【注目してみました】新型コロナウイルス感染症の入院数と重症数
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【注目してみました】新型コロナウイルス感染症の入院数と重症数
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染者数や総感染者数が毎日のようにニュースの冒頭で報告される日々が続いています。
生活のために必要な経済活動や社会活動の大半には人の移動と接触が伴っており、ウイルスが人々の移動と接触を介して伝播するものであるため、治療薬やワクチンが開発されていない段階では、経済社会活動を止めざるをえないと政治判断されたのが緊急事態宣言でありました。
政府の意思決定を困難にし、状況を複雑にしていたのは、世界各国における新型コロナウイルス感染症による死亡者数と致死率の相違であったかとおもいます。新型コロナウイルスは想像よりも毒性の強いウイルスであり、日本における死亡者数も欧米のように歯止めが利かなくなるのではないかと。
■世界主要国の新型コロナウイルス感染症の諸指標(死亡率高い順)
出所:worldometers/2020年7月26日08:37 GMT時点より抜粋
https://www.worldometers.info/coronavirus/?utm_campaign=homeAdUOA?Si
日本の死亡率は世界平均より下回っておりますが、死亡者数および時点の重症数は極めて低い水準で推移しています。日本は名目GDPで世界第3位、購買力平価GDPでも世界第4位の経済力を有しており、経済力が大きいということは、単純化すると、人やモノの移動と交換が多く、ウイルスもそれに伴って伝播しやすいと考えられます。
しかし、世界各国で経済社会活動の停止がそれぞれ異なる時期・期間・区域で行われたため一概に比較はできませんが、経済力と新型コロナウイルスの重症数と死亡数が相関関係にあるとは考えにくい数値になっています。7月26日時点の、日本の死亡者数は世界でワースト45位、重症者数はワースト42位になります。
治療薬やワクチンがない段階では、ウイルスによる致死率を所与として考えざるをえないかもしれません。しかし、世界各国の各指標数字がこれだけ違いを見せているということは、周囲への感染やクラスターを未然に防ぐポイント、および感染から死亡あるいは回復へと分岐するさせるポイントに「医療」があり、死亡者数や死亡率を一程度コントロールできるファクターとして機能していることを改めて意識せざるをえません。
人間が生活を営む上で活動を止められない以上、新規感染者数は日々のマスク着用や手指消毒などの予防をもってしても、抑えられる幅には限度があるとおもわれます。
したがって、筆者の個人的な見解でありますが、報道されているような新規感染者数や総感染者数をメインとして追跡するのではなく、「医療の機能具合」を示している入院数や重症数を追跡していくことが、死亡者数を食い止め、死亡率を押し下げるために、どの程度の医療体制の拡充支援が必要であるかを考える指標になるのではないでしょうか。
そこで、日本の東京だけにエリアを絞って入院数と重症数を追跡してみました。
東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトの「都内の最新感染動向」(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)によりますと、5月12日以降の各指標の推移は次のようになっています。
※5月11日までの入院患者数には宿泊療養者・自宅療養者等を含んでおり参考値扱いのため5月12日以降から取り扱っております。
※現感染者数の推移情報がないため、スマートニュース社が提供している感染者数と回復者数の差から算出しております(https://coronavirus.smartnews.com/jp/tokyo)。
■入院数と入院率の推移
■入院数と重症率の推移
新規感染者数、総感染者数の増加と同じペースで入院者数が増えていないことは、医療者や医療機関の並々ならぬ現場での努力があるものと推察されます。一方で、総感染者数から総回復者数を引いた現感染者数と入院患者数の開きが大きくなっていることは、検査数を増やしたことにより、感染者を無症状時点や軽症時点で早期発見し、早期療養・自己隔離へと区分けできていることがあると考えられます。
このように推察しますと、緊急事態宣言の再発出を出さずに経済社会活動を続けていく上では、医療現場のキャパシティの把握と拡充が本当に重要になってきているかとおもいます。
東京都(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)の発表では、入院患者用の確保病床数「1000→2800(そのうち100が重症患者用)」と記載してあります。これは7月7日の都の依頼に基づき、「病院は、中等症は、レベル2(2,700床)、重症はレベル1(100床)の病床の準備を進めている」ことを示しています。
一方で、厚生労働省の公表によると、7月22日時点で、東京都の入院患者用の確保病床数は3300、重症患者用の確保病床数は400と記されています。
出所:厚生労働省「療養状況等及び入院患者受入病床数等に関する調査について」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000652009.pdf
どちらの情報が正しいかは判断できませんが、7月29日時点の入院数は1,106人、入院・療養等調整中は620人、重症数は22人になります。
引き続き、医療現場の状況を示す指標を追跡していきたいとおもいます。