歯周病ってどんな病気?原因・症状や治療・予防法とセルフチェックについて解説
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歯周病ってどんな病気?原因・症状や治療・予防法とセルフチェックについて解説
歯周病は、虫歯とともにお口の代表的な病気です。歯ぐきが腫れて出血するだけでなく、歯を支える骨を溶かしてしまい、最終的に歯を失う恐れがあります。歯周病の可能性があるならば、早めに治療することが大切です。「歯周病にかかりやすいのはどんな人?」「もしかしたら自分は歯周病?」「治療したら歯周病は改善する?」など、不安や疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
今回は、歯周病の原因や症状、歯周病のリスクを高める要因、歯周病のセルフチェックリスト、歯周病の治療や予防について解説します。
歯周病とは
歯周病とは、歯を支える歯ぐきや骨が、細菌に感染して炎症を起こし破壊される病気です。歯ぐきに炎症を起こす状態の歯肉炎と、歯を支える歯槽骨を溶かす状態の歯周炎があり、それらを合わせて歯周病と呼びます。歯周病は虫歯とともに歯科の2大疾患といわれ、歯を失う大きな原因の一つです。
歯周病になる原因や症状
歯周病になる原因は、歯周病菌と呼ばれる細菌です。細菌に感染することで、歯ぐきや歯槽骨が破壊されてしまいます。歯磨きが不十分だと、プラークが歯と歯ぐきの境目(歯周ポケット)に溜まります。プラークには数多くの細菌が潜み、毒素を産出しています。この毒素によって歯ぐきが腫れ、歯周ポケットが深くなることで歯周病が進行していくのです。
歯周病の初期は自覚症状がほとんどありません。しかし、進行すると歯ぐきが腫れたり歯槽骨が破壊されたりします。そして歯がグラグラしはじめ、最終的に歯が抜け落ちてしまうのです。
歯周病のリスクを高める4つの因子
歯周病のリスクを高める因子(結果を引き起こす要素)には、微生物・環境・健康・噛み合わせの4つあります。
原因菌の存在
前述の通り、歯周病の原因はプラークに潜む歯周病菌です。口腔内の細菌の量は人によって異なり、多くの歯周病菌が存在する場合は歯周病の感染リスクが高まります。
生活習慣
歯周病は、悪い生活習慣によってリスクが高まります。
たとえば、喫煙習慣がある方やストレスが多い方は歯ぐきの血行が悪くなりやすく、歯周病になりやすい傾向にあります。歯磨きを毎日していない、歯磨きの仕方が悪いという方は、口腔内にプラークが溜まりやすいので、歯周病にかかりやすいです。また、歯科医院へ定期的に通わず、長期間プロケアを受けていない人は歯周病リスクがかなり高くなります。
健康状態
歯周病のリスクは個人差があります。たとえば、免疫力の高い人は細菌感染しにくい傾向にあります。歯周病は歯周病菌による歯ぐき・歯槽骨の感染病であるため、免疫力が低い人はかかるリスクが高まります。
また、高齢者や糖尿病などで免疫力が低下している場合、やはり歯周病リスクが高いです。
噛み合わせや入れ歯(歯科的問題)
歯科的な問題によって歯周病リスクが高まることもあります。噛み合わせが悪い人は清掃性が低く、磨き残ししやすくなります。そのためプラークが溜まりやすく、歯周病にかかりやすいのです。また、歯ぎしり・食いしばりの癖がある人は、歯や歯ぐきに負担がかかってしまい、細菌感染しやすいとされています。他にも、被せものや入れ歯が合わないとプラークが溜まりやすくなり、歯周病リスクが大幅に高まります。
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歯周病のセルフチェック
以下のような症状があれば、歯周病の可能性があります。気になる症状が一つでもあれば、歯科医院で検診を受けて歯周病のチェックや治療・予防を行いましょう。
- ● 起床時に口の中がネバつく
- ● 歯磨きすると出血する
- ● 歯ぐきが腫れる、赤みがある
- ● 歯ぐきが下がって歯が長く見える
- ● 硬いものが噛みにくくなってきた
- ● 口臭が強いといわれるようになった
- ● 歯がグラグラしている
歯周病は全身の健康とも関係する
歯周病は歯ぐきや歯槽骨の問題だけではなく、全身の健康にも影響すると考えられています。歯周病菌が産出する炎症性物質(毒素)は、歯ぐきの血管から侵入して全身を駆け巡ります。この毒素には、糖尿病治療で使われるインスリンの働きを悪くする作用があるとされています。さらに、肥満・動脈硬化・早産や低体重児出産にも歯周病は関与していると考えられています。
高齢者の生命を脅かす、誤嚥性肺炎も歯周病が誤嚥性肺炎に関係しているとされています。歯周病菌が誤嚥によって肺にたどり着くことで、誤嚥性肺炎を引き起こす恐れがあるのです。このように、歯周病は全身にも影響する恐ろしい病気です。健康を保つためにも、しっかり改善することをおすすめします。
歯周病の治療方法
歯周病の治療方法は大きく分けて基本治療と外科治療の2つあります。
基本治療
歯周病の進行具合にかかわらず、はじめに行われる治療です。歯周病の原因であるプラークと歯石を除去するとともに、歯の根を滑らかにして汚れをつきにくくします。プラークの除去は自宅でのセルフケアがメインですが、歯石は歯磨きでは除去できません。そのため、定期的に歯科医院へ通って特別な器具により歯石を除去するプロケアを受けることが大切です。基本治療により歯周ポケットの深さが浅くなれば、メインテナンスに移行して、良い状態を保っていきます。
また、噛み合わせや入れ歯・被せものの不具合が原因の一つである場合は、それらの調整を行います。
外科治療
歯周病が重度に進行していて基本治療で改善されない場合は、外科治療を行います。
歯ぐきを切開して歯根面のプラークや歯石を除去し、表面を滑らかにします。また、歯槽骨の破壊が進んでいる場合は、歯周組織再生療法により骨を再生させる治療も行います。
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歯周病の予防法
歯周病は原因がわかっている病気であり、予防することが可能です。
汚れがついている時間を減らす
歯周病はプラークや歯石に潜む歯周病菌が引き起こす感染症です。そのため、プラーク・歯石が歯や歯ぐきに付着している時間をできる限り減らすことが予防につながります。具体的には、毎日のセルフケアをしっかり行うことが大切です。食事をしたらすぐに歯を磨く、外出先ですぐに磨けない場合は少なくともうがいをするなどを心がけましょう。
歯科医院で定期的なケアをする
セルフケアも大切ですが、プラークをすべて落としきるのは困難ですし、歯石は歯磨きで除去できません。そのため、定期的に歯科医院にてプロケアを受けることが大切です。歯科医師や歯科衛生士が特殊な器具を使って、歯の表面や歯周ポケット内のプラークや歯石を除去します。さらに歯の表面を滑らかにすることで、汚れがつきにくくなり、歯周病や虫歯になりにくい環境を整えられます。
リスク因子を排除する
歯周病のリスクを高める因子をできる限り排除することも大切です。生活習慣の改善や禁煙、疾患のコントロールなどを行って、歯周病リスクをなるべく抑えましょう。
まとめ
歯周病は、プラークや歯石に潜む歯周病菌が原因の細菌感染症です。そのため、誰もが発症する可能性があります。感染初期は自覚症状がほとんどなく、気づいたときにはかなり進行してしまっている特徴です。歯周病を放置すると、歯ぐきの腫れだけでなく、歯槽骨が溶かされて歯を失う恐れもあります。「歯周病かも」と思ったら、すぐに歯科医院を受診して歯周病を改善しましょう。
また、歯周病は予防できる病気です。毎日のセルフケアや歯科医院でのプロケアを行って、健康的なお口を目指しましょう。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師