その症状、腸管出血性大腸菌感染症(O-157)かも?症状や予防法を徹底解説
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その症状、腸管出血性大腸菌感染症(O-157)かも?症状や予防法を徹底解説
長引く水様便や下痢でお困りの方も多いのではないでしょうか。 その症状は「腸管出血性大腸菌感染症(O-157)」かもしれません。腸管出血性大腸菌感染症(O-157)はどんな感染症なのか、症状や対策から予防策まで詳しく解説します。
腸管出血性大腸菌感染症(O-157)とは?
腸管出血性大腸菌感染症とはどんな感染症なのでしょうか。腸管出血性大腸菌やO-157を正しく理解し、症状を確認しましょう。
O-157は大腸菌の一種
O-157は大腸菌の一種です。大腸菌は人間や牛・豚の腸内に存在します。私たちの消化を助ける役割を担っており、ほとんどの大腸菌に害はありません。しかし、大腸菌のなかには、下痢や腹痛などを引き起こす菌があります。代表的な腸管出血性大腸菌はO128やO26、O111などがあり、O-157もその一つです。O-157は、大腸菌の中でも重症化しやすいと言われています。
腸管出血性大腸菌感染症(O-157)の症状
重症化しやすい腸管出血性大腸菌感染症(O-157)は、どのような症状があるのでしょうか。O-157の症状を見ていきましょう。
潜伏期間が長い
通常の食中毒は数時間から3日程度で症状が出ますが、腸管出血性大腸菌感染症(O-157)の潜伏期間は、一番短くて1日から最長で14日とされています。平均4〜8日と長いのが特徴です。潜伏期間中は症状が出ません。そのため、症状が出るころには感染原因となった食品が流通してしまい、被害が拡大してしまうこともあるでしょう。
また、潜伏期間が長いため、家族間で知らない間にO-157に感染してしまう場合があります。O-157は原因が分からず対処が遅れる場合があるため注意が必要です。
症状が出ない場合も
腸管出血性大腸菌感染症(O-157)は水様便や下腹部の激しい腹痛、場合によっては血便などを伴います。発熱の症状はあまりみられません。しかし、人によっては、軽い腹痛のみの方や症状が出ない方もいます。
O-157の症状が出ない場合でも、ご家族やほかの人にうつす可能性があり注意が必要です。また、症状がなくなった後も感染力は続き、O-157を発症してから 17日間排菌が確認された事例もあります。飲食店にお勤めの方がO-157に感染すると、就業制限がかかるのはそのためです。
また、乳児や高齢者がO-157にかかると、発熱やけいれんを伴う脳症や、腎障害などを引き起こす溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症する可能性があり、重症化しやすいとされます。O-157は、症状がなくても強い感染力があります。小さなお子さまや持病を持つ高齢者がいるご家庭は、軽い症状でもほかの家族にうつさないように感染対策をしっかり行うことが大切です。
腸管出血性大腸菌感染症(O-157)を予防するには
腸管出血性大腸菌感染症(O-157)は、食品や食材に付着し、口から体内に入り感染します。
O-157の正しい予防方法を知って、感染対策を行いましょう。
腸管出血性大腸菌感染症(O-157)は熱に弱い
腸管出血性大腸菌感染症(O-157)は熱に弱く、75度で1分以上加熱すると死滅します。表面だけでなく、中心部までよく加熱するよう注意しましょう。中心部まで加熱出来れば、レンジ調理でも有効です。中まで熱が伝わりにくいものは、途中でかき混ぜるなどして工夫が必要です。
食中毒予防の3原則をチェック
腸管出血性大腸菌感染症(O-157)は、食べ物や飲み物を通じて口から感染します。
ですので、ご家庭での食中毒対策が重要です。
多くの方がO-157の感染源は、牛肉などをイメージするでしょう。しかし、平成28年に発生した事例では、老人ホームで「きゅうりのゆかり和え」からO-157が検出され、84名が発症、そのうち6名が亡くなりました。
きゅうりなど野菜を加熱せずに食卓に出す場合は、さらに注意が必要です。基本的な手洗いや食材を十分に加熱することはもちろん、一度使用した包丁やまな板はよく洗ってから次の食材に使用しましょう。食中毒の3原則は以下のとおりです。
- ● 菌をつけない(手・食材をよく洗う)
- ● 菌を増やさない(基本は冷蔵保存・調理後はすぐ食べる)
- ● 菌をやっつける(しっかり加熱・調理器具は乾燥させる)
食中毒についてはこちら
腸管出血性大腸菌感染症(O-157)の症状が出たら
腸管出血性大腸菌感染症(O-157)のような症状が出たらどうすればいいのでしょうか。O-157の対処法と、人から人にうつしてしまう二次感染について説明します。
まずは医療機関の受診を
下痢や腹痛など、腸管出血性大腸菌感染症(O-157)が疑われる症状がある場合、必ず医師の診察を受けましょう。O-157かどうか調べるには、便の検査が必要です。
また、身体は毒素を体外へ排出しようと下痢などの症状を出すため、痛み止めや下痢止めを自分で判断し内服してはいけません。医療機関の受診までは安静にして、水分をしっかりとり、消化のよい食事をとることをおすすめします。
腸管出血性大腸菌感染症(O-157)と診断された場合、医師の指示にしたがって治療を受けましょう。そして、ご家族などがO-157に感染しないよう、二次感染対策を行うことが重要です。
二次感染を防ぐには
腸管出血性大腸菌感染症(O-157)になったり、疑われる症状がある場合、人から人への感染(二次感染)を防ぎましょう。トイレに行った後や食事の前には必ず石けんで手を洗います。まめな手洗いが基本となりますが、さらなる注意点は以下のとおりです。
- ● ドアノブやトイレなど、汚染された可能性がある場所は消毒用アルコールで消毒する
- ● 手を洗った後はタオルは共用しない。ペーパータオルなどを使用するのがよい
- ● 感染者の便を処理する場合(おむつ処理など)は手袋を着用し、決めた場所で行なう
- ● 感染者の便で汚染された衣類は、塩素系漂白剤(ハイターなど)に浸し、ほかの家族と別々で洗濯する
- ● 感染者がお風呂を使用する場合は、できればシャワーのみ
- ● 浴槽に入るなら最後に入浴する
- ● 感染者とタオルの共用はしない
小児や高齢者がO-157にかかると、重症化しやすく死亡率も高まります。
さらに被害を拡大させないためにも、気になる症状がある場合は二次感染対策を行ないましょう。
まとめ
この記事では、腸管出血性大腸菌感染症(O-157)の症状や予防策をご紹介しました。腸管出血性大腸菌感染症(O-157)は、激しい下腹部痛や水様便・血便などの症状がありますが、人によっては軽い腹痛のみの場合や症状が出ない場合もあるでしょう。人から人への二次感染を防ぐために、腹痛だけでも専門医に受診しましょう。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師