帯状疱疹ワクチン(Herpes zoster)

  

目次

  

帯状疱疹ワクチンとは

帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹の発症や重症化、そして合併症である帯状疱疹後神経痛(PHN)を予防するために開発されたワクチンです。帯状疱疹は「みずぼうそう(水痘)」と同じ水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が原因で発症します。

このウイルスは、初めて感染したときに水痘(みずぼうそう)として発症し、治癒後も体内の神経節に潜伏し続けます。加齢やストレス、免疫力低下などをきっかけに、再び活性化して帯状疱疹を引き起こします。

日本では成人の9割以上がこのウイルスに感染しており、80歳までに3人に1人が帯状疱疹を経験するとされています。

帯状疱疹の特徴・症状



帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化して発症する疾患です。

水痘(みずぼうそう)は、主に小児がかかる感染症で、全身にかゆみを伴う発疹や水ぶくれが現れます。水痘が治った後もウイルスは神経節に潜み続け、何十年も経ってから加齢や疲労、病気などで免疫力が低下した際に再活性化し、帯状疱疹として発症します。

帯状疱疹の主な症状は、体の片側に帯状に現れる強い痛みと赤い発疹や水疱です。神経の炎症による痛みが強く、顔や目の周囲、胸、腹部、手足などにも発症します。

合併症として帯状疱疹後神経痛(PHN)があり、皮疹が治まった後も長期間強い痛みが続くことがあります。

帯状疱疹が流行している地域・時期

水痘も帯状疱疹も日本全国で発症がみられ、特に帯状疱疹は年齢とともに発症率が上昇します。水痘は空気感染するため集団生活で流行しやすいですが、帯状疱疹は主に接触感染です。

帯状疱疹は季節性の流行は特にありませんが、冬から春にかけてや、免疫力が低下しやすい時期に発症が増える傾向があります。


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帯状疱疹ワクチンの概要

製剤の特性・概要

帯状疱疹ワクチンには主に2種類あります。

  • 乾燥弱毒生水痘ワクチン(ビケン®など)
  • もともと水痘ワクチンとして使われてきた生ワクチンで、2016年から帯状疱疹予防にも適応拡大されました。1回接種で免疫持続期間は約5年程度です。

  • 帯状疱疹不活化ワクチン(シングリックス®)
  • 2020年に日本で承認された組換え不活化ワクチンです。2回接種が必要ですが、免疫持続期間は約10年と長く、有効性が非常に高いのが特徴です。

接種対象と推奨年齢(接種スケジュール)

  • 生ワクチン(ビケン®)
  • 50歳以上が対象。1回皮下注射します。水痘ワクチンは1歳以上3歳未満の小児で定期接種となっており、みずぼうそうの予防が可能です。

  • シングリックス®
  • 50歳以上が基本対象ですが、2023年6月からは免疫不全や免疫低下のリスクが高い18歳以上にも適応拡大されました。2回筋肉注射(通常2か月間隔)で接種します。

接種方法・注意点

  • 生ワクチン:皮下注射で1回接種しますが、妊娠中や免疫抑制状態の方は接種できません。

  • シングリックス:筋肉注射で2回接種します。免疫低下者でも接種可能ですが、1回目の接種で強いアレルギー反応があった場合は2回目を避けます。

他のワクチンとの同時接種の可否

他のワクチンとの同時接種は、ワクチンの種類や体調によって異なります。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンなどとの同時接種も可能ですが、個別の体調や既往歴によって判断されます。詳細は医師にご相談ください。

接種を避けるべき人(禁忌・慎重投与)

  • 生ワクチン:妊娠中、免疫抑制状態(ステロイド、免疫抑制剤、抗がん剤治療中など)、過去にワクチン成分でアレルギーを起こしたことがある人は禁忌です。

  • シングリックス:1回目の接種で強いアレルギー反応が出た場合は2回目を避けます。


帯状疱疹ワクチンの効果と安全性



ワクチンの効果(有効性)

  • シングリックス(不活化ワクチン):50歳以上で97%、70歳以上で91%の発症予防効果があり、帯状疱疹後神経痛(PHN)の予防効果も85.5%と非常に高いです。

  • 生ワクチン:発症予防効果が約50%、PHNの予防効果が約66.5%とされています。

いずれのワクチンも100%発症を防げるわけではありませんが、発症しても重症化やPHNのリスクを大幅に減らせます。

副反応

  • 生ワクチン:接種部位の発赤、腫脹、疼痛、発熱、倦怠感など。重篤な副反応はまれですが、アナフィラキシーや無菌性髄膜炎などが報告されています。

  • シングリックス:接種部位の疼痛(70%以上)、発赤、筋肉痛、疲労、頭痛、腫脹、悪寒、発熱、胃腸症状など。副反応の頻度は生ワクチンより高い傾向がありますが、多くは一過性です。

その他の留意点

ワクチン接種後も100%発症を防げるわけではありませんが、発症しても重症化や帯状疱疹後神経痛のリスクを大幅に減らせます。免疫力が極端に低下している場合や、過去に重篤な副反応を経験した方は、必ず医師と相談してください。


費用と接種の状況

接種にかかる費用

 接種料金:9,900円/回
※原則、事前のワクチン確保が必要なため、完全予約制です。

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国内外の接種状況(接種率や導入時期)

日本では生ワクチンが2016年、シングリックスが2020年に承認されました。2023年にはシングリックスの適応が拡大され、18歳以上の免疫低下者にも接種可能となりました。海外でも高齢者や免疫低下者への帯状疱疹ワクチン接種が推奨されています。


帯状疱疹ワクチンの最新動向

研究開発や改良の動き

シングリックスは2022年に10年の長期有効性が確認され、2023年には適応年齢の拡大が行われました。免疫不全患者や免疫抑制治療中の患者にも安全に接種できるワクチンとして、今後も研究が進められています。

最新の知見・ニュース

シングリックスの高い有効性と長期予防効果が国内外で注目されており、今後も対象拡大や費用助成の拡充が期待されています。日本国内でも自治体による費用助成が増え、より多くの人が接種しやすくなる環境が整いつつあります。

さらに、2025年度からは厚生労働省の方針により、帯状疱疹ワクチンが予防接種法に基づく定期接種の対象となりました。定期接種の主な対象は65歳を迎える方で、2025年度から2029年度までの5年間は経過措置として、その年度内に70、75、80、85、90、95、100歳となる方も含まれます。また、100歳以上の方については2025年度に限り全員が対象です。さらに、60~64歳でヒト免疫不全ウイルス(HIV)による重度の免疫障害があり日常生活がほとんど不可能な方も対象となります。

使用できるワクチンは「生ワクチン」と「組換えワクチン(シングリックス®)」の2種類で、いずれか1種類を選択して接種します。生ワクチンは1回皮下注射で、効果は5~7年程度持続し、費用は約8,000円程度です。組換えワクチンは2回筋肉注射(2か月以上の間隔)で、10年以上高い効果が持続し、費用は合計16,000~22,000円程度(自治体による)ですが、定期接種化により自己負担額は自治体によって軽減されます。

なお、帯状疱疹ワクチンの定期接種はB類疾病に分類され、接種義務や努力義務はありません。また、帯状疱疹は一度発症しても再発することがあり(再発率約6%)、発症後もワクチン接種は可能です。定期接種化によって、これまで費用面で接種を迷っていた方も、より受けやすくなると考えられます。


帯状疱疹ワクチンに関するよくある質問

帯状疱疹とみずぼうそう(水痘)はどう関係していますか?

帯状疱疹は、子どもの頃にかかったみずぼうそう(水痘)と同じウイルス(VZV:水痘・帯状疱疹ウイルス)が原因です。みずぼうそうが治った後もウイルスは体内の神経に潜伏し、加齢や免疫力の低下などをきっかけに再活性化して帯状疱疹を発症します。

みずぼうそうにかかったことがない人も帯状疱疹になりますか?

みずぼうそうにかかったことがない、または水痘ワクチンを受けていない人は、帯状疱疹にはなりません。初めてVZVに感染した場合は、まずみずぼうそうとして発症します。その後ウイルスが体内に潜伏し、将来的に帯状疱疹を発症する可能性があります。

みずぼうそうにかかったことがある人でもワクチン接種は必要ですか?

はい。みずぼうそうにかかったことがある人も、年齢とともにウイルスに対する免疫が弱まるため、帯状疱疹のリスクが高まります。ワクチン接種によって免疫を強化し、帯状疱疹やその合併症を予防することが推奨されています。

みずぼうそうのワクチンと帯状疱疹ワクチンは違いますか?

どちらも同じウイルスに対するワクチンですが、対象年齢や接種目的が異なります。みずぼうそうワクチンは主に小児の水痘予防を目的とし、帯状疱疹ワクチンは高齢者などの帯状疱疹予防を目的としています。なお、乾燥弱毒生水痘ワクチン(ビケン®)は、50歳以上の帯状疱疹予防にも使用されています。

帯状疱疹ワクチンを接種したら、みずぼうそうも予防できますか?

帯状疱疹ワクチン(特に生ワクチン)は、みずぼうそうの予防効果もありますが、主な目的は帯状疱疹の予防です。小児期の水痘予防には、定期接種の水痘ワクチンが推奨されています。

帯状疱疹ワクチンは何歳から接種できますか?

生ワクチンは50歳以上、シングリックスは50歳以上が基本ですが、免疫低下者は18歳以上でも接種可能です。なお、水痘ワクチンは1歳以上3歳未満の小児で定期接種が推奨されています。

ワクチン接種後に帯状疱疹にかかることはありますか?

100%予防できるわけではありませんが、発症リスクや重症化、帯状疱疹後神経痛のリスクを大きく減らせます。

副反応が心配です。どのような症状が出ますか?

接種部位の痛みや腫れ、発赤、筋肉痛、発熱、倦怠感などがあります。多くは数日で治まりますが、重篤な副反応が出た場合はすぐに医療機関を受診してください。

他のワクチンと同時に接種できますか?

可能な場合もありますが、詳細は医師にご相談ください。

費用助成はありますか?

一部自治体で助成がありますので、お住まいの自治体にご確認ください。

ご予約から接種後の流れ

ご予約
  • ワクチン仮申込フォームを入力し送信してください。 24時間以内(土日・祝日を除く)に、当院からお電話もしくはメールでご連絡を差し上げ、ご予約確定となります。 ※英文証明書をご希望の場合、来院希望日時は申込日から5日後以降の日程をご選択ください。
  • ・事前に接種を希望されるワクチンの問診票を下記よりダウンロードしていただきご記入ください。
ご来院・接種
●お持ち物 問診票・母子手帳・接種証明書・ワクチン手帳(ある方)
  • ・37.5度以上の発熱があるなどの体調不良時には予防接種を受けることができません。
  • ・当院以外でも予防接種をおこなう場合は、ワクチンの接種間隔にご注意ください。
接種後
  • ・接種後15~30分間は体調変化の経過観察をしてください。
  • ・次回のワクチン接種予定がある方は、接種計画(ワクチンの種類・スケジュール)を確認してからご帰宅ください。
  • ・接種当日の激しい運動は避けてください。
  • ・シャワーや入浴は可能ですが、長風呂は避けてください。
  • ・1週間以内に接種部位が赤くなったり痛みが出たりなど、何らかの副反応が生じる場合がありますが、ほとんどの場合は数日以内に自然に軽快します。 日常生活に支障をきたすような症状がある場合、気になる症状がある場合は、当院までお問い合わせください。

注意事項 ※必ず事前にご確認ください。

  • ●初回は必ずワクチン仮申込フォームでの事前お申し込みが必要です。 下記「ワクチン仮申込フォーム」をご入力ください。
  • ●原則、事前のワクチン確保が必要なため、完全予約制です。 当日の接種をご希望の場合は事前に当院へご連絡ください。
  • ●英文証明書をご希望の場合、事前に当院での対応可否を確認しております。 ワクチン仮申込フォームより英文接種証明書をご希望いただき、別途事前にFAXにて記載箇所を明示の上ご送付ください。
  • ●証明書は発行までに数日程度お時間をいただく場合もございますのでスケジュールに余裕をもってお問い合わせください。
  • ●無断キャンセルはキャンセル料を頂く場合がございますので、予約のご変更はお早めにお電話くださいませ。
  • ●中学生以下の方の接種は、小児科医不在のためお断りしております。
  • ●高校生~未成年(20歳未満)の方の接種には保護者同席をお願いしております。

問診票について

予防接種時には問診票の記入が必要です。事前に下記より問診票をダウンロードし、ご記入の上お持ちいただくと当日スムーズにご案内可能です。 (当日の状況次第では、お待ち時間が発生する可能性がございます。) 未成年の方の予防接種には、保護者の方の同意が必要です。 保護者の方が予防接種時に付き添えない場合には、事前に問診票をダウンロードしていただき、保護者の方のサインをご記入の上ご持参くださいませ。 医師問診の際に、保護者の方にオンラインでお繋ぎいただくことによって未成年の方は予防接種可能となります。 ※医師の判断により、予防接種を中止することがございます。 あらかじめご了承ください。

各種証明書

証明書の種類と料金

証明書の種類 料金
当院書式【日本語】 3,300円(税込)
予診票コピー【日本語】
領収書【日本語】
当院書式【英語】 5,500円(税込)
当院以外の指定書式【英語※事前相談必須】 5,500円(税込)

「国際基準」のワクチン接種記録手帳

ワクチン接種記録手帳3,300円(税込)

当院で接種されたワクチンについては、WHO(国際保健機構)の手帳に記載いたします。 1冊あたり3,300円(税込)です。