感染性胃腸炎についての種類と治療、予防法について解説

  • クリニックブログ
2024/04/26

感染性胃腸炎についての種類と治療、予防法について解説

ある日突然、突然の嘔吐や下痢の症状が現れたら胃腸炎が疑われます。一口に胃腸炎と言っても、いくつか種類があることをご存知でしょうか。
 
今回は「感染性胃腸炎」についてご紹介します。感染性胃腸炎の種類や治療の解説、予防やワクチンついての解説もしますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

感染性胃腸炎とは

まずは、感染性胃腸炎とはどのような病気なのかをご紹介します。
 
毎年、感染性胃腸炎は秋から冬にかけて流行します。お子様が保育園などでノロウイルスやロタウイルスに感染して、突然嘔吐や下痢などの症状が現れることで知られている感染性胃腸炎には、いくつか種類があることはあまり知られていません。
 
今回は感染性胃腸炎について分かりやすく解説します。

感染性胃腸炎には3種類ある

胃や腸に起こった炎症が原因で嘔吐や下痢、腹痛などの症状が現れる病気を総称して胃腸炎と呼んでいます。そのなかでも、ウイルスや細菌に感染して起こる胃腸炎を感染性胃腸炎と呼んでいます。その感染性胃腸炎は、感染経路などによって次の3種類に分類されます。

 

  • ● ウイルス性胃腸炎
  • ● 細菌性胃腸炎
  • ● ストレス性胃腸炎

 
感染性胃腸炎の種類によって、治療法や有効な薬も異なるため、それぞれの感染原因を正しく理解しましょう。
 

ウイルスによる感染性胃腸炎

ウイルスが体内に取り込まれることで引き起こされる胃腸炎は「ウイルス性胃腸炎」と言われます。ウイルス性胃腸炎になる原因は、水や食品の摂取、人から人への感染のほか、犬や猫に接触して感染する経路があります。
 
ウイルス性胃腸炎の原因になるウイルスは次の種類があります。これらのウイルスが体内に侵入し感染してしまうと、潜伏期間を経て症状が現れます。

 

表は横にスクロールします

ウイルス名 感染経路 潜伏期間
ノロウイルス カキなどの貝類 1~2日
ロタウイルス 飲料水、食物 1~3日
アデノウイルス 人のくしゃみ、咳などの飛沫
ドアノブ、つり革、ハンカチ、おもちゃなどの接触
5~7日
アストロウイルス カキ、アオヤギなどの二枚貝、飲料水 1~4日

 

 ウイルス性胃腸炎について詳しくはこちら

詳しくはこちら

 

細菌が原因の細菌性胃腸炎

細菌による感染性胃腸炎は、大腸菌などの細菌により起こります。一般的には食中毒ともよばれていて、貝などの食品が感染経路になります。
 
細菌性の感染性胃腸炎は、体力や免疫力にも関連しているので、同じ食べ物を食べても感染性胃腸炎の症状が現れない方もいます。また、細菌による感染性胃腸炎は、爬虫類などのペットを介して感染することがあります。
 

表は横にスクロールします

細菌名 感染経路 潜伏期間
病原大腸菌
(腸管出血性大腸菌以外)
弁当や給食が原因で発生する事がある。
多くの場合、原因になる食品の特定は難しい。
1~72時間
サルモネラ 卵や卵製品、洋菓子など 加熱不十分な肉類 5~72時間 平均的に12時間
腸炎ビブリオ 魚介類の刺身、すし類など生もの 10~24時間
カンピロバクター 鶏肉、牛生レバー、井戸水 2~5日

 

寄生虫などによる感染性胃腸炎

感染性胃腸炎の中でも寄生虫によるものは、クリプトスポリジウム、ランブル鞭毛虫という寄生虫が原因になります。寄生虫による感染性胃腸炎は、水道水や食品が寄生虫に汚染され、それらを知らずに飲食して感染します。
 
特に、衛生設備や下水道が整備されていない国に渡航して、現地で飲料水や食事をとったり、水泳をしたりした際に感染する場合がほとんどです。ランブル鞭毛虫は、熱帯や亜熱帯地域への渡航時、人から人へ感染する他、食品、飲料水が原因で感染します。人から人への感染は、感染者の便が口に触れることで起こります。
 

表は横にスクロールします

寄生虫名 感染経路 潜伏期間
クリプトスポリジウム 飲料水、食品、水泳 3~10日、ほとんどが9日以内
ランブル鞭毛虫 熱帯や亜熱帯地域の渡航で人から人への感染、食品、飲料水 1~2週間程度

 

感染性胃腸炎の症状は

感染性胃腸炎の主な症状は、発熱、下痢、嘔吐、腹痛、悪心、全身倦怠感です。これら6つの症状は、ウイルス性、細菌性ともに共通した主な症状で、血便が出ることもあります。また、細菌性による感染性胃腸炎では、血液中に細菌が侵入して敗血症を起こす恐れがあります。寄生虫による感染性胃腸炎は、下痢の症状がないこともあります。
 
高齢者や慢性的な疾患を抱える方は重篤な状態になりやすく、体内の水分量バランスが崩れてしまったために腎不全などを発症するリスクもあります。

 

食中毒との違いは

食中毒や食あたりも感染性胃腸炎の1種で、細菌が食品を通して体内に侵入して発症する感染性胃腸炎のことを示します。食中毒は原因の細菌が強い毒素を産生して胃腸炎を起こした場合、食あたりは抵抗力が弱った人が通常であれば無害な菌に反応して胃腸炎を起こした場合に用いられることが多いです。

 
 

感染性胃腸炎の治療方法

感染性胃腸炎は、嘔吐や下痢など水を飲むことも辛い症状が起こります。医療機関にもよりますが、症状が酷い場合には入院が必要になることもあります。感染性胃腸炎の治療法について、どのような薬を使用するのかを解説します。

感染性胃腸炎の薬は整腸剤や制吐剤、抗菌薬を服用

感染性胃腸炎の治療は医療機関にもよりますが、医院やクリニックの通院の場合には、整腸剤、制吐剤、熱がある場合には解熱剤を処方され、服用します。また、ウイルスに感染した場合の感染性胃腸炎の症状は、一般的に3~4日程度で症状は軽くなります。
 
脱水症状が酷く入院をした際、細菌性胃腸炎の場合には水分補給も兼ねて抗菌薬を点滴することもあります。

 

十分な水分補給

嘔吐や下痢によって脱水症状になると命の危険があるため、水や薄いリンゴジュースなどを少量ずつ、ゆっくり飲むようにします。特に乳幼児や高齢者の方は下痢や嘔吐により脱水が起きたり、体内のミネラルやカリウムといった体に必要な電解質のバランスが崩れたりしてしまいます。そのため、専用のイオン飲料を頻回、少量ずつ飲ませたり、点滴で補ったりすることもあります。
 
ちなみに、アルコールは脱水を助長させてしまう恐れがあるため、飲酒などは控えてください。また、お子様や高齢者の方は自覚症状が薄く、気づいたら重度の脱水症状になっていることもあるため注意しましょう。

 

検査でウイルスを特定する必要はあまりない

一般的に医療機関で何のウイルスかを検査で特定することは、必須とはされていません。これは、感染性胃腸炎の治療法が原因によって変わることはまれだからです。また、どのウイルスが原因でも、感染対策をしっかり行っていれば人から人への感染は予防できます。
 
出席停止が必要になる学校感染症などの疑いがある場合は、医師から指示があるでしょう。
 
医療機関によっては、検査でウイルスを特定できるところもありますので、気になった場合は医師に確認してみましょう。

 
 

感染症胃腸炎にかかったら

感染性胃腸炎にかかってしまったら、自宅で十分な水分補給をしつつ安静にすることが大切です。特に小さなお子様や高齢者の方は、下痢や嘔吐、発熱で脱水症状になってしまいますので、水分補給は欠かせません。
 
以下で、感染症胃腸炎になってしまった場合の具体的な対処法についてお伝えいたします。
 

感染症胃腸炎の時におすすめの飲み物

感染性胃腸炎になったら、脱水症状の予防のため、1日約1,000mLから1,500mLの水分補給をしましょう。ただし、アルコールやコーヒー、みかんやグレープフルーツなどの柑橘類のジュース、冷たい飲み物、牛乳は避ける必要があります。
 
おすすめの飲み物としては以下があります。
 

  • ● 熱すぎず、温かいと感じる白湯
  • ● カフェインが入っていないほうじ茶
  • ● OS-1などイオンドリンク
  • ● 冷たくない薄いリンゴジュース
  • ● 野菜スープなど

 

食事は吐き気が治まってから

食事は、吐き気があるうちは無理に食べなくても大丈夫です。症状が治まったら消化の良いおかゆやうどん、スープなど温かい食べ物を少しずつ食べると良いでしょう。
 
おすすめの食べ物は以下になります。
 

  • ● おかゆ
  • ● うどん
  • ● 白身魚
  • ● 消化の良いスープなど
  • ● バナナ
  • ● トースト

 

十分な休息を取り安静にする

大人でも、症状がある時は自宅で安静する必要があるため、無理をするのは禁物です。十分に休息をとり、自己免疫力を高めてウイルスや細菌に対処することが大切です。

 

嘔吐物などの処理や掃除は使い捨て手袋を

家族の方はお子様などの嘔吐物を直接手で触れないように、使い捨て手袋などを使い二次感染の予防に努めましょう。床などの掃除をする際には、必ず窓を開けて換気をし、次亜塩素酸ナトリウムや塩素系漂白剤を浸み込ませた雑巾などで素早く水ぶきします。この時にも使い捨て手袋を使用しましょう。
 

症状や高熱が長引く時は早めに医療機関を受診

お子様や高齢者の方で腹痛、高熱が続き、尿の量が少なくなったら、無理をせずに早めに医療機関を受診してください。無理をして自宅療養を続けていると、重篤な状態に陥ってしまう可能性もあります。
 

感染性胃腸炎は1~8日程度で症状は治まる

感染性胃腸炎の嘔吐や下痢の症状は、何に感染したかにより何日で治まるかが異なります。通常1日から長いもので2週間程度で、下痢や嘔吐、発熱の症状が治まります。

 

感染 症状が治まるまでの日数
ノロウイルス 1~3日程度
ロタウイルス 下痢・嘔吐 3~8日程度
発熱 半日~1日程度
病原大腸菌
(腸管出血性大腸菌以外)
5~7日
サルモネラ 2~7日
腸炎ビブリオ 2~5日
カンピロバクター 3~6日
クリプトスポリジウム 数日から2~3週間
ランブル鞭毛虫 下痢 1~2週間程度


 
 

感染性胃腸炎の予防方法

感染性胃腸炎にならないための4つの予防法をご紹介します。秋から春先にかけてのウイルス性の感染性胃腸炎が流行する季節には、特に気をつけて自宅で徹底して行いましょう。

石鹸で手洗いと料理器具などの加熱消毒

感染性胃腸炎を予防するために有効なのが、石鹸による手洗いやうがいの徹底です。ロタウイルスやノロウイルスなどのウイルスにはアルコール耐性があるため、水で洗い流すことが重要です。
 
調理器具やキッチンで使うふきんは85℃以上の熱湯で消毒しましょう。食器も別にすることが大切です。

 

入浴時は可能な限りシャワーだけにする

感染性胃腸炎にかかっている間はもちろん、嘔吐や下痢といった症状が治まりかけても、入浴時は可能な限りシャワーだけにすることが大切です。下痢の症状が治まっても、2週間程度はウイルスが体内から便の中に出ています。
 
湯船に浸かるとウイルスがお湯に混入してしまいますので、どうしても湯船に入りたい場合は、お尻をよく洗い、家族の中で最後に入浴しましょう。お風呂の湯は毎回栓を抜いて新しい湯を使いましょう。浴槽、床、洗面器、椅子、シャワーヘッドの持ち手部分は、必ず希釈した塩素系漂白剤を使い消毒が必要です。

 

タオルは共有せず家の中は消毒を徹底

家族の方は、感染者と入浴時のタオルは共有せず、清潔な個別のものを使用してください。また、感染性胃腸炎の症状がある方が触れたドアノブや便座など、家の中で共有する場所は希釈した塩素系漂白剤をつけた布などで拭き取り、消毒しましょう。

 

共有のトイレはマスク着用、流す時にはフタを閉める

トイレを使用する時は、必ずマスクをして感染者の体内から放出されたウイルスを吸い込まないようにしましょう。感染性胃腸炎のウイルスは、数時間もトイレ内に浮遊しています。トイレを流す際には、洋式トイレならフタをして流しましょう。
 
塩素系の漂白剤を薄めたものを振りかけ、こまめに消毒することが必要です。

 

食品は加熱・洗浄をしっかりと行う

感染性胃腸炎の症状がある間は、辛い食べ物などの刺激物や、刺身や寿司などの生ものは避けることが重要です。野菜や果物などの生鮮食品はしっかり水で洗いましょう。
 
また、肉類やカキなどの二枚貝には、感染性胃腸炎の原因になるウイルスや細菌がいるため、十分な加熱を心がけることが感染予防につながります。特に二枚貝は、十分に火を通さないとウイルスが死滅しないので注意しましょう。


 
 

感染性胃腸炎のワクチンについて

感染性胃腸炎の重症化を防ぐために、ロタウイルスの予防接種を受けることができます。特に、乳幼児や小さなお子様は、床に手をついた手を口に入れるなどで感染するリスクが高いうえに、嘔吐や下痢の症状が現れたら脱水症状などに重症化しやすいです。
 
ワクチンには2種類あり、接種回数が2回のものと3回のものが選べます。1回目の接種は、どちらも生後6週から生後14週6日までの間に行う必要があります。生後15週以降に接種を開始することは推奨されていないので、接種し忘れには十分注意が必要です。


 
 

まとめ

ここまで「感染性胃腸炎」についてご解説しました。感染性胃腸炎は感染経路により、3種類に分けられています。しかしウイルス性の場合、検査などはほとんど行わず、対症療法が基本です。共用のタオルや物に触れるだけで感染してしまう恐れがあるため、手洗いと消毒の徹底が求められます。
 
石鹸での手洗いをしっかりと行い、タオルは別にして、感染者が触れた物は熱湯や希釈した塩素系漂白剤を使った消毒で二次感染を防ぎましょう。

 胃腸炎について詳しくはこちら

詳しくはこちら

 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
一覧に戻る