マイコプラズマ・ウレアプラズマはどんな症状が出るの?感染の原因や治療のポイントを解説

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2024/09/26

マイコプラズマ・ウレアプラズマはどんな症状が出るの?感染の原因や治療のポイントを解説

マイコプラズマ・ウレアプラズマとはキスなどを含む性行為が原因で尿道や咽頭、肛門などの粘膜に感染する細菌のことです。
淋菌やクラミジア以外によって発症する尿道炎の多くは、マイコプラズマとウレアプラズマが原因の場合がほとんどであると考えられています。
 
感染するとかゆみや痛みを伴うことがあり、不妊や流早産の原因にもなるため医療機関での治療が必要です。
 
本記事ではマイコプラズマ・ウレアプラズマの症状と感染経路、原因となる細菌について解説していきます。
治療のポイントや注意点についてもご紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

 
 

マイコプラズマ・ウレアプラズマの主な症状

マイコプラズマ・ウレアプラズマに感染した際の主な症状について解説します。
どんな症状が出るのか確認して、セルフチェックを行ってみましょう。

【男性の症状】性器の痛みやかゆみ・排尿痛

男性がマイコプラズマ・ウレアプラズマに感染すると尿道や精巣、前立腺に感染して症状を表します。
 
女性よりも男性の方が症状が出やすく、よく見られる症状は性器の痛みやかゆみ・排尿痛などです。
また、尿道から分泌物が出て気付かないうちに下着が汚れてしまうことがあります。
 
感染していても症状が軽い場合もありますが、放置していると男性不妊の原因になるため治療が必要です。
 
 

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【女性の症状】性器のかゆみ・おりものの変化

マイコプラズマ・ウレアプラズマの原因菌が膣内や子宮頸管、骨盤内に感染すると、かゆみやおりものの変化などの症状が現れることがあります。
 
しかし、女性の場合はマイコプラズマ・ウレアプラズマに感染していても無症状であることが多いです。
感染に気が付かずに放置してしまうと将来の不妊症につながるため、女性は定期的な検査を受けることをおすすめします。
 
妊娠中に感染した場合は、流早産のリスクとなるため早期治療が大切です。
 

【男女共通の症状】喉や肛門の痛み・違和感

マイコプラズマ・ウレアプラズマは、性器周辺だけでなく眼やのど・肛門に感染することがあります。
眼やのどへの感染は自覚症状が出ないことも多いですが、部位別の症状もそれぞれ確認しておきましょう。
 

感染部位 症状
充血や目やに、目のかゆみなど
のど
のどの違和感、風邪に似た症状
肛門
肛門の痛みや違和感
スクロールできます

 
症状が出ているのにクラミジアや淋菌の検査が陰性という方は、マイコプラズマ・ウレアプラズマの可能性があります。

 
 
 

マイコプラズマ・ウレアプラズマの原因や感染ルートは?

マイコプラズマ・ウレアプラズマの原因と感染ルートについて解説します。
感染の原因となる行為を確認して、日頃の予防に役立ててください。

マイコプラズマ・ウレアプラズマの原因菌

マイコプラズマ・ウレアプラズマの原因菌は4つあります。
 

  • ●Mycoplasma genitalium(マイコプラズマ・ジェニタリウム)
  • ●Mycoplasma hominis(マイコプラズマ・ホミニス)
  • ●Ureaplasma urealyticum(ウレアプラズマ・ウレアリチカム)
  • ●Ureaplasma parvum(ウレアプラズマ・パルバム)

 
マイコプラズマというと、肺炎を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
 
しかし、マイコプラズマ肺炎はマイコプラズマ・ニューモニエという細菌が原因のため、マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症とは全く異なります。
 
マイコプラズマ・ウレアプラズマの原因菌は泌尿生殖器に病原性がある細菌の一種です。
キスやオーラルセックスを含む性行為を通じて人から人へ感染することが確認されています。
 

お風呂やキスで感染する?

マイコプラズマ・ウレアプラズマはキスやオーラルセックスでのどに感染することがあります。
 
しかし、お風呂やタオルなどの共有が原因で感染することはほとんどありません
マイコプラズマ・ウレアプラズマの原因菌は人体から離れると死滅してしまいます。
 

マイコプラズマ・ウレアプラズマの予防方法

マイコプラズマ・ウレアプラズマの予防方法をご紹介します。
 

  • ●性行為の際はコンドームを最初から最後まで装着する
  • ●不特定多数と性行為を行わない
  • ●定期的な検査を受ける

 
上記の予防方法は、クラミジアや淋病などの性病を予防するためにも有効です。
自分やパートナーを守るために、日頃からしっかりと対策しておきましょう。

 
 
 

マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査と治療方法

マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査と治療方法や期間について解説します。

マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査方法

マイコプラズマ・ウレアプラズマはPCR法による検査を選択するのが一般的です。
 
男性の場合は尿を、女性の場合は子宮頸管を綿棒で軽く擦って検体を採取します。
また、のどの感染が疑われる場合にはうがい液などを用いて検体の検査を行います。
 

感染していたらパートナーに伝えるべき?

 

 
マイコプラズマ・ウレアプラズマ検査の結果で感染が確認された場合は、必ずパートナーにも伝えるべきです。
 
パートナーに隠して自分だけ治療を行っても、パートナーに感染していた場合は再感染する恐れがあります。
また、将来の不妊や流早産のリスクにもなるため、一緒に治療を行いましょう。
 
 

 性病検査についてはこちら

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マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療方法

マイコプラズマ・ウレアプラズマは抗菌薬を内服することで治療を行います。
 
治療に使用する薬の種類は、マクロライド系またはニューキノロン系の抗菌薬です。
細菌の増殖に必要なタンパク質や酵素の合成を阻害することで、マイコプラズマ・ウレアプラズマの増殖を抑えます。
 
とくにマクロライド系はマイコプラズマ・ウレアプラズマの原因菌に対して、より高い抗菌作用があります。
 

マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療期間

マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療期間は、約1ヶ月程度かかります。
抗菌薬を服用して2〜4週間後に確認検査を行い、陰性が確認できれば治療完了となります。
 
しかし、マイコプラズマ・ウレアプラズマの原因となる細菌のなかには抗菌薬に対して耐性を持っている場合があります。
1度の治療では原因菌が死滅せず、治療が長期化するケースも少なくありません。

 

治療が難しい理由と耐性菌の問題

治療が難しい理由

①耐性菌の存在
マイコプラズマやウレアプラズマは、抗生剤に対して耐性を持つことがあります。これにより、通常の抗生剤治療が効果を発揮しない場合があります。
 
②細胞内感染
マイコプラズマやウレアプラズマは宿主細胞内で生存できるため、抗生剤が十分に到達しないことがあります。これにより、治療が難しくなります。
 
③ピンポン感染
感染者同士で繰り返し感染する「ピンポン感染」が発生することがあり、これが治療を妨げる要因となります。
 
④治療薬の選択肢の限界
効果的な治療薬が限られており、特に耐性菌に対しては適切な選択が難しいことがあります。
 

耐性菌の問題

①耐性菌の発生
マイコプラズマやウレアプラズマは、過去に抗生剤を使用したことがある場合や、長期間保菌していることで耐性菌が発生する可能性があります。
 
②治療の難しさ
耐性菌が存在する場合、通常の抗生剤治療が効果を発揮しないため、治療が難しくなります。複数の抗生剤を組み合わせて使用する必要があることもあります。
 
③再感染のリスク
耐性菌が存在する場合、再感染のリスクが高まります。特にパートナー間での感染が続く「ピンポン感染」が問題となります。
 
 

マイコプラズマ・ウレアプラズマ治療のポイントや注意点

マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療に関するポイントや注意点について解説します。
 

 

マイコプラズマ・ウレアプラズマは自然に治らない

マイコプラズマ・ウレアプラズマは抗菌薬に対して耐性を持つケースもあり、自然に治ることはほとんどありません。
症状が軽いからと放置してしまうと不妊や流早産のリスクになるため、医療機関で治療を行いましょう。
 

他の性病に同時感染している場合もある

マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査で陽性が確認された場合は、他の性感染症にも感染しているケースがあります。
とくに再発の場合はクラミジアや淋病と同時感染している可能性が高いため、他の性病も同時に検査しておくことをおすすめします。
 

薬は最後まで飲み切る

病院で処方された薬は、自己判断で中断せずに最後までしっかりと飲み切ってください。
抗菌薬の服用を中断すると、再び細菌が増殖して治療前の状態に戻ってしまう可能性が高いためです。
 
症状が軽くなっても薬は医師の指示通りに服用して、治癒を目指しましょう。
 

治療後は必ず確認検査を受ける

マイコプラズマ・ウレアプラズマは1回の治療のみでは治らないこともあります。
再感染を防ぐためにも、治療後は必ず確認検査を受けてください。

 
 

他の性病との違い

マイコプラズマ・ウレアプラズマと他の性病との違いについて詳しく説明します。
 

病原菌の違い

マイコプラズマ・ウレアプラズマ

主にマイコプラズマ・ホミニス、ジェニタリウム、ウレアプラズマ・パルバム、ウレアリチカムが性感染症の原因となります。
主に性行為によって感染し、症状は軽いことが多いです。
 

クラミジア

クラミジア・トラコマティスが主な病原菌です。
症状はマイコプラズマに似ていますが、感染力が強く、無症状でも感染を広げることがあります。
 

淋病

淋菌が原因で、症状が強く、早期に治療が必要です。
マイコプラズマやクラミジアと異なり、症状が明確で、治療が遅れると合併症を引き起こす可能性があります。
 

症状の違い

マイコプラズマ・ウレアプラズマ

男性は軽い陰部のかゆみや排尿痛、女性はおりものの増加や軽い外陰部のかゆみが見られます。無症状の場合も多く、症状が現れるまでに1〜5週間かかります。
 

クラミジア

男性は尿道炎の症状として排尿痛や分泌物が出ることがあり、女性は無症状が多いですが、子宮頸炎や卵管炎を引き起こすことがあります。
 

淋病

男性は急性の尿道炎を引き起こし、女性は無症状が多いですが、子宮頸炎や卵管炎を引き起こすことがあります。
 

感染経路の違い

マイコプラズマ・ウレアプラズマ

主に性行為(セックス、オーラルセックス、キス)によって感染します。
 

クラミジアと淋病

これらも主に性行為によって感染しますが、クラミジアは無症状でも感染を広げることがあります。
 

治療の違い

マイコプラズマ・ウレアプラズマ

主にアジスロマイシンなどの抗生剤で治療されます。耐性菌が存在する場合、治療が難しくなります。
 

クラミジアと淋病

クラミジアはアジスロマイシンやドキシサイクリンで治療され、淋病はセファロスポリン系抗生剤が使用されます。
 

予防法の違い

マイコプラズマ・ウレアプラズマ

コンドームの使用や不特定多数との性行為の回避が推奨されますが、コンドームでも100%予防はできません。
 

クラミジアと淋病

コンドームの使用が有効で、不特定多数との性行為を避けることが重要です。
 
以上のように、マイコプラズマ・ウレアプラズマは他の性病と比べて症状が軽く、無症状の場合が多いことが特徴です。また、治療には特定の抗生剤が必要であり、耐性菌の問題もあります。
 
 

マイコプラズマ・ウレアプラズマに関するよくある誤解

マイコプラズマ肺炎と性感染症の混同

マイコプラズマは肺炎の原因として有名ですが、性感染症のマイコプラズマは別の種類(マイコプラズマ・ホミニスやマイコプラズマ・ジェニタリウム)であることが知られていません。
性感染症のマイコプラズマは、主に性行為によって感染し、肺炎の原因となるマイコプラズマとは異なります。
 

症状の軽視

マイコプラズマ・ウレアプラズマは無症状が多いとされ、軽視されやすいです。
無症状でも感染が続き、長期的には生殖器官に悪影響を及ぼす可能性があります。定期的な検査が重要です。
 

クラミジアや淋病との混同

マイコプラズマ・ウレアプラズマはクラミジアや淋病と似た症状を示すため、誤診されることがあります。
症状は似ていますが、病原菌が異なるため、正確な検査が必要です。
 

治療の難しさ

マイコプラズマ・ウレアプラズマは抗生剤で簡単に治療できるという誤解があります。
耐性菌の存在や遺伝子の変異により、治療が難しくなることがあります。適切な抗生剤の選択と再検査が重要です。
 

常在菌の誤解

マイコプラズマ・ウレアプラズマが常在菌であると考えられることがあります。
これらは性感染症として扱われ、適切な治療が必要です。治療後に依然として陽性の場合、再検査や再治療が必要です。
 
 

まとめ

マイコプラズマ・ウレアプラズマは、細菌が原因で発症する尿道炎や膣炎などの性感染症です。男性はかゆみや痛みなどの症状が出ることが多いですが、女性の場合は無症状も多く見逃されてしまうことがあります。
 
マイコプラズマ・ウレアプラズマに感染すると将来的に不妊や流早産の原因になるため、性行為の際はコンドームを装着して予防を行うことが大切です。
 

感染が疑われる場合や感染が気になる方は、検査を受けて早期発見・早期治療に務めてください。

 
 

 マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症に関連する記事はこちら

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