うつ病の症状と原因について解説

  • クリニックブログ
2023/06/06

うつ病の症状と原因について解説

うつ病とは

うつ病とは、精神的、身体的ストレスのせいで、脳がうまく機能しなくなった状態です。食欲がわかない、疲れやすい、眠れないなどの普段の生活に支障がでてきます。物事のとらえ方や考え方がネガティブになります。
日本人の約6%が一生のうちに発症するという、誰でも発症する可能性がある疾患で、出産や妊娠、更年期などを経験する女性の方が発症しやすいという特徴があります。うつ病かなと思ったら必ず心療内科や精神科に相談するようにしてください。十分な休養を取るのが重要です。
うつ病は、症状の程度により異なりますが、通常は約3ヶ月から半年間かけてよくなります。また、治療をはじめてすぐに合う内服薬が見つかってその後も問題なく継続できれば、1〜2ヶ月で大きく改善する方もいます。



 

うつ病の原因は

うつ病の原因は現代でも明確なことは分かっていませんが、やる気や気持ちを制御する脳が不調になって発症すると言われています。また、身体的ストレスや精神的ストレスがきっかけになっていると考えられています。
周りから負担になるような悪いストレス以外にも、仕事で昇進した、結婚・出産したなどの一見良さそうな出来事でもうつ病を発症するきっかけになります。
うつ病の発症のメカニズムはまだよく分かっていません。数ある原因のひとつとして神経伝達物質であるセロトニンが関係しています。セロトニンは他の神経伝達物質などをコントロールして、精神がうまく安定するように調整しています。
セロトニンは、体内で必須アミノ酸から作られて脳の中核に貯められています。セロトニンの濃度が低くなると感情がうまくコントロールできずに、不安が強い、気分が落ち込みやすい、怒りっぽいなどの精神症状があらわれたりします。

 

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うつ病の症状は

うつ病を発症すると、何をしても楽しくない、一日中気分が落ち込んでやる気がでないなどの症状がでます。特にきっかけとなるような原因がないことも多いです。
うつ病では、病状の程度によって症状が様々です。軽症の場合は、物事にやる気が起きず身体がだるくなります。単に疲れているだけと思われることが多く、周りに少し違和感があっても自覚症状がないこともあります。イライラしたり、集中力が低下したり、飲酒量が増えたりネガティブになったりします。
中等症になると、寝られず活力がわきにくくなります。職場でも仕事が進まずミスも増えてしまいます。なんとかうまく仕事をしようと頑張ってもできない自分に嫌悪感がある場合もあります。めまいや動悸、頭痛、息切れ、食欲不振、便通異常、性欲低下、過眠、不眠などの症状がでます。
重症になると、普段の生活や職場で周囲とコミュニケーションをとるのが明らかに困難になります。希死念慮という、自分は死んだ方が良いなどの感情が生まれて入院が必要な場合もあります。

 

検査方法と検査ができる時期/潜伏期間

うつ病は、下記のような症状があるかどうかを問診して診断します。本人の自覚症状と、家族や親しい方などの周囲の方からの情報も重要です。うつ病は目に見えない心の病気なので問診が一番重要な検査です。質問や考え方は診察する医師個人によってしまうので、この曖昧さをなくすために診断基準に基づいて診断するようにしています。
診断基準には、WHOが提唱したICDとアメリカ精神医学会が作成したDSMの2種類があり、これらをもとに問診、診断をしていきます。ここでは、2013年に作成されたDSM-Ⅴについて紹介します。

 

DSM-V

まずはうつ病の中心症状である、気分の落ち込みか、喜ぶ気持ちが目立って減ってしまったか、この2項目の少なくとも1つが当てはまることが前提になります。
次に、次の7項目を合わせて合計9項目のうち5項目の症状が、2週間以上続いていればうつ病と診断されます。
7項目は、食欲の変化による体重減少または体重増加、ほぼ毎日の不眠・寝過ぎ、不安感があり考えが止まってしまう、疲れやすくやる気が起きない、自分に価値がないと過剰に自責する、集中力が低下し考えられない、自殺しようかと考える、です。
うつ病の症状が重いときには、考えがまとまらず、うまく現在の状態や経過を説明できないという精神運動抑制がみられます。現在の状況を把握するために家族や親しい方からも情報を集めて診断します。
また、うつ状態がうつ病と似ている躁うつ病になると、躁状態とうつ状態を行ったり来たりします。躁うつ病とうつ病とでは治療方法が異なるので、専門の医師の診断が大切です。

 

うつ病の治療は?

うつ病の治療は、薬物療法と精神療法がメインです。治療を始める前には、再発予防のためにもしっかりと身体も心も休められるような環境づくりが大切です。場合によっては学校や職場を休み、入院生活を送ることで症状が改善することもあります。
薬物療法では、主に抗うつ剤を内服します。抗うつ剤は内服開始しても急に症状が改善するわけではありません、1〜2ヶ月ほどかけて少しずつ効果があらわれてきます。自分の勝手な判断で飲む薬の量を増やしたり減らしたりしないでください。
精神療法では、基本的な治療方法として支持的精神療法があります。その他に、より専門的な対人関係療法や認知行動療法があげられます。

 

 

うつ病の予防方法は?

うつ病を予防するには、しっかりと休んで眠ることが大切です。また、物事に対する自分の考え方や性格を知り、ストレスへの対応の仕方を考えておくのも重要です。栄養バランスがとれた食事を規則正しくとり、お酒は控えて適度な運動を心がけてください。

 


まとめ

うつ病は、身体的・精神的ストレスによって脳の機能がうまく働かなくなった状態です。日常生活や社会生活のさまざまなストレスによって誰でも発症する可能性がある病気です。うつ病を発症するメカニズムはまだはっきりとしたことはわかっていませんが、精神的な感情をコントロールするセロトニンが関与しています。うつ病を発症すると気分が落ち込んで喜びの感情が消え、やる気が起きず、ネガティブになり、重症になると自殺願望がでてきてしまいます。
治療方法は抗うつ剤を中心とした薬物療法と精神療法がメインです。薬物療法は時間がかかるので、医師の指示通り内服してください。生活習慣を整え、自分の性格などを把握するのもうつ病を発症しないようにする上で大切です。

 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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