主なヘルペスは2種類|帯状疱疹の違いや注意すべきヘルペス脳炎についても解説
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主なヘルペスは2種類|帯状疱疹の違いや注意すべきヘルペス脳炎についても解説
ヘルペスのような症状が口元にあるけど、詳しい症状がわからず判断できないと悩んでいる方は少なくないのではないでしょうか。
「ヘルペス」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、実際に初めて発症すると、自分の今の症状に当てはまるのかわからないと感じる方も多いでしょう。
そこで本記事では、ヘルペスの種類や症状、よく疑問にあがる帯状疱疹との違い、気をつけなければならない「ヘルペス脳炎」について解説します。
ヘルペスには種類がある?
ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスに感染することで発症します。水疱ができる部位によって病名が分けられ、主な種類は口唇ヘルペスと性器ヘルペスの2つです。ヘルペスは感染していても症状があらわれないこともありますが、基本的に水疱ができ、やぶれるとかさぶたとなります。
水疱を無理矢理潰す方もいるかもしれませんが、水疱内にはウイルスが含まれているため無理に潰すのはやめておきましょう。もし、潰れてしまった場合は、ガーゼなどで保護してください。
また、治療を完了しても一度感染すると体内にウイルスが残るため、再発するおそれがあります。再発の引き金となるのは、疲労の蓄積やストレス、妊娠や出産、薬などによる免疫低下、発熱などによるウイルスの活性化です。
口唇ヘルペス
口唇ヘルペスは、唇に発症するタイプのヘルペスです。
以降では、症状と原因について解説します。
症状
唇にできた水疱が破れると、潰瘍がしばらく残ります。潰瘍はかさぶたとなったあと、5〜10日で剥がれ落ちていきます。
また、稀に、水疱ができずにチクチクとした感覚や発赤だけがあらわれることもあります。
原因
矯正や虫歯治療といった歯科治療、唇の日焼け、物理的な外傷が続いて起こることが発症要因の一つです。
ただし、感染経路や発症原因がはっきりとわからないケースも多々あります。
口唇ヘルペスについて詳しくはこちら
性器ヘルペス
性器ヘルペスは、性器に発症するタイプのヘルペスです。
以降では、症状と原因について解説します。
症状
女性であれば膣や子宮頸部、男性であれば陰茎に症状があらわれます。
膣や子宮頸部といった内側の性器に発症する場合は、ほとんど痛みを感じない上に見えないため、気づくのが遅くなるケースが多々あります。
原因
発症の主な原因と感染経路は性行為です。男性であれば、感染者の膣の分泌物や粘膜から感染します。
男女共通では、口腔内の粘液や唾液にウイルスが排出されている場合、オーラルセックスによる感染リスクがあります。
性器ヘルペスについて詳しくはこちら
帯状疱疹とヘルペスの違い
帯状疱疹との違いは以下のとおりです。
- ● ウイルスの違い
- ● 発症部位や範囲
- ● 症状の強さや後遺症の有無
- ● ワクチンの有無
帯状疱疹は、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスの感染によって引き起こされる疾患ですが、ヘルペスは単純ヘルペスウイルスの感染が原因です。
また、帯状疱疹の発症部位は主に上半身の片側で、帯状に水疱ができ強い痛みを伴うのが特徴です。加えて、帯状疱疹は頭痛やしびれ、帯状疱疹神経痛による強い痛みが継続するなどの後遺症が残るおそれがあります。
それに対してヘルペスは、唇や性器、指などに発症し、発症する場所によっては痛みを感じないケースもあります。帯状疱疹はワクチンで発症を予防できますが、ヘルペスはまだ開発されていないという点でも、帯状疱疹とは違います。
【要注意】ヘルペス脳炎とは?
気をつけなければならないのが、4類感染症定点把握疾患に指定されている急性脳炎の一つでもある「ヘルペス脳炎」です。初めて感染したタイミング、もしくは再発したタイミングで発症する可能性があり、新生児から成人までと、幅広い発症年齢となっています。
症状
ヘルペス脳炎は、2日〜12日ほどの潜伏期間の後に発症します。発熱や頭痛からはじまり、数日後に意識障害やけいれん、異常行動など高次脳機能障害へうつり変わる経過をたどるのが一般的です。
ただし、病態は新生児、小児期、成人で大きく異なります。
たとえば、新生児は、全身型と中枢神経型の発症が多いという報告があります。国立感染症研究所によると、全身型と中枢神経型それぞれ36%の確率で発症がみられ、表在型は28%とやや少ないことがわかります。
成人では、急性期に頭痛や発熱、嘔吐といった風邪や胃腸炎のような症状があらわれるのが特徴です。進行すると、意識障害や痙攣、記憶障害や言語障害、幻覚といった神経に関連する症状が見られるケースもあるため、注意しなければなりません。
原因
ヘルペス脳炎は、単純ヘルペスウイルスの感染、再発が原因です。三叉神経節などに潜伏しているウイルスが脳へ侵入することで発症します。
検査、予防・治療法について
ここでは、ヘルペス感染が疑われる場合の検査や、感染しないための予防法や感染後の治療法について解説します。
検査方法
ヘルペスの検査では、基本的に抗原検査と抗体検査を行います。ウイルスの抗原は、潰瘍や水疱から検出可能です。抗体検査は採血で行い、抗体の数を調べることで感染の有無を確認できます。
予防法
性器ヘルペスの場合「オーラルセックスは避ける」「避妊器具を必ず装着する」ことで予防できます。再発は、免疫力の低下によって起こるため、免疫が下がらないよう栄養バランスのいい食事やストレスの発散を心がけることが重要です。
また、日光も発症をうながす要因であるため、日焼け止めの使用や日傘などで日光に当たらないよう過ごすことも、予防に効果的です。
治療法
ヘルペスは、基本的に抗ウイルス薬を内服や外用、点滴治療によって治療します。初感染時は、潜伏ウイルスを減らして再発リスクを低下させるためにも、内服及び点滴で十分な治療を行うのが望ましいとされています。
性器ヘルペスの再発は軽いケースが多く、外用薬でも対応できます。しかし、女性は子宮頸管や膣に活性化したウイルスが潜伏している可能性があるため、内服治療で治療するのが望ましいでしょう。
また、出産を控えている妊婦の方の場合でも、抗ウイルス薬は使用できます。
まとめ
ヘルペスは発症する部位によって病名が異なりますが、要注意なのが「ヘルペス脳炎」です。ヘルペス脳炎は後遺症で体に麻痺が残ったり、意識障害が悪化し亡くなったりするケースもあります。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師