混合性結合組織病(MCTD)の症状は?暮らしや治療のポイントを解説
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混合性結合組織病(MCTD)の症状は?暮らしや治療のポイントを解説
混合性結合組織病(MCTD)は、日本の難病対策法に基づき、治療費が公費で支援される対象疾患です。
一般に「難病」という用語は重苦しい印象を与えがちですが、この疾患は比較的良好な予後を有しています。
適切な医療指導に従うことで、症状に応じては通常の日常生活を送ることが可能です。
この記事では、混合性結合組織病(MCTD)に関する一般的な疑問や不安について紹介していきます。
混合性結合組織病(MCTD)とは
混合性結合組織病(MCTD)は、いくつかの自己免疫疾患の特徴を一つにまとめた病気です。
自己免疫疾患が起こると免疫機能が自身を攻撃してしまいます。
「混合性」という名前にもあるように単独症状ではなく、いくつかの確認できる症状について詳しく説明します。
混合性結合組織病(MCTD)とは
混合性結合組織病(MCTD)は、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、多発性筋炎など、複数の自己免疫疾患の特徴を併せ持つ複雑な疾患です。
この病気は、免疫システムが誤って自分自身の健康な細胞や組織を攻撃する自己免疫反応によって引き起こされます。
診断が難しいのは、これらの疾患が持つ症状が混在しているためです。
さまざまな症状が一人の患者に同時に現れることがあり、診断には高度な専門性と経験が求められます。
診断方法について
診断基準は1つではなく複数行います。
まず、症状と体の変化をしっかりと医師に伝えることが大切です。
その上で、血液検査、CTやMRI、場合によっては生検など、複数の診断方法が組み合わされます。
特に、抗核抗体と呼ばれる血液検査は診断の大きな手がかりとなります。
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混合性結合組織病(MCTD)の症状
混合性結合組織病(MCTD)の症状は、非常に多様です。
自身に起こっている症状や変化を詳しく医師に伝えて診察を受ける必要があります。
ここでは、混合性結合組織病(MCTD)でよく見られる症状を紹介します。
レイノー現象
レイノー現象は、混合性結合組織病(MCTD)の一つの典型的な症状で、指先や時には足先が白くなる現象です。
血管が一時的に収縮して血流が減少することによって引き起こされます。
特に寒い場所にいるときや、ストレスを感じたときに発生することが多いです。
一般的には数分で自然に解消することが多いですが、重症化すると慢性的な痛みや指先の潰瘍、最悪の場合は壊死を引き起こす可能性もあります。
手・手指の腫脹
手や手指の腫脹は、混合性結合組織病(MCTD)においてよく見られる症状の一つです。
この腫脹は、炎症や液体の貯留によって引き起こされることが多く、特に朝起きたときに顕著に現れる場合があります。
この症状は、日常生活での作業や持ち物の操作に支障をきたす可能性が大きいといえるでしょう。
たとえば、細かい作業が難しくなったり、握力が弱くなることもあります。
軽い違和感から強い痛みまで幅はありますが、痛みを感じることもあり、早期診断と適切な治療が不可欠です。
肺高血圧症
肺の血管が狭くなってしまう症状です。
運動時の息切れや胸の痛みなどが自覚症状として挙げられますが、肺高血圧症が軽度の場合には見られない可能性もあります。
肺高血圧症は進行すると、非常に危険で命に関わる場合もあります。
早期発見が大切な症状の一つです。
その他の症状
混合性結合組織病(MCTD)は多様な症状を持つ疾患であり、疲れやすさ、関節痛、筋肉痛などもよく報告されています。
疲れやすさは、日常生活において仕事や家庭での活動が困難になる場合も否定できません。
関節痛は特に手や膝、肩などに現れることが多く、慢性的な痛みとして持続する場合も多いです。
筋肉痛は運動不足やストレス、さらには他の症状と連動して発生することもあります。
単独で見ると一般的な症状かもしれませんが、レイノー現象、手・手指の腫脹など、他の主要な症状と合わせて考慮することで、混合性結合組織病(MCTD)の診断につながる場合があります。
特に、症状が持続する、または悪化する場合は、専門医の診断が必要です。
症状の管理としては、適度な運動やストレス管理、栄養バランスの取れた食事などが推奨されます。
また、これらの症状が出た場合は、早めに医療機関での診断と治療が必要です。
混合性結合組織病(MCTD)への対策
混合性結合組織病(MCTD)は、症状が多様であるため、その対策も一筋縄ではいきません。
ただし、日常生活でのちょっとした工夫や、医師の指導に従った薬物療法が、症状を和らげる大きな手段となります。
ここでは日常生活で気をつけるべきポイントと、一般的に行われる薬物療法について詳しく解説します。
日常生活指導
日常生活での工夫は、混合性結合組織病(MCTD)の症状を軽減するために非常に重要な要素です。
特に、寒冷によって引き起こされるレイノー現象などの症状に対しては、暖房を効率よく使用して体温を一定に保つことが基本的な対策となります。
ストレスが症状を悪化させる可能性があるため、リラクゼーションテクニックや適度な運動を取り入れることで、ストレスを軽減する工夫も必要です。
薬物療法
薬物療法においては、ステロイドや免疫抑制剤が主に処方されます。
これらの薬は炎症を抑える作用があり、症状の進行を遅らせる可能性が高いです。
しかし、副作用も考慮する必要があります。
たとえば、ステロイドは長期使用すると骨粗鬆症や糖尿病を引き起こす可能性に考慮が必要です。
そのため、医師の厳格な指導のもとで、用量や使用方法、さらには定期的な健診が不可欠といえるでしょう。
薬物療法は一人ひとりの症状や体質によって異なるため、専門医と密にコミュニケーションを取りながら最適な治療プランを立てることが重要です。
混合性結合組織病(MCTD)に関するQ&A:日常生活とサポート
混合性結合組織病(MCTD)について、多くの方が抱える疑問や不安について解説します。
普通の生活が送れるのか、障害者手帳は取得できるのか、そして病気の予後はどうなのかなど、参考としてお役立てください。
混合性結合組織病(MCTD)でも普通の生活が送れるの?
症状や進行度によっては、普通の生活を送ることが可能です。
ただし、定期的な健診や治療が必要となる場合があります。
症状が軽い場合や早期に適切な治療を受けた場合は、日常生活に大きな支障をきたすことは少ないでしょう。
混合性結合組織病(MCTD)で障害者手帳は取得できる?
症状の重さや影響度によっては、障害者手帳の取得が可能です。
手帳があれば、公共交通機関の割引や税制上の優遇など、さまざまな支援を受けられます。
ただし、手帳の取得条件は厳しく、医師の診断書が必要です。
詳しくは、最寄りの役所や専門機関で情報を確認してください。
混合性結合組織病(MCTD)の予後とは?
比較的予後が良いとされている疾病です。
しかし、肺高血圧症を併発すると、症状が急激に悪化する可能性があり、その場合は命に関わることもあります。
早期発見と適切な治療が、予後を大きく左右するポイントです。
まとめ
混合性結合組織病(MCTD)は難病で、根本的な治療法はありませんが、適切な指導と治療に従えば、多くの場合、普通の生活を送ることも十分に可能です。
ただし、命に影響を及ぼすかもしれない肺高血圧症などの重篤な症状が出る可能性も否定できません。
定期的に通院し、適切な指導と治療を受けるとともに、日常生活の中での小さな工夫や対策を取り入れることも大変重要です。
病気に対する知識を持ち、それに基づいて行動することがよりよい生活を送るための鍵であるといえるでしょう。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師