脳出血の原因は高血圧?手術や予防法、後遺症と家族ができるサポートとは

  • クリニックブログ
2024/02/15

脳出血の原因は高血圧?手術や予防法、後遺症と家族ができるサポートとは

脳出血は重篤な場合、命に関わる危険な病気です。家族が突然発症したときのために、「脳出血について理解しておきたい」「家族としてできることを知りたい」と思う方もいるかもしれません。
 
そこで本記事では、脳出血とはどんな病気なのか、治療法や家族ができる対応などについて解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

頭痛を訴える女性
 

脳出血ってどんな病気?

脳出血と聞いて、どんな状態を思い浮かべるでしょうか。脳出血は重篤な状態であり、迅速な医療介入が不可欠です。本項では、脳出血の概要についてご紹介します。

原因

脳出血の原因は、大半が高血圧となります。高血圧によりダメージを受けた血管の壁にコブができ、血圧が高い状態が続くとやがて破裂します。また、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病によって動脈硬化が進行すると、脳の血管が脆くなり破れやすい状態となります。その結果として、出血を起こすのです。
 
ただ、高血圧の持病がなくても出血する場合があります。先天性の疾患である脳動静脈奇形や、脳腫瘍からの出血、抗血栓薬によって出血しやすい状態にある場合などです。脳出血の好発年齢は50〜60歳が約半数を占めるといわれています。
 

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好発部位と症状

脳出血の好発部位は主に5つあります。
以下で解説していきます。
 

被殻

被殻出血は、脳出血の半数を占めるともいわれるほど、発症頻度の高い出血です。死亡率は高くありませんが、重症化すると半身の麻痺や感覚障害、意識障害をきたすおそれがあります。
 

視床

視床出血は、脳出血の3割程度を占めるといわれています。発症するとしびれや麻痺、感覚障害などが強く現れる出血です。水頭症を合併症として引き起こす可能性があるため、手術を行い予防します。
 

小脳

小脳出血は、突発的な頭痛、めまいやふらつきが起こり、うまく歩けなくなります。血腫が大きく、意識障害を伴う場合は手術の検討が行われます。
 

皮質下

皮質下出血は、発生した出血の部位によって症状が異なります。軽い意識障害やけいれんを起こす場合もありますが、比較的症状が軽度であることが多いとされています。
 

脳幹

脳幹出血は危険度が高く、発症すると意識障害を引き起こす可能性があります。発症数分後には昏睡状態に陥るほか、四肢麻痺や呼吸障害もみられるため、すぐに治療を開始することが重要です。
 

診断方法

脳出血の診断は、主にCT検査にて行います。CT検査は脳出血の診断において最も一般的に使用される検査法の一つです。CT画像では新しい出血が白く映り、おおまかな発症時期や出血の度合いを確認できます。
 
また、出血源を確認するにはMRI検査が有用です。MRI検査は短時間で終わるCT検査と比較すると検査に時間を要しますが、脳の組織や血管の状態をより詳細に見ることができます。

 

生存率

1997年から1998年にかけてボスニア・ヘルツェゴビナで行われた、脳卒中患者を分析する研究では、脳出血を発症した患者のうち、5年後の生存率は約24%だったとされています。一方で、1998年から1999年に脳卒中を発症した患者を対象とした栃木県での研究では、脳出血患者の5年生存率は約57%と報告されています。
 
以上のことから、5年後生存率は20%〜50%程度となっており、脳出血患者の半数以上の方が発症から5年の間に亡くなってしまう可能性が高いことがわかります。

 
 

脳出血の治療法

脳出血を発症したら、どのような治療を行うのでしょうか。
以下で解説していきます。

手術治療

血腫量が多く、取り除けば意識障害の改善が見込めると判断した場合は、開頭血腫除去術を行います。頭皮、頭蓋骨を切開し、直接血腫を取り除く方法です。あるいは、血腫の場所や重症度、年齢に応じて血腫吸引術を選択する場合もあります。頭蓋骨を切るのではなく、小さな穴を開けて血腫を吸い出すため、開頭血腫除去術よりも低侵襲な方法と言えます。
 
ただし、血腫の大きさや位置、患者の状態によっては他の治療法が選択されることもあります。手術の適切な方法は、患者の状態に基づいて選択されます。
 

内科的治療

血圧を管理するための薬物を投与したり、脳の浮腫を軽減するための内科的治療を施したりします。血圧を下げることは、出血をさらに拡大させないために大切です。
 
また、出血するとその周辺の脳がむくんでくる場合があるため、抗浮腫剤なども併せて投与することがあります。
 

脳出血の平均余命

脳出血を発症した方の平均余命は一般的に12年前後と推定されています。ただし、この期間は患者の年齢や既往歴などにより異なります。
 
脳出血は再出血のリスクが高く、10年以内に再発して命を落とすケースが多い厄介な疾患です。余命には治療の適切さ、合併症の有無、患者の健康状態などが大きな影響を与えるため、発症した際は迅速な医療介入が重要です。

 
 

後遺症がある場合に家族ができること

脳出血後に残った後遺症にはどんなものがあるのでしょうか。家族として患者をサポートするポイントについても解説します。

どんな後遺症があるの?

脳出血含め脳卒中後の後遺症は、神経障害・高次脳機能障害・感情障害の3つに分類されます。これはあくまで一般的な後遺症であり、症状や程度は人それぞれ異なります。神経障害には、右半身あるいは左半身が動かなくなる運動障害、呂律が回らなくなる言語障害、ものが二重に見えたり視野が狭くなったりする視野障害などがあります。
 
高次脳機能障害は、高次脳機能と呼ばれる、思考、言語、記憶、意志決定、問題解決などの複雑な認知機能に障害が発生します。感情障害は、感情が変動しやすくなり怒りや攻撃性が増加することがあります。患者が普段と異なる行動や反応を示すことが多く見られます。

 

家族ができることとは

脳出血後は、外科的治療や内科的治療などの急性期治療を行ったのち、後遺症に対しリハビリテーションを行います。そして、症状が落ち着いてくると、通院や自宅でのリハビリに切り替えていきます。
 
患者が後遺症を残して自宅に帰宅した際に、段差をなくしたり手すりをつけたりするなど自宅の改修やリフォームが必要になる場合があるでしょう。また、必要に応じて介護保険の申請や、本人が復職を希望している場合は復職支援が受けられるように準備しておくことも大切です。

 
 

脳出血の予防法

脳出血を発症しないためには、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病を予防することが大切です。なかでも高血圧に注意し、日頃から血圧管理をしっかり行いましょう。
 
例えば減塩を意識したり、必要に応じて医師の診断のもとで降圧剤を服用したりすることも、血圧上昇を抑制することにつながります。喫煙や過度なアルコール摂取も脳出血のリスクを高める要因です。同時に、ストレスも危険因子とされています。ストレスを溜め込まず、そして生活習慣を整えることが、結果的に自分や家族を守る一環となるでしょう。


 

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まとめ

脳出血の治療には、薬物による内科治療と外科手術があります。しかし、治療を施しても後遺症が残ってしまったり、重篤な場合は命を落としてしまったりすることも少なくありません。
 
家族が発症した場合は、自宅の環境整備や介助などできることから支援し、社会復帰をサポートしてあげましょう。まずは脳出血を起こさないために、日頃から血圧管理を意識し、生活習慣病を予防していくことが大切です。


 
 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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