手足のしびれは病気?若い女性に起こるしびれとは?原因や予防法を解説

  • クリニックブログ
2024/09/13

手足のしびれは病気?若い女性に起こるしびれとは?原因や予防法を解説

手足にしびれが生じると、病気になったのではないかと不安に感じることもあるでしょう。
一口にしびれといっても、その原因はさまざまで、場合によっては一刻も早い受診が望まれることもあります。
 
なかには女性に起こりやすいしびれの症状もありますので、手足のしびれについて詳しく知りたい方はぜひ最後までご覧ください。

 
 

手足のしびれの原因とは

手足のしびれはなぜ起こるのでしょうか。
本項では手足のしびれとはどのような症状なのか、3つの分類をご紹介します。
また、しびれの原因として考えられる脊椎・脳疾患・末梢神経・ストレスについて、順に解説していきます。

手足のしびれとはどんな症状?

しびれが持続したり何度も起こったりする場合、病気が潜んでいることも考えられます。
 

 
しびれの感覚は、ピリピリ、ビリビリ、ジンジン、チクチクなど、人によってさまざまですが、以下の3つが主な症状の分類です。
 

1. 熱さや痛み、触った感覚が鈍くなる感覚低下
2. 手足が思うように動かしづらくなったり、力が入らなくなったりする運動麻痺
3. 安静にしているだけでも、手足にチクチクするなどの違和感を覚える感覚異常

 
しびれの症状が出ると、以下のように日常生活に支障をきたす場合もあります。
 

  • ●ものを掴みにくい
  • ●箸が思うように使えない
  • ●指を真っ直ぐにのばせない
  • ●力が入らずつまずいてしまう
  • ●感覚が鈍くなり歩きにくい
  • ●足の冷感がある

 
いずれも、何らかの病気が原因で生じている可能性があるため、症状が続いている場合は注意が必要です。
 

脊椎疾患が原因のしびれ

手足のしびれの原因となる脊椎疾患は、主に以下の4つです。
 

  • ●変形性頚椎症
  • ●頚椎椎間板ヘルニア
  • ●頚椎後縦靱帯骨化症
  • ●腰椎椎間板ヘルニア

 
変形性頚椎症は、加齢などにより骨棘の形成や靭帯が厚くなることで、頚椎が変形し発症する疾患です。
両手のしびれや手先の感覚が鈍くなるなどの症状をきたすほか、症状が増悪すると歩行困難になる場合もあります。
 
頚椎椎間板ヘルニアは、骨と骨の間のクッションの役目となっている椎間板が飛び出すことで、神経を圧迫し、しびれを生じさせる疾患です。
加齢や衝突を伴うスポーツなどにより発症します。
 
頚椎後縦靱帯骨化症は、靭帯が固くなることで脊柱管と呼ばれる神経の通り道を圧迫する疾患です。
手先の感覚が鈍くなることで動作がしにくくなったり、つまずきやすくなったりします。
 
腰椎椎間板ヘルニアは、腰部や臀部から足にかけてしびれや痛みが生じることが特徴です。
神経根型と馬尾型に分類され、馬尾型の場合、両足がしびれることによる歩行障害や排尿障害を伴うこともあります。
 

脳神経疾患が原因のしびれ

突然、身体の片側に生じるしびれの場合は、脳血管障害が原因と考えられます。
脳血管障害とは、脳梗塞や脳出血などです。
また、突然ではなくだんだんと感覚が鈍くなってきた場合は脳腫瘍の可能性もあります。
そのほか、脳炎、三叉神経痛などもしびれの要因となる疾患です。
 
脳血管障害の場合は、しびれのほかに呂律がまわらない・意識が悪いなど複数の症状を伴っていることもあります。
予後を悪くしないためには早期の治療が欠かせませんので、症状がみられた場合は早急に医療機関を受診しましょう。
 
なお、症状が一時的なものでその後改善したとしても、一過性脳虚血発作と呼ばれる脳梗塞の前触れであるおそれがあるため、注意が必要です。
 

末梢神経に原因があるしびれ

糖尿病性神経障害やビタミン欠乏などの内科的な疾患の影響で、末梢神経にしびれが生じる場合があります。
 
糖尿病にはいくつもの合併症がありますが、なかでも三大合併症の一つが糖尿病性神経障害です。
糖尿病により細かな血管の動脈硬化が引き起こされると、神経に栄養を送る血管の血流が滞り、やがて神経障害が生じます。
 
糖尿病の持病がある方で、両手・両足先にジンジンするようなしびれを感じる場合は、糖尿病性神経障害の可能性が高いでしょう。
 
 

 閉塞性動脈硬化症についてはこちら

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また、ビタミンが欠乏することによってもしびれは起こります。
たとえば、ビタミンB12の欠乏は手足のしびれや貧血を引き起こす要因の一つです。
あるいはビタミンB1が不足すると、脚気を引き起こすこともあります。
 
いずれも多量飲酒や過度の食事制限などによる栄養不足により、末梢神経が阻害されることが原因です。
 

ストレスが原因のしびれ

自律神経失調症の症状の一つが、手足のしびれで
 
神経には中枢神経と末梢神経があり、末梢神経は体性神経と自律神経に分類されます。
自律神経は交感神経と副交感神経という、相反する機能をもつ神経に分かれています。ストレスなどの影響でそのバランスが乱れると、自律神経失調症になる場合があります。
 
自律神経失調症の症状は多岐にわたっており、しびれのほかにも倦怠感や頭痛、動悸、情緒不安定などが代表的といえるでしょう。

 
 

女性に多い手足のしびれとは

手足のしびれは、妊娠や出産、更年期を経験する女性ならではの疾患が原因となって起こる場合もあります。
多くが女性ホルモンによる影響と考えられていますが、どのような疾患があるのでしょうか。

手根管症候群

手根管症候群とは、手首の中央付近にある手根管が、手首を走る正中神経を圧迫することでしびれが起こる疾患です。
発症すると、親指から薬指にかけてのしびれが起こります。
 

 
手根管症候群が女性に多いといわれる理由は、妊娠期・出産期・更年期以降の女性に起こりやすいとされているためです。
明確な原因は判明していませんが、女性ホルモンによる影響ではないかといわれています。
 

モートン病

モートン病とは、パンプスやハイヒールを常に履いている女性や、靴のサイズが合っていない人に起こる疾患です。
発症すると、足の中指と薬指の間にしびれや痛みが起こります。
 
ハイヒールのように足先が縮こまる靴や、サイズが合わないといった影響で足の神経が圧迫されることが原因です。
 

胸郭出口症候群

胸郭出口症候群とは、肩甲骨周辺の神経と鎖骨下動脈が、しめつけられたり圧迫されたりすることで、上肢や肩甲骨周囲にしびれが起こる疾患です。
なで肩の女性や重い荷物を持つ方が発症しやすいと言われています。
 
症状としては刺すような痛みやピリピリ感、動かしづらさなどがあります。
 

更年期による影響

手足のしびれは、更年期症状の一つです。
女性は50歳近くになると、卵巣の活動が徐々に低下し、やがて月経が停止します。
月経がこない状態が1年続くと閉経とみなし、閉経前の5年間と閉経後の5年間を更年期といいます。
 
更年期の女性で、手足のしびれやのぼせ、ほてり、発汗などの症状がある場合は、更年期症状とみてよいでしょう。

 
 

しびれの対処法・予防法

身体の片側に起こるしびれは、脳疾患のおそれがあります。
一刻も早く治療を受ける必要があるためすみやかな受診が必要ですが、そうでない場合、効果的な対処法はあるのでしょうか。
 
また、しびれを起こさないための予防法についても解説します。

手足のしびれの対処法

手足のしびれは、神経付近の筋肉が凝り固まり神経が圧迫されることや、血行不良によって症状が起こる場合があります。
そのため、首や腰を温めたり、ストレッチをしたりするなどして筋肉の柔軟性を高め、血行をよくするとよいでしょう。
 
湯船に浸かることも、筋肉の緊張がほぐれ血行促進につながるためおすすめです。
 

手足のしびれの予防法

しびれを予防するには、身体を冷やさないようにすることが大切です。
 
湯船に浸かる習慣をつけて身体を芯から温めたり、冷房の下ではカーディガンやブランケットを使用したりするなどして直接冷風が当たらないようにし、冷えから身体を守りましょう。
 
また、日頃から正しい姿勢を心がけるようにすることも大切です。
頚椎疾患は、猫背やストレートネックなど姿勢の乱れも原因となります。
姿勢が乱れると骨格が歪み、神経を圧迫するおそれがあるためです。
長時間のデスクワークで姿勢が崩れた状態が続くと、腰や臀部の筋肉に負担がかかりしびれが起こりやすくなるため、正しい姿勢を保ちつつ、適度に身体を動かすことを意識してみてください。

 
 

まとめ

手足のしびれの原因は主に4つあります。
頚椎症や椎間板ヘルニアなどの脊髄に関わる疾患、脳血管障害など脳神経に関わる疾患、糖尿病やビタミン欠乏など末梢神経に関わる疾患、そして自律神経失調症などストレスによる影響です。
 
また、ホルモンバランスや生活習慣などが原因で、手根管症候群やモートン病など女性に起こりやすいしびれもあります。
 
身体の片側に起こる症状は脳神経疾患の可能性があるため早急な受診が必要ですが、そうでない場合は症状に応じて受診を検討しましょう。
 
しびれを軽減させるには適度な運動をしたり、身体をあたためたりするなどして、筋肉の柔軟性を高め血行をよくすることが有効です。
症状が気になる方はお試しください。

 
 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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