機能性ディスペプシアの症状や治療方法は?簡単なセルフチェック6つも紹介
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機能性ディスペプシアの症状や治療方法は?簡単なセルフチェック6つも紹介
機能性ディスペプシアという病名を初めて耳にする方も多いのではないでしょうか。
機能性ディスペプシアは、2013年に保険診療の適応になった病名です。
胃下垂や慢性胃炎とされていた症状も、最近は機能性ディスペプシアと診断されるケースが増えています。
この記事では、機能性ディスペプシアの症状や原因、検査・治療方法などを解説し、簡単なセルフチェックもご紹介します。
機能性ディスペプシアはどのような病気?
機能性ディスペプシアは、内臓に明らかな異常がないにもかかわらず、みぞおちを中心に慢性的な不調を感じる病気です。
代表的な症状は主に2つ
機能性ディスペプシアの代表的な症状は以下の2つです。
- 1.食後の胃もたれ・早期飽満感を感じる「食後愁訴症候群(PDS)」
- 2.心窩部痛・心窩部灼熱感を感じる「心窩部痛症候群(EPS)」
上記の4症状で1つ以上が半年より前から見られ、3カ月以上続いているものを機能性ディスペプシアと診断します。
ただし、最近では吐き気・げっぷなども診断基準に含めるようになっています。
機能性ディスペプシアの原因
機能性ディスペプシアの原因は正確に解明されておらず、さまざまな要因が絡み合い発病すると考えられています。
- ・胃・十二指腸の運動異常
- ・内臓知覚過敏
- ・ピロリ菌の感染
- ・胃酸分泌
- ・胃の変形
- ・ストレス
- ・生育環境
- ・ライフスタイル
該当項目が多く、症状が半年以上前からで且つ3ヵ月以上続いている方は、機能性ディスペプシアをはじめとした消化器疾患の可能性が高くなります。
機能性ディスペプシアに罹りやすい人は?
海外では、女性や若年、不安を感じやすい方、幼い頃に強いストレスがあった方などに比較的多いという調査結果があります。また、感染性胃腸炎の既往がある方、家族が機能性ディスペプシアを発症している方は、リスクが高まると言われています。
機能性ディスペプシアは、健康診断を受けた方は10人に1人、みぞおち周囲の不調があり受診した方では半数近くに見つかっており、潜在的な患者数は多いと予想されます。
「機能性ディスペプシアかも」まずはセルフチェックしてみましょう!
診断スケールをもとにしたチェックリストで確認してみましょう。
次に、過敏性腸症候群の原因についてみてみましょう。
- 1. お腹が張る
- 2. すぐにお腹がいっぱいになる
- 3. よくゲップが出る
- 4. 空腹時や食後にみぞおちが痛んだり焼けるように感じたりする
- 5. 食前・食後に胃がもたれやすい
- 6. 食前・食後に吐き気をもよおす
機能性ディスペプシアを疑う時は何科を受診すればいい?
みぞおち周囲の不調が主症状の機能性ディスペプシアは、内科で診療します。
ただし、内分泌内科や神経内科などさまざまで、何科を受診するか迷いますね。
みぞおち周囲の不調は、腸や肝臓・膵臓の病気でも現れるケースがあるため、消化器を専門的に診る「消化器内科」を受診すると良いでしょう。
消化器内科についてはこちら
機能性ディスペプシアの検査・治療方法
機能性ディスペプシアは心因的な要因も深く関係するため、質問票や問診で症状に加えて生活環境・習慣を詳しく確認した後に検査をします。
検査方法
機能性ディスペプシアは他の病気との見極めが大切なことから、さまざまな角度で検査を行います。
内視鏡検査が一般的
多くの施設では、上部内視鏡検査(胃カメラ)を使って炎症や潰瘍などの有無をチェックします。
内視鏡検査は必ず行うものではありませんが、検査することで胃炎・潰瘍・がんなどを効果的に判別できます。
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その他の検査はどのようなものがある?
上部内視鏡検査で明らかな病変が見つからない場合は、以下の検査を追加してさらに詳しく調べます。
- ● ピロリ菌検査
- ● 血液検査
- ● レントゲン検査
- ● 腹部エコー検査
- ● 腹部CT検査
検査項目は施設により異なる場合がありますから、受診前に病院・クリニックのホームページや窓口などで確認しましょう。
治療は「内服薬」と「生活習慣の見直し」の2つからアプローチ
機能性ディスペプシアは原因が多岐に渡るため、内服薬とカウンセリング・生活指導の両面からアプローチし、症状改善と再発防止を目指します。
内服薬の種類
機能性ディスペプシアの治療薬には、「胃の働きに関連する薬」と「胃の知覚神経に働きかける薬」があります。
- ● 胃酸分泌抑制薬
- ● 消化管運動機能改善薬
- ● 漢方薬
- ● ピロリ菌陽性の場合は除菌薬
- ● 抗うつ薬・抗不安薬
診療ガイドラインでは、胃酸分泌抑制薬と消化管運動機能改善薬の2つが第一選択薬として推奨されています。
2つの薬で症状の改善がない場合には、漢方薬や抗うつ薬・抗不安薬などを症状に合わせて処方します。
カウンセリングや生活指導で日頃の習慣を見直す
暴飲暴食・喫煙・飲酒など、生活習慣に乱れがある方は生活指導で見直したり、抑うつ傾向がある方はカウンセリング・認知療法などで心理的なケアをしたりします。
機能性ディスペプシアは、症状の個人差が大きな病気です。
つらい症状や気持ちに寄り添ってくれる医師と信頼関係を築くことも、治療を良い方向へ進めるポイントになります。
なかなか治らない?機能性ディスペプシアの予後や合併症について
機能性ディスペプシアは、再発や合併症を起こしやすいと言われています。
根治しにくく数か月で再発するケースも
症状がなくなり治療を終了した患者さんのうち、数ヵ月のあいだに5人に1人くらいの割合で再発するといわれています。
しかし、多くの方が治療を再開することで症状が治まっています。
患者さんの25~50%に合併症状が出やすい
合併症には、過敏性腸症候群・胃食道逆流症・機能性便秘などがあります。
また、うつ・不安などをはじめとした神経症状が現れる方もいます。
機能性ディスペプシアは他の病気が隠れているケースもあり、症状が改善しても治療を中断せず、長い目で体と向き合っていくことが大切です。
まとめ
機能性ディスペプシアは、命に関わるような重大な病気ではありませんが、日常生活に支障が出やすい病気です。また、胃潰瘍やがんと初期症状が似ているため、セルフチェックで確認した後は消化器内科に相談してみましょう。
MYメディカルクリニックでは、機能性ディスペプシアを診る消化器内科があります。口と鼻のそれぞれに対応した内視鏡検査も行っており、鎮静剤を使用することも可能です。「えずいてしまうから苦手」「カメラが怖い」という方も、安心して検査を受けていただけますのでお気軽にご相談ください。
略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師