胆嚢ポリープとはどんな病気?主な5種類と検査、治療法などについて解説
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胆嚢ポリープとはどんな病気?主な5種類と検査、治療法などについて解説
胆嚢ポリープは、一般的に無症状であり、人間ドックなどの健康診断で見つかることが多い症状です。
この記事では、胆嚢ポリープの種類や原因、検査、治療法などを詳しく解説します。胆嚢ポリープがあると言われ、気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
胆嚢ポリープとは
胆嚢ポリープとは胆嚢の粘膜に発生した、突起物のことです。大きさはほとんどが10mm以下で、多くは良性のものですが、悪性である場合もあります。
ここでは主に、ポリープの種類や発生原因、症状などについて解説します。
胆嚢とは
胆嚢は、消化器系臓器の1つで、胆汁を一時的にためておく役割の臓器です。胆汁は、肝臓で作られる消化液で、脂肪の消化を助けます。肝臓から十二指腸までをつなぐ道が胆道であり、胆嚢は、胆道の途中にある洋梨状の臓器です。食事をすると胆嚢から胆汁が分泌されて、消化を助けます。
胆嚢ポリープの種類
胆嚢ポリープの種類は、大きく分けると5つあります。そのうち90%が良性のものですが、残りは胆嚢がんと呼ばれる悪性のものであり、手術が必要です。
コレステロールポリープ
コレステロールポリープは良性のポリープです。胆汁に含まれるコレステロールが結晶化されて、胆嚢の粘膜に付着したものとされています。ほとんどは数㎜程度となっており、10㎜以上に大きくなるのは稀です。
腺腫性ポリープ
腺腫性ポリープはコレステロールポリープと同様、良性のポリープです。しかし、10㎜を超えて大きくなるような一部の腺腫性ポリープでは、がんに変化するものもあるという報告があります。そのため注意が必要といえるでしょう。
過形成ポリープ
過形成ポリープは胆嚢内部の粘膜が増えすぎた、いわゆる「過形成」が原因のポリープです。過形成ポリープは良性であり、ほとんどが5㎜未満とされています。
炎症性ポリープ
炎症性ポリープは胆嚢内部の粘膜炎症がきっかけで発症するとされている良性のポリープです。炎症性という名前が示すように、慢性胆嚢炎による炎症が見られる方に多いといわれています。
悪性ポリープ(胆嚢がん)
胆嚢がんは手術が必要な悪性のポリープです。ほかの胆嚢ポリープと同様に、無症状であることが多いため、早期発見・早期治療が重要です。
胆嚢ポリープの発生原因
胆嚢ポリープが生じる明確な原因は、まだ判明していません。考えられるものとしては、肥満や脂質異常症、糖尿病などのメタボリックシンドロームがあげられます。
胆嚢ポリープの症状
胆嚢ポリープそのものでは、症状が出ないことが一般的です。健康診断や人間ドックなどで、腹部超音波検査を受けた時に偶然見つかることが多いとされています。しかし、胆嚢炎や胆石などを合併しているときは、腹痛が出ることもあるので、腹痛が続く場合は医療機関を受診するのがおすすめです。
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胆嚢ポリープの検査
胆嚢ポリープ、もしくはその疑いがあるといわれた場合は、すみやかに医療機関を受診して、詳しい検査を受けましょう。受診先は、消化器内科などが一般的です。
ここでは、詳しい検査の方法について解説します。
血液検査
血液検査では、胆嚢がんがあるかどうかの指標を示す数値(腫瘍マーカー)の検査や、肝機能障害の有無を調べます。
胆嚢そのものを見る検査ではないため、単独ではポリープの状況を充分に把握することは難しいといえるでしょう。
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腹部超音波検査
腹部超音波検査は、お腹の表面から超音波検査機器をあてて、体内の様子を画像として写し出す検査です。身体への痛みがないため、誰でも受けられることが特徴です。
ポリープと思われるものが見つかったら、ポリープの形や大きさ、数を確かめます。
超音波内視鏡検査
超音波内視鏡検査は、先端に超音波装置がついている内視鏡を使った検査です。胃カメラと同じように口から内視鏡を入れて、胃や十二指腸まで進めていき、胆嚢に近づいて超音波検査を行います。
この検査では、ポリープの形や大きさ、数などを、より詳しく確かめることが可能です。
造影CT検査
造影CT検査は造影剤の点滴後に行います。ポリープそのものを確認するほか、胆嚢がんで手術が必要となった場合を想定して、周囲の血管状況やリンパ節の状況などを確認するために行う検査です。
内視鏡的逆行性胆道造影検査
内視鏡的逆行性胆道造影検査は、内視鏡を口から十二指腸まで入れたあと、十二指腸乳頭と呼ばれる部分からカテーテルで直接胆管に造影剤を注入して、X線写真を撮影する検査です。
胆嚢の状況を直接確認できることが特徴といえます。必要に応じて、組織細胞を採取して詳しい検査をすることも可能です。
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胆嚢ポリープの治療
良性のポリープであれば手術による治療は必要ありませんが、医師から経過観察を指示される場合があります。
少しでも悪性の可能性がある場合は、手術の対象になると覚えておくと良いでしょう。胆嚢がんの場合、胆嚢を摘出する手術が必要です。
経過観察
ポリープが良性であっても、経過観察は必要となります。ポリープが大きくなっていないか、形が変わっていないかなどを確認するためです。定期的に医療機関を受診して、腹部超音波検査や造影CT検査などを受けることになります。
胆嚢摘出手術
悪性のポリープ、つまり胆嚢がんの可能性がある場合や、経過観察をしていく中で、ポリープが大きくなってきたなどの変化がある場合は、胆嚢摘出手術が必要になります。
主な手術方法は、腹腔鏡下手術と開腹手術の2種類です。
腹腔鏡下手術
胆嚢がんの可能性が低い場合は、腹腔鏡下手術の対応となります。手術中、他の臓器への転移、がんが周りに広がっていたことが認められた場合は開腹手術に切り替わることもあるので、注意が必要です。
開腹手術
胆嚢がんである可能性が高い場合は、開腹手術の対象になります。状況によっては、胆嚢だけではなく胆管や肝臓、転移の可能性があるリンパ節切除も必要です。
経過観察中の生活について
経過観察中は、普段通りの生活で問題ありません。
ただし、胆嚢ポリープの種類に「コレステロールポリープ」があるように、コレステロールが関係している場合もあります。脂肪分の多い物や、コレステロール値を上げる物を食べ過ぎないようにしましょう。
まとめ
この記事では、胆嚢ポリープについて詳しく解説しました。ポリープの中には、胆嚢がん、もしくはその可能性が高いものもあるため、健康診断などで見つかった場合は、放置せずにきちんと病院を受診しましょう。
今すぐ手術治療を必要としない方も、定期的な経過観察のため、医師の指示通りの間隔で検査を受けることが重要です。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師