
風疹ワクチン(Rubella)
風疹ワクチンとは
風疹ワクチンは、風疹ウイルスによる感染症「風疹」を予防するために開発されたワクチンです。個人の健康を守るだけでなく、社会全体の感染拡大を防ぐために不可欠な予防接種です。特に妊娠を希望する女性や流行地域に住む方、過去に接種歴が不明な成人男性は、抗体検査やワクチン接種を積極的に検討してください。
風疹の特徴・症状
風疹は、主に飛沫感染で感染し、風疹ウイルスによって引き起こされる急性発疹性感染症です。感染力が非常に強く、症状の出ないまま他の人にうつす可能性があります。

主な症状は、発熱、発疹、リンパ節の腫れ(特に耳の後ろや首の後ろ)が挙げられます。発疹は顔から始まり、全身に広がるのが特徴です。症状は比較的軽いことが多いですが、大人が感染すると関節痛や筋肉痛を伴うこともあります。
また、妊娠初期の女性が風疹に感染すると、胎児に先天性風疹症候群(CRS)を引き起こし、心疾患、難聴、白内障などの重篤な障害をもたらす可能性があるため、特に注意が必要です。
風疹が流行している地域・時期
風疹は世界中で発生する感染症ですが、ワクチン接種率が低い地域(アフリカ地域など)では流行が見られます。日本でも過去に大規模な流行があり、特に成人男性を中心とした集団感染が問題となりました。流行の時期は春から初夏にかけて多い傾向がありますが、年間を通して発生することもあります。ワクチン導入が進んでいる国や地域では患者数が大幅に減少していますが、接種率が低い世代や集団では依然として発生リスクが残っています。
日本国内でも、特定の年齢層や自治体で接種率が低い傾向がみられます。特に40~60代の男性は、過去に定期接種の機会がなかったため抗体保有率や接種率が低く、集団感染のリスクが指摘されています。
風疹ワクチンの概要
製剤の特性・概要
日本で主に使用されている風疹ワクチンは、「乾燥弱毒生風しんワクチン(タケダ)」や、麻しん(はしか)と風疹の両方を予防できる「麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)」です。これらのワクチンは、弱毒化された生きた風疹ウイルス(Takahashi株など)を含み、体内で免疫反応を引き起こします。MRワクチンは1回の接種で麻しんと風疹の両方に対する免疫を獲得できるため、定期接種の中心となっています。接種対象と推奨年齢(接種スケジュール)
日本の定期接種スケジュールでは、MRワクチンを以下の2回接種することが推奨されています。- ●第1期:1歳の1年間(1歳の誕生日の前日から2歳の誕生日の前日まで)
- ●第2期:5歳以上7歳未満で、小学校入学前の1年間
これにより、幼少期に確実な免疫を獲得し、将来の感染や流行を防ぎます。成人で抗体価が低い場合や、妊娠を希望する女性、流行地域への渡航者なども接種の対象となります。
海外渡航者で免疫が不明、不十分の可能性が高い場合は2回(初回,4週間後)の接種をお勧めします。
接種方法・注意点
風疹ワクチンは皮下注射で接種します。通常は上腕外側に1回0.5mLを注射します。接種後は、接種部位の腫れや発赤、軽度の発熱などがみられることがありますが、ほとんどは軽度で一過性です。接種後30分程度は院内で安静にし、アレルギー反応などの急変に備えることが推奨されます。
他のワクチンとの同時接種の可否
風疹ワクチン(単独またはMRワクチン)は、他の生ワクチンや不活化ワクチンと同時接種が可能です。ただし、別の生ワクチンを単独で接種する場合は、27日以上の間隔を空けることが望ましいとされています。医師の指示に従い、スケジュールを調整してください。接種を避けるべき人(禁忌・慎重投与)
- ●妊娠中の女性(胎児への影響が否定できないため、接種は禁忌)
- ●明らかな発熱や重篤な急性疾患がある人
- ●以前にワクチン成分で重篤なアレルギー反応を起こしたことがある人
- ●免疫不全状態の人(医師と相談が必要)
また、接種後2ヶ月間は妊娠を避けることが推奨されています。
風疹ワクチンの効果と安全性

ワクチンの効果(有効性)
風疹ワクチンは非常に高い有効性を持ち、1回の接種で95%以上の人が風疹ウイルスに対する免疫を獲得できます。2回接種することで、1回目で免疫がつかなかった人も多くが免疫を獲得できるため、集団免疫の形成にも大きく寄与します。集団免疫の閾値は85〜90%とされており、社会全体で高い接種率を維持することが流行防止に不可欠です。副反応
主な副反応は以下の通りです。- ●接種部位の発赤、腫れ、痛み
- ●発熱(37.5度以上)
- ●発疹
- ●関節痛(特に成人女性)
- ●リンパ節の腫れ
これらの副反応はほとんどが軽度で、数日以内に自然に回復します。重篤な副反応は極めてまれです。世界的にも、妊娠中に誤って風疹ワクチンを接種したことによる胎児への重大な障害の報告はありませんが、理論的なリスクが否定できないため、妊婦への接種は避けるべきとされています。
その他の留意点
風疹ワクチンは個人の感染予防だけでなく、社会全体の感染拡大防止(集団免疫)に重要な役割を果たします。妊娠を希望する女性は、妊娠前に抗体価を確認し、必要に応じてワクチン接種を行うことが推奨されます。
風疹流行時には、特に抗体価が低い成人男性の接種が推奨されています。
費用と接種の状況
接種にかかる費用
定期接種の対象となる年齢(1歳および小学校入学前の1年間)の子どもは、自治体の公費で無料または一部自己負担で接種できます。定期接種の対象外(成人や抗体価が低い人など)は、医療機関によって異なりますが、風疹単独ワクチンで5,000〜8,000円程度、MRワクチンで8,000〜12,000円程度が一般的です。
自治体によっては成人男性や妊娠希望女性への助成制度が設けられている場合もあります。
国内外の接種状況(接種率や導入時期)
日本では1977年から女子中学生を対象に風疹ワクチンの定期接種が始まり、1995年から男女ともに対象が拡大されました。2006年からはMRワクチンによる2回接種が導入され、接種率の向上とともに患者数が減少しています。しかし、過去にワクチン接種の機会がなかった世代(特に昭和37〜53年生まれの男性)では抗体保有率が低く、流行のリスクが残っています。
世界的にもワクチン導入国では患者数が激減していますが、接種率が低い国や地域では依然として流行が見られます。
風疹ワクチンの最新動向
研究開発や改良の動き
現在、日本で使用されている風疹ワクチンは高い有効性と安全性が確認されていますが、さらなる品質向上や安定供給体制の強化、他のワクチンとの組み合わせ(混合ワクチン)の改良が進められています。また、抗体価が低い成人男性への追加接種や、抗体検査の普及など、社会全体での風疹排除に向けた取り組みが強化されています。最新の知見・ニュース
2019年以降、日本では成人男性を中心とした風疹流行が話題となり、厚生労働省は対象世代の男性に対して抗体検査とワクチン接種の無料クーポンを配布するなどの対策を実施しています。また、妊娠を希望する女性やそのパートナーへの啓発活動も積極的に行われています。世界的にも、風疹排除を目指す国が増えており、WHOは2020年までに風疹排除を目標としています。
風疹ワクチンに関するよくある質問
風疹ワクチンは何歳まで接種できますか?
成人でも抗体価が低ければ接種可能です。特に妊娠を希望する女性や流行地域に住む方は、年齢に関わらず接種が推奨されます。
妊娠中に風疹ワクチンを打ってしまった場合、どうすればいいですか?
これまでに重大な胎児障害の報告はありませんが、念のため主治医に相談してください。今後の妊娠計画では、接種後2ヶ月間は避妊することが推奨されます。
風疹ワクチンと他のワクチンは同時に接種できますか?
はい、同時接種が可能です。ただし、他の生ワクチンと単独で接種する場合は、27日以上の間隔を空けてください。
風疹ワクチンの副反応が心配です。
副反応は軽度なものがほとんどで、重篤な副反応は極めてまれです。安全性は高く、多くの人が問題なく接種を受けています。
風疹ワクチンは1回だけでいいですか?
2回接種が推奨されています。1回目で十分な免疫がつかない場合もあるため、2回目の接種で確実な免疫を獲得しましょう。
ご予約から接種後の流れ
- ご予約
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- ・ワクチン仮申込フォームを入力し送信してください。 24時間以内(土日・祝日を除く)に、当院からお電話もしくはメールでご連絡を差し上げ、ご予約確定となります。 ※英文証明書をご希望の場合、来院希望日時は申込日から5日後以降の日程をご選択ください。
- ・事前に接種を希望されるワクチンの問診票を下記よりダウンロードしていただきご記入ください。
- ご来院・接種
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●お持ち物 問診票・母子手帳・接種証明書・ワクチン手帳(ある方)
- ・37.5度以上の発熱があるなどの体調不良時には予防接種を受けることができません。
- ・当院以外でも予防接種をおこなう場合は、ワクチンの接種間隔にご注意ください。
- 接種後
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- ・接種後15~30分間は体調変化の経過観察をしてください。
- ・次回のワクチン接種予定がある方は、接種計画(ワクチンの種類・スケジュール)を確認してからご帰宅ください。
- ・接種当日の激しい運動は避けてください。
- ・シャワーや入浴は可能ですが、長風呂は避けてください。
- ・1週間以内に接種部位が赤くなったり痛みが出たりなど、何らかの副反応が生じる場合がありますが、ほとんどの場合は数日以内に自然に軽快します。 日常生活に支障をきたすような症状がある場合、気になる症状がある場合は、当院までお問い合わせください。
注意事項 ※必ず事前にご確認ください。
- ●初回は必ずワクチン仮申込フォームでの事前お申し込みが必要です。 下記「ワクチン仮申込フォーム」をご入力ください。
- ●原則、事前のワクチン確保が必要なため、完全予約制です。 当日の接種をご希望の場合は事前に当院へご連絡ください。
- ●英文証明書をご希望の場合、事前に当院での対応可否を確認しております。 ワクチン仮申込フォームより英文接種証明書をご希望いただき、別途事前にFAXにて記載箇所を明示の上ご送付ください。
- ●証明書は発行までに数日程度お時間をいただく場合もございますのでスケジュールに余裕をもってお問い合わせください。
- ●無断キャンセルはキャンセル料を頂く場合がございますので、予約のご変更はお早めにお電話くださいませ。
- ●中学生以下の方の接種は、小児科医不在のためお断りしております。
- ●高校生~未成年(20歳未満)の方の接種には保護者同席をお願いしております。
問診票について
予防接種時には問診票の記入が必要です。事前に下記より問診票をダウンロードし、ご記入の上お持ちいただくと当日スムーズにご案内可能です。
(当日の状況次第では、お待ち時間が発生する可能性がございます。)
未成年の方の予防接種には、保護者の方の同意が必要です。
保護者の方が予防接種時に付き添えない場合には、事前に問診票をダウンロードしていただき、保護者の方のサインをご記入の上ご持参くださいませ。
医師問診の際に、保護者の方にオンラインでお繋ぎいただくことによって未成年の方は予防接種可能となります。
※医師の判断により、予防接種を中止することがございます。
あらかじめご了承ください。
各種証明書
証明書の種類と料金
証明書の種類 | 料金 |
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当院書式【日本語】 | 3,300円(税込) |
予診票コピー【日本語】 | ― |
領収書【日本語】 | ― |
当院書式【英語】 | 5,500円(税込) |
当院以外の指定書式【英語※事前相談必須】 | 5,500円(税込) |
「国際基準」のワクチン接種記録手帳

当院で接種されたワクチンについては、WHO(国際保健機構)の手帳に記載いたします。 1冊あたり3,300円(税込)です。
各院の診療時間・アクセスは
下記よりご確認ください。