【2023年度のインフルエンザについて】

  • クリニックブログ
2023/11/09

【2023年度のインフルエンザについて】

新型コロナウイルスの大流行のなかで、三密回避、マスク着用、手洗い励行の厳格な感染予防処置、世界的な対策が行われるようになると、インフルエンザは流行しなくなりました。
しかし、今年度は季節外れのインフルエンザ感染が見受けられ、一部地域では学級閉鎖になるなど、少しずつ感染者が増えてきています。
 
2023年現在もオーストラリアなど南半球ではインフルエンザが流行しており、日本でも、A型インフルエンザの発生が続いています。

  

【インフルエンザの種類と流行時期】

インフルエンザウイルスは内部(ピンクの所)の蛋白質の種類で、A型、B型、C型、(D型)に分けられます。
A型インフルエンザウイルスは、ヒト、水鳥、ブタ、馬などに感染し、B型インフルエンザとC型インフルエンザウイルスは、ヒトにしか感染しません。
 
また、病原性が強いのはA型とB型のインフルエンザウイルスで、C型のインフルエンザウイルスにあまり病原性はありません。
A型インフルエンザウイルスは、もともとミズトリ(鴨などの水禽類)の腸管内で増殖するウイルスでしたが、ヒトなどにも感染する能力を獲得して、宿主を増やしてきました。
 

例年の日本でのインフルエンザ流行時期

  • ・流行開始:11月下旬~12月上旬
  • ・流行のピーク:1月下旬~2月上旬
  • ・流行の終盤:3月ごろ

 

例年のインフルエンザウイルスの種類別流行時期

  • ・A型インフルエンザ:12~1月
  • ・B型インフルエンザ:2~3月

 
 

【インフルエンザの症状】

急激な発熱(39℃以上)によって発病しますが、頭痛、筋肉痛、関節痛(からだのふしぶしを痛がる)、全身倦怠感(ぐったりして起きていられない)などの全身症状が、まず強く現れます。
潜伏期間は1~4日ほどです。
 
インフルエンザは合併症になる可能性もあるため、注意が必要です。
咳がしつこく続く場合は肺炎の合併も疑う必要があります。
子どもでは、気管支炎、肺炎、中耳炎、熱性けいれん、ライ症候群、インフルエンザ脳症などがみられます。
 
発症後の注意も必要ですが、やはり発症を防ぐことが一番必要になります。

 
 

【感染経路と予防】

(1)感染経路

・飛沫感染

◯ 感染している人のくしゃみや咳(せき)で出るしぶきを吸い込むことによる感染。
◯ しゃみや咳(せき)を浴びる距離(2メートル程度)にいる人は感染の危険性が高い。
 

・接触感染

◯ 感染している人の唾(つば)や鼻みずが手から手へ、あるいはドアノブやつり革などを介して手に付着することなどによる感染。
 

(2)予防

・インフルエンザワクチン接種

◯ インフルエンザワクチンは、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効と報告されています。
 

・外出後の手洗い等

◯ 流水・石鹸による手洗いは手指など体についたインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法であり、インフルエンザに限らず接触や飛沫感染などを感染経路とする感染症の対策の基本です。
インフルエンザウイルスにはアルコール製剤による手指衛生も効果があります。
 

・適度な湿度の保持

◯ 空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。
特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。
 

・人混みや繁華街への外出を控える

◯ インフルエンザが流行してきたら、特に御高齢の方や基礎疾患のある方、妊婦、体調の悪い方、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。
やむを得ず外出して人混みに入る可能性がある場合には、ある程度、飛沫感染等を防ぐことができる不織布(ふしょくふ)製マスクを着用することは一つの防御策と考えられます。


 
一度、インフルエンザの症状や予防方法等を知り、感染対策につとめていきましょう。
 

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