骨粗しょう症の治療法とは?原因や症状、食べてはいけないものなどとあわせて解説

  • クリニックブログ
2023/12/29

骨粗しょう症の治療法とは?原因や症状、食べてはいけないものなどとあわせて解説

骨粗しょう症の患者数は1,000万人を超えると推定されますが、実際に治療を受けているのはそのうちの20%程度だといわれています。
それだけよくある病気でありながら多くの方が治療を受けていないのは、自覚症状が出にくい病気であることも関係しているのかもしれません。
社会の高齢化が進むにつれて、骨粗しょう症の患者数は増加傾向にあります。
 
今回は、骨粗しょう症の症状や治療法、食べてはいけないものなども含めて解説していきます。

レントゲン写真
 

骨粗しょう症とは?

骨粗しょう症の原因や症状について解説していきます。

骨粗しょう症の種類

骨粗しょう症は、原因により次のように分類できます。
 

原発性骨粗しょう症

男女ともに、自然発生的に起こる骨粗しょう症患者の多くが原発性骨粗しょう症です。
 
女性の場合は閉経後に発症することが多く、閉経にともない骨の健康を保つ働きをする女性ホルモン、エストロゲンの減少が原因です。
男性の場合も、加齢のほかにホルモン減少の影響を受けています。
 
他には、食生活や運動習慣、喫煙や飲酒など生活習慣も原因になることがあります。

 

続発性骨粗しょう症

病気や服用している薬が原因になる骨粗しょう症を続発性骨粗しょう症といいます。
原因となる主な疾患は、副甲状腺機能亢進症やバセドウ病、性腺機能低下症、関節リウマチ、糖尿病などです。
 
また、特定の薬を長期間服用していたことが原因になることがあります。
特に、数多くの疾患の治療薬として利用されているステロイドの長期服用が発症の原因になりやすく、「ステロイド性骨粗しょう症」とも呼ばれています。

 

特発性骨粗しょう症

加齢や病気等の原因がなく、突発的に発生し、かつ急激に進行する骨粗しょう症を特発性骨粗しょう症といいます。
「妊娠後骨粗しょう症」がその例です。
妊娠中や授乳中は胎児へカルシウムを供給するため、母体のカルシウムが減少してしまいます。
 

骨粗しょう症の原因

実は、骨は毎日生まれ変わっています。
骨が新しくつくられる「骨形成」と、古い骨を溶かして壊していく「骨吸収」を繰り返し、新陳代謝しているのです。
 
健康な骨はこのバランスが取れている状態ですが、加齢や閉経等の理由でバランスが崩れ、骨吸収の方が大きくなると骨がスカスカの状態になってしまいます。
こうして骨がもろくなり、折れやすくなった状態が骨粗しょう症です。
 

骨粗しょう症の好発部位

骨粗しょう症になると、つまずいて転ぶなどの、通常では骨折しないレベルの動きでも骨折してしまうおそれがあります。
骨折しやすい場所は、手首、太ももの付け根、背骨です。
手首は転んだときに手をついたことがきっかけで骨折しやすく、太ももは転倒が原因で骨折しやすい部位です。
背骨は寝返りや起き上がるときなどの動作で、圧迫骨折をしてしまいます。

 

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骨粗しょう症が進行するとどうなる?

骨粗しょう症になると、どのような症状が出るのでしょうか。

見た目の変化

骨粗しょう症の初期症状では、痛みなどの自覚症状はないため、本人も気づかないうちに症状が進行しているというのはよくあることです。
骨粗しょう症になると、身長が縮んだり、背中が丸くなったりするなど、身長や姿勢の変化が起きてきます。
さらには、猫背で内臓が圧迫されると、食欲の低下や吐き気などの内臓機能の低下も起こりやすくなるのです。
 
また、頭部や顔面の骨も減少するので、目のくぼみや顔やせが進行することもあります。
顔が老けたのは、加齢だけが原因でない場合もあるので、注意が必要です。
 

寝たきりになる可能性

骨粗しょう症になると、転倒以外に咳やくしゃみなどのささいな動きでも骨折しやすくなります。
骨粗しょう症の方は、一度骨折すると治りも遅く、安静にしている必要があります。
長期に渡り活動量が減ると、全身の筋肉や運動機能が衰えて、寝たきりになる可能性が高まってしまうのです。
 
厚生労働省の調査では、寝たきりや要介護状態になる原因の上位に、骨折などによる運動機能の低下があがっています。

 
 

骨粗しょう症の治療法

骨粗しょう症の治療には、薬による治療と食事に代表される生活習慣の改善があり、両方の治療を平行して行うこともあります。

薬物療法

以前は、一度低下した骨密度をあげることは難しいとされていましたが、現在では薬の開発により回復が見込めるようになりました。
治療に用いられる薬には、骨吸収を抑えて骨密度を増やす薬、骨形成を促進して骨密度を増やす薬、骨吸収を抑えながら、骨形成を促進する薬があります。
 
そのほか、骨に必要な栄養素の補充や骨代謝をサポートするビタミンやカルシウムについても、食事で補充できない分を薬で補填することもあります。

 

食事療法

骨の成分がカルシウムであることはよく知られていますが、カルシウムを吸収するにはビタミンDも欠かせません。
また、ビタミンKは骨吸収を抑える働きをしますので、併せて食事から摂ることを意識しましょう。
カルシウムは、牛乳、ヨーグルト、いわし、干しエビ、小松菜、木綿豆腐に多く含まれています。
ビタミンDは、キノコ類 卵、鮭、サンマ、貝類、きくらげに、ビタミンKは納豆、緑黄色野菜に多く含まれていますので、積極的に摂るとよいでしょう。
 
また、筋肉を維持することは転倒防止にもつながりますので、たんぱく質も不足しないように意識してください。
 
ビタミンDは、日光浴によって皮膚でも合成されます。
日光浴を兼ねて、ウォーキングなどの軽い運動を行うと、骨量の増加も期待できますので、無理のない範囲で生活に取り入れましょう。

 

 

骨粗しょう症で食べてはいけないもの

骨粗しょう症だからといって、絶対に摂ってはいけない食品があるわけではありません。
しかし、摂りすぎに注意した方がよいものがいくつかありますので、ご紹介します。

加工食品

まず注意した方がよいのが、ハムやベーコン、練り物、インスタント麺などの加工食品です。
手軽に食べられて便利な食品でありますが、加工食品には、リン酸塩という添加物が多く含まれているからです。
リン酸塩は、カルシウムの吸収を妨げ骨がもろくなることにつながりますので、摂りすぎには注意しましょう。
 

アルコールとカフェイン

アルコールもカフェインも利尿作用が強く、体内のカルシウムが尿と一緒に排出されてしまうことがあります。
適量であれば、特に問題はありませんが、摂りすぎには注意してください。
 
カフェインは、コーヒーだけでなく、お茶や清涼飲料水にも含まれていることがありますので、そのことも念頭において全体の摂取量を調整しましょう。


 

 

まとめ

現代は、多くの方が骨粗しょう症を機に、寝たきりになるリスクを抱えています。
長寿社会の日本で健康寿命を維持するには、骨粗しょう症の予防が欠かせません。
日頃から食事や運動などの生活習慣で骨を丈夫に維持することを意識し、予防していきましょう。
また、骨粗しょう症は適切な医療で改善も見込めますので、症状がある方は出来るだけ早期に病院を受診することをおすすめします。


 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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