血小板の数値が高い原因は病気?ストレス?原因や合併症を徹底解説

  • クリニックブログ
2024/07/29

血小板の数値が高い原因は病気?ストレス?原因や合併症を徹底解説


 

 

「血液検査で血小板の数値が高いのはなぜ?」
「病気が原因の場合どうすればいいの?」

 
このようなお悩みや疑問はありませんか?
 
数値が増加する原因はいくつかあり、一概にこれが原因とは言い切れません。そのため、もし病的な増加具合の場合は検査で明らかにする必要があります。
多くの原因は命に関わる疾患である上に、増加そのものが血栓や合併症のリスクを高めるため、検査はできるだけ早く受けることが望ましいです。
 
以降では、血小板の働きと数値で分かる体の状態、原因疾患、合併症について解説します。

 
 

血小板の働きと数値で分かること

ここでは、血小板がどのような働きを持っている物質なのか、また数値で分かる状態、正常値について解説します。
 

血小板の働き

人間には、ケガをすると出血を止めたり傷を修復したりと、体にもともと備わっている機能があります。その中で血小板が持つ役割は、止血です。血液を固まらせることで出血しすぎないようにします。
 
メカニズムとしては、粘着反応、放出反応、凝集反応、血栓の生成といった流れで出血を止めます。血小板が傷ついた出血した箇所に粘着し、仲間に収集を呼びかけて血小板を集め、血栓を作り出すのです。
 

血小板の数値で分かること

血小板の数値で分かることは疾患の有無です。少なすぎたり多すぎたりすると疾患の可能性が浮上します。
 

正常値

一般的に、15万〜45万/μL程度が正常範囲です。
45万/μL以上になると血小板増加症と診断されます。

 
 

血小板の数値が高くなる原因疾患

数値が異常に高くなる原因疾患には以下があります。

  • ●本態性血小板血症
  • ●真性多血症
  • ●骨髄線維症
  • ●鉄欠乏性貧血
  • ●関節リウマチ
  • ●炎症性腸疾患
  • ●慢性骨髄性白血病

 
では、一つずつ疾患の特徴、症状、治療法をお伝えします。
 

本態性血小板血症

本態性血小板血症は、骨髄増殖性腫瘍の一つです。血小板の産生が顕著に増加するのが特徴です。
 
発生には2つのパターンがあり、若い年齢の女性が発症する早期ピークと、50歳以降になり発症する晩期ピークがあります。なお、晩期ピークは男女ともに発症が見られます。
 
主な症状は、筋力の低下や痛風、眼性偏頭痛、皮下出血(あざ)などです。
 
まれに動脈に血栓を作る重篤な合併症(脳梗塞や心筋梗塞など)を引き起こすこともありますが、予後は基本的に良いため過度に心配する必要はないでしょう。
 
治療は薬物療法です。
 

真性多血症

真性多血症は、骨髄増殖性腫瘍の一つです。発症するリスクは年齢を重ねるごとに高まるのが特徴です。
 
血液を作るのに関わる細胞に異常が起こり、顕著に赤血球が増加しますが、それに伴って血小板も増加する傾向にあります。血液に水分が少なくドロドロの状態となるため、血栓ができないよう注意しなければなりません。
 
主な症状は、耳鳴りや目の充血、頭痛、めまいなどです。初期症状がないこともあり、血液検査の結果でようやく異常が分かるケースがあります。
 

 
予後は、寿命の中央値は24年といわれていますが、これからさらに延びると予測されています。治療法は薬物療法です。
 
 

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骨髄線維症

骨髄線維症は、骨髄増殖性腫瘍の一つです。突然、貧血や白血病になることがあります。原発性と二次性があり、原発性は遺伝の変異が原因で起こり、二次性は別の疾患により引き起こされるものです。
 
症状は人によって異なりますが、出血しやすくなる方や、貧血が進んで疲労感を感じやすくなる方などさまざまです。
 
治療法は基本的に薬物療法ですが、骨髄移植を必要とする場合は移植を実施します。
 

鉄欠乏性貧血

鉄分が足りないタイプの貧血です。出血量が多くなることで発症することがよくあります。
貧血というと血液が足りないイメージがあり、血小板も少ないのではと思うかもしれません。
鉄欠乏性貧血は、出血量が多いことで鉄分が不足する疾患なので、血液が多く産生されることで血小板の数値も上がるのです。
 
進行性の病気であり、軽度の場合は疲労感や脱力感、顔の蒼白などが見られますが、重度にまで進むと異食症が見られるようになります。多いのは氷ですが、土やチョークなどを食べる方もいます。
 
治療は、止血処置と鉄剤の使用です。多くの原因は過剰出血であるため、出血箇所を突き止めて治療を行います。
 

関節リウマチ

関節リウマチは慢性炎症性疾患の一つであり、関節リウマチでの血小板の増加は、反応性血小板増加症によるものです。
 
関節リウマチの原因はまだよく分かっていません。自己免疫疾患の一つで、免疫が骨や軟骨を攻撃します。進行すると関節を破壊するため、早めに治療をスタートさせることが大切です。
 
発症すると寿命が3〜7年短くなるといわれており、また女性は男性に比べると予後が悪い傾向にあります。
 
治療は、薬物療法と支持療法です。支持療法とは、禁煙を促したり、安静を促したりといった医師の指示に従う治療方法です。
 

炎症性腸疾患

炎症性腸疾患とは、潰瘍性大腸炎やクローン病のことをいい、血小板の増加は反応性血小板増加症によるものです。
 
潰瘍性大腸炎とは、免疫機能の異常により大腸の粘膜に炎症が起きる疾患です。クローン病は、免疫機能の異常により炎症を起こす疾患ですが、口腔内から肛門まで幅広く炎症を起こすのが特徴です。
 
治療法は、活動期と寛解期で異なります。寛解期は薬物療法で治療を行うのに対し、活動期は症状が強くなると外科治療を行う場合があります。
 

慢性骨髄性白血病

血液を作るのに関わる造血幹細胞に異常が発生し、血小板や白血球、赤血球が無制限に増え続ける疾患です。進行性の病気ですが、慢性期は症状はほとんどありません。
 
症状が見られるのはその先の移行期からで、全身症状が見受けられ、急性転化期に入ると急性白血病に似た症状が見られます。
 
移行期に入ると慢性期で増加し続けていた血小板が減少を始め、反対に不足するため、歯茎からの出血や鼻からの出血といった症状が見られることもあります。
 
治療法は、造血幹細胞の移植や薬物療法です。

 
 

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血小板が多いことによる合併症

血小板が多くなることで引き起こされる合併症があります。
 

過度に凝固する

血小板の数が多すぎると血が固まりやすくなります。その結果血栓ができ、脳梗塞や心筋梗塞といった血栓が原因の疾患リスクを高めます。
 
 

 

大量の出血

血小板には血を固める作用がありますが、過剰に増えすぎることで血液凝固を妨げてしまい、反対に出血が起こりやすくなることもあります。

 
 

まとめ

体にとってなくてはならないものでも、増殖のしすぎはかえって悪影響を及ぼしてしまうことがあります。
血小板も同様で、血栓ができやすくなったり合併症を起こしたりするリスクがあります。
また、増加の原因には疾患が隠れているため、早めに再検査を受けてください。

 
 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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