ポリオワクチン

ポリオとは

口から入ったポリオウイルスが腸の中で増え、便の中に排泄され、この便を介してさらに他の人に感染します。特に乳幼児にかかることが多いですが、大人でも免疫がない場合は発症することがあります。
ポリオに感染しても多くの場合は症状が出ないまま終息します。ただし一部の人では、かぜに似た発熱や頭痛、のどの痛み、吐き気やおう吐、体のだるさなどが出ることがあり、さらに進行すると首のこわばりや足の痛みといった神経系の症状につながる場合もあります。

日本では1980年からポリオは発生していませんが、海外から入ってくる可能性はあります。入ってきたとしても現在の日本では、ほとんどの人が免疫を持っているので、大きな流行になることはないと考えられますが、予防接種を受けない人が増え、免疫を持たない人が増えるとポリオの流行が起こる可能性が高まります。

ポリオの症状や特徴

ポリオ(急性灰白髄炎、小児まひ)は、ポリオウイルスによって発生する疾病です。潜伏期間は4~35日で、感染からいつ発症するかは個人差があります。

ポリオに感染してもほとんどの人は症状が出ませんが、発熱、頭痛、咽頭痛、悪心・おう吐、倦怠感、頚部硬直、下肢痛などの症状がみられる場合があります。
重症になると手足の麻痺が起こり、後遺症として運動障害が残ることがあります。 他にも数十年後に突然、疲労、痛み、筋力低下などに悩まされることがあり、ポストポリオ症候群(PPS)と呼ばれています。

ポリオに対する有効な治療法がないため、ワクチン接種によってポリオウイルスの感染を予防する事が最も重要となります。

ワクチン

流行している地域、流行するシーズン

パキスタンやアフガニスタンなどの南西アジアやナイジェリアなどのアフリカ諸国に多く見られます。
年間を通して報告がありますが、衛生環境が悪化する時期(雨季など)に感染が拡大しやすくなります。


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フォーム送信後、当院担当よりメールでご連絡を差し上げます。


ポリオワクチンの説明

ポリオワクチンは、不活化ポリオワクチン(IPV)が基本で、かつて使われていた飲むタイプの生ワクチン(OPV)は廃止されました。

不活化ワクチン:イモバックスポリオ

製剤の特性

ポリオワクチンは、体内にポリオウイルスに対する免疫をつくり、感染や発症を防ぐことを目的とした製剤です。ワクチン接種によって免疫反応が起こり、抗体が形成され、多くの人で長期的な予防効果が期待できます。

有効性と有効期間

もともと生ポリオワクチンの定期接種がありましたが、日本でポリオが発生しなくなったということや、小児まひを引き起こす可能性が少しでもあるため、2012年9月1日からワクチン接種をしてもポリオにかかることのない不活化ポリオワクチンに変わりました。

免疫の有効期間は10年以上の長期免疫が持続するケースもあります。ただし、全員が必ず10年以上持続するとは限らず、抗体価が低下している場合や流行地域への渡航前など、必要に応じて追加接種(ブースター)が推奨されています。

副反応

ワクチン接種後まれに発熱したり接種部位が赤くなったり腫れたりすることがあります。

不活化ワクチンはワクチンの製造過程でウイルスの病原性(毒性)を完全になくしていますので、ワクチンによる小児まひの心配はまったくありません。

その他の留意点

昭和50年から52年生まれの人はポリオワクチンの効果が低かったことがわかっていますので、海外渡航と関係なく追加接種を受けるように努めていただきたいです。

ポリオワクチンの費用

・接種料金:7,700円/回
・接種方法:原則、事前のワクチン確保が必要なため、完全予約制です。

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最新の接種制度とスケジュール

2024年4月から、日本では5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)による定期接種が開始されました。これは従来の4種混合(DPT-IPV:ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオ)にヒブワクチンが加わったものです。
2024年以降は5種混合が主流で、4種混合で始めた場合も不足分は5種混合で補えます。

  • 定期接種(無料)
  • ●初回:生後2か月〜7か月に20〜56日間隔で3回
  • ●追加:初回終了後6か月以上あけて1回(標準は6〜18か月後)
  • ●合計4回接種(皮下注射または筋肉内注射)
  • ●対象:生後2か月〜7歳6か月未満

  • 任意接種(自費)
  • ●就学前(5〜6歳)に追加接種を推奨(抗体価低下の対策)


大人がポリオ流行国へ渡航する場合、接種歴が不明・不十分であれば4〜8週間隔で2回、その後6〜12か月後に3回目を接種します。すでに生ワクチン2回接種済の方でも、状況によってはIPV追加が必要になることがあります。

出典:厚生労働省「5種混合ワクチン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/dpt-ipv-hib/index.html
外務省 海外安全ホームページ「ポリオに関する注意喚起」 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2025C004.html


ポリオワクチンの最新動向

研究開発や改良の動き

ポリオワクチンの分野では、日本は2012年に口から飲む生ポリオワクチン(OPV)を廃止し、不活化ポリオワクチン(IPV)への完全切り替えを完了しました。

WHO(世界保健機関)は2020年、従来のポリオ経口ワクチンでまれに問題となっていたワクチン由来のポリオウイルス(特に2型)の流行を防ぐため、より安全性と安定性を高めた新しいタイプの経口ワクチンを緊急承認しました。
この新しいワクチンは「nOPV2」と呼ばれ、2024年7月にはインドの大手製薬会社がWHOの正式な製造承認を取得し、世界各国への普及が加速しています。

また、2型以外の1型や3型に対応できる改良型経口ワクチンの開発も進んでおり、将来はより安全で安定した経口ポリオワクチンの供給が期待されています。
さらに、製造や保存の方法、接種のしやすさ、そしてパンデミックなどの緊急事態でも途切れない供給体制の整備が課題として取り組まれています。

出典:国立感染症研究所「ポリオ」
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ha/polio/010/
厚生労働省「ポリオウイルスの取り扱いに関する指針」
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001461464.pdf

最新の知見・ニュース

日本国内では、2024年4月から「5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)」が定期接種として導入され、ポリオ不活化ワクチンも含まれています。
最新の接種スケジュール(2025年6月30日時点の公式文書)では、定期接種に加えて、必要に応じた任意接種の推奨も示されています。

国際的にも、WHOや世界ポリオ根絶イニシアティブ(GPEI)が根絶活動を継続し、渡航者への追加接種検討を呼びかける注意喚起が2025年8月にも発表されています。

出典:厚生労働省「日本の定期/任意予防接種スケジュール」
https://id-info.jihs.go.jp/relevant/vaccine/topics/sche2025/JP20250630_03.pdf
外務省 海外安全ホームページ「ポリオに関する注意喚起」
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2025C004.html


ポリオワクチンに関するよくある質問

ポリオワクチンにはどんな種類がありますか?

主に「不活化ポリオワクチン(IPV)」と「経口生ポリオワクチン(OPV)」があります。日本では2012年以降IPVが標準で、OPVは廃止されています。 世界的には一部の国でOPVが使われていますが、WHOは段階的廃止を推進中です。

なぜOPVが廃止されてIPVになったのですか?

OPVは腸管免疫に優れるものの、ワクチン由来の麻痺症例(VAPP)が稀に発生したため、安全性の高いIPVに切り替えられました。

ポリオワクチンの接種スケジュールは?

生後2か月から7歳6か月までに4回接種(初回3回と追加1回)で基本の免疫をつけます。2024年からは5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)が定期接種に導入され、ポリオIPVもその中に含まれます。

5種混合ワクチンとは何ですか?

ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオ・ヒブの5種類に対応した混合ワクチンで、2024年から定期接種に導入されています。

ポリオワクチンの効果はどのくらい続きますか?

接種後長期(約5年以上)抗体は持続しますが、10年以上の免疫持続は個人差があり、就学前などに追加接種が推奨されます。

副反応や安全性に問題はありますか?

IPVは非常に安全ですが、かつてのOPVには極めて稀にワクチン関連麻痺(VAPP)の副反応がありました。日本では2012年にOPVが廃止されIPVに完全移行しています。

ポリオは日本でまだ流行していますか?

日本国内での野生型ポリオの発生は1980年以降ありません。ただし海外での流行状況を踏まえて監視と対策が継続されています。

海外のポリオ流行国に行くときはどうすればいいですか?

渡航前に追加のポリオワクチン接種を検討してください。特に流行国では免疫の確認と追加接種が推奨されています。

ポリオワクチンはどこで受けられますか?

日本では定期接種として自治体の保健センターや医療機関で無料接種が受けられます。任意接種も医療機関で可能です。

ワクチン由来のポリオウイルス(cVDPV)とは何ですか?

弱毒化された生ワクチン由来のウイルスが集団内で遺伝子変異し、伝播・麻痺を起こすことがあり、これに対応する新型経口生ワクチン(nOPV2など)の開発・導入が進められています。


ご予約から接種後の流れ

ご予約
  • ワクチン仮申込フォームを入力し送信してください。 24時間以内(土日・祝日を除く)に、当院からお電話もしくはメールでご連絡を差し上げ、ご予約確定となります。 ※英文証明書をご希望の場合、来院希望日時は申込日から5日後以降の日程をご選択ください。
  • ・事前に接種を希望されるワクチンの問診票を下記よりダウンロードしていただきご記入ください。
ご来院・接種
●お持ち物 問診票・母子手帳・接種証明書・ワクチン手帳(ある方)
  • ・37.5度以上の発熱があるなどの体調不良時には予防接種を受けることができません。
  • ・当院以外でも予防接種をおこなう場合は、ワクチンの接種間隔にご注意ください。
接種後
  • ・接種後15~30分間は体調変化の経過観察をしてください。
  • ・次回のワクチン接種予定がある方は、接種計画(ワクチンの種類・スケジュール)を確認してからご帰宅ください。
  • ・接種当日の激しい運動は避けてください。
  • ・シャワーや入浴は可能ですが、長風呂は避けてください。
  • ・1週間以内に接種部位が赤くなったり痛みが出たりなど、何らかの副反応が生じる場合がありますが、ほとんどの場合は数日以内に自然に軽快します。 日常生活に支障をきたすような症状がある場合、気になる症状がある場合は、当院までお問い合わせください。

注意事項 ※必ず事前にご確認ください。

  • ●初回は必ずワクチン仮申込フォームでの事前お申し込みが必要です。 下記「ワクチン仮申込フォーム」をご入力ください。
  • ●原則、事前のワクチン確保が必要なため、完全予約制です。 当日の接種をご希望の場合は事前に当院へご連絡ください。
  • ●英文証明書をご希望の場合、事前に当院での対応可否を確認しております。 ワクチン仮申込フォームより英文接種証明書をご希望いただき、別途事前にFAXにて記載箇所を明示の上ご送付ください。
  • ●証明書は発行までに数日程度お時間をいただく場合もございますのでスケジュールに余裕をもってお問い合わせください。
  • ●無断キャンセルはキャンセル料を頂く場合がございますので、予約のご変更はお早めにお電話くださいませ。
  • ●中学生以下の方の接種は、小児科医不在のためお断りしております。
  • ●高校生~未成年(20歳未満)の方の接種には保護者同席をお願いしております。

問診票について

予防接種時には問診票の記入が必要です。事前に下記より問診票をダウンロードし、ご記入の上お持ちいただくと当日スムーズにご案内可能です。 (当日の状況次第では、お待ち時間が発生する可能性がございます。) 未成年の方の予防接種には、保護者の方の同意が必要です。 保護者の方が予防接種時に付き添えない場合には、事前に問診票をダウンロードしていただき、保護者の方のサインをご記入の上ご持参くださいませ。 医師問診の際に、保護者の方にオンラインでお繋ぎいただくことによって未成年の方は予防接種可能となります。 ※医師の判断により、予防接種を中止することがございます。 あらかじめご了承ください。

各種証明書

証明書の種類と料金

証明書の種類 料金
当院書式【日本語】 3,300円(税込)
予診票コピー【日本語】
領収書【日本語】
当院書式【英語】 5,500円(税込)
当院以外の指定書式【英語※事前相談必須】 5,500円(税込)

「国際基準」のワクチン接種記録手帳

ワクチン接種記録手帳3,300円(税込)

当院で接種されたワクチンについては、WHO(国際保健機構)の手帳に記載いたします。 1冊あたり3,300円(税込)です。