日本脳炎予防接種(Japanese encephalitis)

  

目次

  

日本脳炎ワクチンとは

日本脳炎ワクチンは、日本脳炎ウイルスによる感染症「日本脳炎」を予防するために開発されたワクチンです。日本脳炎は、主にコガタアカイエカという蚊が媒介するウイルス感染症で、人から人へは直接感染しません。感染したブタや鳥などの動物がウイルスの増殖源となり、蚊がこれらの動物からウイルスを吸血し、人間に感染させます。



日本脳炎の特徴・症状

日本脳炎に感染してもほとんどの人は無症状か軽い風邪のような症状で済みますが、約1,000人に1人が重症化して脳炎を発症します。潜伏期間は5日~15日で、症状には以下のようなものがあります。

  • ●高熱
  • ●頭痛
  • ●嘔吐
  • ●意識障害
  • ●けいれん
  • ●昏睡
  • ●運動障害

脳炎を発症すると致死率は20~40%と高く、生存しても約30〜50%の人に後遺症(麻痺・痙攣・精神障害など)が残ることがあります。

日本脳炎の診断は、主に血液検査や脳脊髄液の検査、MRIなどの画像診断によって行われます。血液検査では、ウイルスに対する抗体の有無が調べられ、確定診断に至ります。

日本脳炎は、重症化すると非常に危険な病気ですが、予防接種の実施や、蚊に刺されないための対策(蚊帳の使用や虫除け剤の利用)により、感染を効果的に防ぐことが可能です。

日本脳炎が流行している地域・時期

日本脳炎は東アジア、東南アジア、南アジア、オーストラリア北部で広く流行しています。日本国内では、主に西日本を中心に患者が報告されていますが、全国的に感染リスクは存在します。

流行の時期は、蚊の活動が活発になる夏から秋(6月〜9月)がピークです。特にブタが多く飼育されている地域や、田畑や水田が多い農村部で感染リスクが高まります。都市部でも蚊が生息していれば感染の可能性は否定できません。


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日本脳炎ワクチンの概要

製剤の特性・概要

日本脳炎ワクチンは、不活化ワクチンに分類されます。従来はマウス脳を用いたワクチンが使われていましたが、現在は細胞培養による「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン(ジェービックVなど)」が主流です。ウイルスを細胞で培養し、感染力を失わせたうえで抗原として利用するため、安全性が高くなっています。

ワクチンは0.5mL(3歳未満は0.25mL)を皮下に注射します。



接種対象と推奨年齢(接種スケジュール)

日本脳炎ワクチンは、予防接種法に基づく定期接種の対象です。標準的な接種スケジュールは以下の通りです。

  • 第1期初回接種:生後6か月~7歳6か月未満の間に2回(通常3歳で2回、1~4週間間隔)
  • 第1期追加接種:初回接種から約1年後に1回(通常4歳で)
  • 第2期接種:9歳~13歳未満の間に1回(通常9歳で)


定期接種の年齢を過ぎても、接種を受けていない場合は20歳未満であれば定期接種として受けることができます。

  • 特例対象者(2005~2009年の接種控え期間)
  •  ・平成7年4月2日〜平成19年4月1日生まれ:20歳になるまで接種可能
  •  ・平成19年4月2日〜平成21年10月1日生まれ:特例スケジュールに基づき接種可能


成人・渡航者の接種については、
  • ●過去に未接種の方(3回接種を完了していない方):感染予防のため、初回からの3回接種を推奨します。
  • ●最終接種から10年以上経過している方:免疫効果が低下している可能性があるため、1~2回の追加接種を推奨します。
  • ●日本脳炎流行地域への渡航予定者:滞在期間や地域によっては感染リスクが高いため、渡航前の追加接種を検討してください。

接種方法・注意点

ワクチンは皮下に注射します。3歳未満は0.25mL、3歳以上は0.5mLを使用します。接種前には必ず問診、検温、診察(視診・聴診など)を行い、健康状態を確認します。

接種当日は激しい運動を避け、接種部位を清潔に保ちましょう。接種後は高熱やけいれんなどの異常がないか注意深く観察し、異常があれば速やかに医師の診察を受けてください。

他のワクチンとの同時接種の可否

日本脳炎ワクチンは、医師が必要と認めた場合には他のワクチンと同時接種が可能です。ただし、同時接種しない場合は、接種後6日以上の間隔を空けて他のワクチンを接種します。同時接種や間隔については医師と相談しましょう。

接種を避けるべき人(禁忌・慎重投与)

以下のような方は接種を避けるか、慎重に行う必要があります。

  • ●明らかな発熱がある人
  • ●重篤な急性疾患にかかっている人
  • ●過去に日本脳炎ワクチンやその成分でアナフィラキシーを起こしたことがある人
  • ●予防接種を行うことが不適当な状態にある人

また、以下のような方は接種要注意者とされ、健康状態や体質を十分に考慮し、医師の判断のもとで接種の可否を決めます。

  • ●心臓・腎臓・肝臓・血液疾患、発育障害などの基礎疾患がある人
  • ●過去に予防接種で発熱や全身性発疹などのアレルギー症状を起こした人
  • ●けいれんの既往がある人
  • ●免疫不全の診断がある人や近親者に先天性免疫不全症がいる人
  • ●妊婦または妊娠の可能性がある人(有益性が危険性を上回る場合のみ接種可)
  • ●高齢者


日本脳炎ワクチンの効果と安全性

ワクチンの効果(有効性)

日本脳炎ワクチンを接種することで、日本脳炎の罹患リスクを75~95%減らすことができると報告されています。複数回の接種によって十分な免疫が得られ、流行地域や流行期における発症リスクを大幅に低減できます。

特に日本脳炎は重症化すると致死率が高く、後遺症も深刻なため、ワクチンによる予防の意義は非常に大きいといえます。

副反応

日本脳炎ワクチンの副反応には、以下のようなものがあります。

重大な副反応(頻度は極めて低い)

  • ●ショック、アナフィラキシー(じんましん、呼吸困難、血管浮腫など)
  • ●急性散在性脳脊髄炎(ADEM):発熱、頭痛、けいれん、運動障害、意識障害など
  • ●脳炎・脳症:発熱、四肢麻痺、けいれん、意識障害など
  • ●けいれん
  • ●血小板減少性紫斑病:紫斑、鼻出血、口腔粘膜出血など

その他の副反応

  • ●注射部位の紅斑、腫脹、痛み、かゆみ、発疹、蕁麻疹、内出血、出血、硬結、しびれ感、熱感
  • ●頭痛、失神、発熱、倦怠感、嘔吐、食欲不振、下痢、腹痛、関節痛など

副反応の多くは軽度で一時的なものですが、重篤な症状が現れることも稀にあります。接種後は体調の変化に注意し、異常があればすぐに医師に相談してください。

その他の留意点

  • ●ワクチン接種後は、当日の激しい運動を避け、接種部位を清潔に保ちましょう。
  • ●高熱やけいれんなどの異常があれば速やかに医師へ連絡してください。
  • ●ワクチンの効果を十分に得るため、定められたスケジュールで全ての回数を接種することが重要です。
  • ●定期接種の年齢を過ぎた場合でも、20歳未満であれば定期接種として受けられます。



費用と接種の実際

接種にかかる費用

接種料金:8,250円/回

 ※原則、事前のワクチン確保が必要なため、完全予約制です。

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国内外の接種状況(接種率や導入時期)

日本脳炎ワクチンは、1954年から定期接種が開始されました。現在は細胞培養ワクチンが主流となり、安全性・有効性ともに向上しています。

日本国内の定期接種率は高く、毎年多くの子どもが接種を受けています。2005年から2010年にかけてワクチンの安全性に関する一時的な積極的勧奨の差し控えがありましたが、その後再開され、接種率も回復しています。

アジア諸国やオーストラリアなど日本脳炎流行地域の多くでも、日本脳炎ワクチンの定期接種が導入されています。



日本脳炎ワクチンの最新動向

研究開発や改良の動き

日本脳炎ワクチンは、従来のマウス脳ワクチンから細胞培養ワクチンへの切り替えが進みました。これにより、アレルギーや副反応のリスクが低減し、より安全性の高い製剤が普及しています。

今後は、さらなる副反応の低減や、より長期間の免疫維持、接種回数の簡略化を目指した製剤開発が期待されています。また、他のワクチンとの混合製剤や、成人向け・高齢者向けの接種プログラムの拡充も検討されています。

最新の知見・ニュース

近年、日本国内では日本脳炎の患者数は大幅に減少していますが、海外では依然として流行が見られる地域があります。気候変動や都市化、農業形態の変化などにより、蚊の生息域や感染リスクも変化しており、今後も継続的な監視と予防が重要です。

また、ワクチンの安全性に関する情報提供や副反応報告体制の強化も進められており、保護者や医療従事者への啓発活動が続けられています。


日本脳炎ワクチンに関するよくある質問

日本脳炎ワクチンを接種した後、どれくらいで効果が出ますか?

初回接種の2回を終えてから約2週間で十分な免疫が得られます。追加接種を受けることで、より長期間の免疫が維持されます。

ワクチンの副反応が心配です。どのような症状に注意すればよいですか?

注射部位の腫れや痛み、発熱などの軽い症状が多いですが、まれにアナフィラキシーやけいれん、脳炎など重篤な副反応が起こることがあります。接種後は体調の変化に注意し、異常があれば医師に相談してください。

妊婦や基礎疾患がある場合でも接種できますか?

妊婦や基礎疾患がある場合は、ワクチンの有益性とリスクを医師が慎重に判断し、必要に応じて接種します。必ず事前に医師に相談してください。

他のワクチンと同時に接種できますか?

医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種できます。別々に接種する場合は6日以上の間隔を空けてください。

定期接種の年齢を過ぎてしまいました。どうすればよいですか?

20歳未満であれば定期接種として受けることができます。20歳以上の場合は任意接種となり、医療機関で相談してください。

日本脳炎は日本だけの病気ですか?

いいえ。日本脳炎はアジア太平洋地域を中心に広く分布しており、海外渡航者も流行地域では感染リスクがあります。

途中で接種間隔が空いてしまいました。最初からやり直す必要はありますか?

いいえ。途中で接種間隔が空いても、残りの回数を接種すれば免疫は得られます。最初からやり直す必要はありません。

ご予約から接種後の流れ

ご予約
  • ワクチン仮申込フォームを入力し送信してください。 24時間以内(土日・祝日を除く)に、当院からお電話もしくはメールでご連絡を差し上げ、ご予約確定となります。 ※英文証明書をご希望の場合、来院希望日時は申込日から5日後以降の日程をご選択ください。
  • ・事前に接種を希望されるワクチンの問診票を下記よりダウンロードしていただきご記入ください。
ご来院・接種
●お持ち物 問診票・母子手帳・接種証明書・ワクチン手帳(ある方)
  • ・37.5度以上の発熱があるなどの体調不良時には予防接種を受けることができません。
  • ・当院以外でも予防接種をおこなう場合は、ワクチンの接種間隔にご注意ください。
接種後
  • ・接種後15~30分間は体調変化の経過観察をしてください。
  • ・次回のワクチン接種予定がある方は、接種計画(ワクチンの種類・スケジュール)を確認してからご帰宅ください。
  • ・接種当日の激しい運動は避けてください。
  • ・シャワーや入浴は可能ですが、長風呂は避けてください。
  • ・1週間以内に接種部位が赤くなったり痛みが出たりなど、何らかの副反応が生じる場合がありますが、ほとんどの場合は数日以内に自然に軽快します。 日常生活に支障をきたすような症状がある場合、気になる症状がある場合は、当院までお問い合わせください。

注意事項 ※必ず事前にご確認ください。

  • ●初回は必ずワクチン仮申込フォームでの事前お申し込みが必要です。 下記「ワクチン仮申込フォーム」をご入力ください。
  • ●原則、事前のワクチン確保が必要なため、完全予約制です。 当日の接種をご希望の場合は事前に当院へご連絡ください。
  • ●英文証明書をご希望の場合、事前に当院での対応可否を確認しております。 ワクチン仮申込フォームより英文接種証明書をご希望いただき、別途事前にFAXにて記載箇所を明示の上ご送付ください。
  • ●証明書は発行までに数日程度お時間をいただく場合もございますのでスケジュールに余裕をもってお問い合わせください。
  • ●無断キャンセルはキャンセル料を頂く場合がございますので、予約のご変更はお早めにお電話くださいませ。
  • ●中学生以下の方の接種は、小児科医不在のためお断りしております。
  • ●高校生~未成年(20歳未満)の方の接種には保護者同席をお願いしております。

問診票について

予防接種時には問診票の記入が必要です。事前に下記より問診票をダウンロードし、ご記入の上お持ちいただくと当日スムーズにご案内可能です。 (当日の状況次第では、お待ち時間が発生する可能性がございます。) 未成年の方の予防接種には、保護者の方の同意が必要です。 保護者の方が予防接種時に付き添えない場合には、事前に問診票をダウンロードしていただき、保護者の方のサインをご記入の上ご持参くださいませ。 医師問診の際に、保護者の方にオンラインでお繋ぎいただくことによって未成年の方は予防接種可能となります。 ※医師の判断により、予防接種を中止することがございます。 あらかじめご了承ください。

各種証明書

証明書の種類と料金

証明書の種類 料金
当院書式【日本語】 3,300円(税込)
予診票コピー【日本語】
領収書【日本語】
当院書式【英語】 5,500円(税込)
当院以外の指定書式【英語※事前相談必須】 5,500円(税込)

「国際基準」のワクチン接種記録手帳

ワクチン接種記録手帳3,300円(税込)

当院で接種されたワクチンについては、WHO(国際保健機構)の手帳に記載いたします。 1冊あたり3,300円(税込)です。