健康診断結果に書かれた「総コレステロール」とは何を示す値?

  • クリニックブログ
2024/04/26

健康診断結果に書かれた「総コレステロール」とは何を示す値?

健康診断の血液検査の結果には、HDLコレステロールやLDLコレステロールと共に、総コレステロール値が記載されています。総コレステロールには基準値があり、基準値を外れた場合には健康に影響が生じる恐れがあります。
 
今回は、総コレステロールの基準値や基準値を外れた場合の病気のリスクなどについてご説明します。

 

総コレステロールとは

総コレステロールとは、血液中に含まれるすべてのコレステロールの総量であり、総コレステロールは、HDLコレステロール値とLDLコレステロール値、中性脂肪値の1/5の合計値で算出されます。総コレステロールについての理解を深めるうえでは、そもそもコレステロールとは何なのか、総コレステロールを構成するHDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪はどのようなものかを知る必要があります。

コレステロールとは

コレステロールとは、脂質の1つであり、人間の身体を作る細胞を包む細胞膜の構成成分です。また、コレステロールはホルモンや胆汁酸、ビタミンKなどの材料にもなっています。コレステロールは、20~30%は食べ物から取り込まれますが、残りの70~80%は糖質や脂質を材料に肝臓で生成されます。
 
コレステロールは血液によって全身に運ばれ、さまざまな場所で使われます。しかしながら、コレステロール自体は脂質であるため、血液には溶けることができません。そのため、LDLやHDLといったリポたんぱく質と結合し、血液にのって全身に運ばれることとなります。
 

HDLコレステロール

コレステロールは、血液にのって全身に運ばれますが、使用されなかった余分なコレステロールは血管内部を狭くし、血流の悪化や動脈硬化を招く恐れがあります。そのため、HDLコレステロールは余分なコレステロールを回収し、肝臓に戻す役割を担っています。この働きからHDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれることもあります。

 

LDLコレステロール

LDLコレステロールには、肝臓で生成されたコレステロールを全身に運ぶ役割があります。しかし、LDLコレステロールが増えすぎると、血管の壁にLDLコレステロールがたまり、動脈硬化が進んでしまいます。そのため、LDLコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれることもあります。

 

中性脂肪

中性脂肪は、ほとんどが食事から摂取されますが、肝臓でも合成され、血液によって全身に運ばれます。食事から摂取した中性脂肪は皮下脂肪や内臓脂肪となって蓄えられ、糖質が不足すると蓄えられていた中性脂肪が血液中に放出され、身体を動かすエネルギー源として利用されます。
 
中性脂肪は、体温を保持する役割や内臓を守る働きがありますが、増えすぎた場合は動脈硬化の原因となります。

 
 

総コレステロールの基準値

日本人間ドック学会では、総コレステロール値の基準値を140~199mg/dLとしていました。しかし、現在では基準が見直され、総コレステロールの判定区分は廃止されています。一方、日本臨床検査標準協議会では、総コレステロール値の基準値を142~248としています。

 
 

新しいコレステロール値の基準

健康診断では、総コレステロールに代わって「Non-HDLコレステロール」と「LH比」が用いられることも増えています。Non-HDLコレステロールとLH比とはどのような数値なのでしょうか。

Non-HDLコレステロール

2018年から特定健診にも導入された新しい基準がNon-HDLコレステロールです。Non-HDLコレステロールは、HDL以外のコレステロールを意味します。Non-HDLコレステロールが健診結果に表示されていない場合は、総コレステロールからHDLコレステロールを引くことで算出可能です。
 
Non-HDLコレステロールは、LDLコレステロールに加えて脂質代謝の変化によって発生するレムナントコレステロールなども含む値となるため、動脈硬化のリスクをより総合的に判断することができます。日本人間ドック学会によるNon-HDLコレステロールの基準値は、次のようになっています。
 

異常 89以下
基準範囲 90~149
要注意 150~209
異常 210以上

 
Non-HDLコレステロールが基準値よりも高い場合には、動脈硬化のリスクが高くなり、低い場合には栄養吸収阻害や低βリポタンパク血症、肝硬変などが疑われます。
 

LH比

LH比は、LDLコレステロールとHDLコレステロールの比率を示すもので「LDLコレステロール値÷HDLコレステロール値」で算出されます。LDLコレステロールが基準値内にある場合でも、コレステロールのバランスが悪い場合、さまざまなリスクが生じることが分かってきました。そのため、LH比が適正値にあるかどうかも動脈硬化のリスクを知るうえで重要な判断基準となります。
 
LH比の基準値は1.5以下が正常値であるとされています。

 

 コレステロール値の基準についてはこちら

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総コレステロール値が基準値を外れた場合のリスク

総コレステロール値が基準値を外れた場合には、脂質異常症の可能性があります。

HDLコレステロールが基準値よりも低い「低HDLコレステロール血症」

HDLコレステロールが基準値よりも低い40mg/dLの場合、低HDLコレステロール血症と診断されます。低HDLコレステロール血症は、動脈硬化のリスクが高まります。

 

LDLコレステロールが基準値よりも高い「高LDLコレステロール血症」

LDLコレステロールが140mg/dL異常の場合、高LDLコレステロール血症と診断されます。高LDLコレステロール血症が基準値より高い場合も、動脈硬化のリスクが高まります。


 
 

総コレステロール値を改善するためには

総コレステロール値が基準値を外れる理由には、生活習慣が関係している場合と遺伝などの体質が関係している場合があります。また、女性の場合は閉経後、女性ホルモンが減少するためにコレステロール値が高くなりやすいといわれています。総コレステロール値が高い場合は、一度医療機関に相談してみましょう。
 
また、生活習慣が原因で総コレステロール値が基準を外れている場合には、食事を見直し、適度な運動を取り入れることで改善できる可能性があります。脂質の摂りすぎに注意し、バランスの良い食事を適量摂ることをこころがけ、ウォーキングやジョギング、スイミングなどの有酸素運動を継続して行うようにしましょう。


 
 

まとめ

総コレステロールは、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の1/5を合んだ数値です。総コレステロールが高い場合、動脈硬化のリスクが高まると考えられます。また、総コレステロール値のほか、最近注目されているNon-HDLコレステロールやLH比などにも注目すると、より動脈硬化のリスクを判断しやすくなります。
 
総コレステロール値が基準を外れていた場合にはご自身で判断するだけでなく、一度医療機関に相談してみることをおすすめします。


 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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