トコジラミとは?生息場所や刺された際の症状、治療法について解説
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トコジラミとは?生息場所や刺された際の症状、治療法について解説
トコジラミは現在、フランスや韓国など世界各地で大流行しており、近隣国でもある日本でも感染が拡大する可能性があります。
この記事では、トコジラミの生息場所や症状、治療法について詳しく解説します。
これから海外旅行に行かれる予定がある方や日本で流行する前に対策を考えている方などは、ぜひご参考にしてください。
トコジラミとは
トコジラミとは、体長5~8ミリほどの大きさで茶褐色の虫です。
別名は「ナンキンムシ」とも呼ばれており、由来はナンキンムシが日本に持ち込まれて拡散された当時、海外から持ち込まれた珍しいものに南京〇〇といった名前がつけられることが多かったため、「ナンキンムシ」と呼ばれるようになりました。
トコジラミの特徴
- ● 体長5mm程度の個体が多く、8mm程度まで育つこともある
- ● 丸くて平たい体
- ● 羽根はないので飛べない
- ● 歩くスピードはとても速い
- ● 夜行性
- ● 狭い場所に潜む
- ● オスもメスも、成虫も幼虫も吸血する
- ● 吸血しなくても数カ月は生きる
トコジラミの歴史
名前にシラミとついていることからシラミの一種と認識されがちですが、カメムシの仲間に属しています。
上記でも説明した通り、元々は日本に分布しておらず1800年半ば頃に持ち込まれましたが1970年代には強力殺虫剤の普及などにより、一時は日本国内から絶滅寸前まで駆除することに成功しました。
ですが、2004年頃から外国人観光客の荷物などに付着し旅館やホテルに持ち込まれ、再び見られるようになり2010年頃には一般の住宅でもトコジラミが発見されるようになりました。
また、10年ほど前から殺虫成分へ耐性を持つ「スーパーナンキンムシ」と呼ばれる虫が現れています。
流行の原因
現在、世界各地で被害が拡大しているトコジラミが流行している原因として、
- ① コロナによる規制が世界的にも解除され人の往来が増加したこと
- ② 殺虫剤への耐性を持つトコジラミの発生
上記2つが挙げられています。
殺虫剤に耐性を持ったトコジラミが出現し、全国の相談件数も2009年から2022年にかけ5倍以上増加しています。
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トコジラミの生息場所
生息地
トコジラミは主に屋内に生息しており、日中はマットレスや布団・枕の中、畳の下、床や壁のつなぎ目などに潜んでおり、細かな隙間でも潜り込むことが可能です。
また、トコジラミは夜行性のため夜になると就寝中の人の血液を吸います。直接トコジラミが部屋の中を移動することもありますが、基本的に衣類やバック、家具などの媒介物を介して部屋中に広がっていきます。
生命力
トコジラミは2ヶ月以上エサと取らなくても行きていくことができ、とても生命力が強い虫です。
おおよその是依存機関は1年といわれていますが、長く生きるもので2年ほど生きている個体もあります。
また、メスのトコジラミは1日5~6個の卵を産み続け、生存中に産む卵の総数は500個ほどです。
刺された際の症状
トコジラミに刺された際の症状は、アレルギー反応による激しいかゆみや発赤等です。
症状は個人差がありますが、かゆみが激しい場合睡眠が十分に取れなかったり、かきむしることにより皮膚障害を起こす可能性があるなどの恐れがあります。
主な症状
- ● 2~5ミリ程度の丘疹
- ● 刺されたあと48時間以内に症状が現れる
- ● 激しいかゆみ
- ● 蕁麻疹
- ● 腫れ など
上記のような反応が出るのは、何度かトコジラミに吸血されると、唾液に対するアレルギー反応が強まり、症状が表れるようになります。
トコジラミの傷は1~2週間ほど経っても消えにくいのが特徴で、かゆみがしつこく続くことがあります。
治療法
トコジラミに刺されたと感じたら、なるべく早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
治療方法は主に抗ヒスタミンやステロイド剤配合薬などの外服薬を塗りかゆみを抑えることが一般的です。
トリコモナスに刺されると強いかゆみが発生しますが、なるべく掻きむしらないようにしましょう。皮膚をかいてしまい傷つけることで、そこから雑菌が入り化膿してしまう可能性がありますので気をつけましょう。
トコジラミへの対策
スチームクリーナー
スチームクリーナーで80~100℃に熱した蒸気をベッドや布団まわり、衣類に1箇所3~5秒当てることで、トコジラミを死滅させることが可能です。
死滅したトコジラミは乾燥するためその後掃除機などで吸い取りましょう。
海外旅行時の注意
トコジラミはパラジクロロベンゼンなどの防虫剤を嫌うため、旅行先などで付着されないように荷物やスーツケースへ防虫剤を入れておきましょう。
衣類は乾燥機で乾かす
トコジラミは高温に弱いため50℃で30分、60℃であれば10分程で死滅します。
そのため、乾燥機などで服を乾かすことが効果的です。
専門の業者へ依頼する
やはり完全に駆除する場合は、専門業者へ依頼することをおすすめします。
費用がかかってしまいますが、被害を考えれば専門業者に依頼し、一度で徹底的に対処するのが得策です。
まとめ
トコジラミはカメムシの仲間で、動物の血を栄養源として生息しています。
夜行性のため就寝時に刺されていることが多く、初めて刺されたときには発疹だけでかゆみを感じない事が多いですが、何度も刺されることでかゆみが発生します。
激しいかゆみが発生しますが、なるべくかかないようにし、塗り薬などでかゆみを抑えるようにしましょう。
トコジラミは一度駆除すれば、基本的には湧いて出てくることはないので、見つけたら徹底的に駆除することが重要です。
ぜひ本記事を参考に、トコジラミ対策をしてみてください。
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