
HPVワクチン・シルガード9について
子宮頸がん予防 HPVワクチン・シルガード9 2023年4月より補助金の対象
MYメディカルクリニックでは予防医療に力を入れており、インフルエンザワクチンやコロナワクチン接種では100万人近くの患者様に実施して参りました。子宮頸がんワクチンも例外ではありません。この度、子宮頸がんに対してかなり高い予防効果のあるHPVワクチン・シルガード9が令和5年4月より補助金の対象となりましたので、お知らせいたします。HPVとは?
HPVワクチンとは、子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防する効果があるワクチンです。HPVは性的接触のある女性であれば50%以上が一度は感染すると言われているウイルスです。主に皮膚、生殖器、喉に影響を及ぼし、性的に活発な人ほど感染リスクは高まります。しかし多くの場合、免疫系の働きによりHPVは体外へ排出されます。 日本国内で使用されているHPVワクチンは3種類あり、防げるHPVの種類数により2価ワクチン(サーバリックス)、4価ワクチン(ガーダシル)、9価ワクチン(シルガード9)に分類されています。現在、これら3種のHPVワクチンは全て公費(無料)で受けられます。 HPVワクチンには子宮頸がんを予防する高い効果がありますが、日本のHPVワクチン接種率は先進各国の中で極端に低いという現状があります。WHO(世界保健機構)によると、HPVワクチンの接種率は、北欧やオーストラリア、カナダでは90%近くあり、韓国でも約70%の対象女性が接種しております。一方、日本では約7%の接種率となってしまっております。(令和2年度時点) この結果として、日本のHPVに起因する子宮頸がんの発生率は、G7の中でワースト1位、G20の中でもワースト5位というとても高い数値になってしまっています。HPVワクチンの接種率を上げ、子宮頸がんになってしまう女性を少しでも減らすための取り組みとして、国はHPVワクチンのシルガード9を令和5年(2023年)4月より補助金対象としました。 HPVワクチンは男性も接種可能です。男性への接種は、男性自身のHPV感染予防に繋がるだけでなく、性交渉によるHPV感染から女性を守ることへも繋がります。日本国内で男性への接種が承認されているワクチンは4価ワクチン(ガーダシル)のみであり、費用は接種者の全額負担となっております。1人の接種回数は合計3回となり、総額5~6万円程度かかります。接種をご希望されるパートナーがいらっしゃる場合は、一度ご相談下さい。子宮頸がんとは?
子宮頸がんとは、子宮頸部という子宮の出口に近い部分にできるがんです。子宮頸がんは子宮がん全体の約7割を占め、最近では20~40代の若い女性に増えております。 子宮頸がんのほとんどは、HPVの感染が原因であると考えられています。HPVは男性にも女性にも感染するごくありふれたウイルスで、性交渉の経験がある女性の多くが”一生に一度は感染する”と言われています。日本国内では毎年約11,000人の女性が子宮頸がんにかかり、さらに毎年約2,900人の女性が亡くなっています。 これは1クラス35人の女子クラスで換算すると、2クラスに一人が一生のうちに一度は子宮頸がんになり、10クラスに一人は子宮頸がんで亡くなってしまう計算です。子宮頸がんを予防するため、HPVワクチンの定期接種が推奨されています。有効性
HPVは100種類以上の型が存在しており、そのうち13種類の型において高い発がん性(高リスクHPV型)があるとされています。 日本国内で使用できるワクチン3種類のうち、2価ワクチン(サーバリックス)および4価ワクチン(ガーダシル)は、子宮頸がんを起こしやすいと言われているHPV16型・18型の感染を防ぐ効果があります。加えて、9価ワクチン(シルガード)であれば、HPV16型・18型だけでなく、31型・33型・45型・52型・58型の感染を防ぐ効果があります。 9価ワクチン(シルガード9)を接種すれば、子宮頸がんの原因の90%を防ぐことができます。また、HPVワクチンの接種が進んでいる一部の国では、子宮頸がんそのものを予防する効果があることもわかってきています。副反応
具体的には、接種した部位の痛み(93.0%)、接種した部位の腫れ・赤み(30~50%未満)、かゆみ・出血・発熱・頭痛・悪心・下痢など(1~10%未満)です。嘔吐や四肢の痛み等は1%未満であり、重いアレルギー症状などは頻度不明(非常に稀)とされています。 近年、HPVワクチン接種後の「多様な症状」として挙げられた過去の事例について、HPVワクチンとの因果関係を示す根拠は示されなかったと、厚生労働省の専門部会にて報告されています。WHOは予防接種ストレス関連反応(Immunization Stress-Related Response: ISRR)という概念を発表しています。予防接種時のストレスに対する個人の反応は身体的因子、心理的因子、および社会的因子が複合的に絡み合って生じる可能性があるというものです。
ワクチンの接種を行うという行為そのものが、一連の反応を誘発する可能性があるため、当院では、被接種者への丁寧な説明と丁寧な接種を心掛けています。
接種対象者・スケジュール
シルガード9の接種対象は9歳以上の女性です。ただ、定期接種として公費で受けられるのは小学校6年~高校1年相当の女子です。また、平成9年度生まれ~平成17年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2006年4月1日)の女性の中で、定期接種の対象年齢(小学校6年から高校1年相当)の間に接種を逃した方も、公費で接種ができます。(キャッチアップ接種)
※キャッチアップ無料接種は2025年3月31日で終了。2022年4月1日から2025年3月31日までのキャッチアップ接種期間中にすでに1回以上接種した方(主に1997年4月2日~2009年4月1日生まれの方)は、残りの接種(2回目・3回目)を2026年3月31日まで公費(無料)で受けられる経過措置があります。

HPVワクチンの費用
小学校6年~高校1年相当の女の子は、HPVワクチンを公費で受けられます。医師と事前に相談し、どれか1種類を接種します。ワクチンの種類や接種する年齢によって、接種の回数や間隔が少し異なりますが、いずれのワクチンも、半年~1年の間に決められた回数、接種します。接種には、保護者の方の同意が必要です。当院で公費の補助がない場合のシルガード9接種費用は、1回44,000円(税込)です。3回接種対象者であれば、合計132,000円(税込)となります。
国内外の接種状況
日本国内の状況
日本では2009年10月に2価HPVワクチンが承認され、翌2010年度から中学1年~高校1年生相当の女子を対象に公費助成(無料)が始まりました。2013年4月には定期接種化され費用は全額公費負担となりましたが、同年6月に副作用に関する報道が相次ぎ、国が積極的な接種勧奨を中止した結果、接種率はそれまでの70~80%から0.3%まで急落しました。
その後、2022年4月に勧奨が再開され、2025年3月にはキャッチアップ接種(無料)の新規受付が終了しましたが、対象年齢や接種可能な期間によっては2026年3月末まで継続可能です。
近年は接種率が徐々に回復しつつあるものの、最新データでは高校1年女子の初回接種率は約41.9%と、WHOが掲げる90%にはまだ大きく届かない状況です。
世界の接種状況
HPVワクチンは2006年にオーストラリアや米国などで初導入され、2025年2月時点でWHO加盟148カ国が国家予防接種計画に導入しています。多くの国では9~14歳女子を対象とし、最近は1回接種スケジュール採用国も増加。世界全体の初回接種率は約61.6%、3回接種完了率は47.6%。90%以上の接種率を達成した国は15カ国にとどまります。
男児接種の公費化も一部で進んでいますが、世界的には女子中心です。
出典:厚生労働省発行の接種状況報告
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001255917.pdf
WHO HPVワクチン関連ページ
https://www.who.int/health-topics/human-papillomavirus-(hpv)-infection#tab=tab_1
HPVワクチンの最新動向
日本では、キャッチアップ接種の終了を前に2024年夏以降に駆け込み需要が急増し、一部地域で供給制限や接種待ちが発生しました。このため、すでに1回以上接種している対象者に限り、公費で残りの接種を受けられる期間が延長されています。臨床研究では、接種者のHPV感染率や前がん病変の発生率が非接種者より有意に低いことが確認され、20代前半女性で子宮頸がん検診時の異常検出率低下も報告されました。
国際的には1回接種スケジュールを導入する国が増加し、男児への接種も一部で進展していますが、日本では現時点で定期接種対象は女子のみです。今後は、男性接種の導入や接種率向上に向けた制度改善、誤情報対策が重要な課題となっています。
出典:厚生労働省HPVワクチン公式情報
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html
厚生労働省リーフレット「キャッチアップ接種・経過措置の公費案内」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/leaflet.html
ご予約から接種後の流れ
- ご予約
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- ・ワクチン仮申込フォームを入力し送信してください。 24時間以内(土日・祝日を除く)に、当院からお電話もしくはメールでご連絡を差し上げ、ご予約確定となります。 ※英文証明書をご希望の場合、来院希望日時は申込日から5日後以降の日程をご選択ください。
- ・事前に接種を希望されるワクチンの問診票を下記よりダウンロードしていただきご記入ください。
- ご来院・接種
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●お持ち物 問診票・母子手帳・接種証明書・ワクチン手帳(ある方)
- ・37.5度以上の発熱があるなどの体調不良時には予防接種を受けることができません。
- ・当院以外でも予防接種をおこなう場合は、ワクチンの接種間隔にご注意ください。
- 接種後
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- ・接種後15~30分間は体調変化の経過観察をしてください。
- ・次回のワクチン接種予定がある方は、接種計画(ワクチンの種類・スケジュール)を確認してからご帰宅ください。
- ・接種当日の激しい運動は避けてください。
- ・シャワーや入浴は可能ですが、長風呂は避けてください。
- ・1週間以内に接種部位が赤くなったり痛みが出たりなど、何らかの副反応が生じる場合がありますが、ほとんどの場合は数日以内に自然に軽快します。 日常生活に支障をきたすような症状がある場合、気になる症状がある場合は、当院までお問い合わせください。
注意事項 ※必ず事前にご確認ください。
- ●初回は必ずワクチン仮申込フォームでの事前お申し込みが必要です。 下記「ワクチン仮申込フォーム」をご入力ください。
- ●原則、事前のワクチン確保が必要なため、完全予約制です。 当日の接種をご希望の場合は事前に当院へご連絡ください。
- ●英文証明書をご希望の場合、事前に当院での対応可否を確認しております。 ワクチン仮申込フォームより英文接種証明書をご希望いただき、別途事前にFAXにて記載箇所を明示の上ご送付ください。
- ●証明書は発行までに数日程度お時間をいただく場合もございますのでスケジュールに余裕をもってお問い合わせください。
- ●無断キャンセルはキャンセル料を頂く場合がございますので、予約のご変更はお早めにお電話くださいませ。
- ●中学生以下の方の接種は、小児科医不在のためお断りしております。
- ●高校生~未成年(20歳未満)の方の接種には保護者同席をお願いしております。
問診票について
予防接種時には問診票の記入が必要です。事前に下記より問診票をダウンロードし、ご記入の上お持ちいただくと当日スムーズにご案内可能です。
(当日の状況次第では、お待ち時間が発生する可能性がございます。)
未成年の方の予防接種には、保護者の方の同意が必要です。
保護者の方が予防接種時に付き添えない場合には、事前に問診票をダウンロードしていただき、保護者の方のサインをご記入の上ご持参くださいませ。
医師問診の際に、保護者の方にオンラインでお繋ぎいただくことによって未成年の方は予防接種可能となります。
※医師の判断により、予防接種を中止することがございます。
あらかじめご了承ください。
各種証明書
証明書の種類と料金
証明書の種類 | 料金 |
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当院書式【日本語】 | 3,300円(税込) |
予診票コピー【日本語】 | ― |
領収書【日本語】 | ― |
当院書式【英語】 | 5,500円(税込) |
当院以外の指定書式【英語※事前相談必須】 | 5,500円(税込) |
「国際基準」のワクチン接種記録手帳

当院で接種されたワクチンについては、WHO(国際保健機構)の手帳に記載いたします。 1冊あたり3,300円(税込)です。
Q&A
待ち時間はどのくらいですか?
ほとんど待ち時間なくご案内が可能です。※状況によっては多少お待ち時間が発生する可能性はございますが、ご了承ください。
HPVワクチンは受けなければならないものですか?
絶対に受けなければならないものではございません。ただ、「HPVワクチンの接種は予防接種法に基づいて実施されており、国内外の研究結果から、HPVワクチン接種による子宮頸がんの予防効果などのメリットが、副反応などのデメリットよりも大きい」ということが確認されており、ゆえに厚生労働省が接種を勧めております。
HPVワクチンの接種を1回、2回でやめてもいいですか?
HPVワクチンは3回の接種が望ましいです。しかし、副反応などで気になる症状が出た場合は途中でやめることもできます。気になることが起きたら、まずは接種した医療機関に相談すると良いでしょう。
HPVワクチン接種後に気になる症状や体調の変化が起きた場合、どこに相談すればよいですか?
まずは接種を行った医療機関の医師等にご相談ください。当院で接種された場合は、お気軽に当院にお問い合わせください。渋谷院・大手町院・横浜みなとみらい院、それぞれ接種した院にお問い合わせくださいますと幸いです。
キャッチアップ接種はいつまで受けられますか?
無料のキャッチアップ接種(1997〜2008年度生まれ女性対象)は、新規の1回目接種が2025年3月31日で終了しました。ただし、2022年4月〜2025年3月末までに1回以上接種した方は、2026年3月31日まで残りの接種を公費(無料)で受けることができます。
男性もHPVワクチンを接種できますか?
現在、日本の定期接種制度では対象は女子のみですが、男性への接種推奨や公費導入について議論が進んでいます。海外では男児への接種を導入している国もあり、将来的に制度が変わる可能性があります。