C型肝炎に感染するとどうなる?感染経路や治療方法についても解説

  • クリニックブログ
2024/09/19

C型肝炎に感染するとどうなる?感染経路や治療方法についても解説

 

 

コマーシャルでC型肝炎について呼びかけられることがありますが、感染するとどうなるのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
C型肝炎は、肝硬変やがんといった生命を脅かす原因疾患であるため、早めに治療を受けることが望ましいとされています。
 
しかし、症状に特徴がないため、知らないうちに進行する病でもあります。
そこで今回は、C型肝炎に感染するとどうなるのか、感染経路、治療方法について解説します。

 
 

C型肝炎とは?

ここでは、C型肝炎の特徴、症状や症状の経過、感染経路や感染確率について解説します。

C型肝炎について

C型肝炎とは、文字通りC型肝炎ウイルスの感染によって引き起こされる肝炎です。
感染後、慢性肝炎から肝硬変、肝細胞がんへと進んでしまうことがあるため、非常に重要な病原ウイルスの一つとされています。
 
研究が進歩したことで撲滅も間近だといわれていますが、国内では感染者がまだ約150万人いると推定されており、予断を許さない状況です。
 
C型肝炎ウイルスの感染経路は血液の接触であり、空気感染や飛沫感染では感染することはありません。
母子感染や性行為でも感染する可能性はありますが、感染率は低めです。
 
C型肝炎ウイルスのワクチンは未だに実用化されていないため、ワクチンによる予防はできません。
 
 

 C型肝炎に関連する記事はこちら

詳しくはこちら

 
 

C型肝炎の症状・経過

ここでは、C型肝炎でみられる症状や、症状の経過について解説します。
 

慢性肝炎の段階は自覚症状がないケースが多い

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれることもあるように、C型肝炎も慢性肝炎の段階では自覚症状がないケースが多いとされています。
そのため、肝硬変や肝細胞がんまで進行してから気づくパターンや、がんにまで進行していても症状がないために気づかないパターンもあります。
 

あらわれる可能性がある症状

C型肝炎の症状は、疲れなど別の原因と勘違いし見逃しやすくなっています。
自覚症状としてあらわれるものは、なんとなくの気だるさや倦怠感、疲れやすい、食欲不振であるためです。
 
上記のような症状は、睡眠不足や疲れの蓄積でも感じるものなので、プロであってもこのような症状だけでは見分けがつきにくいとされています。
 

肝硬変へ進行した場合の症状

慢性肝炎を経て肝硬変へ進行すると、次のような症状がみられるようになります。
 

  • ●黄疸
  • ●手掌紅斑
  • ●浮腫
  • ●腹水
  • ●鼻血
  • ●出血が止まりにくい など

 
出血が止まりにくかったり鼻血が出やすくなったりする症状は、白血病などの症状でもみられるため、心配になり医療機関へ受診する方もいるかもしれません。
腹水や黄疸が見られる場合も同様でしょう。
 
しかし、浮腫しか見られない場合は、普段からむくみやすい方にとってはわかりにくいサインといえます。
 

症状の経過

C型肝炎ウイルスに感染後、2〜14週間の潜伏期間を経て、急性肝炎または慢性肝炎を起こす経過を辿ります。
 
ただし、急性肝炎を起こす可能性はそれほど高くはありません。
自覚症状がない「不顕性感染」を経て、慢性肝炎を起こす可能性の方が高くなっています。
慢性肝炎になると、30〜40%ほどの方が約20年かけて肝硬変に進行し、年率約7%の頻度で合併症として肝細胞がんを発症するといわれています。
 
肝細胞がんを発症すると、発熱やお腹の痛みなどの症状があらわれることがありますが、急性胃腸炎など別の疾患でもみられるため、肝細胞がんと気づかないかもしれません。
 
 

 肝炎についてはこちら

詳しくはこちら

 
 

感染経路・感染確率

C型肝炎ウイルスの感染経路には主に以下のようなものがあります。
 

  • ●感染している血液の輸血を受ける
  • ●注射薬物を乱用する
  • ●タトゥー施術を受ける
  • ●針治療を受ける
  • ●観血的医療行為
  • ●母子感染
  • ●消毒が適切でない器具でピアスの穴をあける
  • ●性行為 など

 
上記のとおり、C型肝炎は血液を通して感染する感染症です。
 
国立感染症研究所によると、国内におけるC型肝炎患者のうち、輸血歴がある人は3〜5割程度です。
しかし、国立感染症研究所によれば、現在のスクリーニングシステムを実施しているなかでは、輸血などの血液製剤による新規患者の発生はゼロに近づいているとの報告もあります。
 
また、母子感染は母体がウイルス陽性の場合、出生児への感染確率は10%程度、血液透析による新規感染の発生は平均年率約2%といわれており、感染確率は低めです。

 
 

診断・検査

ここでは、C型肝炎の診断方法や検査方法をご紹介します。

診断

C型肝炎ウイルスの感染の有無は、抗体検査の結果でわかります。
抗体検査の結果、陽性であれば過去に感染していたか、現在感染していることを示しており、陰性であれば感染している可能性は低いでしょう。
 
ただし、感染してから抗体が陽性になるまでは約3か月かかるため、陰性だからといって感染していないとは限りません。
 

検査方法

血液に抗体があるかを調べるために、まずは「HCV抗体検査」を行います。
陽性となった場合は現在の血液中にウイルスがいるか「HCV-RNA検査」で調べなければなりません。
HCV-RNA検査では、ウイルスの遺伝子の有無を知ることができます。
 
これらの結果からC型肝炎ウイルスの感染が認められた場合、または可能性がある場合は、専門医が進行状況のチェックと治療方針を決定するための検査を行います。

 
 

予防・治療法

ここでは、C型肝炎に感染しないための予防方法と、感染してしまった場合の治療法について解説します。

予防法

ワクチンによる予防ができないため、以下のように自力で感染を予防しなければなりません。
 

  • ●血液が付着する可能性のあるものを共用しない
  • ●避妊器具をつける

 
C型肝炎にならないためにも、上記2つを徹底しましょう。
 

血液が付着する可能性のあるものを共用しない

C型肝炎ウイルスは血液を介して感染するため、歯ブラシやカミソリなど、血液が付着する可能性のあるものは他者と一緒に使わないようにしましょう。
 
歯茎から出血する可能性があるため、歯ブラシを他者と一緒に使用することは感染のリスクを高めます。
カミソリや髭そりも、肌を傷つけて出血する可能性がある日用品であるため、傷口の血液が付着するおそれがあります。
 

避妊器具をつける

性行為により感染する可能性があるため、男性用または女性用コンドームを使用し、血液が触れないようにしましょう。
ただし、正しい使い方でなければリスクを抑えられないため、正しい装着方法や使用方法を身につけましょう。
 

血液に触れる場合はゴム手袋を使用する

他者のケガの手当をする場合や鼻血に使用したティッシュの処理など、自分以外の人の血液に触れる可能性のある場合は、ゴム手袋を使用しましょう。
手に細かな傷がある場合、傷口からウイルスが侵入する可能性があるため、素手での対応はC型肝炎ウイルスの感染リスクが高くなります。
 

治療法

 

 
以前まで、C型肝炎の治療では、効果はそれほど高いものでないうえに副作用の強い「インターフェロン」の注射が行われていました。
 
現在では、抗ウイルス薬の研究が進み、内服薬でのウイルス排除が可能となったため、数か月集中して治療を受けることで、95%以上の人がC型肝炎ウイルスを完全排除できています。
 
ただし、治療するまでに受けた肝臓のダメージが治るわけではありません。
とくに、肝硬変まで進行している方はがんへの進行リスクが残っているため、専門医による経過観察を受けることが大切です。

 
 

まとめ

C型肝炎は知らない間に慢性肝炎や肝硬変、がんへと進行しやすい病です。
肝硬変まで進むと黄疸や腹水といったわかりやすい自覚症状があらわれますが、それまでは発症していることに気づかないパターンが多いため、体調不良が続くなど異変を感じたら、受診することをおすすめします。
 
MYメディカルクリニックでは、一般外来を受け付けております。
下記のMYメディカルクリニックの診察・サービスにて予約できますので、お気軽にご来院ください。

 
 

 
 

 
 
 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
一覧に戻る