扁平上皮がんとは?その原因・特徴と肺がんの関係や治療法・予防について解説

  • クリニックブログ
2024/05/01

扁平上皮がんとは?その原因・特徴と肺がんの関係や治療法・予防について解説

がんは日本人にとってとても身近な病気と言われています。近年は医療技術や検査機器の発展が進み、早期発見・早期治療により罹患しても生存できる病気となっています。しかし、がんと診断されれば恐怖を感じてしまうものです。
 
扁平上皮がんとは、扁平上皮細胞が癌化したものでさまざまな部位に発生します。また扁平上皮細胞のない肺にも発症する病気です。
 
今回は扁平上皮がんの原因や症状・特徴、扁平上皮がんと肺がんの関係、扁平上皮がんの治療やその効果、扁平上皮がんの予防について解説します。

 

扁平上皮がんとは

扁平上皮がんとは、扁平上皮という細胞が癌化したものです。扁平上皮細胞は平らなシート状の細胞質をしており、皮膚や粘膜の表層を形成する細胞です。扁平上皮がんは日本人に多い皮膚がんの一つと言われています。しかし、扁平上皮がんは皮膚だけに発生するものではありません。扁平上皮で覆われている口腔・舌・喉頭・咽頭・声帯・肛門・子宮頸部・外陰部・膣などさまざまな部位で見られます。
 
また、扁平上皮のない臓器である肺においても発生することがあり、肺腺がんに次いで二番目に多い肺がんが肺扁平上皮がんであるとされています。

 
 

扁平上皮がんの原因

扁平上皮がんの発症原因として考えられているのは、飲酒・喫煙、HPV(ヒトパピローマウイルス)などのウイルス感染、日光(紫外線)、科学的・機械的刺激などがあります。特に喫煙は扁平上皮がんの最大の発生原因とも言われ、喫煙者が多かった時代は扁平上皮がん発生の代表的な原因とされていました。現代では喫煙率が低下したこともあり減少傾向にあるものの、喫煙が扁平上皮がんの大きなリスクになることには変わりありません。

 
 

扁平上皮がんの症状や特徴

扁平上皮がんが皮膚に発生した場合、小さなしこりや赤み、かゆみ、ジクジクするといった皮膚症状が出ることがあります。さらに進行すると、発生部位に痛みや出血、潰瘍などの症状が現れるといった特徴があります。もちろん、他のがんと同様に、進行すればリンパ節や多臓器への転移も起きます。
 
また、扁平上皮がんは中年以降に発症することが多く、皮膚だけでなくさまざまな粘膜にも生じる可能性があるのも特徴的です。詳しくは後述しますが、本来は扁平上皮細胞が存在しない肺にできることもあり、肺がんの代表的なものの一つとされています。


 
 

扁平上皮がんは肺がんに多い?

扁平上皮がんと肺がんは関係性が深いとされています。肺がんで最も多いのは、唾液を出す腺組織に似た形をしている腺がんです。次いで多いのは、扁平上皮がんです。肺には本来扁平上皮が存在しませんが、扁平上皮がんは扁平上皮細胞とよく似た形をしているとされます。
 
また、傾向として肺扁平上皮がんは深い気道(気管支)や肺門部に発生することが多く、治療しにくいのが特徴的です。前述の通り喫煙との関係が深く、喫煙者は肺扁平上皮がんリスクが高まります。


 
 

扁平上皮がんの治療法

扁平上皮がんの治療は、外科的に病変を切除することが第一選択です。発症初期であれば、腫瘍から数ミリ~数センチの健康部位を含めて切除します。腫瘍の切除によって皮膚など外から見える部分の欠損が起きる場合は、移植などによりその部分を補います。
 
ただし、扁平上皮がんも他のがんと同じように、がんの進行具合によって適した治療法が異なります。リンパ節への転移がある場合は、病変とともに健康な部位をより多く切除するのに加えて、リンパ節を切除しなければなりません。他の臓器へ進行が認められる場合は、抗がん剤を用いた薬物療法や放射線治療を組み合わせ、症例に応じて病変の切除を実施します。


 

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扁平上皮がんの治療効果

扁平上皮がんの治療は早期に行えれば予後が良好になることが少なくありません。たとえば、腫瘍が皮膚より深い組織にある場合やリンパ節への転移がある場合と比べると、腫瘍が皮膚内にとどまっている初期の段階で治療を行えれば、生存率が高まるとされています。
 
扁平上皮がんは皮膚がんである悪性黒色腫に比べると進行が遅いとされ、早期発見・早期治療が何よりも大切です。


 
 

扁平上皮がんの予防や生活上の注意点

扁平上皮がんはリスク因子がいくつかあります。それらを取り除くことが、扁平上皮がんの予防につながります。

飲酒を控え禁煙することが予防につながる

扁平上皮がんは喫煙との関係が深いとされるがんです。そのため、禁煙することは予防の大きな一歩となることでしょう。また、過度のアルコール摂取や紫外線の暴露などもリスク因子となります。飲酒はほどほどにする、外出時には日焼け止めを塗るといった対策をすることで、扁平上皮がんを予防しやすくなることでしょう。
 

定期検診を受けることで早期発見

扁平上皮がんは他のがんと同様に、早期発見・早期治療することで生存率が高まります。最低でも1年に1回は定期検診を受けて、扁平上皮がんをはじめとした疾患がないかチェックしましょう。そしてもし問題があれば、速やかに治療を受けましょう。日常生活を送る上で気になることがある場合も、なるべく早く病院を受診して、検査・治療することをおすすめします。
 

その他生活上の注意点

生活習慣の改善は扁平上皮がんをはじめ、さまざまな疾患予防に良いとされています。バランスの良い食生活を送る、適度な運動を継続して行う、ストレスを軽減する、睡眠をしっかり取るなど、基本的な生活習慣の見直しも予防に良い効果をもたらす可能性がありますので、ぜひ実践してみてください。


 
 

まとめ

扁平上皮がんは、皮膚や粘膜にある扁平上皮細胞が悪性化することで発生するがんです。また、扁平上皮細胞がない肺でも発生することがあるのが特徴です。肺扁平上皮がんは肺腺がんに次いで発症率が高いとされますので注意しましょう。
 
他のがんと同様に、扁平上皮がんにおいても早期発見・早期治療がとても重要です。生存率を高めるためにも、定期検診を受けることはもちろん、異常があればすぐに病院を受診する習慣をつけましょう。また、生活習慣の見直しや禁煙も、予防のために実施することをおすすめします。


 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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