尿漏れの原因とは?尿漏れを引き起こす病気や治療・予防法を徹底解説

  • クリニックブログ
2023/12/08

尿漏れの原因とは?尿漏れを引き起こす病気や治療・予防法を徹底解説

 
 

尿漏れとは

尿漏れ(尿失禁)とは自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうことと定義づけられています。
年代を問わず多くの方が悩まれている症状ですが、特に40歳以上の女性の4割以上が経験していると言われています。原因や状態に応じた治療法が確立されているため、我慢せず専門医へ相談することをおすすめします。

 
 

尿漏れの種類

尿漏れの種類には大きく4つの分類に分けられています。
ほとんどの方が「腹圧性尿失禁」「切迫性尿失禁」に分類されており、尿漏れで悩む9割の方がこのいずれかあるいは両方と言われています。
各分類の詳細については下記をご覧ください。

(1)腹圧性尿失禁

咳やくしゃみ、重い荷物を持ち上げたりジャンプをした時などのお腹に力がかかったときにおこる尿漏れが腹圧性尿失禁です。
女性の尿漏れで悩まれている方の中で最も多く、週1回以上経験している女性は500万人以上といわれています。加齢や、妊娠中大きくなった子宮の圧迫で骨盤底筋群という尿道括約筋を含む骨盤底の筋肉が緩むことで起こります。
荷重労働や排便時の強いいきみ、喘息なども骨盤底筋を傷める原因になるといわれています。
 

(2)切迫性尿失禁(過活動膀胱)

症状として「急に尿がしたくなる(尿意切迫感)」、「我慢できずに漏れてしまう」などが現れ尿漏れを起こすのが切迫性尿失禁です。
原因は脳や脊髄の障害による「神経因性」と、歳を重ねて骨盤底が弱くなった場合や原因がわからない「非神経因性」があり、非神経因性が全体の8割をしめます。
障害による尿漏れの他、前立腺肥大症、子宮脱や膀胱瘤といった骨盤臓器脱が原因として挙げられることがありますが、原因がはっきりしないことも少なくありません。
 

(3)溢流性尿失禁

自分では尿を出したい気持ちはあるものの出すことができず、ですが尿が少しずつ漏れ出てしまうの症状が溢流性尿失禁です。
溢流性尿失禁では、排尿時に膀胱内を空にすることできず尿が溜まってしまう排尿障害が必ず前提にあります。
排尿時に通常より長く時間がかかったり強い残尿感があったりすることが特徴で、尿を出し切ることができないためトイレに行く回数が増えたり寝ている間に漏れてしまったりすることがあります。

 

(4)機能性尿失禁

機能性尿失禁とは、排尿を行う機能自体は正常にもかかわらず、身体運動機能の低下や認知症などが原因でおこる尿漏れです。
例として、歩行障害のためにトイレまで間に合わない、トイレへ行くことを忘れてしまう、トイレへ行きたくてもそれをうまく人に伝えられず尿漏れを起こしてしまうといったケースです。
 
この尿失禁の治療は、介護や生活環境の見直しを含めて、取り組んでいく必要があります。

 
 

尿漏れの原因

腹圧性尿失禁の原因

     

  • ● 出産
  • ● 加齢
  • ● 更年期のホルモンバランスの乱れ
  • ● 肥満 など

 

切迫性尿失禁(過活動膀胱)の原因

過活動膀胱は、原因不明・突発性であるケースがもっとも多いと言われています。その他、以下のような原因が考えられます。

     

  • ● ストレス
  •  

  • ● 加齢による膀胱の伸縮性の衰え
  •  

  • ● 脳、脊髄神経の疾患(脳梗塞、脳内出血、パーキンソン病、脊柱管狭窄症など)

 

溢流性尿失禁の原因

     

  • ● 排尿困難
  •  

  • ● 直腸がんや子宮癌の手術などによる、膀胱周辺の神経機能の低下

 

機能性尿失禁の原因

     

  • ● 病気や怪我、加齢などによる身体機能・運動機能の低下・障害
     

  • ● 認知症 など

 

 尿漏れの関連記事についてはこちら

詳しくはこちら

 

尿漏れの診断

一般的にまず問診と診察を行い、その後必要に応じて尿検査、内診台での診察、超音波検査、チェーン膀胱造影検査、padテスト、尿流動態検査、膀胱鏡検査を行います。

尿検査

尿の成分を調べ、尿路感染症の有無などを調べます。
 

内診台での診察

わざと咳をしたり力んだりしていただき、尿道の動きや尿の漏れ具合のほか、骨盤臓器脱の有無を確認します。
 

チェーン膀胱造影検査

膀胱にチェーンのついたカテーテルを挿入し、造影剤を注入します。膀胱頚部の開大具合や後部膀胱尿道角を測定します。腹圧性尿失禁の診断に必要です。
 

padテスト

水分摂取後に、60分間決められた動作や運動を行います。検査前後のパッド重量を計測し、尿失禁の重症度を判定します。腹圧性尿失禁の診断に必要です。
 

尿流動態検査

膀胱に生理食塩水を注入しながら尿が溜まった状態や、排尿している時の状態を再現して、膀胱の知覚と運動機能を調べる検査です。
 

膀胱鏡検査

尿道や膀胱の中を内視鏡で観察する検査です。

 
 

治療内容

行動療法

尿漏れの全体の9割をしめている「腹圧性尿失禁」と「切迫性尿失禁」は、基本的に生活習慣の見直しや骨盤底筋訓練で改善を見込むことができます。骨盤底筋を鍛えると尿漏れの改善のみならず、骨盤臓器脱の予防にもつながります。
 
女性下部尿路症状診療ガイドライン第2版(2019)にも腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁に対して 膀胱底筋訓練と肥満がある場合の体重減少が推奨グレードAになっています。

 

内服治療

内服治療は、特に切迫性尿失禁(過活動膀胱)に効果的といわれています。
膀胱の筋肉の収縮をやわらげる働きのある「抗コリン薬」、「β3アドレナリン受容体」を介して膀胱を緩めて容量を大きくする薬剤が使われています。

 

話題の治療法 エムセラ

エムセラは2020年に発売され、アメリカやEUなど25か国で認可がおりている高密度焦点式電磁(ハイフェム)技術を用いて骨盤底筋を非侵襲的に鍛える最先端の治療機器です。
 
加齢、出産、閉経といった原因で骨盤臓器を支えている骨盤底筋がだんだん弱ってしまうことで、尿漏れや下腹部のぽっこりお腹が発生します。
この症状を改善するためには、骨盤底筋を鍛え強化することが必要と言われています。
自宅等にて自身で鍛えることも可能ですが、正しいトレーニングを行わないと効果がなく、また正しく動かすことができても収縮力はかなり弱く時間と気力が必要です。
 
ですが、このエムセラを使用することで他動的に筋肉をしっかりと収縮させ、筋肉トレーニングを行うことができるため骨盤底筋を効率的に鍛え、尿漏れや性的満足度の改善を見込むことができます。

 

特徴
  • 約30分間座っているだけ
    治療機器に座るだけで骨盤底筋群を刺激します。治療中は読書なども可能です。
  • 服を着たまま治療可能
    服を着たまま座って治療が受けられて、治療後はすぐにお帰りいただけます。
  • メス、薬を必要としない非侵襲的な治療
    メスを使わないため痛みもなく、体への負担が少ないです。
  • 治療後すぐに日常生活を過ごせる
    治療後は普段通りにお過ごしください。ダウンタイムもありません。
効果
エムセラは尿漏れの改善はもちろんのこと、下記のような症状にも治療効果があります。
 

  • 産後で下腹部がポッコリしている方は下部腹筋強化による姿勢矯正
  • 出産後の膣粘膜のたるみ改善や骨盤臓器脱予防
  • 勃起不全
  • デスクワークによる骨盤の血流低下改善や慢性前立腺炎、骨盤疼痛症候群など
治療ができない方
  • ペースメーカー、除細動器
  • 神経刺激装置のインプラント、電子インプラント
  • 薬注ポンプ
  • 避妊器具を使用中の方
  • 骨端閉鎖をしていない方(骨が成長中)
  • 肺機能不全、心臓機能障害、出血状態、血液凝固障害、悪性腫瘍、てんかんなどの持病をお持ちの方 など

 

当院提携院にて「エムセラ」の取り扱いがございます。
ご希望の方は提携院へお問い合わせくださいませ。

      

 

自宅でできる対策・予防方法

骨盤低筋体操の方法

骨盤底筋体操はいろいろな体勢でできます。下を参考に行ってみてください
 

基本的な体制

(1)仰向けに寝て、足を少し開き(肩幅程度)膝を立てます。
目安として膝と膝の間にこぶし1つ分程度は開けるようにしましょう。
(2)肛門を引き締めながら膣と尿道も同時に10秒程度締め、その後、30秒ほどリラックスします。この動きを10回繰り返します。
(3)次に、同じように肛門、膣、尿道を閉める動作を更に早いテンポで行い、同様に10回繰り返します。
(4)1~3を1日数回5セット以上行いましょう

 

すわった姿勢で

(1)足の裏を両足とも床につけ、足を肩幅に開きます。背筋は伸ばして少し浅め座ってください。
(2)肩の力をぬき、おなかに力が入らないようにしながら、締める、ゆるめるの動作を繰り返してください。
※上記で説明した基本的な体制の2~3を繰り返します

 
 

一覧に戻る