肋間神経痛とは?原因、症状、治療法について徹底解説
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肋間神経痛とは?原因、症状、治療法について徹底解説
肋間神経痛は胸痛を生じる病気の1つですが、その痛み方は原因によって違ってきます。
痛みは右側か左側かに起こり、両側で起こることはまれです。
この記事では、肋間神経痛の原因、症状、治療法について詳しく解説します。
また、肋間神経痛でしてはいけないこともご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
肋間神経痛の原因
肋間神経痛を引き起こす原因には、大きく分けて原発性と続発性の2つがあります。
ここでは、それぞれに考えられる原因についてご紹介します。
原発性肋間神経痛の原因
病院で検査を行っても明らかな原因が分からなかった場合、原発性肋間神経痛という判断に至ります。
原発性には、下記2つの日常生活の状況が影響していることが多いようです。
ストレス
ストレスが多くなると自律神経が乱れやすくなります。そして、センシティブになった肋間神経が痛みのきっかけとなることがあります。
ストレス過多の状況下では筋肉がこりやすく、その硬い筋肉が肋間神経を圧迫して胸痛の原因となるため、ストレス解消が必要です。
不適切な姿勢
現在はスマートフォンの普及やパソコンの使用などによって、日常的に不適切な姿勢をとることが多くなりました。
悪い姿勢が続くことで肩こりや腰痛がさらに進み、肋間神経痛が始まる傾向にあります。
特に、デスクワークで長時間座っていることが多い方は要注意です。
続発性肋間神経痛の原因
続発性肋間神経痛は原発性とは異なり、神経へのダメージ・圧迫や感染などの明らかな原因が分かっていることが特徴です。
ここでは、神経へのダメージ・圧迫と感染の2つに分けて解説します。
神経へのダメージ・圧迫
肋間神経がダメージを受けたり、圧迫されたりすると痛みやしびれを生じることがあります。
肋骨に関わる手術や肋骨骨折などは、肋間神経を傷める症例です。
胸椎椎間板ヘルニアや変形性脊椎症は肋間神経を圧迫する代表例で、脇下のしびれが増えた場合には胸椎椎間板ヘルニアが疑われるでしょう。
椎間板ヘルニアについて詳しくはこちら
ウイルス感染
からだの抵抗力が落ちて免疫力が下がると、肋間神経はウイルスに狙われやすくなって結果的に肋間神経痛が引き起こされます。
初めて帯状疱疹ウイルスに感染した後、体内に残っていたウイルスが免疫力低下により再び活性化され、神経痛のスイッチが押されます。
肋間神経痛の症状
ここでは、肋間神経痛の症状を神経のダメージによる痛みと帯状疱疹ウイルス感染による痛みに分けて解説します。
それぞれの痛みは、起こる場所が違うことに注目しましょう。
胸や脇腹の痛み
神経のダメージによるほとんどの痛みは、胸周辺やおなかの側面に起こります。
胸部や腹部横に痛みが集中する理由は、肋間神経が背骨から肋骨にかけて通っているためです。
他にも脇下や背中など、肋間神経がダメージを受けている場所に痛みが生じることもあります。
痛みの感じ方は、針で刺されたような痛みであったり、電気が走ったようなピリピリする痛みであったり、個人によってさまざまです。
皮膚表面の痛み
帯状疱疹ウイルスによって肋間神経にダメージが与えられると、皮膚上に痛みの刺激が伝わります。
帯状疱疹は、神経に沿って皮膚上に赤い発疹や水ぶくれができるのが典型的な症状です。
ジュクジュクしたり、ピリピリしたりする皮膚の痛みが続くため、早めに受診するようにしましょう。
しかし、帯状疱疹ウイルスに感染しても皮膚表面に何も出てこないこともあります。この状態は無疱疹性帯状疱疹と言われ、激しい痛みやかゆみが続くのが特徴です。
肋間神経痛の治療法
肋間神経痛の治療方法をここでは、薬物治療と運動療法に分けてご紹介します。
薬物治療には、主に神経ブロック治療と抗ウイルス剤の使用の2つがあります。
神経ブロック治療
神経ブロック治療とは、痛みがある神経の周りに局所麻酔注射をして痛みを取り除く方法です。
麻酔薬が痛みを起こしている神経を直接ブロックすることで血液の流れがよくなり、硬くなった筋肉のこわばりが改善されます。
肋間神経に直接アプローチするこの治療法は、開胸手術や胃ろう造設術などの胸部付近の術後、肋骨骨折、帯状疱疹により引き起こされた神経痛に良い影響を与えます。
抗ウイルス剤
帯状疱疹による肋間神経痛に対して効果的な方法は、抗ウイルス剤を早期に取り入れることです。
肋間神経への負担を減らすには、できるだけ早く点滴もしくは経口投与を行うことが必須となります。
この抗ウイルス剤の早期使用は、帯状疱疹後神経痛の予防に効果的であることから重要視されています。
運動療法
ストレスや毎日の疲れが続くことで、気づかないうちに猫背のような悪い姿勢をとっている方は多いでしょう。猫背の状態は、胸まわりの筋肉が硬直してうまく動かなくなっていることの現れです。
積極的に運動を取り入れることで胸まわりの筋肉を広げ、肋間神経の痛みを落ち着かせることができます。おすすめの運動は、座った状態でもできる腕回しです。腕を回しながら、大きく深呼吸をすることが重要なポイントとなります。
肋間神経痛でしてはいけないこと
最後に、肋間神経痛でしてはいけないことについてご紹介します。
これからお伝えする「してはいけないこと」は、肋間神経痛の病態によって違ってくるため見極めが肝心です。ご自身での判断が難しいときには、専門家に相談してみるのも良いでしょう。
痛みを放置する
痛みが日常生活に影響を与えているのであれば、放置せずに病院へ行くことをおすすめします。
病院へ行く目安としては、2〜3日痛みが続いていたり、痛みが強かったりする場合です
帯状疱疹は、早く治療を始めることで激しい痛みを回避できます。
まれに命にかかわる病気が隠れている場合もあるため、早めの受診が肝心です。
重いものを持つ
胸椎椎間板ヘルニアや変形性脊椎症、背骨の骨折などが原因で肋間神経痛が起こっている場合、重たいものを持って背骨に負荷をかけると、さらに痛みが増すことが考えられます。
また、過度に前屈みになることも避けましょう。
無理な姿勢は、神経痛をさらに悪化させる恐れがあります。
過度な運動
胸椎椎間板ヘルニアによる肋間神経痛がある方は、過度な運動を控えるようにしましょう。
胸椎は体のねじれを司っている場所であり、大きく体をねじったり、背中をそったりすることで肋間神経が圧迫を受けます。
特にねじる動きが多い運動は、患部にさらなる負担をかけてしまうため、避けることが賢明です。
不健康な生活
帯状疱疹をともなう肋間神経痛は、普段の生活パターンと深く関わっています。
そもそも帯状疱疹の発症は、免疫力の低下が発端です。
不健康な生活は、体内にある帯状疱疹ウイルスを活性化することに繋がります。
ご自身の免疫力を落とさないためには、質の良い十分な睡眠や栄養バランスのとれた食事が肝心です。
帯状疱疹について詳しくはこちら
まとめ
肋間神経痛の原因は診断がつかないこともあれば、外傷や病気が引き金となることもあります。
主な症状は胸痛ですが、治療法については神経のダメージによるものと帯状疱疹の場合とでは、処方される薬が異なることがわかりました。
重いものを持つことや過度な運動は痛みを増強するため、控えるようにしましょう。
帯状疱疹においては健康的な生活が基本となります。痛みが日常生活に支障をきたす場合には、早めに受診をすることが重要です。
略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師