖を抑える抗生剤の点耳薬を処方しますが、炎症がひどい場合にはステロイドの軟膏を処方するケースもあります。アレルギー反応が出ており、かゆみが強い場合には抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤の内服薬も必要となります。
 
また、外耳炎の治療では、必要以上に耳に触れないことが大切です。


 
 

外耳炎の予防法

外耳炎は、多くの場合、耳かきで外耳道に傷ができ、そこから細菌感染することが原因となって発症します。外耳道には、耳垢を自然に外に排出する自浄作用があります。そのため、耳かきは毎日する必要はなく、奥まで耳かきや綿棒を入れる必要もありません。耳かきのしすぎには注意が必要です。
 
また、イヤホンの使い過ぎは外耳道への刺激となります。イヤホンをヘッドホンに変えたり、耳掛け型のイヤホンを使ったり、外耳道にできるだけ刺激を与えないようにすることが大切です。また、イヤホンはこまめに清掃し、常に清潔に保つことも外耳炎の予防につながります。
 
外耳炎は再発しやすい病気ではありません。しかし、外耳炎の原因が日常生活の習慣に起因しているため、生活習慣を見直さなければ再び外耳炎を発症するリスクがあります。耳掃除のしすぎに注意し、イヤホンの長時間使用は避けた方がよいでしょう。


 
 

まとめ

外耳炎は、外耳と呼ばれる耳介から鼓膜までの間の皮膚にできた傷口から細菌が入り込み、細菌感染することで炎症が起きる感染症です。外耳炎になると、耳のかゆみや痛み、閉そく感などを抱くようになります。また、耳だれが見られたり、耳が聞こえにくくなったりといった症状が出ることもあります。
 
外耳炎は、耳掃除のしすぎやイヤホンの長時間使用などが原因で発症する感染症です。軽症の場合は自然治癒しますが、症状が強い場合やなかなか治らない場合は耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。外耳道の清掃や消毒、抗生剤などによって症状の緩和が期待できます。
 
また、外耳道の予防には、必要以上に耳に刺激を与えないことが大切です。耳かきは月に1、2回程度にとどめ、イヤホンの使い過ぎにも注意した方がよいでしょう。

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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