尿潜血と血尿の違いとは?血尿になる原因疾患を詳しく解説

  • クリニックブログ
2024/07/22

尿潜血と血尿の違いとは?血尿になる原因疾患を詳しく解説


 

 

「尿検査で血が混じっていると診断された。私はこれからどうなるの?」
「膀胱がんの可能性はある?」

 
このようなお悩みや疑問はありませんか?結論からお伝えすると、原因を突き止めるために検査を複数行い、もし血尿が見られた場合はさらなる検査が必要です。
また、膀胱がんでも血尿は出るため、可能性はゼロとはいえません。
 
以降では尿潜血や血尿との違い、血尿が見られる場合に考えられる疾患などを詳しく解説しますので、気になっている方は最後までご覧ください。

 
 

尿潜血とは?血尿との違い

尿潜血とはどのような状態をいうのか、そして血尿との違いについて解説します。検査方法も解説しますので、参考にしてください。
 

尿潜血とは?

 

 
尿潜血とは、簡易検査を行った結果、血が混じっていることが見受けられる状態です。試験紙を使った検査によりヘモグロビンが検出されると尿潜血と診断されます。
潜血の量によって「1+」「2+」「3+」と表記されます。
 

血尿との違いは?

血尿とは、詳しい検査の結果、本当に尿に血が混じっていることが確認できた場合に用いられます。
 

尿潜血を指摘された際に行う検査

尿潜血を指摘された際に行う検査は以下があります。
 

  • ●尿細胞診
  • ●尿沈渣
  • ●腹部エコー

 
上記の検査は泌尿器科で行われます。
では、一つずつ解説します。
 

尿細胞診

尿細胞診は、膀胱がんなどの悪性腫瘍ができていないかが分かる検査方法です。悪性細胞は尿に排出されるため、この検査を行うことでどこかでがんを発症している可能性を探れます。

 

尿沈渣

尿沈渣は、尿に混じっている赤血球の形や数が分かる検査です。この検査を行うことで、腎臓、尿管、膀胱のどこで出血を起こしているのかを予測できるようになります。

 

腹部エコー

腹部エコーで膀胱や腎臓などの病変を探します。もし、がんになっていればエコーを通して腫瘍を見つけられます。レントゲンのように被爆する恐れがないため、安全に腫瘍の有無を探せるのがメリットです。
なお、尿管など一部の場所を見る際は、CT検査のほうがよい場合もあります。

 

血尿を指摘された際に行う検査

血尿を指摘された際は、必ず腹部エコーによる検査を行います。血尿は疾患が原因で起こることが多いため、簡単に調べられる腹部エコーは病変を探すために有効な方法です。
もし疑わしい所見が見られた場合、さらに詳しく調べるためにCT検査やMRI検査、採血、膀胱鏡検査などを行います。

 
 

血尿と診断されたら?考えられる原因

血尿が症状として現れる疾患は数多くあります。
また、血尿と一口にいっても顕微鏡的血尿と肉眼的血尿があり、特徴やリスクが異なります。
以降で詳しく解説します。
 

血尿には種類がある

顕微鏡的血尿と肉眼的血尿のそれぞれの特徴やリスクなどを解説します。
 

顕微鏡的血尿

名前の通り、顕微鏡で尿を調べることで赤血球が混じっていることが確認できる血尿です。普段の尿の色に近く、血尿が出ていることに気付かない方が多いでしょう。

 

肉眼的血尿

肉眼で血の交りが確認できる血尿です。鮮血やピンク色の尿が出たりします。肉眼で分かるほどの血尿の場合は、重篤な疾患もしくは重症化している疾患の可能性が高いため、速やかな受診が必要です。

 

血尿の原因

 

 
血尿を発症する原因疾患は以下のようなものがあります。
 

  • ●膀胱炎
  • ●前立腺炎
  • ●尿路結石
  • ●がん
  • ●前立腺肥大症
  • ●多発性嚢胞腎

 
では、症状や特徴、治療法をまとめて解説します。
 

膀胱炎

何かしらの原因で細菌感染を起こし、膀胱に炎症が起きる疾患です。20~40代の女性がかかりやすい単純性と、下部尿路の基礎疾患が原因による複雑性、原因が不明の間質性があります。
 
下腹部や尿路の違和感、残尿感、頻尿、尿の白濁、血尿などの症状が見られます。
 
単純性・複雑性の治療は、抗菌薬もしくは抗生剤を服用します。
複雑性の場合はそれに加えて、基礎疾患の治療も必要です。
間質性の場合は、細菌感染を起こしていないため抗菌薬や抗生剤は効き目があるとはいえません。
 
しかし、念のために薬物療法を行うこともあるほか、食生活の改善や外科的な膀胱拡張療法で根気よく治療を続ける必要があります。

 

前立腺炎

男性が持つ前立腺に炎症が起こる疾患です。
細菌感染により激しく症状が現れる急性細菌性前立腺、何度も症状が繰り返し発症して慢性化する慢性細菌性前立腺炎、細菌感染を起こしていない慢性非細菌性前立腺炎があります。
 
症状は前立腺の腫れや排尿痛、38℃を超える高熱、頻尿です。
 
治療として、細菌感染が原因の場合は抗生剤を服用し、高熱が見られる場合は入院して治療を受けます。慢性非細菌性前立腺の治療では、抗生物質や漢方薬、鎮痛薬を服用しますが、完治は困難です。

 

尿路結石

結石は尿に含まれる物質が結晶化し、他の物質と結合して作られます。結石ができる原因はまだ分かっていません。
この結石が尿路に移動すると尿路結石と呼ばれ、膀胱に移動すると膀胱結石となります。
 
症状は、激しい痛みが脇腹から下腹部にかけて発生することが知られていますが、結石が尿管を傷つけて血尿が出ることもあります。
 
治療は、多めに水分をとり結石が出ることを待つしかありません。もし、自然な排出が厳しい場合や腎臓のむくみが見られる場合は、手術で結石を砕きます。

 

がん

膀胱がん、腎盂がん、尿管がんによっても血尿が出ます。他にももちろん症状は現れます。
 
膀胱がんのその他の症状は、排尿痛、尿意切迫などです。腎盂がん、尿管がんでは、他にも見られる症状として脇腹の痛みがあります。
 
共通している治療法は手術療法です。腎盂がん、尿管がんは手術療法のみですが、膀胱がんは免疫療法や化学療法、放射線療法などもあります。

 
 

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前立腺肥大症

前立腺が肥大することで出血しやすくなり、血尿が出ます。放置すると、膀胱結石や尿路感染症などの合併症を起こす可能性があるため、適切な治療が必要です。
50代を超えると発症するリスクが高まり、50代では20〜30%、80歳以上は80〜90%にまで上昇します。
 
初期の場合には治療を必要とせず経過観察となります。
本格的な治療は、軽症〜中等症に進行してからであり、方法は薬物療法です。
さらに進行した場合は手術が必要です。

 

多発性嚢胞腎

指定難病67に該当する疾患で、嚢胞が腎臓に複数でき腎臓が弱っていく疾患です。原因は遺伝によるものです。
末期腎不全になると、腎臓移植や透析を必要とします。
 
症状には、おなかの張りや血尿、嚢胞の感染などが見られます。全身の合併症を引き起こした場合は、くも膜下出血や高血圧を引き起こすため注意が必要です。

 
 

まとめ

尿潜血は血尿ではない場合もありますが、疾患が隠れており血尿を起こしている可能性もあります。
できる限り早く再検査を受け、原因を突き止めましょう。

 
 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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