脳梗塞とは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/07/10

脳梗塞とは?原因、症状、治療法について解説

脳梗塞とは

脳梗塞とは、脳血管の動脈硬化などの原因で脳の血管が詰まってしまうことにより、血流が滞り脳の細胞が死滅してしまう病気で、厚生労働省が実施している人口動態統計(令和3年版)によると、脳梗塞を含む脳血管疾患は、全体の約7%で死因の第4位となっています。
血流が途絶え脳の細胞が死滅することで身体の麻痺や言語障害などの障害を来し、場合によっては命の危険もあります。脳の細胞に酸素が行き渡らない時間が長くなればなるほど重症化し助かる見込みが低くなるため、発症後は迅速な治療が必要となります。

脳梗塞の原因は

脳梗塞は、血管が詰まる原因によって「ラクナ梗塞」・「アテローム血栓性脳梗塞」・「心原性脳塞栓症」の3つのタイプに分類されます。

ラクナ梗塞

脳血管のうち、太い動脈から枝分かれした細い血管が詰まってしまうことで生じる比較的小さな梗塞で、脳幹や視床など脳の深部にできるものです。主に高血圧が主な危険因子となりますが、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病には注意が必要です。梗塞による影響が比較的小さいことが多く、症状が軽く済む場合が多いですが、梗塞を起こす場所によっては片麻痺などの後遺症が残ってしまうケースもありますので、注意が必要です。  

アテローム血栓性脳梗塞

脳血管のうち比較的太い血管に、動脈硬化により血管の内側にプラークと呼ばれるかたまりができ、そのプラークが破れることでできた血栓によって血管が狭くなったり詰まったりしてしまうことで生じるタイプで、高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙などの生活習慣病が主な危険因子となります。動脈硬化による血管の狭窄はゆっくりと進むため、脳梗塞を起こす前に「一過性脳虚血発作」と呼ばれる一時的な病態が起こることもしばしばあります。また太い血管に梗塞が起きるため、意識障害や身体の麻痺などはっきりとした症状が出現することが多いです。  

心原性脳塞栓症

心臓でできた血栓(血のかたまり)が血流に乗って脳血管まで移動し、詰まってしまうことで生じるタイプです。心原性脳塞栓症の原因の大多数は「心房細動」と呼ばれる不整脈で、60歳以上の高齢者に多く見られます。心臓でできる血栓は比較的サイズの大きいものが多く、太い血管が詰まってしまうことから死亡や重度の後遺症の確率が高くなります。

  

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脳梗塞の症状は

ラクナ梗塞

片麻痺などの運動障害、呂律の回らなさ、眼球運動の障害、嚥下障害、顔面麻痺など。  

アテローム血栓性脳梗塞

身体の麻痺、言語障害、行動異常、失行(着衣やある一定の動作ができなくなること)、意識障害など。  

心原性脳塞栓症

突然の意識障害、身体の麻痺、言語障害、認知機能障害など。症状が重く、死亡率も高いのが特徴です。

 

脳梗塞の検査方法と診断

脳梗塞の診断は、主に頭部MRI検査及び頭部CT検査が用いられます。また、脳梗塞の診断確定後、脳梗塞の原因を特定するために心臓超音波検査や頸動脈超音波検査、心電図検査なども行います。

・頭部MRI検査

頭部の断面図を画像化します。細かく画像を撮影できるため、脳梗塞などの有無や大きさなどを詳細に検査することができます。磁気を利用して行う検査のため、金属類を検査室に持ち込むことができません。

・頭部CT検査

頭部を輪切りにした画像を撮影します。MRI検査と比べて検査時間が短く、検査方法的にも行いやすいですが、X線を利用するため被曝があります。

・超音波検査

超音波を利用し、臓器や組織から跳ね返る超音波を画像化します。超音波が体内に伝わりやすくするため、検査部位にゼリーを塗って検査を行います。

・心電図検査

心臓の動きを電気的な波形として記録する検査で、その波形から心臓の状態を確認します。

脳梗塞の治療方法

脳梗塞のタイプや梗塞の程度などにより治療方法がありますが、主要なものを一部ご紹介します。

・t-PA(血栓溶解療法)

血栓を溶かす薬剤を注射して、脳血管が梗塞している原因の血栓を溶かす方法です。脳梗塞の発症から4.5時間を超えると治療の効果よりもデメリットのほうが強くなるため、4.5時間以内に治療を実施できる場合しか行えない治療で、3.5時間以内には病院に到着している必要があります。

  

・抗血栓療法

抗凝固薬(血をさらさらにする薬)を投与する方法です。心原性脳塞栓症の場合は抗凝固薬、それ以外では抗血小板薬を用います。再発予防目的でも使用されます。

  

・脳保護療法

カテーテルと呼ばれる細い管を腕や脚の付け根の血管内から挿入し、血栓を物理的に削ったり吸引することで詰まっている血管を開通させる治療方法です。

  

・血管内治療

心臓の動きを電気的な波形として記録する検査で、その波形から心臓の状態を確認します。

  

脳梗塞の予防方法

・生活習慣の改善

脳梗塞の主な危険因子は高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病です。日頃から脂分の多いものやしょっぱいものなどの味の濃い食事を控え、適度な運動習慣をつけるなど、生活習慣を見直しましょう。

  

・禁煙

たばこの中に含まれるニコチンやタールは動脈硬化を促進させるため、脳梗塞の危険因子です。喫煙習慣のある人は、禁煙をお勧めします。

  

・水分を摂る

体内の水分量が少なくなると、血管の中の水分も減ってしまいますので、凝縮されドロドロの血液になってしまいます。そのため血管の壁にくっついてしまい血管が細くなり、その細くなった血管をドロドロの血液が通れなくなることで脳梗塞の原因となります。特に高齢者は、夜に水分を摂ると尿意で夜間に起きてしまう、という理由で水分を摂りたがらない人も多いのですが、実は脳梗塞は夜間から明け方にかけてなる人がとても多いのです。夜寝る前にもしっかり水分を摂るようにしましょう。また、普段からあまり水分を摂らないという人は、今からでも1日の水分量を増やしていきましょう。

  

・病気の早期発見

脳梗塞の予防のためには、日頃から健康診断や脳ドック検査などで生活習慣病や脳の状態について把握しておくことが効果的です。健康診断は年1回の実施が推奨されていますので、普段受けていないという方はこれを機に受診してみてはいかがでしょうか。

  

まとめ

脳梗塞はタイプや梗塞部位によって障害の程度や症状が異なりますが、一旦発症すると後遺症が残ることも多く、その後の生活に大きな影響を及ぼします。主な危険因子が高血圧などの生活習慣病ですので、日頃の生活習慣を見直して生活習慣病を予防していくことで脳梗塞の予防にも繋がりますので、規則正しい生活を心がけていけると良いです。また、脳梗塞は早期発見が重要ですので、定期的な健康診断などで自分や身近な方の身体状況を把握しておきましょう。

 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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