低カリウム血症とは?原因から症状、治療法まで徹底解説

  • クリニックブログ
2023/11/15

低カリウム血症とは?原因から症状、治療法まで徹底解説

私たちの体を支えるミネラルの1つであるカリウムは、筋肉の動きや心臓のリズムを整える重要な役割を果たしています。カリウム不足は、低カリウム血症という健康トラブルの原因の1つです。
 
低カリウム血症は、特定の症状や重篤な合併症を引き起こす可能性があります。この記事では、低カリウム血症の背景や原因、症状、治療方法、そして予防策について紹介します。

採血中の看護師
 
 

低カリウム血症とは?

低カリウム血症とは、人の体内に存在する血中のカリウム濃度が通常よりも非常に低い状態のことです。
カリウムは私たちの体の多くの重要な機能、特に神経や筋肉の機能に深く関与しているため、カリウム濃度が低下すると、多くの健康上の問題や症状を引き起こす恐れがあります。

体内でのカリウムの役割

カリウムは、筋肉の収縮やリラクゼーションを助けるなど、心臓のリズムを整えるために必要不可欠なミネラルです。
 
カリウムがあるおかげで、心拍数の正常化や血圧のコントロールが可能となっています。
また、カリウムは、体内の水分バランスや酸塩基バランスを維持し、細胞の正常な機能をサポートする重要な要素です。
 

低カリウム血症の原因

低カリウム血症の原因は多岐にわたりますが、主な原因として以下の点が挙げられます。原因を理解し、適切な生活習慣や食生活を心掛けることで、低カリウム血症を予防することができるでしょう。
 

カリウムの摂取不足

長期的な食事制限や特定の病気による食欲不振など、カリウムを十分に摂取できない状態が続くと、低カリウム血症のリスクが高まります。
 

利尿剤や下痢によるカリウムの過剰排泄

利尿剤の使用や下痢、大量の発汗により、体内のカリウムが過剰に排出されることがあります。これにより、血中のカリウム濃度が低下する可能性があります。
 

アルドステロンの過剰分泌

アルドステロンは、カリウムの排出を促進するホルモンです。このホルモンが過剰に分泌されると、尿とともにカリウムが多く排出され、結果としてカリウムの血中濃度が低下します。

 
 

低カリウム血症の症状

血液中のカリウム濃度が低くなると、低カリウム血症という状態になります。ここでは低カリウム血症が引き起こす可能性のある主な症状について説明します。

筋力低下やけいれん

カリウムは筋肉の動きを制御し、正常な筋肉機能をサポートする重要なミネラルです。
そのため、カリウムが不足すると、筋肉の弱さやけいれんが発生し、手足の動きに影響を与えます。
 
低カリウム血症が進行すると、歩行困難や呼吸困難など、日常生活において重大な問題を引き起こす恐れがあります。
 

不整脈

心臓はカリウムに大きく依存しており、カリウムは心臓の正常なリズムを維持するために不可欠です。
そのため、カリウムが不足すると不整脈を引き起こしたり、心臓のリズムに異常をきたしたりと、重篤な健康問題を引き起こす恐れがあります。
 

腎機能低下

カリウムは腎臓の正常な機能維持にも関与しています。
そのため、低カリウム血症が発生すると腎臓の機能が低下し、尿の排出量が増加する可能性があります。
 
長期間続くと、腎臓に永続的なダメージを与え、腎機能の更なる低下を招く恐れがあるため、腎機能の低下が疑われる場合は、すぐに専門医の診察を受診しましょう。

 

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低カリウム血症の診断と治療

低カリウム血症で引き起こされる病態が持続すると、様々な健康問題や生活の質の低下を招く恐れがあるため、早期に対処し、適切な治療を行うことが重要です。

診断方法

低カリウム血症の診断は、主に心電図、血液検査、および尿検査によって行われます。これらの検査は、健康診断の一環としても実施されることが一般的です。
定期的な健康診断を受けることで、低カリウム血症を含む様々な健康問題を早期に発見し、適切な治療を始めることができます。
 

カリウムの補給

低カリウム血症の基本的な治療法として、カリウムの補給が不可欠です。軽度の低カリウム血症であれば、食事やサプリメントによってカリウムを補給することが推奨されます。
 
また、バナナ、オレンジ、牛乳、豆腐などはカリウムが豊富に含まれている食品です。しかし、症状が重度である、または食事だけでの補給が困難な場合は、医師の指導のもとでカリウム補給薬を服用するのがおすすめです。
 

生活習慣の見直し

低カリウム血症の予防や再発防止のためには、カリウムを豊富に含む食品の摂取、適度な運動、十分な水分摂取など、日常の生活習慣の見直しや健康的な生活習慣を心掛けることが重要です。
 
これにより、体内のカリウムバランスを保ち、低カリウム血症のリスクを低減することができます。低カリウム血症の早期発見と適切な治療、そして健康的な生活習慣の維持が、この病態からくる健康リスクを最小限に抑える鍵となります。

 
 

低カリウム血症の予防方法

低カリウム血症は血中のカリウム濃度が低下する病態であるため、予防するためには日常生活においていくつかのポイントを意識する必要があります。
ここでは、低カリウム血症を予防するための具体的な方法を紹介します。

適切なカリウム摂取

カリウムは、日常の食事から簡単に摂取することができます。バナナ、ほうれん草、オレンジ、牛乳などは、特にカリウムが豊富に含まれている食品です。
カリウムを含む食材を日常の食事に組み込むことで、カリウムの適切な摂取が可能となり、低カリウム血症の予防に繋がります。カリウムを含む食材ばかりではなく、バラエティ豊かな食事を心掛けることで、バランス良く栄養素の接種が可能です。
 

薬の副作用に注意

利尿剤などの一部の薬は、カリウムを体外に排出させる作用があります。薬を服用する際は、カリウムの排出を適切にコントロールし、カリウム濃度の低下に注意が必要です。
 
医師や薬剤師とのコミュニケーションを密にし、カリウムの濃度を定期的にチェックし、適切な管理を行うことが重要です。
 

定期健診受診

低カリウム血症は、早期に発見し治療を開始することで、重篤な症状の発展を防ぐことが可能です。定期的な健診を受け、カリウム濃度を含む全体的な健康状態を確認することで、早期に問題を発見し、適切な対策を講じることができます。
 
健診では、血液検査を通じて、カリウム以外の重要な指標もチェックされ、体の健康状態を総合的に判断できるでしょう。
予防策を日常生活に取り入れることで、低カリウム血症のリスクを大幅に減少させ、健康的な生活を維持できます。

 
 

まとめ

低カリウム血症は、さまざまな原因により発症する可能性があります。
日常生活での注意点や、適切な治療・予防方法を知ることで、健康な生活を送ることができます。
 
何か異常を感じたら、早めの医療機関の受診を心がけましょう。


 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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