風邪とは?原因、症状、治療法について解説
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風邪とは?原因、症状、治療法について解説
風邪とは
風邪(かぜ)は、正式には「風邪症候群」といって、上気道の急性炎症の総称で、症状を指す言葉です。俗称として、消化器のウイルス感染によって、嘔吐・下痢・腹痛など、腹部症状と上記全身症を来した状態を、「感冒性胃腸炎」「お腹の風邪」等と呼ぶこともあります。
風邪は、ウイルスが粘膜から感染して炎症を起こすため、くしゃみ、鼻水、鼻閉、微熱、倦怠感、頭痛、食欲不振といった漠然としたいくつかの症状が比較的緩徐に出現するのが特徴です。
症状はたいてい感染後2日以内に発生します。患者は回復まで大抵7 – 10日間を要し、一部の症状は3週間まで継続する可能性があります。他に健康に問題がある患者は、肺炎に進行する可能性があります。
風邪の原因
原因の80 – 90 %がウイルスの上気道感染症であり、主な影響は鼻に現れます。
ライノウイルスやコロナウイルスが原因であることが多く、基本的に抗菌薬を用いる必要はありません。
ライノウイルス
風邪(かぜ)の原因の約30〜40%を占めるのがこのウイルスで秋や春に多く、年齢を選びません。主に鼻風邪を引き起こします。「普通感冒」とは、この症状のことで、いわゆる鼻かぜやのど風邪のことを普通感冒といいます。
コロナウイルス
1960年代に最初に発見された、主に冬に感染しやすいウイルスです。SARSやMERS、COVID-19(新型コロナウイルス)の症候群は風邪(普通感冒)と区別され、ライノウイルスの次に多いです。
インフルエンザウイルス
英語では “flu” といわれており、一般のかぜ症候群とは分けて考えるべき重くなりやすい疾患です。抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は感染すると重症化しやすく、日本では毎年11月下旬から12月上旬頃に始まり、翌年の1〜3月頃に患者数が増加し、春にかけて減少していくパターンが多いですが、夏季に患者が発生し、インフルエンザウイルスが分離されることもあります。
A,B,Cの3型があり、流行的な広がりを見せるのはA型とB型で、感染した人のくしゃみや席などによって飛び散ったウイルスを含む飛沫を鼻や口から吸い込むことで感染します。(飛沫感染)
アデノウイルス
夏に流行し、プールで感染する咽頭結膜熱(プール熱)として知られています。咽頭炎や気管支炎、結膜炎なども起こします。
パラインフルエンザウイルス
インフルエンザという名称が入っていますが、インフルエンザウイルスとは別のウイルスです。喉頭と下気道に感染しやすく、子供に感染すると大人より重症になりやすいです。秋に流行する型と春~夏にかけて流行する型があります。
RSウイルス
小児発症の原因病原体として最多で、気管支炎や肺炎を起こしやすいです。乳幼児は重症になる場合もあります。年間通じて流行するが冬の感染が多いです。
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エンテロウイルス
風邪症状のほか、下痢を起こしやすく、夏に流行します。
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風邪の症状
症状は、咳嗽、咽頭痛、鼻汁・鼻詰まりなど局部症状(カタル症状)、および発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛などがあります。
鼻汁は通常、風邪の初期はさらさらとした水様で、徐々に粘々とした膿性に変化します。高齢者では、肺炎に至っても発熱は微熱程度のこともあります。
風邪の症状は呼吸器が異物の侵入を防御する働きです。鼻、のど(咽頭・喉頭)、気管、気管支、肺などからなる呼吸器は、常に吸い込んだ外気と触れているので、空気中にウイルスや細菌がいても侵入されて感染しないような防御システムが備わっています。口や鼻、のどの内壁の粘液で異物を付着し、繊毛運動によって外に出すシステムです。
粘液では、異物による感染から体を守る免疫防御機能が働いています。体が異物と戦っていると、異物を出そうとしてくしゃみ、鼻水、咳、たんが出たり、粘膜内部の組織に炎症が起こって腫れ、鼻づまりやのどの痛みなどの症状を引き起こします。発熱は、異物の侵入により体に異変が起こったことを知らせると同時に、免疫の働きが活発になっているサインです。
細菌による二次感染や合併症
人が1年間に風邪をひく回数は平均3~6回です。風邪は4日から1週間程度で治ることが多く、発熱が3日以上続くことはほとんどありません。しかし、風邪をひいている間に別の細菌に二次感染し、色のついた痰が出たり熱が続いたりすることもあります。また、風邪がきっかけになって中耳炎や副鼻腔炎、さらに気管支炎、肺炎、脳症などの合併症を引き起こすこともあります。
また、抵抗力の弱い子供や高齢者の場合、風邪をひく回数は多くなる傾向があります。
医療機関での受診をおすすめする場合
- ・39度を超える発熱(急激に38度を超える場合も)
- ・黄色や緑色の鼻汁、痰(細菌による二次感染が疑われるため)
- ・ひどい、あるいは長く続く咳・痰(他の呼吸器疾患などが疑われるため)
- ・喘息などの慢性呼吸器疾患、糖尿病、心疾患などの基礎疾患を持っている場合(重症化しやすいため)
- ・インフルエンザが疑われる場合
- ・症状が10日以上継続する場合
- ・症状が深刻か、普通でない場合
自然回復日数は平均1.5週間です。診断がついた場合は対症療法を行います。
風邪の治療方法
快癒させる薬はなく、対症療法となります。症状をとるには漢方薬が有効な場合が多いです。その他、鼻づまりには抗ヒスタミン薬、熱、頭痛などには解熱鎮痛薬が用いられます。
東洋医学でも西洋医学でも、安静にして睡眠をしっかり摂ることは、風邪の治療に一番良いとされています。発熱に対しては体力の問題や脱水が危惧される場合のみ冷却し、脱水には注意するが過剰にカロリーを摂取する必要はありません。早期にこれらの適切な一般療法を施し、悪化させないことが重要です。
風邪の予防方法
①風邪ウイルスの感染を防ぐ
風邪は人から人へうつるものです。風邪(かぜ)を予防するには、流行期には人混みを避け、衛生面に気を配って感染ルートを遮断するのが第一です。感染者が咳やくしゃみをするとウイルスを含んだ唾液や鼻水が飛沫となって飛び散るので、風邪をひいている人に近づかないようにしましょう。
空気中に飛散したウイルスを吸い込むだけでなく、電車のつり革や室内の家具などに付着したものを触った手を介して感染することも多いため、手洗いも大切です。うがいはウイルスを落とす効果はありませんが、ホコリや細菌を洗い流してのどや口腔内の粘膜にウイルスが付着するのを防いでくれます。
②風邪ウイルスに感染しにくい、風邪(かぜ)をひかない体づくりをする
温度、湿度のコントロール
冬に空気が乾燥すると、鼻やのどの粘膜が乾燥して体の防御機能が低下し、ウイルスに感染しやすくなります。また、夏場の冷房や冬の寒さなどで体が冷えると、血液循環が悪くなり繊毛運動が弱って、ウイルスが侵入しやすくなります。室内の温度や湿度を適度に保って、感染しにくい環境を整えましょう。
十分な栄養と適度な運動
偏食を避け、バランスよく栄養をとることが大切です。風邪(かぜ)の予防効果を高めるためには、体の免疫システムに欠かせないビタミンCと体のエネルギー産生に必要なビタミンB1群、鼻やのどの粘膜を強化する働きのあるビタミンB2、B6を多くとることがポイントです。アミノ酸の豊富な動物性たんぱく質を食事に取り入れるのも効果的です。
ウォーキングや水泳、ヨガなどの適度な運動で風邪(かぜ)に負けない体力をつけ、免疫力を高めることも大切です。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師