便秘の原因とは?原因やおすすめの栄養素、予防方法を解説

  • クリニックブログ
2023/10/31

便秘の原因とは?原因やおすすめの栄養素、予防方法を解説

女性が悩みやすいといわれる「便秘」ですが、実は男性も多くの方が悩まれています。
誰でもなる可能性のある便秘は、日頃の生活習慣を一部見直すだけで予防や改善ができるのです。
 
本記事では、便秘の種類や原因、予防方法について解説していきます。
また、便秘薬の種類と便秘が引き起こす身体への影響についても併せて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
 
長年便秘で悩んでいる方や最近便秘気味の方、健康面を気にされる方にとって有益な内容ですので、本記事を参考に便秘を解消しましょう。

 
 

便秘とは?便秘の種類も合わせて解説していきます

どなたでもなりえる便秘ですが、どのような仕組みで便秘になるのか知ることで、改めて対策に向けた準備ができるかもしれません。
便秘とは何か、便秘の種類も合わせて解説します。

便秘とは?

便通は本来毎日あるのが健康な状態ですが、3日以上なかったり、便が硬くて量が少なく残便感があったりする状態を便秘と呼びます。
 
女性に多く、排便が困難になるほか、腹痛、腹部膨満感、食欲不振などの症状も現れるほか、肌荒れや肩こりなど、全身に影響が出ることも少なくありません。
便秘の状態が続くと、腹痛や腹部膨満感、食欲不振などの症状に悩まされるので、早急に改善する必要があります。
 

便秘の種類

便秘には大きく分けて機能性便秘と器質性便秘の2種類があります。
2種類の便秘について知ることで、自分の状態がどちらなのか判断できます。
 

機能性便秘

機能性便秘とは、腸管の緊張がゆるんでぜん動運動が十分行われないため、大腸内に便が長くとどまり、水分が過剰に吸収されて硬くなるタイプの便秘です。
便秘の中でも頻度が高く、女性や高齢者に多く見られます。
お腹の張り、残便感、食欲低下、肩こり、肌荒れ、イライラなど様々な症状を引き起こすことが多いです。
機能性便秘はさらに3種類に分類されます。
 
1:弛緩性便秘
弛緩性便秘は、大腸の蠕動運動腸(便を送り出す働き)が低下することにより起こる便秘です。
蠕動運動の働きが低下して大腸内の糞便通過時間が長くなると、便の水分が多く吸収され、便が固くなってしまいます。
特に高齢者や、やせ形の女性、長期臥床者(寝たきりやベッドで過ごすことが多い人)などに多いです。
 
2:痙攣性便秘
腸蠕動運動そのものが低下する弛緩性便秘とは違い、大腸の動きが不規則になった結果起きるのが痙攣(けいれん)性便秘です。
 
精神的ストレスがきっかけとなることが多く、ストレスが自律神経に影響を及ぼして腸の一部がけいれんを起こすことで、蠕動が不安定になり便秘になります。
 
便秘と下痢を交互に繰り返したり、逆に下痢が続いたりする「過敏性腸症候群(IBS)」を引き起こすこともあります。
 
 

過敏性腸症候群(IBS)ついてはこちら

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3:直腸性便秘
直腸性便秘は別名「習慣性便秘」ともいわれます。
習慣性便秘の名称の通り、習慣的に便意を抑えたり、下剤・浣腸を乱用したりしていることにより、排便反射が減弱して排便が起こりにくくなる状態です。
 
硬く途切れる便が出るのが特徴です。
朝食を十分にとり、繊維の多い食物や水分を多く取りましょう。
また、朝のトイレタイムに時間的ゆとりを持つように心がけることで徐々に改善されることがあります。
 

器質性便秘

器質性便秘とはイレウス、大腸がん、腸管癒着などの器質的な原因があって、消化管(小腸・大腸)の通過障害により起こる便秘です。
 
血便や激しい腹痛、嘔吐などがあればすぐに病院を受診しましょう。
基礎疾患による器質性便秘では腸管穿孔を起こすおそれがあるので、下剤を使用してはいけません。
 
 

大腸がんついて詳しくはこちら

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便秘になる5つの原因とは?

便秘になる原因は、以下の5つです。
 

  • ● ストレス
  • ● 習慣的な便意の我慢
  • ● 運動不足
  • ● 食生活の乱れ
  • ● ホルモンバランスの影響(女性)

 
主な症状5つについて下記で詳しく説明していきます。
 

ストレス

ストレスを受けると交感神経が優位に働き、体は常に緊張状態となります。
排便は副交感神経が優位のときに行われるため、ストレスで交感神経が働いているときは便が出なくなってしまうのです。
 
慢性的にストレスを感じると腸の動きが鈍り、便秘を引き起こします。
 

習慣的な便意の我慢

習慣的に便意を我慢するのも便秘の原因の1つです。
直腸に便が溜まると腸壁が刺激され脳に便意が伝えられますが、便意を我慢することが多いと脳に伝える神経が鈍ります。
 
便が直腸や肛門まで到達していても脳が感じにくくなるため、便は腸で固くなり、ますます出にくい状態になるのです。
 

運動不足

デスクワークなどで長時間同じ姿勢だと筋肉が緊張し、血流が滞って肩こりなどが起こるように、腸も運動不足だと動きが鈍くなります。
身体を動かすことで腸は刺激を受け、便を送り出す蠕動運動の活性化に繋がるためです。
 
また、排便でいきむときには腹筋が大きく関わっていますが、運動不足で腹筋が衰えると便を押し出す力が弱くなり、うまく便を押し出せないため便秘になってしまいます。
 
高齢者に便秘が多いのは、加齢で腸の機能が衰えるうえに、腹筋が衰えていきむ力が弱まってしまうことも原因です。
 
定期的に運動していて腹筋に力が入れられる方ならスムーズに排便できますが、運動不足で腹筋に力が入れられない場合、便を押し出す力が弱いので便秘になりやすくなります。
 

食生活の乱れ

偏った食事など食生活が乱れている場合も、便秘を招く原因となります。
なかでも、繊維不足や極端な少食、水分不足は快便の大きな妨げです。
 
またトイレが近くなる、汗をかくからという理由で水分を控えることも便秘を招きます。
もともと水分が不足しているところに、腸内でさらに水分が吸収されるため、便がますます硬くなります。
 
便が硬くなってしまった結果、便秘になるという悪循環を生み出してしまうため、食物繊維や水分、脂質や乳酸菌などの栄養素をしっかり摂取して便秘を予防しましょう。
 

ホルモンの影響(女性)

女性は生理があるため、月経周期によってホルモンバランスが乱れることがあります。
生理前になると、黄体ホルモンが分泌されます。
黄体ホルモンは腸の動きを鈍くする傾向があるため、排卵後から生理にかけて便秘になる方が多いです。
 
また、黄体ホルモンの分泌により、身体が水分や塩分を貯め込むよう働きます。腸内の便から水分を吸収することで便が硬くなるのです。
人によっては、生理が終わり黄体ホルモンの分泌が減少すると下痢になる方もいるので、女性の排便は生理に大きく影響される傾向があるでしょう。
 
 

便秘が引き起こす体への影響

便秘は、便が出にくくなるだけではなく体や精神状態に大きな影響を及ぼします。
以下に、便秘が引き起こす身体的症状と精神的症状について解説していきます。
 

身体的症状

便秘による身体症状は、消化器症状や神経症状などさまざまです。
症状について部類別に解説していきます。
 

腹痛・吐き気・嘔吐

【腹痛】
便秘で腹痛が起こる原因は、腸内で硬くなった便を外に押し出そうとするためです。
 
【吐き気・嘔吐】
重度の便秘では、腸内の圧が上昇して食べたものが逆流しやすくなります。
そのため、便秘の際は吐き気や嘔吐症状が起こりやすくなってしまうのです。
同時に、胸焼けや胃酸の逆流も起きてしまいます。
 
吐き気がある場合、原因が便秘ではなく胃潰瘍や腸閉塞などほか疾患の可能性もありますので、早めの医療機関受診をおすすめします。
 

頭痛・肩こり

慢性的な便秘になると、腸が血行不良になり疲労物質がたまりやすくなります。
また毒素が外に排出されず身体に残ってしまうために、内臓を含めた全身に疲労がたまってきます。
 
腸での充分な栄養素の吸収ができないので、筋肉にも充分な栄養素が供給されず肩の筋肉も疲労し硬くなります。
血行不良や老廃物の貯蔵は、頭痛や肩こりに直結的に関係しているのです。
 

肌荒れ

便秘が肌荒れを引き起こす主な要因として考えられるのが、腸内細菌叢(腸内フローラ)の乱れです。
腸内フローラのバランスが崩れると、有害菌によってアンモニアやフェノール、硫化水素などの有害物質が多く作られます。
 
中でもフェノールは、腸管内で吸収され、血液を介して肌にまで届きますが、多くなると、肌表面の角化細胞の分化が抑制される可能性があると報告されています。正常なターンオーバーを妨げて、様々な肌トラブルを引き起こす原因と言えるでしょう。
 

精神的症状

便秘が引き起こす症状は身体的症状だけでなく、精神的にも大きく関わってきます。
 

意欲低下・食欲不振

便秘が続くと腸全体の働きが悪くなり、食欲不振も起こりやすいです。
腸全体の動きが悪くなることで消化液が消化管に貯留しやすくなり、吐き気を起こす可能性も高くなります。
 
また、便秘は自律神経に影響を与えます。自律神経の乱れは消化管の動きを調整するだけでなく気分やエネルギーにも影響を与えまるため、便秘が慢性化すると、交感神経が優位に立ち、ストレスや不安感が強くなって意欲低下に繋がる可能性が高いです。
 
 

便秘解消におすすめの4つの栄養素

便秘を解消するには、便秘薬を使用する前に食生活の見直しが必要です。
 

食物繊維

食物繊維とは、人の消化酵素で分解されない食べ物に含まれる成分です。整腸作用や健康へのさまざまな効果があります。
食物繊維は腸を掃除するといわれている栄養素の一つで、水を含むとゲル状になることから、便を柔らかくし便秘の予防と改善に効果的です。
 
善玉菌の餌になり、腸内環境を整える食物繊維は、主に海藻類や果物、きのこ類、豆類、根菜類などに含まれています。
 

乳酸菌

乳酸菌は、発酵によって糖類から乳酸を作り出す性質を持つ微生物のことを指します。
人体に有益な菌のため「善玉菌」とも呼ばれます。
ヨーグルトやチーズ、漬け物、日本酒など多くの発酵食品の製造に使われていることは、よく知られた事実です。
 
乳酸菌は腸内で大腸菌など悪玉菌の繁殖を抑え、腸内菌のバランスをとり、腸内環境を整える機能があります。
 

オリゴ糖

糖質のうち、最小単位である単糖が2個から10個程度結びついたもので、少糖とも言います。
低エネルギーで、整腸作用や腸内細菌を増やす作用などが知られており、腸内細菌の餌にもなるため、善玉菌の増加に役立ちます。
 
玉ねぎやバナナなど多く含まれているため、意識して摂取することで善玉菌を効率良く増やしてくれるでしょう。
 

脂質

脂質はたんぱく質や炭水化物と同様に重要な三大栄養素の一つです。
脂質を摂取すると腸内の便の滑りが良くなり、スムーズに排便しやすくなります。
 
また、脂質には飽和脂肪酸を含むものと不飽和脂肪酸を含むものがあり、不飽和脂肪酸には蠕動運動を促す働きがあります。
 
そのため、便秘解消には不飽和脂肪酸を含む脂質を適度に摂るのがおすすめです
脂質が含まれている食べ物には、オリーブオイルやナッツ類などがあります。
 
 

便秘薬の種類と選択方法

食生活を改善しても必ずしも便秘が解消してくれるわけではありません。
長期間の便秘は身体にも悪影響を与えるため、便秘薬も同時に活用するといいでしょう。
便秘薬にもいくつか種類があるため、以下で詳しく解説していきます。
 

刺激性便秘薬

刺激性便秘薬は、大腸に直接作用して大腸蠕動運動を起こし、水分や電解質の吸収を抑制することで効果を発揮します。
 
しかし、長期間の連用により常習化し、大腸の自立蠕動能が低下していくため徐々に効かなくなることが多いです。その結果、服用量が増加する可能性があるため、常用は避けましょう。
 

非刺激性便秘薬

非刺激性便秘薬は、便に含まれる水分を増やしたり、食物繊維成分で便の量を増やして排便を促したりする便秘薬です。
 
腸を直接刺激しないため、効果が穏やかで、腹痛も起きにくいのが特徴です。
非刺激性便秘薬には2種類あります。
 

浸潤性下剤

浸潤性下剤は、界面活性作用によって便の表面張力を低下させて便中に水分を浸透させ、便を柔らかくすることで排便しやすくします。
 
副作用がなく、クセにもなりにくいという特徴がありますが、ほかの機械的下剤と比べて作用が弱いため慢性便秘の方には向いていません。
 

膨張性下剤

膨張性下剤は、腸管内で吸収されず、服用した水や腸管内の水分を吸収することによって便を大きくし、腸に物理的刺激を与えることで排便を促します。
 
通常、12時間〜24時間以内に効果が現れますが、2日〜3日連続して服用するとより効果的です。
 

便秘薬の選び方

現在、薬局などで手軽に購入できる便秘薬ですが、種類が豊富でどの便秘薬が自分に合っているのか分からないと思われる方が多いと思います。
 
しっかり自分に合った便秘薬を選ぶには、専門的な知識を持つ医師や薬剤師に相談しましょう。
 
便秘薬は、便秘がつらい時に使用するものです。習慣的な使用はなるべく避けることをおすすめします。
 
 

簡単にできる5つの便秘予防方法

便秘は日頃の生活習慣を見直すだけで改善が見込める疾患です。
すぐに実践できる便秘予防法を紹介していきます。
 

運動やマッサージをする

便秘を予防するには、運動や腹部のマッサージがおすすめです。
体力や筋力が低下していると、便を押し出す力が衰えてしまいます。
 
特に腹筋はさまざまな筋肉の中で最も便を押し出す力が必要とされるため、腹筋が衰えると便通が悪くなっていきます。腹筋を中心に定期的な運動やマッサージをすることで、便秘を効率良く予防することが可能です。
 

食生活を規則正しくする

規則正しい食生活は便秘を予防する基本的な方法です。
偏った食生活だと腸内環境も悪くなるため、便が硬くなったり腸の蠕動運動が鈍くなって便秘になりやすくなったりします。
 
食生活を規則正しく行うことで便秘予防になるので、意識して食生活を整えましょう。
 

腸内環境を整える

基本的に腸内環境が整っているほど便通も良くなります。
腸内環境を整えるには、食物繊維、脂質、乳酸菌、オリゴ糖などを初めとするさまざまな栄養素をバランス良く食べることで便が柔らかくなり、蠕動運動が活発化して便秘を効率良く予防することができます。
 

過度なダイエットをしない

過度なダイエットによって食事量を極端に減らしたり、糖質(主に米や砂糖など)や脂質を制限したりしてしまうと、便を柔らかくするための食物繊維や水分が不足し、便が硬くなって便秘になりやすいです。
 
便秘になると、肌荒れや意欲低下など身体にさまざまな影響を与えるため、過度なダイエットは避けましょう。
 

朝食を抜かない

朝は大腸蠕動運動という機能が働きやすい時間帯です。便秘を予防するなら朝食を抜かないようにしましょう。
 
朝昼晩3食しっかり食べることで内蔵が働くリズムを整えられるため、便秘予防ができます。朝食を抜いてしまうと胃腸の働きが悪くなり、便秘になりやすくなるので注意しましょう。

 
 

便秘に効く自宅でできる3つの体操

自宅で簡単にできる3つの体操を紹介していきます。
スキマ時間にも実践できるため、ぜひ参考にしてみてください。
 

バタ足体操

バタ足体操は、便秘解消に効果が期待できる体操のひとつです。
やり方は以下のとおりです。
 

  1. 1. 布団にうつぶせになる
  2. 2. 手を顔の下に置く
  3. 3. 膝を伸ばしたままゆっくり大きく上下させる
  4. 4. バタ足を10回ほど繰り返す

 

お尻叩き体操

お尻たたき体操は、物理的に腸に振動を与えて腸蠕動を促します。
布団の上で以下の手順で行います。
バタ足体操と同じ体勢のまま行うことができます。
 

  1. 1. 布団にうつぶせになる
  2. 2. 手を顔の下に置く
  3. 3. 膝を伸ばしたまま左右交互に膝を曲げる
  4. 4. かかとでお尻を軽く叩いていく
  5. 5. お尻叩きを20回ほど繰り返す

 

つま先のぞき体操

つま先のぞき体操は、効果的に腹筋を鍛えられるため、便秘解消に効果があります。
布団の上で以下の手順で行います。
 

  1. 1. 布団に仰向けになる
  2. 2. 両手を頭の後ろで組む
  3. 3. 身体を少し起こしてつま先をのぞき込む
      ※この時、首だけが動かないように注意してください。
  4. 4. 5回~10回ほど繰り返す

 
 

まとめ

便秘は日常的な対策で予防・改善が十分に見込まれる疾患です。
便秘が引き起こす様々な症状に悩まされないためにも、ぜひ本記事を参考にして便秘予防を行いましょう。
 
すぐに実践できる食事内容や体操など、正しい知識を身につけて健康的な生活を送るための参考にしてください。


 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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