MRワクチン(Measles-rubella combination vaccine)

  

目次

  

MRワクチンとは

MRワクチンは「麻しん(はしか)」と「風しん」の2つのウイルス感染症を予防するための混合ワクチンです。

近年は麻疹、風疹が成人で流行しており、成人がかかると重症になることが多いとされています。特に妊娠初期の妊婦が風疹にかかると赤ちゃんが先天性風疹症候群という病気を持って生まれる危険性があるため、成人にも接種が推奨されています。

麻疹または風疹にかかったことのない全ての年齢の方に2回の接種をお勧めします。 過去に1回しか接種していない、または接種歴が不明の場合は、計2回となるよう不足分の接種が推奨されています。

対象となる疾患の特徴・症状

麻疹・風疹ともに感染力が非常に強く、空気感染や飛沫感染によって簡単に人から人に感染します。



麻疹(はしか)… 麻疹は非常に感染力の強いウイルス性疾患で、発熱、咳、鼻水、結膜炎、特徴的な発疹が現れます。重症化すると肺炎や脳炎などの合併症を引き起こし、時に命に関わることもあります。現在でも一部の発展途上国では、小児の主な死亡原因となっています。

風疹… 風疹は発熱、発疹、リンパ節の腫れが主な症状です。大人が罹患すると関節痛などが強く出ることがあります。まれに肺炎や脳炎になることがあります。 感染力が強く、症状の出ないまま他の人にうつす可能性があります。特に妊娠初期の女性が感染すると、胎児に先天性風疹症候群(心疾患、難聴、白内障など)が発生するリスクが高まります。

対象となる疾患が流行している地域・時期

麻しん・風しんは、かつて日本国内でも流行が見られましたが、ワクチン接種の普及により発生は大幅に減少しています。しかし、海外では依然として流行している国や地域があり、渡航者が持ち帰ることで国内でも散発的な流行が発生することがあります。

麻疹(はしか)… アジア、アフリカ、中南米などワクチン接種率が十分でない地域で流行が続いています。日本でも2018年や2019年に一部地域で小規模な流行が報告されました。

風疹… 日本では2012年~2013年、2018年~2019年に成人男性を中心とした大規模流行が発生しました。特に30~50代の男性はワクチン未接種者が多く、流行リスクが高いとされています。

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MRワクチンの概要

製剤の特性・概要

MRワクチンは、麻しんウイルスと風しんウイルスの「生ワクチン」を混合した注射製剤です。ウイルスの病原性を弱めた「弱毒生ワクチン」であり、接種により体内で免疫を獲得します。

  • ●注射用の乾燥製剤で、接種時に溶解して皮下注射します。
  • ●日本国内では「ミールビック」などの商品名で流通しています。

接種対象と推奨年齢(接種スケジュール)

MRワクチンは日本の定期予防接種に指定されており、以下の2回接種が推奨されています。

  • 第1期:1歳~2歳未満
  • 第2期:5歳以上7歳未満(小学校入学前の1年間)

この2回接種により、ほとんどの人が十分な免疫を獲得できます。接種機会を逃した場合は、自治体によっては補助制度があるため、早めの相談が勧められます。

接種方法・注意点

  • 接種方法:皮下注射(腕の上腕外側など)

  • 注意点
  •  ・接種当日は体調が良好であることを確認します。
  •  ・発熱や重篤な急性疾患がある場合は接種を延期します。
  •  ・接種後は15~30分程度、医療機関で様子を観察します。

他のワクチンとの同時接種の可否

MRワクチンは生ワクチンですが、他のワクチン(生ワクチン、不活化ワクチン、mRNAワクチンなど)と同時接種が可能です。

異なる生ワクチンを別日に接種する場合は4週間以上の間隔をあける必要がありますが、同日に接種する場合は制限がありません。

接種を避けるべき人(禁忌・慎重投与)

以下の方はMRワクチンの接種を避ける必要があります。

  • ●明らかな発熱(37.5℃以上)がある方
  • ●重篤な急性疾患に罹患している方
  • ●過去にMRワクチン成分でアナフィラキシーを起こしたことがある方
  • ●免疫不全状態(先天性、後天性、免疫抑制治療中など)の方
  • ●妊娠中の方(接種後2か月は妊娠を避ける必要あり)
  • ●その他、医師が不適当と判断した場合



MRワクチンの効果と安全性

ワクチンの効果(有効性)

  • ●1回接種で95%以上、2回接種でほぼ全員が十分な免疫を獲得できます。
  • ●麻疹・風疹ともに、2回接種により集団免疫を高め、流行を防止できます。
  • ●接種による免疫は10年以上持続します。

副反応

主な副反応は以下の通りです。

  • ●発熱:第1期で約16.6%、第2期で約6.0%。38.5℃以上の高熱は第1期で約10.6%、第2期で約3.4%。
  • ●発疹:第1期で約4.3%、第2期で約1.0%。
  • ●局所反応:注射部位の発赤・腫脹・硬結
  • ●その他:じんましん、リンパ節腫脹、関節痛、熱性けいれん

ごく稀に、アナフィラキシー、血小板減少性紫斑病、脳炎・脳症など重篤な副反応が発生することがありますが、頻度は極めて低いとされています。

その他の留意点

  • ●接種後2か月間は妊娠を避けてください。
  • ●免疫抑制状態の方は主治医と相談が必要です。
  • ●接種後に高熱やけいれん、発疹など異常が見られた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

MRワクチンの費用

接種料金:10,780円/回

 ※原則、事前のワクチン確保が必要なため、完全予約制です

自治体によっては、未接種者や妊娠を希望する女性などへの助成制度が設けられている場合もあります。


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国内外の接種状況(接種率や導入時期)

日本では2006年から2回接種が導入され、以降は高い接種率を維持してきました。
2021年度の国内接種率は第1期93.5%、第2期93.8%と、やや低下傾向にありますが、依然として高い水準です。
世界的には、アジアやアフリカなど一部地域で接種率が十分でないため、麻疹や風疹の流行が続いています。


MRワクチンの最新動向

研究開発や改良の動き

MRワクチンは長年にわたり安全性・有効性が確認されてきたワクチンです。
最近では、より安定的な供給体制の確立や、既存ワクチンの品質向上、接種率向上のための啓発活動が進められています。
世界的には、MRワクチンを含む複合ワクチンや、新たな投与法の研究も進行中です。

最新の知見・ニュース

新型コロナウイルス感染症の影響で、予防接種率が一時的に低下したことが報告されています。
2023年以降、国内外で麻疹や風疹の小規模流行が報告されており、今後も接種率の維持・向上が重要とされています。


MRワクチンに関するよくある質問

大人もMRワクチンを接種できますか?

できます。特に妊娠を希望する女性や、麻疹・風疹の抗体がない方は接種が勧められます。自治体によっては助成制度もあります。

他のワクチンと同時に接種できますか?

できます。同じ日に複数のワクチンを接種することが可能です。ただし、生ワクチン同士を別日に接種する場合は4週間以上あけてください。

接種後に妊娠しても大丈夫ですか?

接種後2か月間は妊娠を避ける必要があります。

副反応が心配ですが大丈夫ですか?

発熱や発疹など軽度の副反応がみられることがありますが、重篤な副反応は極めて稀です。異常があれば速やかに医療機関を受診してください。

既に麻疹や風疹にかかったことがある場合も接種できますか?

既感染者でも接種による健康被害はほとんどありません。未接種の場合は接種が勧められます。

妊婦や免疫抑制状態の人は接種できますか?

妊婦や免疫抑制状態の方は接種できません。主治医と相談してください。


ご予約から接種後の流れ

ご予約
  • ワクチン仮申込フォームを入力し送信してください。 24時間以内(土日・祝日を除く)に、当院からお電話もしくはメールでご連絡を差し上げ、ご予約確定となります。 ※英文証明書をご希望の場合、来院希望日時は申込日から5日後以降の日程をご選択ください。
  • ・事前に接種を希望されるワクチンの問診票を下記よりダウンロードしていただきご記入ください。
ご来院・接種
●お持ち物 問診票・母子手帳・接種証明書・ワクチン手帳(ある方)
  • ・37.5度以上の発熱があるなどの体調不良時には予防接種を受けることができません。
  • ・当院以外でも予防接種をおこなう場合は、ワクチンの接種間隔にご注意ください。
接種後
  • ・接種後15~30分間は体調変化の経過観察をしてください。
  • ・次回のワクチン接種予定がある方は、接種計画(ワクチンの種類・スケジュール)を確認してからご帰宅ください。
  • ・接種当日の激しい運動は避けてください。
  • ・シャワーや入浴は可能ですが、長風呂は避けてください。
  • ・1週間以内に接種部位が赤くなったり痛みが出たりなど、何らかの副反応が生じる場合がありますが、ほとんどの場合は数日以内に自然に軽快します。 日常生活に支障をきたすような症状がある場合、気になる症状がある場合は、当院までお問い合わせください。

注意事項 ※必ず事前にご確認ください。

  • ●初回は必ずワクチン仮申込フォームでの事前お申し込みが必要です。 下記「ワクチン仮申込フォーム」をご入力ください。
  • ●原則、事前のワクチン確保が必要なため、完全予約制です。 当日の接種をご希望の場合は事前に当院へご連絡ください。
  • ●英文証明書をご希望の場合、事前に当院での対応可否を確認しております。 ワクチン仮申込フォームより英文接種証明書をご希望いただき、別途事前にFAXにて記載箇所を明示の上ご送付ください。
  • ●証明書は発行までに数日程度お時間をいただく場合もございますのでスケジュールに余裕をもってお問い合わせください。
  • ●無断キャンセルはキャンセル料を頂く場合がございますので、予約のご変更はお早めにお電話くださいませ。
  • ●中学生以下の方の接種は、小児科医不在のためお断りしております。
  • ●高校生~未成年(20歳未満)の方の接種には保護者同席をお願いしております。

問診票について

予防接種時には問診票の記入が必要です。事前に下記より問診票をダウンロードし、ご記入の上お持ちいただくと当日スムーズにご案内可能です。 (当日の状況次第では、お待ち時間が発生する可能性がございます。) 未成年の方の予防接種には、保護者の方の同意が必要です。 保護者の方が予防接種時に付き添えない場合には、事前に問診票をダウンロードしていただき、保護者の方のサインをご記入の上ご持参くださいませ。 医師問診の際に、保護者の方にオンラインでお繋ぎいただくことによって未成年の方は予防接種可能となります。 ※医師の判断により、予防接種を中止することがございます。 あらかじめご了承ください。

各種証明書

証明書の種類と料金

証明書の種類 料金
当院書式【日本語】 3,300円(税込)
予診票コピー【日本語】
領収書【日本語】
当院書式【英語】 5,500円(税込)
当院以外の指定書式【英語※事前相談必須】 5,500円(税込)

「国際基準」のワクチン接種記録手帳

ワクチン接種記録手帳3,300円(税込)

当院で接種されたワクチンについては、WHO(国際保健機構)の手帳に記載いたします。 1冊あたり3,300円(税込)です。