淋病の主な症状を5つご紹介|感染経路や治療についても解説
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淋病の主な症状を5つご紹介|感染経路や治療についても解説
淋病とは、細菌の一種である淋菌への感染が原因で発症する性感染症の一つです。
強い感染力を持っている淋菌は、一般的に男性は自覚症状が現れやすいため、検査数および感染者数が女性よりも男性の方が多い傾向です。
本記事では、淋病の症状や感染経路を詳しく解説していきます。
淋病の主な症状5つ!女性は無症状のことが多い
淋病の主な症状を性別や感染部位で5つに分けてご紹介します。
症状①男性はかゆみや排尿痛・黄白色の膿
男性が淋病に感染すると、尿道炎を発症することが多いです。
感染してから2〜9日の潜伏期間を経てかゆみや排尿痛、尿道から黄白色の膿が出るなどの特徴的な症状が現れます。
しかし、近年は特徴的な膿症状が出ない場合も多く、無症状で感染しているケースも珍しくありません。
淋病のセルフチェックを行うことは難しいため、気になる症状があれば医療機関で検査を受けましょう。
症状②女性はおりものの変化や違和感
女性が淋病に感染すると子宮頸管炎を発症し、おりものの変化や違和感を自覚することがあります。
一般的に女性の場合は症状が出にくく、感染に気が付かないうちに子宮内膜や卵管などの骨盤内炎症疾患を発症しているケースも多いです。
症状③喉の痛みや違和感
近年は性行動の多様化によって、淋病の咽頭への感染が増加傾向にあります。
喉の痛みや違和感など、風邪に似た症状が出ている方は注意が必要です。
特に性器への淋病の感染が確認された方は、咽頭にも感染している可能性が高くなります。
症状④充血や黄色い目ヤニ
淋菌は性器や咽頭のほか、眼にも感染する細菌です。
自覚症状が出にくいものの、充血や目やになどの結膜炎症状が現れることがあります。
眼への感染はまれに眼球炎や失明などの重篤な合併症リスクがあるため、性器に触れた手で眼を触る行為は控えましょう。
症状⑤肛門のかゆみ・下痢や血便
淋病はキスや性行為だけではなく、アナルセックスなどが原因で直腸にも感染します。
直腸に感染した場合は、眼への感染と同様に自覚症状が乏しいことが多いです。
人によっては肛門のかゆみや下痢、血便などの症状が現れることがあります。
全身症状が現れるケースも
淋病の治療を行わないまま重症化した場合に、全身症状が現れるケースがあります。
細菌が血液に達することで全身を循環し、皮膚や関節に炎症を引き起こすためです。
淋病の全身症状として発熱や関節の痛み、腫れなどが確認されています。
淋菌感染症についてはこちらもご覧ください
淋病を放置したらどうなる?男女別の重症化リスクについて
淋病を放置すると全身症状が現れるほか、さまざまな重症化リスクを伴います。
男女別の重症化リスクを確認して、淋病についての理解を深める参考にしてみてください。
男性の重症化リスク
男性が淋病を放置したまま重症化すると、前立腺炎や精巣上体炎を発症することがあります。
尿道が狭窄して尿が出にくくなるなどの後遺症が残ったり、不妊の原因になったりするため注意が必要です。
女性の重症化リスク
女性が淋病を放置して重症化すると、骨盤内炎症性疾患を引き起こし不妊などの後遺症が残ることがあります。
将来的に子供が欲しくなった場合に妊娠が困難になるため、感染が疑われる場合は早めに治療を受けることが大切です。
また、妊娠中に淋病に感染した場合は出産時に胎児へと感染する恐れもあります。
淋病の感染経路
淋病の主な感染経路について解説します。
感染の原因となる行為を確認して、日頃から淋病の予防対策をしっかりと意識しましょう。
性行為による粘膜や体液の接触
淋病は主に性行為やキスなどのオーラルセックスによって感染する性感染症です。
性行為の際は、最初から最後まで正しくコンドームを装着することで予防することができます。
淋菌は低温と高温の双方の環境にも弱く、人体から離れると生き残ることができません。
したがって、淋菌はお風呂やタオルなどの物品の共有による感染はほとんどないと言っていいでしょう。
しかし、感染部位に触れた手で目や口などの粘膜に触れると感染する可能性があるため気を付けてください。
妊娠・出産時の母子感染
妊娠中に淋病に感染すると、出産時に産道を経て新生児に淋病が感染するケースも少なくありません。
母親から新生児に淋病が感染すると、新生児結膜炎を引き起こし失明などのリスクを伴います。
心当たりがないのに感染したら?
淋病は症状が出ないこともあるため、心当たりがないまま感染しているケースも多いです。
現在のパートナーではなく、過去に交際していたパートナーから感染していることも考えられます。淋病の検査で陽性が出た場合は、まずは治療に専念することを考えましょう。
また、現在パートナーがいる方は感染したことを隠さずに伝えてください。
2人とも淋病に感染している可能性があるため、一緒に治療を受ける必要があります。
淋病の検査内容と治療方法は?
淋病の検査内容と治療方法について解説します。
淋病の検査内容
淋病の検査では検鏡や分離培養法よりも、診断精度の高いPCR法を選択することが多いです。淋病はクラミジアと同時に感染することも多いため、クラミジアの検査を同時にできるPCR法が適しています。
男性の場合は尿または尿道からの分泌物を採取し、女性は子宮頸管を綿棒で軽く擦って検体を採取します。
性病検査についてはこちら
淋病の治療方法
淋病の治療は抗菌薬の注射によって行う方法が一般的です。
近年は抗菌薬に耐性を持つ淋菌が増えているため、内服薬での治療が難しくなっています。
現段階で淋病に有効性のある抗菌薬は以下の3つです。
- ●セフトリアキソン
- ●スペクチノマイシン
- ●アジスロマイシン
とくにセフトリアキソンは1回の注射で咽頭の治療もできるため、淋病の治療に用いられることが多いです。
しかし、近年はセフトリアキソンに耐性を持つ淋菌も出現しています。
淋病は有効な抗菌薬が限られているだけでなく、1回の治療では治癒しないケースも多いため治療に長期間かかることも珍しくありません。
途中で通院をやめてしまうと治癒しないまま重症化することがあるため、治療後は必ず確認検査を受けるようにしてください。
また、再感染を予防するためにも、パートナーと一緒に検査や治療を行うことが大切です。
淋病とクラミジアの違いは?
淋病はクラミジアとの同時感染がよく見られます。
どちらも性行為などが原因で粘膜に細菌が感染することで発症する性感染症です。
しかし、原因となる細菌の種類が異なるため、それぞれ治療方法が異なります。
淋病とクラミジアの違いは、以下の表にまとめたとおりです。
淋病 | クラミジア | |
---|---|---|
Neisseria gonorrhoeae | Chlamydia trachomatis | |
・性器周辺のかゆみ ・排尿痛や違和感 ・黄白色の膿 ・おりものの増加や変化 ・腹痛 |
・性器周辺のかゆみ ・排尿痛や違和感 ・透明や乳白色の分泌物 ・おりものの増加や変化 ・腹痛 |
治療方法
淋病:抗菌薬の注射
クラミジア:抗菌薬の内服
特徴
淋病:抗菌薬への耐性菌の報告があり1回の治療で完治しないこともある
クラミジア:1回の抗菌薬の内服で完治することが多い
淋病とクラミジアを見分けることは難しく、同時に感染している可能性も考えられます。
どちらかの感染が疑われる場合は、両方の検査が可能なPCR法で検査を受けてみてください。
まとめ
淋病はクラミジアとならぶほど感染者数の多い性感染症です。
近年は男女ともに無症状のケースも増加しているため、感染に気が付かず放置してしまっていることもあります。
重症化すると全身症状や不妊・母子感染の原因となるため注意しなければなりません。
淋病の感染に心当たりがある場合は、早めに検査を受けて早期治療を行いましょう。
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