胆石はどのような病気?かかりやすい人の特徴や症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2024/02/15

胆石はどのような病気?かかりやすい人の特徴や症状、治療法について解説

胆石という言葉をきくと、「体の中に石ができて、そのせいでお腹が痛くなる病気」とイメージする方もいらっしゃるでしょう。しかし、実際の胆石の原因や症状について正しく理解している方は少ないのではないでしょうか。
 
そこで今回は、胆石の原因やなりやすい人の特徴、症状、治療法などを徹底解説いたします。

院内写真
 

胆石とは

胆石とは、肝臓で作られた胆汁の成分が結晶化して石のように固まったもののことです。
できる場所や種類によって、さまざまな胆石があります。

胆石ができる場所

胆石ができる場所は主に胆嚢、胆管内、肝臓の3つで、それぞれ、胆嚢結石、総胆管結石、肝内結石と呼ばれています。胆嚢結石の割合が多いことから、一般的に胆石というと胆嚢結石を指すことが多いとされています。
 
日本胆道学会が1997年に行った調査によると、最も多いのが胆嚢結石で78%、次に多かったのは総胆管結石21%、肝内結石は1%でした。
 

胆石の種類

胆石の種類は、主にコレステロール結石と色素結石の2つになります。コレステロール結石は、胆汁内に溶けているコレステロールが、何らかの原因で結晶化して石になったものです。
 
色素結石の材料は、赤血球が分解されたときに出る黄色い色素、ビリルビンです。ビリルビンが材料になったものは、以下の2種類です。
 

  • ● ビリルビンカルシウム石
  • ● 黒色石

 

胆石ができる原因

胆石ができる明確な原因は、まだ判明していません。胆石の種類によって異なりますが、胆汁中のコレステロール増加や、細菌感染などが関係しているとされています。しかし、個人の体質や食生活も無関係ではないともいわれています。

 

胆石ができやすい方の特徴

胆石ができやすい方の特徴として、よく知られているのが、4つのFです。
 

  • ● FATTY:太っている方
  • ● Female:女性の方
  • ● Forty:40代以上の方
  • ● Fertile:出産回数が多い方

 
女性は男性より胆石を発症しやすく、その差は約2倍といわれています。
しかし、この4つに当てはまらない方、10代〜20代の若い方が胆石にかかるケースもあるため、これらの特徴に該当しないからといって油断しないようにしましょう。
 

10代~20代の若年層も胆石になるのか

近年では食生活の欧米化が増加しているということもあり、10代〜20代の若年層に胆石ができることも珍しくはありません。
また、症状がないまま、健康診断や人間ドックを受けた際に、偶然発見されることもあります。

 
 

胆石の症状

一般的に胆石は激しい痛みを伴うといわれますが、痛みを伴わない胆石もあります。
痛み以外の症状としては、発熱や黄疸などです。

激しい痛み(疝痛発作)

胆石の症状としては、みぞおち付近に、疝痛発作と呼ばれる激しい痛みが生じることが一般的です。
ほかにも、右肩や肋骨の下、背中、腰のあたりにも鈍い痛みや肩こりのような痛みを感じることがあります。
 

痛みがない胆石(無症候性胆石)

胆石患者の約半数は無症状であるといわれており、痛みを伴わない胆石は、無症候性胆石と呼ばれています。症状がない場合、日常生活に支障をきたすことはほとんどありません。
 
しかし、痛みがない場合でも、年月が経つうちに症状が出てくることもあるため、放置せず、定期的に検査を行うようにしましょう。
 

発熱

胆嚢結石が胆嚢の出入り口をふさぎ胆汁の流れがとどこおると、細菌感染が起こり、発熱することもあります。
急性胆嚢炎を引き起こすことで、高熱が出たり、腹痛が起きたりする場合もあるため、胆石の痛みや発熱の症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
 

黄疸

白目部分や皮膚が黄色くなったり、かゆみが出たりする症状が現れる場合もあります。これは、黄疸と呼ばれるものです。胆石によって胆管が詰まり、本来腸に流れるはずの胆汁が血液中に流れることで、発生します。

 

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胆石の治療

痛みがない場合は、経過観察のみでも問題ありませんが、痛みや高熱など胆石による症状がみられる場合は、手術治療が必要です。
手術の場合、胆石だけを摘出することは難しいため、基本的には胆嚢摘出術になります。

胆石の診断方法

胆石を診断するための検査としては、画像検査と血液検査が一般的です。
 

画像検査

腹部超音波検査を行うことで、ほとんどの胆嚢結石と胆管結石を発見できます。CT検査も画像診断の1つであり、超音波検査よりは検出率が低いですが、多くの胆石を診断することが可能です。
 
MRI検査も1つの方法ですが、ポリープとの判別が難しい場合などがあるため、多くの場合、超音波検査やCT検査と併用して診断に使われています。

 

血液検査

血液検査は、胆石が原因と思われる炎症反応や、肝酵素、胆道系酵素の数値を確認するものです。これらの検査値が正常値より高い場合、胆石が強く疑われます。また、ビリルビンの値を調べることで、黄疸と合併していないか判断することも血液検査の役割です。
 

胆石の治療法

胆石の治療方法には、手術療法、内服薬による治療、体外衝撃波粉砕療法の3つがあります。
 

手術療法

疝痛発作などの症状がある場合は、手術で胆嚢を取ることが選択肢として挙げられます。胆石ができる場所をなくしてしまうため、根本的な治療といえるでしょう。
 
手術方法は、開腹手術と腹腔鏡下胆嚢摘出手術の2種類です。どちらの手術方法になるかは、胆石の状況および、患者さんの年齢や身体状況などにより異なります。

 

内服薬による治療

胆石の治療方法には、内服薬で胆石の成分を溶かす「経口胆石溶解療法」と呼ばれるものもあります。
しかし、すべての胆石に有効というわけではなく、有効な場合でも、完全に石が溶けるまで1年以上かかるといわれています。

 

体外衝撃波粉砕療法

体外衝撃波粉砕療法は、体の外から衝撃波をあてて、胆石を粉砕して除去する治療法です。石の状態や胆嚢の状態によって異なりますが、この治療で約55%の胆石が完全に消失するといわれています。
 
しかし、再発することも多く、結石が粉砕された際に、胆管閉塞や胆管炎といった合併症を引き起こす危険性もゼロではありません。

 

胆石の予防方法

胆石を予防するためには、以下のような食生活と運動が重要です。
 

  • ● 規則正しい食生活を心がける
  • ● 脂肪分の多いものは控える
  • ● 野菜、果物を多くとる
  • ● 青魚や鶏肉、大豆製品などでたんぱく質をとる
  • ● 適度な運動をする
  • ● 無理なダイエットはしない

 
これらの方法は、胆石だけではなく、他の生活習慣病予防にもつながるので、できることから実践していきましょう。

 
 

まとめ

この記事では、胆石に関する情報をご紹介してきました。ひとくちに胆石といっても、症状の現れ方や、石ができる場所などは一人ひとり異なります。共通しているのは、医療機関で治療を受けることや経過観察が必要ということです。
 
胆石があると指摘された方は、早めに消化器内科や外科などの専門医療機関を受診するようにしましょう。

 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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