大腸ポリープとは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/07/27

大腸ポリープとは?原因、症状、治療法について解説

大腸ポリープとは

大腸ポリープとは、大腸の内側の空間部分(内腔)の粘膜の一部が、いぼのように盛り上がって内側に飛び出している状態のことを言います。40歳以降の方に多く、高い確率で発生する部位は直腸やS状結腸といわれています。ポリープの大きさは数mmの小さなものから数cmに及ぶものまであり、大きさは人によって異なります。
 
大腸ポリープにはさまざまな種類がありますが、大きく分けて腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分類されます。このうち腫瘍性ポリープは将来的にがんになる可能性が高いので、基本的には見つかった段階で切除することが大腸がんを予防する上で非常に大切なこととなります。非腫瘍性ポリープはさらに炎症性ポリープ、過形成ポリープ、過誤腫性ポリープ(若年性ポリープ)に分類されます。腫瘍性ポリープとは反対に、非腫瘍性ポリープは特に大きいものや多発するなど特殊なケースを除き、基本的にはガン化しないことがほとんどです。


 

大腸ポリープの原因

大腸ポリープそのものができる原因は実はまだはっきりと分かっていませんが、主に遺伝子の異常が関係しているのではないかと考えられています。ただ、遺伝子の異常だけでポリープができるのではなく、遺伝子の異常に加え、ある程度の外的要因が必要とも考えられます。 
 
この外的要因とは、過度の飲酒や喫煙、脂っこい食べ物中心の乱れた食生活、不規則な生活習慣などがあります。
これらの外的要因と遺伝子異常がかけ合わさることでポリープの形成に繋がっていると考えらえています。
 
また、大腸ポリープの中には家族や親戚内で頻発するポリープである家族性大腸ポリポーシスという疾患もあります。 
この病気は遺伝により発症することが明らかになっていて、10代頃からポリープが出来始め、いずれは数百個〜数千個程度のポリープを形成してしまいます。 
家族性大腸ポリポーシスは治療せずに放置すると、将来的にほぼ100%大腸がんになると言われています。


 

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大腸ポリープの症状

腹痛や下痢、腹部の膨満感などが出ることもありますが、基本的にはポリープの大きさが小さい初期の段階では自覚症状はありません。
これがだんだんと大きくなると血便や粘液の混ざった便となることがあります。割合は多くはないですが、健康診断の便潜血検査で陽性になったりすることで発見に繋がることもあります。

 
 

大腸ポリープの検査方法

大腸ポリープを発見するための簡単な検査として、まず便潜血検査があります。ポリープが大きくなると、排便時に擦れて出血し、その結果便潜血検査で陽性になることがあります。 
この検査で陽性の場合は、精密検査として大腸内視鏡検査などが行われます。ただし、便潜血検査の結果が陽性だからといって必ずしも大腸がんやポリープがあるわけではありません。大半は痔などのほかの病気が原因だとされています。 
 
大腸内視鏡検査は肛門から内視鏡を入れて大腸の内部を観察します。早期の大腸がんや、大腸がんになる可能性が高いポリープを見つけることができる検査であり、もし何か病変があったときは、病変の組織を一部採取して顕微鏡で調べることで、がんではないかどうか確定診断をつけることもできます。 要治療となる腺腫性ポリープなどは、検査と同時に切除治療することも可能です。 
 
大腸ポリープが発見された場合、治療が必要なポリープかどうかを確認するため、色素内視鏡検査(大腸内に青い色素を散布してポリープを詳しく見る)などが行われることもあります。



  

大腸ポリープの診断方法

ポリープが発見されたら、まずそれが放置してもよい非腫瘍性のものなのか、それとも腺腫などの治療する必要があるものなのかを確認しないといけません。 
これには無害な青い色素を病変に散布して内視鏡で観察する「色素内視鏡検査」という方法を用います。 
 
治療が必要と判断された場合は、次にその病変が良性の腺腫か、それとも腺腫の中にがんを含む腺腫内がんかを鑑別する必要があります。 
内視鏡で拡大観察することである程度の鑑別は可能ですが、原則的には病変を切除して、その組織を顕微鏡で確認する病理組織検査(生検)を行うことで最終的な診断がなされます。


  

大腸ポリープの治療方法

大腸ポリープのほとんどの場合は内視鏡による治療が適用となります。手術が必要と判断された場合は外科手術による治療を行います。
 
一般的には大きさが6mm以上の良性ポリープと、リンパ節に転移している可能性がほとんどなく、内視鏡を使って一括で切除できる限局的ながんが内視鏡治療の適応となるポリープです。 
ただし、径5mm以下の良性腫瘍でも、茎がなく、平坦あるいはへこんだ形のものや、がんとの区別が難しいものは内視鏡治療の適応となります。 
 
内視鏡でポリープ、がんを治療する方法にはいくつか種類があります。代表的なものとして、「ポリペクトミー」、「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」、「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」などがあります。 
これらは病変の形や大きさに応じて使い分けられることが一般的です。

 

ポリペクトミー

ポリープの茎にスネアという金属性の輪をかけて、そこに高周波の電流を流してポリープを切り取る治療法です。
茎のあるタイプのポリープに用いられます。
 

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

粘膜の下に薬液を注入し、ポリープを持ち上げて、スネアをかけて切り取ります。茎のない平坦なタイプのポリープに用いられます。
 

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

粘膜の下に薬液を注入して専用の電気メスで病変の周囲の粘膜を切開して病変を少しずつ剥離して切除します。
ポリペクトミーだとリスクがあるような大きな病変や、薬液を入れても持ち上がらないようなポリープのときなどに用いられます。


  

大腸ポリープの予防方法

大腸ポリープの予防にはビタミンDが効果的とも言われていますが、はっきりとした予防法は今のところありません。 
遺伝子の異常が関係している以上、ポリープができること自体はある程度仕方がない部分が大きいです。ただし、できてしまったポリープをがん化させないという意味では予防方法はいくつかあります。
 
大腸がんに限らずですが、脂肪の摂りすぎ、牛や豚などの赤身の肉の食べ過ぎ(鉄分の摂りすぎはよくないといわれています)、過度のアルコール摂取や喫煙などがリスク因子と言われていますので、なるべく赤身の肉から鶏肉や魚中心の食生活に切り替えたり、十分に食物繊維を摂取する、適度な運動を習慣化することなどを意識することが大切です。 
また、定期的に大腸がん検診を受診して、自分の大腸の状態を普段から把握することがとても重要です。


  

まとめ

大腸ポリープは、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープの2つに分類されます。腫瘍性ポリープの中でもがんになるリスクが高いのは腺腫です。 
一般的に大腸ポリープは40歳以降に好発しますが、家族性の場合は10代からポリープが発生し、将来的に数百〜数千個のポリープが形成されることもあります。この家族性ポリープは放置するとほぼ100%大腸がんに進展します。
 
大腸ポリープの検査方法には便潜血検査や内視鏡検査があります。内視鏡検査では、ポリープが見つかった場合に良性か悪性かを判断するために色素内視鏡検査も行われることがあります。 
ポリープが良性か悪性かを確定するためには、病変を切除して顕微鏡で詳細に確認する病理組織検査(生検)が行われます。これが最終的な診断となります。
 
大腸ポリープの治療には、内視鏡を用いる方法と手術の2つがありますが、ほとんどの場合は内視鏡を使用したポリペクトミーやEMR、ESDなどが選択されます。 
明確な予防法は存在しませんが、大腸ポリープをガン化させないためには日頃の食生活や生活習慣を見直すことが重要です。また、大腸がん検診を定期的に受診することも大切です。

 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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