熱中症とは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/06/07

熱中症とは?原因、症状、治療法について解説

熱中症とは

熱中症とは、暑い環境にいることで、身体の反応がうまくいかなかった時に起こる様々な状態のことです。体温調整がうまくできないことや、体温を下げようと汗をたくさんかくことで水分やミネラルなどが失われることによって色々な症状がでます。症状は、吐き気、全身倦怠感、立ちくらみ、頭痛などが多いです。軽症の場合は家でも様子をみられますが、重症の場合は命を落とすこともあるので迷った場合は、医療機関に受診してください。



 

熱中症の原因は

熱中症は、暑かったり湿度が高かったりする環境で、身体がうまく適応できないことが原因です。暑くなれば人は汗をかいて身体を冷やそうとします。しかし、汗をかいて身体が冷えるスピードが、暑さに追いつかなければ身体は熱いままになり身体の機能が狂い始めます。
また、汗の中には、塩分を含むミネラル分がたくさん含まれています。汗をかきすぎると、水分とミネラル分が大量に抜けてしまい、脱水になるとともにミネラルのバランスが乱れて身体の細胞が悲鳴をあげて様々な症状が出ます。
高齢者や小さい子どもは特に熱中症になりやすいので注意が必要です。高齢の方は、喉の乾きや暑さを自覚しにくいですし、身体の水分も少なくなるので脱水になりやすく、熱中症が起きやすいです。また、身体機能も落ちているので、熱中症になったら重症化しやすいです。
小さい子どもは、代謝が非常に良いので体温が元々高めで、体温をうまくコントロールできないので熱中症を発症しやすいです。また、小さい子どもは身体が未発達なため、熱中症が重くなりやすいです。
また、肥満の人は皮下脂肪が多いので、熱が体内にこもりやすく熱中症になりやすいです。疲れや寝不足、運動不足、下痢などでも熱中症を発症しやすいです。

 

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熱中症の症状は

熱中症になると、様々な身体の症状が出ます。熱中症には軽症から重症まであり、症状の程度によって重症度が決まります。
軽症の場合は、足がつる、めまい、全身倦怠感、頭痛などが起こります。暑い中で過ごすと体温が上がり、身体の表面の血流が増えて頭や足に流れる血液の量が減ります。そうなると血圧が少し低くなりますが、やや脱水傾向にもなっていることでより悪化しやすく、めまいやだるさ、頭痛、足がつるなどの症状が出てきます。
中等症の場合は、身体の脱水症状やミネラル分のバランスがより重症になります。症状としては、嘔吐や強い倦怠感などが現れます。また、ミネラルバランスが狂うことで手足がつり、筋肉がけいれんを起こすこともあります。
重症の場合は、高体温状態が続き、体温を下げようとしてもコントロールがつかなくなった状態で、脳にも影響してきます。立ち上がれなくなり、意識がもうろうとします。熱射病と呼ばれる状態であり、身体が非常に危険な状態にさらされます。

 

検査方法と検査ができる時期/潜伏期間

熱中症を診断する特別な検査はありません。暑い中にいた状態で体調が悪くなったら熱中症を起こしている可能性があります。まずは問診で状況を整理するとともに、脱水がないか皮膚や口の中、指先を診察し、必要に応じて血液検査や尿検査などを行います。
血液検査や尿検査では、熱中症の重症度を評価できます。重症になると、血液の凝固機能が崩れ、肝臓や腎臓、筋肉などが悲鳴をあげるので、それらの有無をチェックします。また、血液検査では脱水の程度も調べられます。

 


 

熱中症の治療は?

熱中症が疑わしい場合は、まずは涼しい環境に移動してください。クーラーがきいている室内や風通しが良い日陰などがおすすめです。次に着ている衣類をできるだけ脱がせて、こもっている熱を逃がしてください。肌に水をかけ、氷などを使って太ももの付け根や脇の下、首などを冷やしながら、扇風機やうちわなどで風を身体にかけてください。
水分がとれそうであれば、スポーツ飲料などの塩分が入った飲料水や水を飲んでください。吐き気などがある際には無理に飲まなくても問題ありません。意識がもうろうとしていると肺に水が流れる危険性があるので注意が必要です。
病院を受診すれば、まずは点滴治療を行います。さまざまなミネラルが含まれた点滴を血管から入れることで、効果的に脱水を改善できます。また、重症の場合や、元々身体が弱い場合などは入院が必要になります。入院して点滴をしながら少しずつ身体の機能を回復させていきます。

 

熱中症の予防方法は?

熱中症を予防するには、まずはこまめに水分補給をするのがおすすめです。喉がかわいてからではすでに脱水気味になっておりタイミングが遅いので、喉がかわく前に定期的に水分を飲むようにしましょう。食事以外に、1日に1000〜1200ml程度の水分をとるようにしてください。水分は、水よりもミネラル分も補えるスポーツ飲料や経口補水液がおすすめです。特に屋外でスポーツなどをして大量の汗をかく場合にはミネラル不足に注意してください。
屋内で過ごす時には、エアコンや扇風機を使って部屋を涼しくしてください。汗をかかなくても体温が高ければ、自然と身体からは水分が出ていってしまいやすいです。実際に屋内で熱中症になる方もかなり多いです。28℃を目安に部屋を涼しく過ごしやすくしてください。
風通しのよい涼しい服装を心がけてください。熱が身体にこもっていると、外の温度よりも体温が上がってしまって熱中症のリスクになります。汗を外に出すことで蒸発し、体温を下げることができます。日焼け対策のために長袖のカーディガンなどを着ている方は熱がこもりやすいので気をつけてください。
暑いときには無理をしないのも大切なポイントです。少しでもしんどいなどの体調不良を感じたらすぐに休んでください。我慢をしてそのまま活動していると、熱中症になり重症化して、場合によっては命の危険性も出てきます。

 

まとめ

熱中症とは、暑い環境下で、高体温になった身体がうまく体温をコントロールできずに脱水症状やミネラル不足による症状を起こす疾患です。小さい子どもや高齢者は特に脱水になりやすいので注意が必要です。
軽症から重症まであり、さまざまな症状が出ます。軽症では、足がつる、めまい、全身倦怠感、頭痛などが出ますし、重症化すると意識がもうろうとして筋肉がけいれんすることもあります。
熱中症を疑ったら、涼しい日陰や屋内に移動して体温を下げるために身体を冷やし、脱水やミネラル不足を改善するために、塩分を含んだスポーツ飲料などを飲んでください。病院では点滴治療をメインに行います。
熱中症の予防としては、喉がかわいてなくてもこまめに水分補給をして暑い時には無理をしないことが特に重要です。

 

熱中症について

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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