甲状腺がんとは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/07/31

甲状腺がんとは?原因、症状、治療法について解説

甲状腺がんとは

甲状腺は「のどぼとけ(甲状軟骨)」のすぐ下の気管の前にあり、気管を取り囲むように位置し、重さ10〜20g程度の小さな臓器です。チョウのような形をしており、右葉および左様と中央の峡部からなり、甲状腺の裏側には「反回神経」という声帯や嚥下機能をつかさどる神経が通っています。甲状腺は甲状腺ホルモンを分泌する働きがあり、このホルモンは基礎代謝の亢進、脳や骨の成長、脂質や糖の代謝を促しています。このほかにも、血中のカルシウム濃度の調節に関わるホルモンを分泌する働きがあります。
 
甲状腺がんとは甲状腺の一部に悪性の腫瘍ができた状態のことをいいます。甲状腺がんの人口あたりの罹患率は14.9例(人口10万対)で、他のがんに比べると罹患率はあまり高くありません。甲状腺がんは女性の罹患率が男性に比べて高いという特徴があります。約1:2.5〜3の男女比があります。また、罹患率が増加する特定の年齢層はなく、若年者から高齢者まで幅広く分布しています。さらに甲状腺がんは生涯にわたり健康に全く影響しない潜在がんが多いがんとして以前から知られており、人口あたりの死亡率は1.5人(人口10万対)と他のがんと比べても低く、予後が良いことも特徴の1つです。


 
 

甲状腺がんの原因

甲状腺がんになる明確な原因は分かっていませんが、若いころの放射線被ばくや体重増加や肥満なども原因の一つではないかと考えられています。また、甲状腺がんの中でも髄様がんと呼ばれる種類のがんには遺伝性による発症も見られるため、血縁者に発症している方がいる場合には注意が必要です。

  

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甲状腺がんの症状

症状としては、首のあたりにしこり(結節)を感じる以外ほとんどありません。まれに、違和感や呼吸困難感、嗄声(声のかすれ)、飲み込みにくさ、誤嚥、圧迫感、痛み、血痰などの症状が出てくることがあります。

 
 

甲状腺がんの検査方法

主に触診、超音波検査にて行います。これらの検査で甲状腺がんが疑われる場合、より詳しい情報を得るためにCT・MRI検査やシンチグラフィ検査、穿刺吸引細胞診などを行います。
 

1)診察(問診・視診・触診)

甲状腺がんは遺伝性によるものや過去の放射線被ばくによる関係性も報告されており、症状なども含めてこれらの問診を行います。その後、甲状腺の大きさ、腫瘍の有無、硬さや広がりなどを調べるために、甲状腺周辺部の視診、触診による診察を行います。
 
ぶどう膜炎の原因は数多くありますが、この20年間ではサルコイドーシスが最も多くみられます。
眼科で「ぶどう膜炎」と診断された場合はその原因を調べるために、眼科での詳しい検査に加え血液検査や画像検査などの全身検査を行い、疑わしい場合には内科や皮膚科などを受診して頂くことがあります。サルコイドーシスとすでに診断されている方は自覚症状がなくても眼科を受診することをおすすめします。
 

2)超音波検査

超音波検査とは超音波を体の表面にあて、臓器から返ってくる反射波の様子を画像に映し出して行う検査です。
甲状腺全体の大きさや、内部にあるしこりの大きさや性質の観察、周囲の臓器との位置関係やリンパ節への転移の有無を調べます。
 

3)CT・MRI検査

CTではX線を、MRIでは磁気を用いて体の内部を描き出し、周辺の臓器へのがんの広がりや転移の有無を調べます。
いろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影することで、解剖学的な把握が可能になります。
 

4)シンチグラフィ検査

放射性物質を服用または注射して行う検査です。放出される微量の放射線を専用の装置で検出し、画像にします。
甲状腺疾患では甲状腺シンチグラフィと腫瘍シンチグラフィが用いられ、甲状腺機能(バセドウ病の確認)やしこり、がんの再発の有無を調べるために行います。
 

5)穿刺吸引細胞診

しこりがある場合に、そのしこりが良性か、それともがんを疑うような悪性由来の細胞からできているかを詳しく調べるために行う検査です。
多くの場合、超音波の画像を見ながら甲状腺に細い注射針を刺して、しこりから直接細胞を吸い取ります。その後、顕微鏡で細胞を観察し、病理学的な判定を行います。最終的にしこりが良性か悪性かの判断をするために必要な検査です。
 

6)血液検査

甲状腺がんでは、発生の可能性を調べる腫瘍マーカーはありませんが、がんの状態や病状の把握のため、甲状腺ホルモン(Free T3、Free T4)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、サイログロブリン、カルシトニン、CEAなど必要に応じて各項目の血液検査を行います。

 
 

甲状腺がんの治療方法

甲状腺がんの治療には、大きく分けて外科的治療と内科的治療に分類されます。
外科的治療には手術が該当し、がんの状態により甲状腺をすべて摘出する全摘術、甲状腺の約2/3以上を切除する亜全摘術、甲状腺の片側のみを切除する葉切除術、片側と甲状腺の峡部と呼ばれる部分を同時に切除する葉峡部切除術などがあります。これらはがんのある場所や大きさ、転移の有無などにより選択されます。
 
手術後の合併症としては、甲状腺の切除範囲が大きいほど、甲状腺機能の低下(甲状腺ホルモンの分泌不足)、副甲状腺機能の低下(血液中のカルシウムの不足)、反回神経の麻痺(声のかすれ)などのリスクがあります。甲状腺機能の低下や副甲状腺機能の低下については生涯にわたって甲状腺ホルモン薬やビタミンD製剤やカルシウム剤を飲んで補う必要があります。そのため、甲状腺機能の温存と合併症の軽減を目的とし、再発のリスクが低いと考えられるがんの状態の場合は、全摘術ではなく葉切除術を行うことを検討することもあります。
 
内科的治療には 放射線治療や薬物療法が該当します。放射線治療は、放射線を体の中から照射する方法(内照射)と、体の外から照射する(外照射)があります。内照射による治療は甲状腺全摘出後に行うことがあり、手術によりがんをすべて取り除くことができたと判断された場合でも、わずかにがん細胞が甲状腺内に残っていることもあります。残ったがん細胞に損傷を与え、がん細胞の増殖を抑えることで再発や転移を防ぐために行います。外照射は切除できないがんや手術で腫瘍を取り切れない場合、骨転移による痛みなどの症状を緩和する目的で行うことがあります。薬物療法に関しては内分泌療法、分子標的療法、化学療法が挙げられます。分子標的療法は転移や再発により手術が難しく、放射線治療に効果が期待できない場合、化学療法は悪性リンパ腫などほかの治療では効果がないと考えられるがんの場合に選択される治療法です。
 
治療法は手術が可能な医療機関にて、標準治療に基づき、体の状態や年齢、患者さんの希望なども含めて検討し、担当医とともに決めていきます。

 
 

まとめ

当院では診察と超音波検査を実施しております。超音波検査にて、悪性の腫瘍を疑うような所見を認めた際は、精査機関にご紹介をさせていただいております。
もし、ご自身の首あたりにしこりや違和感を感じることがありましたら一度当院をご受診ください。

 

甲状腺がんの検査方法ついて

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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