エムポックスワクチン(Empox)

エムポックスワクチンとは

エムポックスに特化したワクチンはまだありません。しかし、エムポックスウイルスは天然痘ウイルスと同じグループに属するウイルスのため、「天然痘ワクチン」を打つことで発症と重症化を防げるとされています。

エムポックスの症状や特徴

エムポックスはかつて「サル痘」と呼ばれていた感染症です。 エムポックスに感染した動物との接触、感染者との濃厚接触や発疹・飛沫などの体液から感染するといわれています。

主な症状は、感染してから2〜3週間で発熱、頭痛、筋肉痛、リンパ節の腫脹が現れ、5日ほど続きます。その後、顔から全身に水ぶくれをともなう発疹が広がっていきます。

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致死率と危険性

エムポックスの致死率は、一般的に1%から10%とされていますが、感染者の健康状態により異なります。特に小児や免疫力が低下している患者では重症化しやすいとされています。

流行している地域


1970年以降、中央アフリカから西アフリカにかけて流行している感染症です。
2022年5月以降、欧州と北米でエムポックスの感染が急速に広がっています。
2023年3月以降、東アジアや東南アジアからの報告が増加しています。

日本では、2022年に国内で感染者が確認されて以降、2024年現在でも散発的な患者の発生が続いています。

エムポックスワクチンの説明


現在、エムポックスに特化したワクチンがないため、エムポックスウイルスと同じグループに属する天然痘ウイルスに対する「天然痘ワクチン」を打つことで発症と重症化を防げるとされています。

日本では主に、日本で開発された弱毒生ワクチン(LC16m8)が使用されています。天然痘ワクチンとして開発されましたが、エムポックスに対しても有効性が期待されており、エムポックスの予防や曝露後の発症予防に用いられています。

有効性

標準的な接種回数は1回で、通常1回の接種で基本的な予防効果が得られるとされています。

副反応

発熱・接種部位の発赤や腫れ・倦怠感・頭痛が現れることがあります。

その他の留意点

ワクチン接種後は、約85%の発症予防効果があるとされていますが、完全な予防ではないため、感染予防対策の継続が必要です。
通常1回の接種で基本的な予防効果が得られるとされていますが、過去に天然痘ワクチンを接種した人でも、エムポックスに対する免疫が低下している可能性があるため、必要に応じて再接種が検討されます。

曝露後予防として接種する場合、最初の接種から4週間後に2回目の接種を行うことがあります。

ワクチン接種の重要性

エムポックスワクチン接種は、感染予防と重症化防止に重要な役割を果たします。このワクチンは約85%の発症予防効果があり、万が一感染しても症状の軽減が期待できます。特に、免疫不全者や基礎疾患を持つ人など、重症化リスクの高い人々にとって重要です。

重症例としては、重度の発疹や水疱、高熱、呼吸器系の合併症、まれに脳炎などの神経系合併症が生じる可能性があります。ワクチン接種により、これらの重篤な症状や合併症のリスクを大幅に低減できます。

また、ワクチン接種は個人の健康を守るだけでなく、感染拡大を防ぎ、公衆衛生上も重要な役割を果たします。