RSウイルス感染症についてご紹介。いつまで休むのかの目安について

  • クリニックブログ
2024/04/12

RSウイルス感染症についてご紹介。いつまで休むのかの目安について

免疫力がない子供はもちろんのこと、大人になっても何度も発症してしまう病気があります。特に乳幼児にとって恐ろしいのが「RSウイルス感染症」です。「一度かかったことがあるから大丈夫」と甘くみていると、思わぬ重症化を招いてしまうことがあります。
 
今回は「RSウイルス感染症」について、ご紹介します。
症状や治療、いつまで休んで良いのかの目安をご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

 

RSウイルス感染症とは

RSウイルス感染症は、RSウイルスと呼ばれるウイルスがくしゃみや感染者と触れ合うことで感染し、発症する病気です。RSウイルスは乳幼児からお年寄りまで幅広い年齢の方々に伝染し、呼吸器などに炎症を起こす上気道炎や下気道炎などを引き起こします。
 
特に免疫力の低い方は重症化しやすく、肺炎や慢性的な呼吸器の疾患などの恐ろしい症状を共に発症してしまうおそれがあります。
 

主な症状

主な症状は、鼻汁や発熱といった軽い風邪とほぼ変わりません。RSウイルスは一週間程度の潜伏期間のあと発熱などを引き起こし、長くても一週間程度で自然と快方へと向かうことが通常です。しかし、なかには症状が重くなってしまう例もあり、呼吸不全に陥ってしまうというおそれがあるため、軽視して良い病気とは言い難いでしょう。

 

2歳までにほぼ100%の幼児がかかる病気

幅広い年代の方々がかかる病気であり、RSウイルス感染症は2歳までには必ず発症してしまうといわれています。発症してもほとんどの場合が軽症ですが、免疫力の弱い乳幼児や高齢者の方は合併症を引き起こすおそれがあるため注意が必要です。
 
特に新生児や早産による未熟児、先天的な障害がある乳幼児などは重症化しやすい傾向にあり、無呼吸と呼ばれる症状に陥ってしまって突然死の一因になりかねません。

 

何度も再発する病気

RSウイルス感染症は、一度かかっても何度でも発症を繰り返してしまう病気です。成人になってからは重篤化するおそれはあまりありませんが、大量のRSウイルスを体に取り込んでしまうと重篤な症状となって現れてしまうこともあります。
 
感染経路として、くしゃみなどの飛沫による感染と感染者との接触によるものだといわれています。特に感染者が触れたコップや椅子などに触れても感染してしまうことがあるため、除菌などはこまめに行うようにする必要があるでしょう。

 
 

RSウイルス感染症の治療について

RSウイルスにかかってしまった場合、どのような治療になるのかをご紹介します。

RSウイルスの治療は対症療法が基本

治療は主に、自覚する症状の一つひとつに対応する対症療法が基本です。RSウイルスに特化した治療薬というものは現在まだ確立しておらず、発熱などの症状を抑えて経過をみることになります。しかし、何度も繰り返すおそれのある感染症とはいえ、前述のとおりほとんどが軽症であるため、しっかりと療養することで快方へ向かうでしょう。

 

受診したほうが良い場合は

普段と異なる音をともなう咳をしたり、呼吸がし辛かったりする場合は、重症化しているおそれがあるため、医師へ相談するようにしましょう。
 
また食欲がなく、水分を取ることもままならないといった際にも、医師に診てもらうようにしてください。夜中や休日で、かかりつけ医に相談することが難しい場合は、子供の医療相談などに電話をかけて対処を尋ねると良いでしょう。


 

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RSウイルス感染症はいつまで休むのか

RSウイルス感染症にかかってしまった場合、いつまで休まなくてはならないのかをご紹介します。

大人も子供も明確な基準はない

RSウイルス感染症を発症してしまったからといって、何日間休まなくてはならないといった明確な基準は存在しません。しかし、感染症である以上は周囲へ伝染させてしまう危険性なども考慮し、しっかりと休むことが推奨されています。特に周囲に妊婦や高齢者、乳幼児などがいる場合は気をつける必要があるでしょう。

 

登園・出勤できる状態

登園は厚生労働省のガイドラインによると、呼吸器が正常になり全身の状態がよければ登園できるとなっています。そのため、熱や咳、鼻づまりといった症状が治まり、呼吸音にもおかしな音が聞こえずに正常であると判断できれば、登園は可能です。成人の場合は、明確な身体の不調が治まった段階で、自己判断で会社へ出勤すると良いでしょう。


 
 

RSウイルス感染症の予防は

では、RSウイルス感染症に対する予防にはなにがあるのかを解説します。

予防の基本は手洗い・うがい・マスクの着用

主な予防法は手洗い・うがい・マスクの着用をすることでRSウイルスの感染を防ぐことになります。周囲の流行状況などを鑑みて、外出中はマスクを着けたり、帰宅時の手洗いとうがいを徹底することで感染するリスクは抑えられるでしょう。
 
また体調がおもわしくない場合は、人混みなどは避けることも大切です。

 

消毒の徹底

RSウイルスは感染した方が触れたものにも付着していることがあるため、アルコール除菌などで消毒を徹底的に行うことがおすすめです。RSウイルスはものに付着してから、約4時間~7時間は存在している可能性があるとされています。周囲の人がものを介して次々に感染と発症してしまうおそれがあるため、感染者が触れたものはすぐに消毒することがおすすめです。

 

RSウイルスを予防するためのワクチンもあります。

高齢者向けのRSウイルスワクチンの「アレックスビー」、重症化しやすい乳幼児用のワクチンの「シナジス」、6月頃から開始される予定の妊婦用の「アブリズボ筋注用」と3種類のワクチンが投与できるようになります。対象者の方は、ご検討ください。


 
 

まとめ

ここまで「RSウイルス感染症」についてご紹介させていただきました。RSウイルス感染症は特効薬がないため、症状に合わせた対症療法が基本となります。
 
はっきりとした登園や出勤を停止する期間はありませんが、感染力の高いウイルスのため、体調を整えてから登園・出勤を行ってください。発症後しばらくは人混みを避け、マスクをしたり手洗いうがいをしっかりと行ったりなどの工夫が必要です。


 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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