◆溶連菌感染症について◆

春もいよいよ終わりに近い今日この頃ですが、新型コロナウイルスの収束はまだまだ見えない日々が続いております。
東京都ではまん延防止等重点措置が設けられたかと思うと、新たに3度目の緊急事態宣言が発令され、せわしなく変わる毎日に柔軟に対応することが求められております。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。

 

本日は、数ある感染症の中から意外と身近な“溶連菌感染症”についておまとめしましたので、日々の感染症対策のご参考にしていただければと思います。

 

◆溶連菌感染症とは◆

溶連菌感染症とは、溶血性連鎖球菌という細菌を原因とする感染症の一つでございます。
感染する部位としては、呼吸器や皮膚で、具体的には、鼻の粘膜やのどの粘膜、扁桃腺などに感染するのが一般的です。

 

◆溶連菌感染症の症状とは◆

主な症状としては、のどや扁桃腺の腫れ、発熱、発疹、全身の倦怠感、また、しばしば嘔吐を伴うこともございます。

潜伏期間は2〜5日と言われておりますが、処方されたお薬をきちんと服用すれば、2~3日で症状の改善はみられます。
ただ、よくなったからといって薬の服用をやめてしまうと、再発や中耳炎、気管支炎、リウマチ熱などの合併症を引き起こす可能性もございますので、処方された期間はしっかりと薬を服用していただく必要がございます。

 

◆流行る季節は◆

主に春~夏、冬に流行ると言われています。
他の感染症も溶連菌感染症と同じ季節に流行ってしまいますので、感染症対策は必要です。

 

◆実は大人でも感染する…?◆

溶連菌感染症は、主にお子様が罹患する感染症というイメージをお持ちの方も少なくないと思いますが、実はお子様だけが感染するものではございません。

溶連菌感染症は感染力が非常に強く、お子様から大人へ感染する可能性もございます。
主な感染経路は飛沫感染と言われており、日常生活の中で出る咳やくしゃみなどによって近くの人に感染させてしまう可能性があります。

大人の場合ですと、咽頭痛に加え初期症状として頭痛を伴うことが多いというデータ発表もございます。
喉の痛みや関節痛、倦怠感などを感じ、インフルエンザ検査を受診しても『陰性』と出てしまうため、ただの『風邪』と決めつけてしまうことも少なくないのです。

 

◆検査方法◆

一般的な検査方法としては、喉の奥(咽頭)部をこすって分泌物を採取し、分泌物に含まれる菌を培養して感染しているかどうかを調べます。

当院では5~10分ほどで検査結果が出る、迅速検査を使用し保険診療で行っておりますので、当てはまる症状がございましたら気軽にお問い合わせくださいませ。

 

◆今後の対策◆

溶連菌感染症の流行時期は冬から春にかけてとインフルエンザの流行期と重なっており、
特に冬は気をつけなければなりませんが私達は様々な感染症対策を講じ、防いでいく必要がございます。
当院では溶連菌検査に加え、予防対策としてのインフルエンザ予防接種にも力を入れて取り組んでおります。
また、PCR検査や抗原検査など新型コロナウイルス感染症に関する検査も実施しております。
普段の手洗いうがいやマスクの着用、アルコール消毒などの感染症対策と合わせて、予防接種や各種検査を積極的に実施し、感染症の広がりを一丸となって皆様で防いでいきましょう。

 

◆参考文献◆

厚生労働省:保育所における感染症対策ガイドライン,2018,52
塩野義製薬株式会社:こどもに多いのどの病気 溶連菌感染症のおはなし
田辺三菱製薬:ワクチン.net 感染症がはやる季節

年度も切り替わり、随分と春らしい気温となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
入職や転職、退職など環境が新しく変わる方も多いのではないでしょうか。
4月は会社での職員健診や、会社に入職する際に必要な雇用時健診など、新年度の健診が始まる時期でもありますので、今回は健診の項目について簡単にご紹介致します。

 

【身体計測】

◯身長・体重・BMI・腹囲など

身体測定を行います。前回から体重が増えている場合や腹囲が大きい場合は、減量を意識してみてください。40歳~74歳の方で腹囲が男性85cm、女性90cmまたはBMI25.0を超えている場合は「特定保健指導」の対象となる可能性があります。特定保健指導の詳細は当院のHP「保健指導」をご参照ください。

 

【眼科検査】

◯視力検査 ◯眼底検査 ◯眼圧検査

眼科系の検査になります。視力は眼鏡やコンタクトレンズを着用した状態での検査が可能ですが、裸眼で測りたいなどありましたらお知らせください。眼底検査は瞳孔の奥にある眼底の写真を撮り、眼底の血管、網膜、視神経を調べます。また、眼圧検査は眼球に風を吹き付けて眼球の内圧を調べます。レーシック手術をされている場合は、問題はなくても眼圧が基準値から外れる可能性があります。どちらの検査も緑内障やその他の眼の病気が見つかることがありますので、異常所見がある場合は一度眼科を受診してください。

 

【血圧測定】

◯血圧測定

血圧を測定します。35歳以上の方と1回目で基準値以上の血圧になった方は2回測定しています。血圧が高くなると脳卒中や心筋梗塞などの血管疾患のリスクが高くなりますので、高血圧を指摘された場合は、塩分や味の濃い食事を控えるなど食生活の改善に取り組みましょう。また、バリウム検査などの健診項目でも実施出来ないものが出てくる可能性がありますので、内服薬がある方は、健診当日も通常通り服用されることをお勧めします。

 

 

【聴力検査】

◯オージオ検査 ◯会話法

コースにより、オージオ検査と会話法の2パターンがあります。オージオ検査は防音のボックスに入り、ヘッドホンから流れる小さな音が聞こえるかを検査しています。もともと聞こえない、または過去に耳の病気や怪我で聞き取りにくいなどあればお知らせください。会話法は医師診察時の会話の中で聞こえにくそうな様子がないかをみていますので、特に実施する検査はありません。

 

【血液検査】

◯血液学検査(赤血球・白血球・ヘモグロビン・血小板など) ◯脂質検査(コレステロール)

◯糖代謝(空腹時血糖・尿糖など) ◯肝機能検査(GOT・GPT・γ-GTPなど)

◯肝機能蛋白(アルブミン・総蛋白など) ◯痛風検査(尿酸) ◯腎機能(クレアチニン・eGFRなど)

◯感染症検査(肝炎・梅毒・HIVなど) ◯免疫(CRPなど)

血液検査では様々な項目を検査しています。白血球やCRPのように免疫に関係するもの、脂質や糖代謝、肝機能のように生活習慣に関するものなどがありますが、前回と比較して大幅な増減がある場合は生活を見直す必要があるかもしれません。また、数値がかなり悪くなっている場合や症状のある場合については受診をお勧めしますので、放置せずに内科を受診して再検査や精査・治療について医師とご相談ください。HIV検査については当日医師診察時に別途結果をお渡ししますので、そちらをご参照ください。

 

【尿検査】

◯尿検査(尿蛋白・尿潜血) ◯尿沈渣(赤血球・白血球など)

尿中の蛋白や潜血、その他細胞類の有無を検査します。尿検査や尿沈渣で異常を指摘された場合、腎臓や膀胱に異常がある場合があります。月経中は潜血や蛋白が出る場合がありますので、女性は月経期間を避けて検査または再検査されることをお勧めします。また、当院では月経中の尿検査は、参考値として結果に載せております。

 

【便検査】

◯便検査(便潜血)

便中の潜血の有無を検査します。当院は2日法となっているため違うタイミングで2日間分の便を採っていただくことがベストですが、1日分でも検査可能です。便潜血が陽性の場合、痔や大腸ポリープなどの良性疾患の他、大腸がんが見つかることもありますので、一度大腸カメラなどで詳しく検査されることをお勧めします。また、潰瘍性大腸炎やクローン病などの既往のある方も便潜血になりやすいため、かかりつけ医とご相談ください。

 

【肺機能検査】

◯肺機能検査(肺活量など)

機器に向けて息を吸ったり吐いたりすることで肺機能を検査します。喫煙や肺疾患があると肺の機能が低下することがありますので、禁煙をお勧めします。また、喘息の既往のある方も低めになることがあります。

 

【上部消化管検査・胃検査】

◯バリウム検査 ◯内視鏡検査 ◯ABC(ピロリ菌)検査

胃の状態を評価する検査です。バリウム検査では、発泡剤とバリウム(白い液体)を飲み、検査台の上で身体の向きを変えながらX線撮影を行います。内視鏡検査は胃カメラで直接胃の中を見ることで異常がないか見ていきますので、過去に胃の疾患等を指摘されている場合は内視鏡検査へ切り替えることをお勧めします。また、ヘリコバクター・ピロリ菌の有無により、胃がんや胃炎のリスクを評価することができるため、バリウム検査や内視鏡検査で胃炎や潰瘍等を指摘された場合は、合わせてピロリ菌の検査を行い、陽性の場合は除菌されることをお勧めします。

 

【胸部X線検査】

◯レントゲン検査

胸部のX線写真を撮影し、肺や肺の周辺に異常がないか検査します。肺に影がないかだけでなく、大動脈に異常がないか、背骨は曲がっていないか胸膜は正常かなど、様々なものを見ることができます。肺に病変の疑われるものを指摘された場合や、前回なかったものが新出している場合はCT検査などで精査されることをお勧めします。

 

【心電図検査】

◯心電図検査

手足と胸部に電極をつけて、心臓のリズムや心筋の状態を調べる検査です。体質によるものや過去に心臓の手術をしたことのある場合にも波形の変化が出ることがありますが、動悸や胸痛のある場合や初めて指摘された場合などは一度精査されることをお勧めします。

 

【腹部超音波検査】

◯腹部超音波検査

腹部の5つの臓器(肝臓・腎臓・脾臓・胆嚢・膵臓)と腹部大動脈について超音波を当てて撮影し、異常がないかを検査します。様々な体位で観察することで、見落としを減らすようにしています。そのため当院では少し時間をかけて検査しております。

 

【乳がん検診】

◯乳房超音波検査 ◯乳房X線検査

どちらも乳房に異常がないか検査します。超音波検査とX線検査(マンモグラフィー検査)の併用検診を行うことで、より精度の高い検査が可能となります。超音波検査と比べて、マンモグラフィー検査は人によっては痛みがかなり強いことがありますので、不安な際は技師へご相談ください。

 

【婦人科検診】

◯子宮内診 ◯子宮がん検査(細胞診) ◯HPV検査 ◯経膣超音波検査

内診及び経膣超音波検査では、子宮筋腫や卵巣嚢腫など、目視や触診で分かるものを検査します。経膣超音波検査は膣から器具を挿入して広域に撮影するため、子宮だけではなく、卵巣の様子も見ることができます。子宮がん検査については、細いブラシで膣内の細胞を採り、異常な細胞がないかを検査します。HPV検査を併用して頂くことで、子宮がんになりやすいHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスがいないか検査できますので、より検診の精度が高くなります。

 

一言で健診・検診といっても様々な検査があります。

今回記載した検査以外にもオプションとして追加できるものが多々ありますので、基本のコースの他に追加したい検査がありましたら、事前に当院にご連絡頂くか、当日に受付にてご相談ください。画像系検査などは予約状況によっては当日受け入れが難しい場合もありますので、事前にご連絡頂くことをお勧めします。

また、結果の見方につきましては、当院ホームページ「健康診断成績表の見方」をご参照ください。

 

今年も健康な1年にできるよう、また現在の健康状態を知るためにも、ぜひ健診を受診してみてください。

日ごとに暖かさを感じられるようになりましたが、朝夕の冷え込みはまだまだ続いております。緊急事態宣言が解除され、一週間が経とうとしておりますが、依然として油断のできない毎日でございます。

 

都内の感染者数、コロナウイルス変異種やワクチンの副反応、ワクチン接種の様子など、毎日コロナの話題に溢れている状況が続いております。
一刻も早く落ち着いてほしいと願うばかりです。

 

さて、先程も少し触れましたが、先日、日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種が開始いたしました。

厚生労働省の発表では、令和3年2月17日から令和4年2月末までの間で合計2回の接種予定で見込んでおり、最初に医療従事者等への接種、次に高齢者、基礎疾患を有する方等の順に接種を進めている状況でございます。

 

ただ、一般的に皆様がワクチンを接種できるようになるのは少々先になりそうです。

〈厚生労働省 新型コロナワクチン接種についてのお知らせ〉
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00218.html

ワクチンに関する注目度が高まっておりますが、そもそも、ワクチンを接種し免疫力をつけることはどのような効果があるでしょうか。

ということで、本日はウイルスに対する直接免疫(個人免疫)と間接免疫(集団免疫)についてのご紹介をしていきたいと思います。

 

◆直接免疫◆

直接免疫とは、各個人が獲得する免疫のことです。主に感染を広げない・重症化させないなどの効果を発揮いたします。
獲得方法としては、ワクチンの接種等が挙げられます。これによって抗体を作り、体内に侵入してきた異物を除去する働きを担っております。

 

◆間接免疫◆

間接免疫(集団免疫)とは、人口の一定割合以上の人が免疫を持つと、感染患者が出ても、他の人に感染しにくくなる状態のことを指します。
自分が免疫を持っていなくても、周りの一定数が免疫を所持していれば、自身も感染しにくいということです。
すなわち、ワクチン接種者を増やすことで感染症が流行しにくくなり、間接的に免疫を持たない人も感染から守られるとされております。

 

〈厚生労働省 新型コロナワクチンについてのQ&A

Q1-3 集団免疫とは何ですか。〉
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0019.html

 

また、ワクチンによっては集団免疫の効果が現れないこともあり、新型コロナウイルスがワクチン接種により集団免疫の効果を高めるかどうかは現状では不明とされております。
ただ、日本よりもワクチン接種が進んでいるイスラエルでは、ワクチンの有効性について効果が出ているという記事が出ております。
日本人とは体質や生まれた環境が異なるので、ワクチンの効果に違いはあるかと思いますが、接種をすることで直接免疫が高まる可能性は極めて高いと考えられます。

 

〈読売新聞〉
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210217-OYT1T50254/

 

一方で、インフルエンザ予防接種に関しましては現在までで多くの研究が重ねられております。現在では、集団でのワクチン接種が集団免疫を高め、予防としてより効果が高いとされております。

 

北海道大学大学院医学研究院教授の研究によりますと、インフルエンザ予防接種は接種者の効果が期待できるだけではなく、集団レベルで効果を及ぼすと考えられております。
集団の中で接種者を一定数にすることで、「感染機会の減少」と(予防接種者の感染者における)「感染性の減弱」、すなわち感染力を弱めていくことが可能となります。

 

〈西浦 博(北海道大学大学院医学研究院教授) 従属性のある感染症データの数理モデルによる分析と予測〉
char/jahttps://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/55/11/55_1049/_pdf/-char/ja

2020年度では、毎年ピークを迎える1月のインフルエンザ患者数は、例年の同週と比較しても大幅に減少しており、感染者が少ない状態でございます。
厚労省の発表により、2020/21シーズンに供給されたインフルエンザワクチンの見込み量は約3,178万本発表がありましたが、これは昨年の使用量(2,825万本)と比較すると約12%多いとされております。
つまり、今年度のインフルエンザ感染者が減少したのは、コロナ対策によるマスクやアルコールが普及したことに加え、集団としてワクチンを接種した総数が高いのではないかと考えられます。

通常、インフルエンザの流行時期は大体10月から1月くらいですが、当院では来年度の案内を企業様に開始いたしました。
昨年よりも少しでも多く接種者の方を増やし、予防できる感染症は積極的に防いでいけるよう、当院から発信していければと思います。

 

〈NHK インフルエンザ患者数 例年より大幅に少ない状況続く〉
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210122/k10012828191000.html

〈厚生労働省 2020/21シーズンのインフルエンザワクチンの供給について〉
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000704142.pdf

皆様、桜もあっという間に満開になり散り始めた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
4月に入り新年度となりましたが、コロナ感染は依然として収まらない状況が続いています。

コロナ感染拡大によって今まで以上に個人が健康や感染症などを身近に意識するようになったかと思いますが、今回は企業や法人が取得できる「健康経営優良法人認定制度」についてお話したいと思います。

 

「健康経営優良法人認定制度」とは、経済産業省HPに以下の様に説明されています。

“健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。

健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目標としています。“とあります。

経済産業省HP
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkoukeiei_yuryouhouzin.html

また、大規模法人部門と中小規模法人部門とに認定も分かれていますので、要件を満たしていれば規模は関係なく認定を取得することが出来ます。

しかし、大規模法人と中小規模法人では認定条件が少し異なっている部分があるようです。

大規模法人の要件を見てみると、法人組織内での「制度・施策実行」の項目は12項目以上実施する必要があります。

 

 

一方で小規模法人は各詳細項目で 少なくとも1項目 などの指定はありますが、全体では6項目以上の実施で良いようです。

 

 

やはり大規模になるほど要件は少し厳しくなるようです。

ですが、内容を見るとどれも従業員の労働環境を考えた、健康経営を行っていく上では大切な項目が揃っていますので、取り組みとして行っていく価値は十分にあると考えられます。

取り組みを策定し実行していくまでにはある程度の時間がかかるかとは思いますが、社内環境が良くなることはもちろん、認定を取れると印象も十分に良くなるものかと思います。

 

今年は当院もこちらの認定を取得しようと考えております。
人事労務のご担当者様などは、ぜひ一度目を通してみてはいかがでしょうか?