白内障とは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/07/30

白内障とは?原因、症状、治療法について解説

白内障とは

1 目の構造

眼は光を受容する感覚器であり、視覚を生じるために中枢神経系と連動しています。
光は角膜を通過し、この透明な膜は光を通す役割を果たします。角膜は黒目の部分であり、光の焦点を合わせる機能を持ち、強い屈折力を持っています。
 
角膜の奥には虹彩という薄い膜があります。虹彩は黒目の中央部に位置しており、瞳孔の大きさを調節して光の量を調整します。瞳孔を通った光は水晶体で屈折されます。水晶体はカメラの凸レンズに似ており、筋肉の働きによって厚みが調整され、ピントを合わせます。遠くのものを見るときには薄く、近くのものを見るときには厚くなります。
 
水晶体の後方には硝子体があります。硝子体は透明なゼリー状の組織で眼球の形状を保持する役割を果たしています。
そして、硝子体の後ろには網膜が位置しています。網膜はカメラのフィルムに例えられ、入ってきた光を刺激として受け取ります。その情報は視神経を介して脳の視覚野に伝達され、映像として認識されます。
 

2 白内障

白内障は、水晶体を構成するたんぱく質が酸化し、黄白色や白色に濁ることで発症する病気です。
中高年以降の年齢で発症しやすく、加齢に伴い80歳以上ではほぼ100%が発症するといわれています。


 

白内障の原因

白内障のほとんどが、加齢が原因の加齢性白内障です。高齢者社会である日本では頻度の高い病気と言えます。
加齢以外の原因では喫煙、紫外線、放射線、ステロイド薬、糖尿病などが挙げられます。眼は喫煙によるニコチンによる血管収縮、酸素不足の影響を受けやすく、1日20本以上の喫煙で2~3倍白内障のリスクが上がるといわれています。眼に強い紫外線を浴びると、白内障の発症を早めたり、すでに発症している人は進行が早くなります。
 
放射線は水晶体にダメージを与えやすく、被ばく量が多いほど白内障リスクは上昇します。チェルノブイリ原発事故では、短期間に多量の放射線被ばくをした作業員を10年後調査した結果、白内障にかかっていた作業員が多くいたこともわかっています。ステロイド薬の中でも内服薬、喘息治療に用いられる吸入薬が白内障の原因になりやすいといわれています。ステロイド薬が原因の白内障は、加齢性白内障と比較して進行がとても早く、発症から手術が必要となるまで数カ月から1年といわれています。
 
糖尿病にかかっている人は、健康な人の5倍白内障リスクが上昇します。糖尿病が原因の白内障は、中高年以下の人に影響が大きいです。
また、生まれつき水晶体に濁りのある先天性白内障も考えられます。遺伝的な要因と、母親の妊娠中に発症した風疹に胎内で風疹に感染することも原因とされています。

  

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白内障の症状

1 光が眩しく感じる

白内障により水晶体に濁りが生じると、眼に入ってきた光が乱反射を起こし、眩しく感じることがあります。
  

2 視界がかすむ

正常では透明な水晶体に濁りが生じることで、視界がかすんで見えたり、物がぼやけて見えたりすることがあります。
 

3 視力の低下

水晶体の濁りが眼に入ってくる光を遮ってしまうことで、網膜に充分な光が届かず視力の低下を感じることがあります。
 

4 日中と夜間で見え方に違いが生じる

瞳孔の大きさの調節によって光の量を調整していることは先述しました。
明るいところでは入ってくる光を制限したいため瞳孔は収縮し、暗いところでは入ってくる光の量を増やしたいため瞳孔は拡張します。
加齢性白内障では水晶体の辺縁部から中央部に向かって濁りが進んでいくため、瞳孔が収縮している明るいところでは無症状でも、瞳孔が拡張している暗いところで辺縁部の濁りが光を遮り、見えにくさを感じることがあります。
 

5 物が二重・三重に見える

水晶体に濁っている部分と透明な部分が混在することにより、眼に入ってくる光の屈折力が水晶体の場所によって違いが生じ、光が拡散されて網膜に入ってくることがあります。これが原因で物が何重かに重複して見えることがあります。

 
 

白内障の検査方法

1 視力検査

裸眼での視力と、メガネやコンタクト等の矯正視力を比較します。矯正しても視力が上がらない場合に白内障が疑われます。
  

2 眼底検査

眼の奥の網膜や神経の出入り口、血管の写真を撮影する検査です。
白内障の疑いがある場合、水晶体の濁りにより眼底の所見が観察しにくくなることがあります。
 

3 眼圧検査

眼球の硬さを測定する検査です。眼に風を当てることで眼の表面を一時的にへこませ、元に戻る時間から眼圧を測定します。
眼圧が正常時よりも高い場合、緑内障と診断されることが多いですが、白内障が進行すると眼圧が高くなることがあります。
 

4 屈折検査

近視や遠視、乱視などの屈折異常の有無、どのくらいの強さで近視や遠視が起こっているか調べる検査です。
 

5 細隙灯顕微鏡検査

帯状の光を眼に当て、眼球の様子を細隙灯と呼ばれる拡大鏡で観察する検査です。
白内障であった場合、水晶体の濁りが観察されます。水晶体の濁りのある部分や濁りの強さが評価できます。

 
 

白内障の治療方法

初期の白内障では点眼治療や内服薬による治療が行われます。これらは白内障の進行を抑えることが目的で、治療をしても水晶体が透明に戻ることはありません。
 
日常生活に支障が出るほど白内障が進行した場合は外科手術を行うことが一般的です。
超音波やレーザーを用いて濁ってしまった水晶体を取り除き、代わりに眼内レンズを挿入するというものが基本的な流れとなります。
多くは局所麻酔で実施され、患者様の全身状態や手術後の通院に問題がなければ、日帰り手術を実施している施設もあります。

 
 

白内障の予防方法

白内障の主な原因は加齢によるものですが、加齢は避けようのないものです。加齢以外の要因について予防策を組み込んだ生活をしていきましょう。
 

1 抗酸化作用のある食物を摂取する

水晶体は、たんぱく質の酸化により濁りが生じます。この酸化を防ぐためには抗酸化作用のある食物を摂取することが効果的です。
抗酸化作用のある栄養素にはビタミンC、カルテノイド、ポリフェノールなどが挙げられます。ビタミンCは緑黄色野菜やフルーツに多く含まれます。ビタミンCは水溶性なので、生で食べることがおすすめです。

また白内障のリスクとなる喫煙は、ビタミンCを破壊する作用があります。カルテノイドは緑黄色野菜や黄色、オレンジ、赤色のフルーツに多く含まれます。
主な食物はパプリカ、トマト、ほうれん草、みかんなどです。ポリフェノールが多く含まれる食物は、プルーン、りんご、赤ワイン、コーヒー、紅茶などです。フルーツは皮ごと食べるのがおすすめです。これらの食物を普段の食生活に取り入れることで、白内障の予防策となります。
 

2 紫外線を防ぐ

眼から入る紫外線の量をできるだけ少なくすることで、白内障リスクを下げることができます。
外出時にはつばの広い帽子や、メガネ、サングラスの着用により予防が可能です。つばの広い帽子で約20~30%、サングラスは約90%程度、眼に入る紫外線をカットすることが期待できます。
 

3 糖尿病対策をする

白内障リスク因子である糖尿病対策として、生活習慣の改善をすることにより白内障の予防につながります。
バランスのとれた食事、適度な運動を生活に取り入れ、血糖値を適切に管理しましょう。

 
 

まとめ

白内障は主な原因が加齢であり避けることのできない病気ですが、早期発見により進行を遅らせることが可能です。
MYメディカルクリニックでは視力検査、眼底検査、眼圧検査を行っています。光が眩しく感じる、眼のかすみや見にくさ、物が何重にも見える等、気になる症状がございましたらお気軽にご相談ください。

 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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